2012年2月10日

◎ キャサヌール森林病-インド
紅斑熱群リケッチア症-中国、南アフリカから

◎ キャサヌール森林病-インド
PRO/AH/EDR> Kyasanur Forest Disease - India (KA)
Archive Number: 20120210.1038724
[1] 12月と1月で6例:IBN、2012年2月3日。
保健当局 Department of Health and Family Welfare of Shimoga は、1月17日に Konandur hobli of Tirthahalli taluk で1名がキャサヌール森林病 Kyasanur Forest disease (KFD) のため死亡したことを確認した。2011年12月と2012年1月に検査された30検体 the 30 blood smears [whole blood or serum samples?] のうち、6検体 (5 cases tested positive for KFD at Shimoga's Virus Diagnostic Laboratory and one case at National Institute of Virology, Pune) が KFD [virus or antibody?] であることが確認されたことを明らかにした。(Chittinakoppa, Hirekallalli, Chickakallalli, Kadegodu and Agashinakoppa of Konandur hobli から報告されている) 6人の KFD 患者のうち、死亡したのは65歳の患者で、あとの5人は回復している。
[2] 9検体陽性、住民にワクチン接種:IBN、2012年2月10日。
Theerthahlli taluk において、15日間で9人が Monkey disease とも呼ばれる Kyasanur Forest disease (KFD)と診断された。Kyasanur Forest Disease は南アジア常在のダニが媒介するウイルス出血熱で、黄熱やデング熱などと同じフラビウイルス科 the family flaviviridae に属するウイルスの感染が原因となる。"バンガロール Bangalore で検査された89検体中9検体が陽性であった" と Shimoga Zilla Parishad CEO Sanjay Bijjur が答えた。14日までに、Konandur, Hombuja and Rippenpet の住民全員に対する KFD vaccine 接種が完了すると説明した。十分なワクチンと移動手段が確保されていると述べた。
[Mod.TY-  KFD cases が7日間で3人増えている。the Shimoga district in Karnataka state を中心 an endemic focus for KFD virus に流行しているようである。2011年及び2009年にヒトの感染例が発生している。
Mod.CP の秀逸な comment (20090302.0860) より:
"キャサヌール森林病 Kyasanur forest disease (KFD) はフラビウイルス科 the family _Flaviviridaeis のキャサヌール森林病ウイルス Kyasanur forest disease virus (KFDV) の感染を原因とする。 KFDV は1957年にインド Karnataka (旧 Mysore) 州の病気のサルからの分離により確認された。主な保有宿主は小型げっ歯類であるが、トガリネズミ shrews、コウモリ、サルなどもウイルスを保有する。感染性ダニ infected tick (_Haemaphysalis spinigera_ is the major vector) の刺咬により伝播される。ヒトの感染は、ダニの刺咬、もしくは病気または死亡して間がないサルなどの感染動物との接触による。ヤギ、ウシ、ヒツジなど大型動物も KFD に感染することがあるが、感染伝播に重要な役割を果たすことはない。また、これらの感染動物から取った殺菌されていないミルクにより、感染伝播が起きた証拠もない。基本的に the Shimoga and Kanara district で発生し、乾季の森林内で曝露のあった若年成人に多い疾患である。3-8日間の潜伏期間の後、 KFD は突然、発熱、頭痛、激しい筋肉痛、咳、脱水、消化器症状と出血の症状が現れる。異常な血圧低下、血小板・赤血球・白血球減少が認められることもある。発症から1-2週間後に、一部の患者は後遺症なく回復する。しかし、多くの患者は2相性の経過をたどり、第3週目のはじめから第2波の症状が始まる。この中には発熱と脳炎の症状が含まれる。診断は血液中のウイルスの分離、または血清 enzyme-linked immunosorbent serologic assay[ELISA] 検査による。年間約400-500名の KFD が発生し、致死率は 3-5%である(一部は the CDC fact sheet から引用した)"
KFD virus とその亜種 its variants は、インドだけにとどまらない、より広い地域で確認されている。 A variant of KFD virus である Alkhurma virus はサウジアラビアで分離されている。発熱患者から分離された Nanjianyin China virus isolate の遺伝子塩基配列は、KFD virus に非常に高い相同性を有していた。 20090303.0871 において "... 2002年、the Andaman and Nicobar Islands の住民の 22.4 % が、血清中の抗 KFD 抗体陽性であることが分かった" 、 "インド国内で、安全で有効な不活化ワクチンが入手可能である"と述べられている]

● 梅毒-カナダ
PRO/EDR> Syphilis - Canada: (NB)
Archive Number: 20120210.1038543
[1] 2010年から2011年に、20-24歳で倍増:The Brunswickan、2012年2月8日。
州保健当局 New Brunswick [Canada] Public Health は、州内の梅毒 syphilis cases 患者数が増加していることを明らかにした。The Student Health Centre にも多数の新たな感染者が受診している。"the Student Health Centre の医療従事者らは、性行為感染症 STIs [sexually transmitted infections] の発生率の変化は感じていないが、例外的に、梅毒患者を診察することが多くなっている" と述べた ... 2010年から2011年にかけて、20-24歳の年齢層の梅毒の発生率はおよそ2倍に増えている ...
[2] 2011年6月の報告:New Brunswick Disease Watch Bulletin. Office of the Chief Medical Officer of Health. Second Edition, 2011、2011年6月。
New Brunswick (NB) [Canada] では梅毒流行が続いており、2011年は3月17日時点で、14例の新規患者が報告されている。2010年の州内の総患者数は37例であり、2008年以前は年間5例未満だった ... 流行は、2009年後半から2010年にかけて the Moncton area で始まったが、最近では the Fredericton region へとシフトしている。 Saint John and northern New Brunswick でも散発的な報告がある。An epidemic curve is shown in Figure 2 [available at the website.]。患者の大部分は、依然として男性同性愛者 sex with men (MSM) だが、少数ながら、2名の妊娠女性を含む女性患者も報告されている。 20-24 and 40-44 years の患者が多く、平均年齢は 33.7 years (range: 17 to 60 years)。患者の多くが、いきずりや名前の分からない相手を含む、複数の性的パートナー がいると申告している。5例には、HIV との重複感染があった ... MSM 以外のハイリスクグループは、性風俗労働者とその雇い主、注射薬物常習者で、一部地域のアボリジニ Aboriginal people でも異常に高い割合の感染が確認されている ...
参考項目 20081112.3561

● 紅斑熱群リケッチア症-中国、南アフリカから
PRO/EDR> Spotted fever rickettsiosis - China: HK SAR ex S. Africa
Archive Number: 20120210.1038268
 情報源 Hong Kong New Yahoo [Trans.]、2012年2月10日。
父親とその娘が南アフリカ旅行からの帰国後に spotted fever と診断された。当局 The Centre for Health Protection は、2011年12月に南アフリカを旅行したこの5人家族のうち、父親と娘のうちの1人がダニ刺咬を受けていたことを明らかにした。香港 Hong Kong に帰国した4日後に、父親が頭痛を訴え、痂皮 an eschar が確認された。娘にも eschar[s?] とリンパ節腫脹 lymphadenopathy が認められた。近医での治療により状態は安定しており、入院を必要としなかった。検査機関において、紅斑熱 spotted fever の感染が確定診断された。母親ともう1人の娘も同様の症状が見られたが、より軽症だった。治療により完治している。
[Mod.LL- Rickettsioses は節足動物媒介性疾患で、大まかに、チフス、発疹チフス、紅斑熱群に分けることができる。振り返ってみると、長年 ProMED-mail が機能している中で、アフリカ由来の紅斑熱群の感染が報告されたのは今回が初めてであることに驚きを感じる。Freedman, et al が、途上国への旅行者の中でリケッチア症はマラリアに次いで2番目に多く、デング熱や腸チフスより多いことを報告しているにもかかわらず、これが事実であった。アフリカでは長い間、_R. conorii_ による地中海紅斑熱 Mediterranean spotted fever が、リケッチア性疾患の中で優位を占めると考えられてきた。1992年に African tick bite fever の患者から _R. africae_ が分離されたことで、間違いなくサハラ以南の rickettsial infection の中で最も多い(clearly the most prevalent cause) 疾患であることが知られるようになり、実際南アフリカの、とりわけ Kruger National Park への旅行者から、数多く報告されるようになった ... [文末で紹介されている6編の参考文献の1つで] _R. africae_ infection の臨床所見の1つとして、1つではなく複数見られる痂皮 eschars (タシェノワール a tache noir と呼ばれる病変) の重要性が強調されている]

● アニリン中毒-米国、中国から
PRO/EDR> Aniline toxicity - USA ex China: internet sales
Archive Number: 20120210.1037949
 情報源 MMWR、2012年2月10日。
2011年8月、オレゴン Oregon 州の男性2名が、インターネットを通じて購入した娯楽用の精神刺激剤 psychoactive stimulant の 2C-E (4-ethyl-2,5-dimethoxyphenethylamine) 入りとされる液体を摂取した15分後にチアノーゼの状態となり、遷延性メトヘモグロビン血症と溶血性貧血症の治療を受けることになった ... Food and Drug Administration (FDA) により、メトヘモグロビン血症を引き起こす事が知られている工業用溶剤のアニリン aniline であることが同定された。患者の1人は、中国の製薬会社のインターネットサイトから購入したと報告している。他の患者発生は確認されていない ... 症例報告(メチレンブルーによる治療、患者管理など)

● レジオネラ症-スペイン
PRO/EDR> Legionellosis - Spain (03): (AN Alicante) hotel
Archive Number: 20120210.1037995
 情報源 Laverdad.es [in Spanish]、2012年2月9日。
英国保健当局は、2012年1月3-24日の間に the Calpe Hotel に滞在した1名が、同ホテルに関係する、新たなレジオネラ症 Legionellosis 感染患者であることを確認した ... これまでに16例の感染が報告されている。いずれも現在入院中であるが、状態は安定している。16人のうち、12人は英国、4人はスペイン(従業員3人と旅行客1人)の患者で、年齢は44歳から88歳である。
関連項目 20120203.1031069

● 炭疽菌入り小包-パキスタン
PRO/AH> Anthrax parcel - Pakistan (05): (IS)
Archive Number: 20120210.1038448
 情報源 Dawn.com 、2012年2月9日。
警察はこの件に関する捜査から手を引きつつある。しかし、首相宛の炭疽菌入り小包の送り主は、シンド Sindh 州の現職の上級警察官のきょうだいである Sindh University の准教授であり、2011年10月18日に、大学の敷地内から首相 Prime Minster Yousuf Raza Gilani 宛に炭疽菌を送ったその小包 The registered (No 209) parcel には、准教授のスタンプが押されていたことが判明している ...
[Mod.MHJ- 准教授が何ら法的措置を受けていないことから、芽胞は、病原性のない apathogenic おそらくは一般的なワクチン株 vaccine strain だったと考えられる]

● 外来種蚊族-英国
PRO/AH/EDR> Invasive mosquitoes - UK (02)
Archive Number: 20120210.1038723
 情報源 Parasites & Vectors 2012, 5:32 、2012年2月9日。
出典 West Nile virus vector _Culex modestus_ established in southern England.
要約
英国 the United Kingdom において、これまでウエストナイルウイルス West Nile virus (WNV) によるリスクは、介在するイエカの蚊族ベクター the main _Culex_ sp. bridge vectors が不在またはごく少数であることを理由に低く評価されていた。The mosquito _Culex modestus_ は南欧に広く分布し、WNV の the principal bridge vector of WNV の役目を果たしている。この蚊族は、以前は英国内に存在しないと考えられていた。
知見
2010年のボウフラの調査 Mosquito larval surveys で、イングランド England 南東部の2か所の沼地に _Cx. modestus_ の実質的な存在が確認された。第3の地点に設置された宿主探索用の成虫トラップ Host-seeking-adult traps によって、8月初旬に、_Cx. modestus_ の個体数の、季節性の相対的増加のピークがあることが示唆された。英国のこれらの標本と、フランス南部の資料[? material] の DNA barcoding の結果、形態学的相同性 the morphological identification が確認された。
結語
_Cx. modestus_ が the North Kent Marshes に定着していると見られ、恐らく最近の導入 a recent introduction の結果と考えられた。同蚊族種が英国の蚊族相に加ったことで、英国内の WNV リスク the risk posed to the United Kingdom by WNV が高まる可能性がある。

● トリパノソーマ症、イヌ-パキスタン
PRO/AH/EDR> Trypanosomiasis, canine - Pakistan: RFI
Archive Number: 20120210.1038368
 投稿者 パキスタン・ Dr. Khalid Khan,、2012年2月9日。
過去2週間に、寄生虫研究所 our parasitology laboratory at the Veterinary Research Institute (Peshawar KPK) に the Civil Veterinary Hospital, Peshawar の bull terrier dogs の2枚の血液塗沫標本が送られてきた。いずれのイヌも Peshawar district で飼われていたが、地域内の別々の場所 different corners of the district で飼育されていた。塗沫標本は典型的で、高度のトリパノソーマ血症 bulk trypanosomes を示していた。以下のような診察所見が得られた

● 慢性消耗性疾患、シカ科-米国
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervids - USA (03): (KS)
Archive Number: 20120210.1037917
 情報源 Kansas Department of Wildlife, Parks and Tourism 、2012年2月8日。
カンザス Kansas 州のシカで確認される慢性消耗性疾患 chronic wasting disease (CWD) の症例数は、依然として少ないままであるが、現在は州北西部で確認されていることが、当局から公表された。 this year's [2011-2012] hunting season に3頭の white-tailed bucks から採取された検体の CWD 検査が、先週終了し、陽性であることが判明した。(新たに確認された) Wallace 郡と、Decatur and Rawlins の各郡で確認されている

● 鳥インフルエンザ H5N1 WHO 会議
PRO/AH/EDR> Avian influenza (14): H5N1 WHO meeting announcement
Archive Number: 20120210.1038410
 情報源 Winnipeg Free Press, The Canadian Press 、2012年2月10日。
次週、臨時招集される、議論の多い鳥インフルエンザ研究に関する、the World Health Organisation (WHO) 会議は、外部からの招待者を22人にとどめる小規模なものとなる予定であることを、当局者が明らかにした。ベトナムとインドネシアの研究機関の代表者も含まれると見られている。今後、同様の研究を行うのか、行うとすればどこで行うべきかといった、より広い範囲の問題の解決は、期待できそうもない[? dial down their expectations for the meeting]
[Mod.CP- The WHO はこの問題によって、2011年春に多国間の合意で批准された the Pandemic Influenza Preparedness (PIP) Framework に支障が出ることを懸念している。それとは別に最も興味深い情報として、オランダのグループ Ron Fouchier at the Erasmus Medical Center in Rotterdam はインドネシアから、一方、Yoshihiro Kawaoka at the University of Wisconsin-Madison はベトナムから、それぞれ提供を受けた鳥インフルエンザウイルス the avian A/(H5N1) influenza virus を使用していたことが明らかになった]