2012年2月2日

狂犬病-米国、回復 2011年 CDC
トリパノソーマ症-ドイツ、ケニアから

● カンピロバクター症-米国 
PRO/AH/EDR> Campylobacteriosis - USA (04): (PA, MD, NJ) unpasteurized milk
Archive Number: 20120202.1031280
 情報源 Public Opinion 、2012年2月2日。
メリーランド州保健当局 The Maryland health department により、Scotland 近郊の1か所の農場から出荷された2本の生のミルクで細菌が確認された。2日現在、カンピロバクター症流行 the Campylobacter outbreak による患者数は28 confirmed cases in Pennsylvania, 4 in Maryland, and one in New Jersey の合計35人となっている。流行開始の1月27日に6例の患者が報告されている。検査当局 The Maryland Department of Health and Mental Hygiene Laboratories Administration により、The Family Cow farm で購入された未開封の生ミルクのサンプルからカンピロバクター菌 _Campylobacter jejuni_ が確認されたことが、2日公表された

● 狂犬病-米国 2011年
PRO/AH/EDR> Rabies, human, feline - USA: (CA) recovery 2011
Archive Number: 20120202.1031183
Recovery of a Patient from Clinical Rabies
-- California 2011
 情報源 Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR), Weekly 61(04);61-65 、2012年2月3日。
2011年5月、カリフォルニア California 州の田舎で、8歳の女児が1週間続く進行性ののどの痛み、嚥下困難、体力低下を理由に救急外来に搬送された。弛緩性麻痺と脳炎を発症した時点で、1) 血清および脳脊髄液中の狂犬病ウイルス特異抗体の確認、2) 合致する臨床症状、3) 代わりとなる診断が付かないこと、を根拠に狂犬病 Rabies と診断された。治療的昏睡による治療などの先進的支持療法を受けた。15日目に無事抜管でき、さらに37日後に退院となり、外来でリハビリを続けている。公衆衛生学的調査で、患児の学校に放し飼いでワクチンを接種されていないネコがいることが分かり、感染源と推定されている。このようなネコ数匹が同校で捕獲され、現在監視されているが健康に問題は見られない。ただし、1匹だけ行方不明になっていて追跡できていない。患児の唾液に触れた可能性のある27人が曝露後予防を受けている ... 診断検査、公衆衛生学的調査、編集部注。
厚労省検疫所 FORTH 参照願います。
[Mod.CP- 適切な暴露後接種を行わずに発病した狂犬病患者の生存は、たとえ advanced supportive care が施されたとしても、極端にまれな出来事である。狂犬病ワクチンを接種されていない患者の狂犬病発病後の生還例としては3人目の報告で、advanced supportive care, including therapeutic coma induction を受けての生還は2人目である]

● トリパノソーマ症-ドイツ、ケニアから
PRO/AH/EDR> Trypanosomiasis, human - Germany ex Kenya: Masai Mara
Archive Number: 20120202.1031130
 投稿者 独・Hospital of the J. W. Goethe University、Dr. Timo Wolf、2012年1月31日。
1月28日にケニア Masai Mara, Kenya からドイツに帰国した61歳の男性患者は、到着の2時間後から高熱を出し、同29日に自ら病院を受診した。熱帯熱マラリアを疑って治療が開始され、翌日 Frankfurt University Hospital に移送されたが、血液厚層塗抹標本検査、QBC、ギムザ染色検査などで、マラリアではなくトリパノソーマ症 Trypanosomiasis であることが確認され、Suramin による治療が開始された。臨床症状として、高熱、頭痛、倦怠感が認められた。脛骨部にはっきりとした刺し口 inoculation eschar [scar from insect bite] が確認できた。この患者は海岸のリゾート地のモンバサ Mombasa でほとんどの日程をすごしていたが、1月18-19日の2日だけマサイマラ Masai Mara のサファリ見学に出かけていた。夜はキャンプで過ごしていた。同行のメンバーの中に、トリパノソーマ症の症状を発症したものはいない。
[Mod.EP- ProMED-mail でケニアのトリパノソーマ症が報告されるのは、およそ11年ぶりである。当時タンザニアの国立公園で感染した旅行者の報告が複数あり、ケニア政府当局は、ケニアへのツェツェバエ tsetse flies の侵入を報告していた]
[Mod.JWー 睡眠病 sleeping sickness と呼ばれる African trypanosomiasis は、tsetse flies の刺咬により感染伝播される]
生活環 Life cycle of trypanosome 
地理的分布 tsetse fly

● サルモネラ感染症-米国、英国
米国 カメ、2011年
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Paratyphi B - USA: (PA, SC) pet turtles 2011
Archive Number: 20120202.1031013
Notes from the field: Outbreak of salmonellosis associated with pet turtle exposures -- United States, 2011
 情報源 CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2012; 61(04): 79 、2012年2月2日。
CDC はペンシルベニア州保健当局 the Pennsylvania State Health Department と共同で、ペットのカメに関係した、サルモネラ感染症流行 an outbreak of human _Salmonella enterica_ serotype Paratyphi B var. L (+) tartrate + infections の調査を行っている。ずっと以前より、カメがヒトのサルモネラ感染源となることが知られており、特に幼児の感染リスクが高い。甲羅が約10cm未満の小型のカメは、1975年以降米国内で販売が禁止されているが、フリーマーケットや路上で販売されることがある。2010年8月から2011年9月(During 5 Aug 2010 - 26 Sep 2011)に、18州の合計 132 cases of human _S._ Paratyphi B var. L (+) tartrate + infection が報告された。平均年齢は6歳(1-75歳)、66%が10歳未満で、63%が女性だった

英国 スイカ
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Newport - UK: (Scotland) watermelon susp.
Archive Number: 20120202.1029457
 情報源 BBC News 、2012年2月2日。
5人のスコットランドの、英国全体での感染流行と関係するサルモネラ菌による感染症患者 salmonellosis は、スイカが原因であった可能性があることが、保健当局者から報告された。2011年12月以降、例年より30人多い the _Salmonella [enterica_ serotype] Newport infection が英国全体で確認されており、スコットランドの患者の5人に4人が6歳未満の小児だった。1人は成人である。同じ菌はアイルランドやドイツでも確認されているという。 感染源の調査が続けられる中、スコットランドでは2012年1月の第1週以降、新たな患者は報告されていない。結論を出すには早いが、多くの患者がスイカ watermelon 摂取後に発病したと答えていると疫学コンサルタントが述べた。何万と言うスイカが毎日食べられており、スイカを食べることによる感染リスクは非常に小さいと説明されている

● 炭疽菌入り小包-パキスタン(2件)
PRO/AH/EDR> Anthrax parcel - Pakistan (03): (IS)
Archive Number: 20120202.1031206
[1] 情報源 The New York Times、2012年2月2日。
パキスタンの Yousaf Raza Gilani 首相宛に4か月前に炭疽菌入りの小包 Anthrax parcel が届いていたことを、1日首相報道官が明らかにした。この小包は、2011年10月に保安員によって阻止された。政府系検査機関 The Pakistan Council of Scientific and Industrial Research で、中味の白い粉には炭疽芽胞が含まれていることが確認された ... 当局は、送付人が、南部シンドSindh 州の Jamshoro University の准教授が特定されたとしているが、何学部の准教授が逮捕拘束されたのか、明らかにされていない。
[2] 情報源 AP/The Washington Post 、2012年2月1日。
2011年10月に、大学の女性教授が、パキスタンの首相官邸に炭疽菌入り郵便物を送付した疑いがもたれている。動機は明らかになっていない。なぜ発表がこの時期になったかについての、当局からの説明はなかった。
[3] 情報源 The Telegraph (London) 、2012年2月1日。

PRO/AH/EDR> Anthrax parcel - Pakistan (02): (IS)
Archive Number: 20120202.1029144
[1] 情報源 Hindustan Times, Press Trust of India report 、2012年2月1日。
警察当局は1日、この種の事件としては初めてとなる今回の事例で、南部シンド Sindh province の女性大学教授が、パキスタン首相秘書宛に炭疽菌粉末の入った小包を送付したことを明らかにした。今のところ、被害は報告されていない。Jamshoro University の教授の動機も判明していない ...
[2] 情報源 IOL (Independent Online, South Africa), SAPA (South African Press Association)-DPA (Deutsche Presse-Agentur) report、2012年2月1日。
.... 小包が送付されたのは2011年だったにもかかわらず、検査結果がイスラマバードthe Islamabad police に報告されたのは、ようやく2012年1月になってからだった。問題の小包の中の粉末が、炭疽菌であることが確認された。小包は、Jamshoro in Sindh で投函された、と説明されている。
[3] 情報源 News.com.au, Associated Press (AP) report 、2012年2月1日。
[Mod.MHJ- 首相宅に小包が到着したのは2011年10月18日で、2012年1月のうちに、炭疽菌芽胞 _Bacillus anthracis_ spores であることが確認された、ということのようだ。Jamshoro University の女性教授が事情聴取を受けたが、逮捕は発表されていない]

● ポテトの病気、Late blight-英国
PRO/PL> Late blight, potato - UK: strain Green 33
Archive Number: 20120202.1031230
 情報源 Farmers Weekly、2012年1月31日。
一般的な殺真菌薬への感受性が低下した、新たな株の potato blight が、英国内で初めて確認された。この The strain "Green 33" はこれまでオランダで確認されていた

● White nose syndrome、コウモリ-カナダ
PRO/AH/EDR> White nose syndrome, bats - North America (04): Canada (NB)
Archive Number: 20120202.1029552
 情報源 The Epoch Times、2012年1月31日。
New Brunswick 州の研究者が、州内のコウモリに深刻な影響を与えている致死性の真菌が、全国に広がる恐れがあるとして警告を行った。white nose syndrome (WNS) と呼ばれる病気の原因真菌が、新たに3か所で発見された

● コリネバクテリウム症、ウマ-米国
PRO/AH/EDR> Corynebacterium, equine - USA (02): (OK)
Archive Number: 20120202.1028113
 情報源 News 6、2012年1月29日。
獣医師らによると、より多くのウマが、オクラホマ Oklahoma 州の干ばつが原因と見られる細菌による病気に罹る可能性がある。ウマからウマに感染が広がる細菌感染症 drought distemper がこれほど多く見られるのは初めてと言い、30年間で 10 例程度だったものが、2012年の the Shawnee area で 60 例が確認されていると述べた .....
[Mod.TG- the bacterium _Corynebacterium pseudotuberculosis_ によるこの感染症は、Pigeon fever, pigeon breast, breastbone fever, dryland distemper, dryland strangles, false strangles, or false distemper などと呼ばれることが多い]

● 鳥インフルエンザ-中国 H5N1、スリランカ 否定
PRO/AH/EDR> Avian influenza (06): China (HK) H5N1, gull, peregrine falcon
Archive Number: 20120202.1029495
 情報源 Xinhua News Agency 、2012年2月1日。
香港当局 The Hong Kong Special Administrative Region government は1日、死亡したハヤブサ peregrine falcon 1羽と、ユリカモメ black-headed gull 1羽の、鳥インフルエンザ the H5 avian influenza virus の検査が陽性となったことを明らかにした。さらに詳しい検査が行われている。1月30日、the park of Seaview Crescent, Man Tung Road, Tung Chung, と Chun Yin Square Playground, Yuen Longで、それぞれ死亡した peregrine falcon と black-headed gull が発見された。 ハヤブサ Peregrine falcons が冬季に香港に現れることはまれである、一方、ユリカモメ the black-headed gull は、よく見かけられる渡り鳥 common visitor である。ハヤブサが死亡していた場所の周辺3km以内に家禽農場はないが、カモメの発見された場所の3km圏内には4か所の養鶏場がある。当局による、鳥インフルエンザ症状による異常なニワトリの死亡は確認されていない。
[Mod. PMB- 2011年12月以降、香港で家禽と野鳥のH5N1感染流行が発生している。ハヤブサ The peregrine falcon (_Falco peregrinus_) は、幅広い地域に生息するハヤブサ科 the family Falconidae の猛禽類で、この地域では通常、常駐して繁殖を行う breeding resident が、冬に香港 Hong Kong で見かけられることはめずらしい。ユリカモメ The black-headed gull (_Chroicocephalus [=Larus] ridibundus_) は欧州とアジアの広い地域で繁殖する、小型のカモメで、カナダ東部沿岸にも生息する。ほとんどが冬季には南を目指して渡りを行うが、欧州最西部の温暖な気候地域に棲む一部のトリは常在 resident している。非常に H5N1 感受性が高いため、長い距離をウイルスを保有して渡りを行った可能性は低い]
 [Mod.JWー ハヤブサの生息範囲は半径15マイルなので、中国本土から飛来したものだろう]

PRO/AH/EDR> Avian influenza (05): Sri Lanka, NOT
Archive Number: 20120202.1029336
 情報源 Daily News (Sri Lanka)、2012年2月2日。
調査の結果、 1月30日に the Bingiriya area から報告されていたニワトリの大量死[20120201.0243]の原因は、鳥インフルエンザではないことが確認されたことが、動物衛生当局Animal Production and Health Department director general から報告された。

● ランピースキン病、ウシ-ザンビア
PRO/AH/EDR> Lumpy skin disease, bovine - Zambia: (Southern)
Archive Number: 20120202.1029424
 情報源 Zambia Daily Mail, Zambia News and Information Services (ZANIS) report、2012年1月31日。
致死性の家畜の病気、ランピースキン病 lumpy-skin disease [LSD] が、 Gwembe district in Southern Province の約2000頭のウシに壊滅的な打撃となる可能性が懸念されている
[Mod.AS- "Deadly" and "wipe out" は言い過ぎ]。これまで、Chisanga and Chipepo areasでの発生が報告されていたが、現在は、地域全体に広がっている]