2012年2月7日

◎ 食中毒 米国、ウェルシュ菌
イスラエル紅斑熱 イスラエル

◎ 食中毒 米国、ウェルシュ菌
PRO/EDR> Foodborne illness - USA: (SD), Clostridium perfringes
Archive Number: 20120207.1035743
 情報源 KSFY 、2012年2月6日
保健当局 the Department of Health による検査で、2012年1月31日に the Pierre-Mitchell high school boys' basketball game に関係して発生した患者50人の集団食中毒の原因が、ウェルシュ菌 _Clostridium perfringens_ によるものであったことが判明した。聞き取り調査から、タコス tacos が the source food of the outbreak であったことが示唆された。タコスを食べた人の 75%が発病していた。主な症状は24時間以内に軽快した下痢と腹痛だったが、一部の患者では症状の遷延が見られた。_Clostridium perfringens_ は生肉や家きん製品からしばしば検出される細菌の1つで、環境中、動物及びヒトの消化管でも確認される。大量の食事が準備され、適切な温度で保存されなかった時に、同菌による食中毒が発生することがある。乳幼児や高齢者の感染リスクが最も高い。重症例では脱水症を起こすことがある。患者から他のヒトに感染することはない。
[ModLL- 産生されたトキシン preformed toxin が嚥下されるブドウ球菌性食中毒と異なり、ウェルシュ菌 _C. perfringes_ による疾患では、人体内の消化管でエンテロトキシン the enterotoxin が産生される。
以下 the FDA Bad Bug Book からの転載
1. 細菌名: _Clostridium perfringens_ ウェルシュ菌は、嫌気性グラム陽性の芽胞形成桿菌で、広く環境中に存在すると共に、ヒト、家畜、ペット動物の消化管にも発生し、芽胞は、土壌中、 堆積物、やヒトや動物の排泄物による汚染のある場所に存在する。
2. 急性疾患: Perfringens food poisoning は、同菌による一般的な食中毒疾患に対して用いられるが、より重篤だがまれな疾患が、Type C strains で汚染された食品の摂取が原因となって発生することもあり、この場合は、壊死性腸炎 enteritis necroticans あるいは pig-bel disease と呼ばれる。
3. Nature of Disease: 一般的な perfringens poisoning の病型は、食中毒毒素産生能力を持つ大量の _C. perfringens_ bacteria に汚染された食品の摂取から 8-22時間後に起こり始める、激しい腹痛 intense abdominal cramps と下痢を特徴とし、通常、24時間以内に軽快するが、一部の患者で、より軽い症状が1-2週間持続することがある。脱水その他の合併症による、少数の死亡例も報告されている。 _C. perfringens_ による壊死性腸炎 Necrotic enteritis (pig-bel) は、しばしば死亡につながる。同じく食品中の大量の病原菌の摂取により発生する。この場合の死亡は、感染、消化管の壊死とそれによる敗血症が原因であるが、米国では極めてまれである。感染菌量 Infective dose -- 発症は、多量 (greater than 100 0000 000) の vegetative cells の摂取が原因となり、消化管 (あるいは試験管) 内の毒素産生 Toxin production は、胞子形成 sporulation に関係する。食品感染症 food infection であるが; 唯一、中毒 intoxication (すなわち、すでに産生されていたトキシン preformed toxin による疾患) である可能性が考えられる事例が報告されている。
4. 診断法 (ヒトの病気): Perfringens poisoning は、症状と典型的な発症時期の遅れにより診断される。(確定) 診断は、患者の便中のトキシン検出による。また、問題の食品や患者の便中に、異常な数の病原菌が確認されることから、診断が確かめられることもある。
5. 関連する食品: ほとんどの例は、準備された食品の不適切な温度管理による。調理後に存在する少数の病原体が、料理を冷まし保存する間に、中毒を発症させる量にまで増殖する。最も関与が多いのは、肉、肉製品、 gravyなどである。
6. 相対発生頻度: 米国ではもっとも多い食中毒の1つ。 1162 cases in 1981 ....
7. 合併症: 通常症状の持続は24時間だが、高齢者や衰弱した患者では1-2週間に及ぶこともある。死亡を含む合併症の発生は極めてまれである。
8. 罹患しやすい人々: 施設内での食事 (学校のカフェテリア、病院、老人ホーム、刑務所など) ... 高齢者と若年者(幼児? the young) が犠牲になることが最も多く、the case of pig-bel syndrome を除けば、30歳以下の患者での合併症発生はほとんどない。高齢者は、重篤な合併症に長期間苦しむ可能性が高い。
9. 食品分析: 患者の便検体と食品について行う、標準細菌培養検査により、病原体は検出される。患者便中のエンテロトキシンの検出と細菌のトキシン産生能の確認には、血清学的検査が用いられるが、1-3日を要する]

● 大腸菌 O157 カナダ 、牛ひき肉
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - Canada: (ON), ground beef, recall, susp.
Archive Number: 20120207.1035742
 情報源 Canadian Food Inspection Agency 、2012年2月6日。
カナダ食品監視局 The Canadian Food Inspection Agency (CFIA) と New Middleast Supermarket は、大腸菌 _E. coli_ O157:H7 による汚染の可能性があるとして、 以下の牛細ひき肉 the finely ground beef を摂取しないよう消費者に注意を呼びかけている。kebbeh 用の生牛細ひき肉で、2911年12月28日と29日に、the New Middleast Supermarket (1755 Bank Street, Ottawa , Ontario)において販売された ...
[Mod.LL- Kibbeh or kibbe (also kubbeh or kubbi) はアラブ料理で、bulgur またはコメと刻み肉とで作られる。最も有名なのは牛または羊のミンチを詰めた魚雷型 torpedo-shaped の揚げコロッケで、他にもボールやハンバーグの形にして焼いたりスープにして出されたりすることもある。Levantine cuisine の人気メニューで、シリア、レバノン、ヨルダン、イラク、イラン、エジプト (これらの地域では koubeiba と呼ばれる) や、キプロス (同 koupes) や、イスラエル、パレスチナ、アラビア半島、さらにブラジル、コロンビア、キューバ、ドミニカ共和国、ハイチ、ホンジュラス、メキシコなどの20世紀初頭にシリアとレバノンの diaspora を受け入れた、ラテンアメリカの複数の国々に広まった。生で食べられることもある]

● 狂犬病 イタリア、インドから
PRO/AH> Rabies - Italy (02): Mantova ex India, human, fatal, RFI
Archive Number: 20120207.1035620
[1] コメント
 投稿者 米 (Virginia Public Health Laboratory)、Dr. Jim Pearson、2012年2月6日。
認識されていない、または報告されていない、これ以前の曝露がないにも関わらず、曝露から入院を要するほどの症状の発症までの潜伏期間が 5日間ということのようである。狂犬病の典型的な潜伏期間としては、(この患者で報告されている、手足以外に)頭部に深刻な曝露 (咬傷) があったとしても、相当短い。超短期の潜伏期間に関する文献を探し出すことはできなかったが、他の読者の中にも疑問を持った方がいると思われる。これほど短い潜伏期間で発症した例について、文献あるいはそのような例を経験された方がいるだろうか。
[2] コメント
 投稿者 ベルギー ・ Scientific Institute of Public Health、Dr. Steven Van Gucht、2012年2月6日。
脳から比較的離れた場所である左の手足に咬傷を受けたにも関わらず、5日の潜伏期間だったとされている。脳へのウイルスの侵入が、神経ではなく、血流によって起きたのではないだろうか。最近、マウスの体内で、コウモリの狂犬病ウイルスの神経分泌脳下垂体線維への侵入による、このような感染経路が報告されている (PLoS Pathog. 2009 5(6):e1000485) 。狂犬病ウイルスの神経軸策輸送 axonal transport のスピードは遅く、0.9cm/日 (2008年、J. Virol. 82(1): 237-245) or 5-10 cm/day ( 1991年、J. Gen. Virol. 72:1191-4). 等と報告されている。
[3] コメント
 投稿者 加 ・ Department of National Defence、Steve Schofield, PhD and Martin Tepper, MD、2012年2月6日。
渡航中の狂犬病免疫グロブリン RIG [rabies immunoglobulin] の入手の重要性と困難について。
この患者は暴露前接種を受けていなかったと考えられる。インドでどのような種類のワクチンが使用されているのだろうか。2011年9月28日の曝露からの経過が、狂犬病としてはあまりに短い期間で起きている。さらに、曝露(9月28日)と入院(10月3日) の時期をを考えれば、患者が発症する前に、イタリアで RIG や追加のワクチンを接種出来たのではないか。いずれかの日時に誤りがあるのではないだろうか。
[Mod.CP- 例えば、狂犬病の潜伏期間は典型的に1-3ヶ月であるが、1週間以内から1年以上の場合までの幅がある、という記載を目にすることが多い。しかし、正確な情報を得ることは難しい]
関連項目 20120206.1034574

◎ イスラエル紅斑熱 イスラエル

PRO/AH/EDR> Israeli spotted fever - Israel
Archive Number: 20120207.1034330
 情報源 Haaretz、2012年2月5日
2011年9月、イスラエル人女性兵士が、6日間続く発熱と頭痛、筋力低下、広範囲の発疹を主訴に、初めて受診した。2日後、不眠、嘔吐、頭痛の悪化のため、別の病院を受診した。自宅に帰されたが、翌日両下肢の筋力低下のため、車椅子で救急室を受診した。再び自宅に帰された2日後、呼吸困難と発語障害を訴え、救急室を受診し、多臓器不全が認められたため、集中治療室に入院となり、イスラエル紅斑熱 Israeli spotted fever と診断された。この兵士は退院となり、健康を回復するまで長期のリハビリを要した。救急室で診療に当たる医師は、次の3症状:発熱、発疹、頭痛/筋肉痛が揃ったときには、注意するよう努めるべきである。この疾患は重症化する恐れがあり、致死率は約0.7%と見られている。
[Mod.AS/LL- 地中海紅斑熱 Mediterranean spotted fever (MSF)、別名 boutonneuse fever は _Rickettsia conorii_ を原因とし、高熱、頭痛、筋肉痛、発疹の症状が見られる。2005年、血清学および遺伝学的な差異に基づき、複数の株 several strains of _R. conorii_ を subspecies とすることが提案された。典型的な MSF の病原体は _R. conorii_ subsp. _conorii_ であり、インドダニチフス Indian tick typhus、アストラハン熱 Astrakhan fever 及びイスラエル紅斑熱 Israeli spotted fever (ISF) の病原体はそれぞれ、subspecies _indica_, _caspia_ and _israelensis_ と呼ばれている。The ISF organism がはじめて確認されたのは1974年のイスラエルで、当初は限定された地域だけに分布すると考えられていたが、 ポルトガル、シチリア、チュニジアなどの北アフリカ各地でも発見されている。病原体は、潜在的保有宿主 the underlying reservoir としてのイヌと、ダニベクターの _Rhipicephalus sanguinus_ が関係する。診断の遅れがしばしば感染による死亡につながることから、(米国のロッキー山紅斑熱のように) 臨床症状に基づいて早期に疑い治療を開始する必要がある。ダニに曝露してから6-7日間の潜伏期間をおいて、頭痛、筋肉痛、高熱と手掌や足底にまでひろがるびまん性の発疹の症状が現れる。目印 hallmark of MSF となるのは、タシェノワール tache noir と呼ばれる、ダニ刺咬部位の痂皮 eschar であるが、ISF ではしばしば欠如する。同疾患はイスラエル国内で endemic であり、1971-1990年の発生率が、人口10万対 0.7 から 10.3の範囲で変動した後、次第に減少しつつある。保健省 the Ministry of Health, Jerusalem の週報によると、2011年の年間の紅斑熱 "spotted fever" の総患者数は13人で、2010年は年間15人だった。毎年、10歳未満での発生数が最も多く、65歳以上で最も少ない。きわめてはっきりとした季節性があり、ほとんどの患者が6月から10月の間に発生する ... 参考文献2件紹介]


● カンピロバクター症 米国、未殺菌ミルク
PRO/AH/EDR> Campylobacteriosis - USA (05): unpasteurized milk
Archive Number: 20120207.1035662
 情報源 Associated Press、2012年2月7日。
ペンシルベニア Pennsylvania 州南西部の1か所の酪農場 the Family Cow farm in Chambersburg in Franklin County, [Pennsylvania] から出荷された生のミルクを摂取したことによる患者数が、4つの州の43人に上っている。当局は、36 people in Pennsylvania, 4 in Maryland, 2 in West Virginia, and 1 in New Jersey を確認している。

● 鳥インフルエンザ H5N1
PRO/AH> Avian influenza (11): H5N1 research controversy
Archive Number: 20120207.1035842
 投稿者 仏・ Armed Forces Biomedical Research Institute - IRBA 、2012年2月5日。

● 狂犬病 ボリビア
PRO/AH/EDR> Rabies - Bolivia: (SC) canine, equine
Archive Number: 20120207.1035741
 情報源 Erbol Digital [in Spanish]、2012年2月5日。
the Porongo 市(Santa Cruz department [state of province equivalent])において、3日間、狂犬病検査で陽性となった動物が発生している。the Los Batos community で、ウマ1頭とイヌ2頭が狂犬病であることが判明した。しかし市民の動物へのワクチン接種への協力は進んでいない。
[Mod.TY- ボリビアでは過去6ヶ月間、イヌの狂犬病と、時にヒトへの狂犬病感染伝播が続いている .....ウマの感染源については記載がないが、感染したイヌもしくは吸血コウモリ vampire bats (_Desmodus rotundus_) によると考えられる]

● シュマーレンベルグウイルス 欧州
PRO/AH/EDR> Schmallenberg virus - Europe (15): update, OIE
Archive Number: 20120207.1035481
[1] ドイツ Germany, OIE follow-up report No 3
 情報源 OIE-WAHID interface Weekly Disease Information Vol. 25 (6) 、2012年2月6日。
[2] 英国 UK, OIE follow-up report No.1
 情報源 OIE-WAHID interface Weekly Disease Information Vol. 25 (6)、2012年2月6日。
[3] 英国 UK - DEFRA update, 1st cattle case
 情報源 DEFRA - AHVLA Web site, news 、2012年2月7日。
[4] 英国 UK - comment:Schmallenberg virus and surveillance
 情報源 The Veterinary Record Vol 170 (5), 110: Comment 、2012年2月4日。

● 犬ジステンパー 米国
PRO/AH> Canine distemper, wildlife - USA (05): (CA), desert kit fox
Archive Number: 20120207.1035332
[1] 20120203.1031833 に関し。
 投稿者 米・ College of Veterinary Medicine at Cornell、Dr. Edward J. Dubovi、2012年2月6日。
コヨーテの尿が原因とするのは言い過ぎではないか
[2] 20120203.1031833 に関し。
 投稿者 Drusys, Allan C. [、2012年2月6日。
ウイルスの紫外線、高温などへの耐性について。