2012年3月20日-21日

百日咳-オーストラリア
腸チフス サモア、クリスマス島、フィジー

● 百日咳-オーストラリア
PRO/EDR> Pertussis - Australia (03): newly emerging clones 
Archive Number: 20120321.1076103
 情報源 ABC News (Australian Broadcasting Corporation)、2012年3月21日。
原著
Newly emerging clones of _Bordetella pertussis_ carrying prn2 and ptxP3 alleles implicated in Australian pertussis epidemic in 2008-2010. J Infect Dis 2012; 205: 1220-24; abstract 
急増する百日咳患者 whooping cough [pertussis] cases は、現行ワクチンが無効な新型の菌 new strain of the bacterium の感染による可能性があることが、新たな研究で示唆された。2011年、オーストラリアで百日咳と診断された患者の数は38000人に上り、1991年の記録開始以来最も多かった。豪の研究者らが4つの州の患者から採取したサンプルを調べたところ、百日咳患者の84%がこの新しい型の菌 the new strain of the bacterium に感染していたことが分かった。最近では18ヶ月前に、アデレード Adelaide hospital で生後5週の乳児が死亡している。成人でも感染が確認されている。Sydney's Westmead Hospital の感染症医師は、同菌がワクチンによる防御を打ち崩していると述べている。"現時点では状況証拠しかないが、ここ数年オーストラリアや他の国々で大幅な患者数増加が認められている理由の1つとして、旧来の菌よりもワクチンの効果が低い型の菌による感染が起きているのではないかと考えている" と説明した。"そのため、ワクチンによる防御が破られてしまっている"と述べた。だからといって、ワクチンを接種しなくてよいということにはならない、と New South Wales Health の当局者は述べている。"ワクチンが登場する以前は、百日咳は大きな死亡原因の1つで、多数の死者が発生していた" とし、細菌の侵入を防げないまでも、重症化防止の効果があるとしている。
[Mod.LL- (原著の中で) 無細胞百日咳ワクチン acellular pertussis vaccines が、ワクチンに含まれる抗原とは違う抗原を保有するクローンの菌 _B. pertussis_ clones を選択する可能性を示唆している。免疫が破られた (無効) breakthroughs in immunization のは、今も一部の国々で使われている全細胞ワクチン the whole cell vaccine が使用された場合を指しているのだろうか]
関連項目 20120316.1071497

● 腸チフス サモア、クリスマス島、フィジー
PRO/EDR> Typhoid fever update 2012 (08): Oceania 
Archive Number: 20120321.1076101
[1] サモア Samoa (Upolo Island)
Typhoid death in Samoa prompts action

 情報源 Pacific Islands News Association (PINA)、2012年3月20日。
Upolu の1歳男児が腸チフス Typhoid fever により死亡し、赤十字社 the Red Cross Samoa による対策が開始された ..... Malie, Upolu においても、Rotary Samoa, Samoa Water Authority and other NGOs などの協力を得て、腸チフス患者の対応に当たっている。Malie では家族9人が腸チフスに感染した。
[2] クリスマス島 Christmas Island
 情報源 Herald Sun、2012年2月28日。
2人の亡命希望者 asylum seekers が腸チフスと診断され、クリスマス島の職員と受刑者らに対する健康監視が行われている。この2人の男性は先週、それぞれのボートで到着した .... これまでにも亡命希望者らの中で、梅毒、B 型肝炎、C 型肝炎、活動性結核などが確認されていたが、しばらく腸チフスが確認されたことはなかった。2011年12月以降、合計25隻の船 vessels で2068人が漂着し、昨夏記録が破られている。
[Mod.LL- オーストラリアのように下水が管理されている地域であれば、チフス菌 _S. enterica_ serotype Typhi が持ち込まれても、一般市民への影響はない]
[3] フィジー Fiji (Western)
 情報源 The Fiji Times、2012年3月21日。
Koroboya Village and Naitasiri Village of Ba [Western division] で腸チフスの患者が大幅に減少していることが、保健省広報官から発表された。2012年2月の国際保健緊急規則 the Public Health Emergency Regulation の適用開始以来、新たな患者は1人も出ていない。2か所の村の15人が腸チフスと診断された治療を受けた .....
[Mod.LL- Fiji continues to be endemic for typhoid.]

● サルモネラ感染症-カナダ 
PRO/AH/EDR> Salmonellosis - Canada (04): (ON) schools caterer susp.
Archive Number: 20120320.1075546
 情報源 Ottawa Citizen、2012年3月20日。
先週の感染流行に関係して発生したと考えられるサルモネラ感染症 Salmonellosis の患者が37人に達し、16日に比べ12人増えたことが、当局 Ottawa's public-health department から報告された。新たに4校が発生リストに加わった; St. Gregory Catholic Elementary School in Nepean; St. James Catholic Elementary School in Kanata; and St. Jerome Catholic Elementary School in Riverside South。給食業者のThe Lunch Lady から給食を提供されていた。肉入りラザニア meat lasagna とタコス beef tacos の汚染が原因と考えられている。
関連項目 20120317.1073325

● 鳥インフルエンザ、ヒト (36) -エジプト WHO
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (36): Egypt (DQ) WHO
Archive Number: 20120320.1075689
Avian influenza situation in Egypt - update
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR), Disease Outbreak News 、2012年3月19日。
3月19日、エジプト保健人口省は新たに、ヒトの鳥インフルエンザ Avian influenza A (H5N1) virus の感染患者1名を WHO に報告した。Dakahlia Governorate の40歳の女性で、3月6日に発症し、同12日の入院時より危険な状態で、オセルタミビルによる治療が開始されたが、同15日に死亡した。検査により感染が確定診断された。感染源の調査で、庭先飼育されていた病気のトリへの曝露が確認されている。エジプトでこれまでに164例の感染が確認され、58例が死亡している。

● 炭疽-アルゼンチン 2011年
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, livestock, 2011 - Argentina
Archive Number: 20120321.1077056
Condition Of Rural Anthrax in Argentina 2011
 投稿者 亜 ・ Laboratorio Azul Diagnostico S.A、Ramon Noseda、2012年3月20日。
要約
2004年以降毎年作成されている、報告書 (炭疽菌による、Rural Carbuncle 年次報告) である。
 1 ブエノスアイレス州 the Province of Buenos Aires 地域のサーベイランス: 急死したウシの92検体中、5件(5%)で炭疽菌陽性であった。 1977-2011年の間に提出された3655検体中12%(428検体)が陽性であった .....
 2 Azulの地区のoutbreak (20110601.1676

● 鳥インフルエンザ-オランダ LPAI H5N2
PRO/AH> Avian influenza (27): Netherlands, turkey, LPAI H5N2
Archive Number: 20120321.1076989
20120318.1073991 に関し。
 投稿者 蘭・ the Dutch National Reference Laboratory for ND and Avian Influenza.、Guus Koch、2012年3月21日。
以下の情報を提供する。シチメンチョウで発生した感染流行は、H5N2 型鳥インフルエンザウイルス感染によるものである

PRO/AH/EDR> Avian influenza (26): Netherlands, LPAI H5N2, turkey, OIE
Archive Number: 20120321.1076829
Low pathogenic avian influenza (poultry), Netherlands、reoccurrence of a listed disease
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2012; 25(12)、2012年3月19日。
感染開始時期 2012年3月17日
前回流行時期 2011年10月27日
原因ウイルス Low pathogenic avian influenza virus、Serotype H5N2
新たな感染流行
発生地  Kelpen-Oler, Limburg 農場
感染した種 トリ birds
Susceptible: 44 500
Cases: 200
Deaths: 0
Destroyed: 44 500
Slaughtered: 0
Affected population
: turkeys for meat production

● 原因不明の大量死、魚類-ウクライナ
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, fish - Ukraine: (ZT) pollution susp, RFI
Archive Number: 20120321.1076822
 情報源 Ukrinform [in Russian]、2012年3月13日。
Zhytomyr province (Korosten district) の the river Uzh 近郊で発生した魚類の中毒が、環境問題となっている。 the Uzh は 、[the Pripyat River に流入した後] キエフ Kiev 市をはじめとするウクライナの大都市間を流れるドニエプル the Dniepr に注いでいる。今回の問題が起きたのは先週 [4-10 Mar 2012] のことであり、漁師が見たことのない汚染物質で河川が濁り、大量の魚類が死亡しているのを発見した。当局は地方工場の産業廃棄物が原因との見方を示しており、専門家による水質の化学分析が行われている。

● 尿細管間質性腎炎、ネコ-モルビリウイルス
PRO/AH/EDR> Tubulointerstitial nephritis, feline: poss. morbillivirus link 
Archive Number: 20120321.1076319
Newly discovered virus linked to deadly kidney disease in cats
 情報源 LiveScience、2012年3月19日。
原著 
Feline morbillivirus, a previously undescribed paramyxovirus associated with tubulointerstitial nephritis in domestic cats. Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Mar 19. Abstract 
ペットのネコが死亡することもある腎臓病の原因の1つとして、新たなウイルスが発見された。Feline tubulointerstitial nephritis は、腎臓の管の間のスペースに炎症が起きる病気で、ヒトでは、感染、薬剤誘発性の自己免疫異常など様々な原因により、tubulointerstitial nephritis が起きるとされているが、ネコの場合、原因はよく分かっていなかった。今回、香港の研究者らが、麻疹やムンプスと関連のある feline morbillivirus と呼ばれる新たなウイルスを発見した。イヌのこのタイプのウイルスは、ジステンパーの原因となっている

● 口蹄疫-エジプト
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Egypt (09): update, vaccine, OIE 
Archive Number: 20120321.1076906
[1] 肉の買い控え
 情報源 Green Prophet, Egypt Independent report、2012年3月21日。
多くのエジプト国民は、3週間前からの口蹄疫 foot-and-mouth disease [FMD] による家畜の死亡以降、肉の購入を控えている。ヒトに口蹄疫 FMD が感染することは極めてまれであるが、パニックを起こした人々が肉の購入をやめてしまった .....
.[2] ワクチンの自国内生産
 情報源 The Daily News Egypt 、2012年3月20日。
エジプト政府は、口蹄疫 FMD 対策として、自国内でのワクチン生産に乗り出した

● 炭疽病、カシューナッツ-ベトナム
PRO/PL> Anthracnose, cashew - Viet Nam: (DN) 
Archive Number: 20120321.1076272
Major pest and disease attack on cashews

 情報源 FreshPlaza, Viet Nam News Agency report 、2012年3月19日。
南部ドンナイ省 Dong Nai province では、高温、乾燥、そして霧が多い天候が、3500 ha の耕地のカシューナッツ cashew 収穫を奪った。 害虫や病気が発生し、 the _Colletotrichum gloeosporioides_ fungusによる病気の 'than thu' やカメムシ stink bugs とアザミウマ thrips の蔓延に好適条件となった。
[Mod.DHA- Anthracnose diseases は真菌が原因となる、多くの種の作物の病気で、 カシューナッツ cashew の場合は、_Glomerella cingulata_ (旧名_Colletotrichum gloeosporioides_) が主な病原菌として報告されている]

● 蜂群崩壊症候群、ハチ-欧州、殺虫剤との関連
PRO/AH/EDR> Colony collapse disorder, apis - Europe: poss. insecticide link
Archive Number: 20120320.1075187
Corn insecticide linked to great die-off of beneficial honeybees
 情報源 Food consumer, American Chemical Society (ACS) report 、2012年3月18日。
原著 Assessment of the Environmental Exposure of Honeybees to Particulate Matter Containing Neonicotinoid Insecticides Coming from Corn Coated Seeds. Environ Sci Technol, 2012; 46(5): 2592-9; DOI: 10.1021/es2035152. Abstract  
新たな研究により、春の時期に発生し農産物の受粉に深刻な影響を与えるミツバチの大量死 -- colony collapse disorder (蜂群崩壊症候群)-- と、殺虫成分 insecticides でコーティングされたコーンの作付けとの関連性が示された。ACS' journal Environmental Science & Technology に掲載されたこの研究報告によると、この技術が利用されている欧州の一部地域の春の作付け時期直前に、過去に広範囲のミツバチの死亡が発生した、とされている。neonicotinoid insecticides と呼ばれる薬剤でコーティングされた種子は、1990年代後半に欧州で広く利用されるようになり、神経を麻痺させることで昆虫を死滅させるが他の生物への毒性が低いことから、世界中で多く使用されている。養蜂家らによるハチの大量死の観察時期と、 mid-March to May corn planting の時期が一致していた。専門家は、作付け時期に使用される空気掘削機によって、この殺虫成分が空気中に舞ったのではないかと考えている .... 今後、より安全な機械の使用法が必要であることが、示唆されている。
[Mod.TG- 機械を使わない場合はどうなのだろう?]