2012年3月28日-29日

◎ マラリア 薬剤耐性、ACT 治療不成功例増加
インフルエンザ  宿主感受性遺伝子の特定
原因不明の脳疾患 ウガンダ 食品による可能性

◎ マラリア 東南アジア、バハマ諸島、ネパール(3件)
薬剤耐性(東南アジア)
PRO/EDR> Malaria, drug resistant - Southeast Asia  20120328.1082848
 情報源 Ars Technica、2012年3月22日
Drug resistant malaria takes new ground, raising fears of global spread
piperaquine との組み合わせによる ACT 治療不成功例増加
東南アジアにおいて、薬剤耐性の熱帯熱マラリア falciparum malaria が別の初期治療に対する耐性を生じ、タイ西部の新たな地域に定着しつつある可能性が示唆されている。
the World Health Organization によると、以前からの感染拡大防止策が十分でないカンボジア、ベトナム、ミャンマーの hot spots に加え、新たにタイの一部地域が加わり、アフリカへの波及も懸念されている。これまでにも2度、東南アジアで初めに薬剤耐性が発生し、その後アフリカ (世界中のマラリアの90%が発生) に広がった経緯がある。
タイ・カンボジア国境のマラリアの強度 intensity は比較的軽いが、この地域のマラリアはなぜかクロロキンや sulfadoxine-pyrimethamine などの初期治療薬への耐性を獲得する能力を持つ。1980年から2004年にかけて、マラリアによる死者は3倍に増えて約180万人に達し、抗マラリア薬耐性がその犯人 "the likely driver" であると、Lancet に掲載された研究報告 (Global malaria mortality between 1980 and 2010: a systematic analysis. Lancet. 2012; 379(9814): 413-31)の中で述べられている。
アルテミシニンを基剤とする治療 Artemisinin-based therapies が現在世界中の初期治療の主役となっていて、Artemisinin は併用治療 (ACTs) の中の1剤として、より長く血中に留まることで残存する原虫を攻撃することができる他剤と共に使用される。一度に2種類の方法で原虫を攻撃することにより、2剤に対する耐性が同時に生じるような変異を理論上は無限に小さくできる。ACT は大量に使用され、2011年に2億5000万コースを上回る需要があった。
有効な治療法として ACTs が行えなくなると、その影響は計り知れない。マラリア対策は、ACTs に完全に依存しているとタイの研究者は述べている。しかし artemisinin の効果は強力ではあるが弱まりつつあり、迅速な効果が特徴であったにもかかわらず、タイ・カンボジア国境のマラリア原虫により、薬剤の即効性 pharmacodynamic rush にブレーキがかけられつつある。この地域では、マラリア原虫が(血中から)消失するまでの時間が徐々に延長しつつある。
懸念されるこのような傾向は、2002年ごろより見られ始めていた。当初、併用薬の mefloquine が原因と考えられたが、2006年には artemisinin の効果が弱まっていることがはっきりした。
一部地域の原虫の中に、標準治療が行われた 3日目になっても残存するものがある。clearance times の長期化は、耐性発現の前兆 harbingers of resistance として知られている。そしてそれは証明されることになり、 治療の失敗例が増え続けている。その結果、カンボジアは 2008年に最新の ACT へと切り替えた。これは artemisinin と、クロロキンの chemical relative である piperaquine との組み合わせである。併用薬が有効である限り治療は成功するはずで、原虫の artemisinins 感受性に変化が見られたとしても、the clinical and parasitological efficacy of ACTs は損なわれていないとの声明が2010年に WHO より出されている。piperaquine には当初 ACTs としての治療効果 the therapeutic punch of ACTs が残されていた。
しかし artemisinin の効果減弱 buckle は止まらず、一部の地域の ACT treatment 失敗率は、2008年の 8% から、2010年には 28 %に上昇した ... 2011年11月後半に WHO は : "resistance against piperaquine は広い範囲に影響を及ぼし、緊急に確認を要する" との懸念を表明し、現在、治療失敗例の増加が piperaquine resistance によるものである可能性が高いと考えている" と WHO's Drug Resistance and Containment program 当局者が述べた ...
Saving artemisinin
感染者スクリーニングの限界、懸念されるミャンマー
この数年、ゲイツ財団 the Gates Foundation からの資金援助を受け、the WHO はタイ国境付近カンボジアにある the "Tier 1" zones of confirmed resistance での封じ込めの努力を行ってきたが、耐性マラリア原虫の完全除去の限界も見えてきた。新たな耐性出現地域として、ミャンマー国境に近いタイ国内の Mae Sot が疑われている。耐性原虫の範囲が拡大したのか、新規の耐性発生であるのかは分かっていない ... 完全に撲滅するためには、大きな集団のスクリーニングと薬物処方が必要となるが、全ての感染を検出することはできない。鏡検(血液標本)によるスクリーニングの感度は十分ではない。PCR 法を用いることでより判別が可能となるが、費用がかかり、非常に低レベルだが持続感染につながると予想される寄生虫血症は、検出できない。タイでは、an expanded microscopy network が支持され、PCR によるサーベイランスは延期された。全ての耐性原虫を見つけ出すのが困難であるなら、それを殺すのはなおさら難しい。2009年に研究者らが示したように、薬剤耐性との闘いは、倒すか倒されるか "last man standing" (の闘い)である。わずかでも感染が残れば、その全てが耐性であるため、根絶はこの上なく困難なものとなる ... ベトナムやミャンマー、(ミャンマー北部と国境を接する)中国雲南省などでも、artemisinin 耐性発生が疑われている。ミャンマーの人口は、薬剤耐性が知られているカンボジアの Tier 1 地域の人口(わずか27万人)の約20倍の、480万人であり、統治されていない北及び東側の国境は、薬剤耐性発生地域に一致しているなど、多くの点が懸念材料となっている。
Migration and genetics

耐性検出のためのバイオマーカーの欠如、アフリカへの波及の不安
東南アジアで発生した薬剤耐性を理由に(治療薬を)クロロキン chloroquine から変更したアフリカだが、すでに新たな薬剤 sulfadoxine-pyrimethamine (SP) への対立遺伝子が、低頻度ながら大陸全体に広がっていることが確認されている。マラリア原虫内でランダムに拡散するため(対策の)コストに見合わない。SP がマラリア治療の第1選択薬 the malaria frontline となったときには、すでに遺伝子レベルで耐性が存在していたため、非常に早い段階で耐性が進んだ。薬剤選択負荷 drug selection pressure が加わっただけで、すぐに原虫内で耐性対立遺伝子 resistant alleles が優位となる。SP 耐性は容易に確認される:the dihydrofolate reductase (ジヒドロ葉酸酵素)と dihydropteroate synthase (ジヒドロプテロイン酸合成酵素)の遺伝子の1か所の変異 point mutations が、信頼性の高いバイオマーカー reliable biomarkers となる。Artemisinin 耐性の確認は、はるかに難しい。比較的簡便なアッセイより、適切なサイズの患者集団に対する 3日間の治療中の原虫消失時間 parasite clearance times を注意深く観察する小規模の臨床トライアルが要求される。大陸全体の把握を、このような方法で行うことは不可能である。アフリカの中で、カンボジアとマラリア発生状況が似ている南スーダンなどにおいて、選択的モニタリングを行うのがよいのではないだろうか(ただし、治安の問題有り)。artemisinin 耐性のバイオマーカーがないことによって、発見が難しいだけでなく、新たに発生した耐性と今ある耐性の拡大との鑑別も不可能となる。東南アジアでの新たな耐性発生が独立した事例であるとすれば、薬剤抵抗性の原虫の持ち込みがなくても、アフリカで耐性が根を下ろす可能性がある。薬剤耐性マラリアの根絶の可能性を訊かれた WHO's Pascal Ringwald は、直接この質問に答えることはせず、"カンボジアの首相はマラリア根絶を最優先課題として、今後も対応策の実施を続けると宣言し…" と述べるにとどまった。the Centers for Disease Control and Prevention and the Gates Foundation の専門家らもコメントを避けている。先のWHO 当局者は、アフリカに飛び火した際に "chloroquine 耐性は、7-8 different foci で発生した" と述べている。これまでのところ、artemisinin 耐性が確認されている場所はこれより少ないが、その数は増え続けており、いずれも鎮静化されていない。

バハマ諸島 CDC
PRO/EDR> Malaria - Bahamas: (EM) 20120328.1083643
 情報源 CDC、20112年3月27日
The Centers for Disease Control and Prevention (CDC) は最近、the island of Great Exuma, Bahamas への米国人旅行者1名のマラリア Malaria 感染例に関する公式報告を受けた。この旅行者は2012年2月から3月にかけて同島を訪れた以外は、国外への旅行はなかったと報告している。以前、2006年に Great Exuma island においてマラリア感染流行が発生し、最後に患者が報告されたのは2008年だった。the Bahamas にマラリアは常在せず、これ以降、同国内でマラリア患者は報告されていなかった ... 当局の対応、バハマへの旅行者に対する注意 (発熱・悪寒などのインフルエンザ様症状があれば医療機関を受診)、the CDC Malaria homepage の紹介など。

ネパール
PRO/EDR> Malaria - Nepal: (MP)
Archive Number: 20120329.1084805
 情報源 The Himalayan Times、2012年3月29日
2012年の夏を目前に迎え、Banke district ではすでに15人の熱帯熱マラリア _Plasmodium falciparum_ と三日熱 _Plasmodium vivax_ 患者が確認されている。モンスーン開始と共に、患者数の増加することが懸念されている ....2006年 20061106.3189 にも同じ様にマラリア患者が増加し、Fattehpur, Gangapur, and Holia VDCs of the district.で33人の命が奪われている ....
[Mod.EP- 2010年、ネパールのマラリア陽性の血液塗抹標本数は3335件で、575件が熱帯熱マラリアで、1706件が三日熱マラリアと診断されている。129例の入院患者と8例の死者が記録された (World Malaria Report 2010)]

● インフルエンザ  宿主感受性遺伝子の特定

PRO/EDR> Influenza (20): host susceptibility gene identified 20120328.1083177
[1] Gene flaw linked to serious flu risk
 情報源 BBC News Health、2012年3月25日
研究者らが、なぜ一部の人々が他人より重症化するのかを説明する遺伝的欠陥 genetic flaw を発見した。掲載された Nature の中で著者らは、インフルエンザのために入院となった患者では、一般人口に比べ、変異遺伝子 the variant of the IFITM3 [interferon-inducible transmembrane (IFITM) protein、インターフェロン誘導性膜透過蛋白] gene がより多く認められたと述べている。この変異遺伝子によって産生される変性蛋白 malformed protein が、細胞をよりウイルスに感染しやすくさせる。専門家らは、この欠損のある人には他のリスクグループ同様、インフルエンザワクチンを接種することを勧めている。研究者らは、マウスからこの遺伝子を除去すると、これらのマウスがインフルエンザを発症した時に、遺伝子を持つ (除去されていない) マウスに比べ、より症状が重くなることを確認した。多数のヒトの遺伝子が登録されている遺伝子データベースから、遺伝子の欠陥(のある人) the flawed version of the gene はおよそ400人に1人であることが分かった。この英国と米国の研究者らは、インフルエンザで入院となった53人の患者の the IFITM3 genes の遺伝子を解析し、このうち3人が the variant を持っていることを明らかにした -- 20人に1人の割合だった ...."This discovery は、説明の一部 ...."。
[Mod.CP- the Nature press re-release relating to this paper
タイトル IFITM3 restricts the morbidity and mortality associated with influenza. Nature. 2012 Mar 25. doi: 10.1038/nature10921.
要約
The 2009 H1N1 influenza pandemic は、新たな呼吸器感染ウイルスの感染拡大のスピードと、通常は軽症である感染症であっても一部の人々の重症化や死亡につながる可能性があることを示した。最近行われた in vitro studies では、the interferon-inducible transmembrane (IFITM) protein family members が、多数の病原性ウイルスの複製を強力に抑制することが示されている。この効果 the IFITM proteins' in vitro effects の強さの程度と範囲の広さ the magnitude and breadth から、インフルエンザなどのウイルスに対する内因性抵抗力に (IFITM 蛋白が) 重要な役割を果たすことが示唆されている。われわれは、ノックアウトマウスモデルを用いてこの仮説を直接検証し、IFITM3 が in vivo において宿主の influenza A virus 抵抗性に必須 essential であることを確認した。欠損マウス Mice lacking Ifitm3 に通常の低病原性インフルエンザウイルスを感染させたところ、劇症ウイルス肺炎 fulminant viral pneumonia を発症し、高病原性スペインかぜ 1918 'Spanish' influenza に似た破壊性を示した。in vitro でもウイルス複製能の増加が見られ、再導入 the re-introduction of Ifitm3 すると抵抗性が観察された。ヒトのインフルエンザウイルス感染に対する役割 the role of IFITM3 を調べるため、seasonal or pandemic influenza H1N1/09 viruses による入院患者らの the IFITM3 alleles (対立遺伝子) を解析したところ、統計的に有意な検体数で1か所の splice acceptor site を変化させる minor IFITM3 allele (SNP rs12252-C) が高濃度に認められた。functional assays では、 in vitro の条件下で the minor CC genotype IFITM3 が influenza virus restriction を減少させる [?] ことが観察された。これらのデータから、単一の固有免疫エフェクター the action of a single intrinsic immune effector である IFITM3 の作用が、マウスおよびヒトのインフルエンザウイルス感染の経過を大きく変えることが分かった]
[2] Genetics of flu susceptibility
 情報源 EurekAlert!, Welcome Trust Sanger Institute report 3月25日

● 原因不明の脳疾患 ウガンダ

PRO/EDR> Undiagnosed cerebral disease - Uganda (05): nodding disease 20120328.1083745
 情報源 The John Benneth Journal、2012年3月25日
Nodding disease は小児を中心に罹患する疾患で、特定の食品の摂取や寒さで頭を振るようになり、食事が取れなくなって栄養不良に陥る。真菌感染による全身の壊死性血管炎の可能性も指摘されている。特に sorghum rot or sorghum ergot とも呼ばれる _Claviceps africana_ の可能性が高いとされている。

Sorghum は穀物の1種で、the nodding disease の発生のあるアフリカでも広く栽培されている。小児の Nodding disease はinfected sorghum cereal の摂取や、栽培農地の風下で芽胞の吸入だけでも感染する。Sorghum ergot fungi 真菌感染では、動物においても the nodding disease の小児と同じ症状を示す [Sorghum ergot (_Claviceps africana_) associated with agalactia and feed refusal in pigs and dairy cattle. Aust Vet J. 2000;78:102-7]。the nodding disease の小児らでは成長や知能の発達が止まり、ライ麦による真菌中毒 ergot mold poisoning in rye と同じ症状である。ergot-infected sorghum を食べたウシやブタは、えさを食べることを嫌がり、children with the nodding disease のような低体温が見られる。
[Mod.EP- Food toxins についての言及は以前にもあったが、sorghum rot を特定したものではなかった]
Recent reviews of mycotoxins include: Richard JL. Some major mycotoxins and their mycotoxicoses--an overview. Int J Food Microbiol. 2007;119:3-10; and Bennett JW, Klich M. Mycotoxins. Clin Microbiol Rev. 2003;16:497-516. (04): nodding disease
関連項目 (04) 20120317.1073307

● A型肝炎 米国
PRO/EDR> Hepatitis A exposure risk - USA: (AL) alert
Archive Number: 20120329.1084879
 情報源 WFSA.com, from WBRC-TV 、2012年3月28日
2000 McFarland Blvd, Northport (Tuscaloosa County) にあるマクドナルド McDonald's の利用客らについて、従業員を通じて A 型肝炎 hepatitis A virus に曝露した疑いがもたれている。3月14日中、あるいは16日の朝食時間に this McDonald's を訪れた客は、できるだけ早くかかりつけ医に相談した方がよい。州保健当局者によると、"ワクチン Hepatitis A vaccine と免疫グロブリン immune globulin により、A 型肝炎 hepatitis A virus infection の感染が予防される可能性があるが、それは曝露から14日以内に限る." と説明されている。 14 or 16 Mar 2012 に曝露した人は、遅くとも30日までに治療を受ける必要がある。以前にワクチンを接種されたことがある場合は、防護されると考えられる。2月28日から3月14日までの間に同店を訪れた客は、ウイルスに暴露し発病する可能性がある。A 型肝炎ウイルスに感染すると、曝露の 2-6週間後に発病し、微熱、食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢、疲労感、上腹部痛、褐色尿、白色便? light stools、黄疸などの症状が見られることが多い。 重症度は様々で、2週間以内に治癒する軽症例から、4-6週間以上長引く重症例まである。A 型肝炎ウイルスは、汚染された食品や水の摂取、汚染物質への暴露などにより感染が広がる。感染患者との接近した持続的な接触、特に家庭内での接触などで感染のリスクが高まる。20秒間の石鹸と温水による手洗いが感染予防に重要である。手の甲、手首、指の間、爪の中まで洗うことが必要 (Source:Department of Public Health).
[Mod.CP- A型肝炎ウイルスは、気温の上昇やpHの低下に強く、環境や物体表面で長時間生存する。米国内では、生後12ヶ月以上に使用できるA 型肝炎ワクチンが認可されている。A 型肝炎感染リスクのある人は、感染が重篤化することが予想される人への摂取が勧められている .... どのような状況なのか、this MacDonald's の客以外で感染のある従業員に接触したあるいは接触するリスクはあるのか、などが記載されていない]

● 手足口病 米国
PRO/EDR> Hand-foot & mouth disease - USA: (multistate) Coxsackievirus A6
Archive Number: 20120329.1084829
 情報源 Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR), Weekly, Notes from the Field, March 30, 2012 / 61(12);213-214、2012年3月29日
Severe Hand, Foot, and Mouth Disease Associated with Coxsackievirus A6 -- Alabama, Connecticut, California, and Nevada, November 2011 to February 2012
5才未満の小児を中心とした、エンテロウイルス感染による一般的なウイルス感染症である、手足口病 Hand, foot, and mouth disease (HFMD) は、米国内では例年夏から秋にかけて流行する。最も多い原因ウイルスは、enterovirus serotype coxsackievirus A16 である。多くは無症状であるが; 典型的な症状として、微熱に、手掌、足底の発疹と口腔内の有痛性潰瘍 sores が認められる。HFMD 発症から数週間後の爪甲脱落症 nail dystrophies (e.g., Beau's lines or nail shedding) とも関連付けられている。2011年11月7日から2012年2月29日の間に、CDC には HFMD の症状、もしくは発熱と異型発疹のある 63例の症例が報告されている: アラバマ Alabama 州 (38 cases), California (7), Connecticut (1), and Nevada (17). ....患者63人中34人から臨床検体が採取され、このうち 25人(74%)で、 reverse transcriptase-polymerase chain reaction により Coxsackievirus A6 (CVA6) が確認された。あとの9人からはエンテロウイルスは検出されなかった。63例の患者のうち、43人(63%)が2歳未満で、15人(24%)が成人または18歳以上の患者だった。典型的な HFMD よりも、発疹および発熱の程度が強く、入院患者が多かった。症状として、発熱(76%)、発疹については手足口のいずれか (67%)、手または足だけ (46%)、顔面(41%)、臀部 (35%)、躯幹 (19%) の割合だった ... 爪甲脱落症が認められたのは2人(4%)だった。脱水や痛みなど様々な理由で入院を必要としたは12人で、死者は報告されていない。患者の年齢層、重症度、季節性、CVA 16の検出など、これまでの米国内のHFMD 感染とは違っていた。2008年以降海外では、CVA 16 による、他のエンテロウイルスに比べ重症のHFMD 感染流行が報告されていたが、米国内での流行は報告されていなかった ...
[Mod.CP- 途上国では、手足口病は軽症で、outbreaks of Coxsackie A16 virus infection によることも多い。近年の東アジア諸国では、outbreaks of Enterovirus 71 infection が関係し、神経学的合併症や時に死亡例の発生もある、より重症の感染流行が発生している ... ]

● シガテラ魚中毒 中国
PRO/AH/EDR> Ciguatera fish poisoning - China: (HK)
Archive Number: 20120329.1084658
 情報源 Hong Kong Department of Health、2012年3月27日
保健当局 The Centre for Health Protection (CHP) of the Department of Health は27日、 coral reef fish を摂取した5人のシガテラ中毒 ciguatoxin poisoning に関する調査を開始した。初めに、20歳から56歳までの女性3人と男性1名が自宅での夕食後、腹痛や足のしびれ、下痢などのシガテラ毒中毒の症状を発症した。1人が Pamela Youde Nethersole Eastern Hospital を受診し、入院となった。もう1件は、自宅で魚を食べて3時間後に下痢や下をと四肢のしびれ、温度覚逆転、頭痛などのシガテラ中毒症状を発症した、48歳の女性の1例である ...
CDC: Cluster of ciguatera fish poisoning - North Carolina, 2007. MMWR 2009; 58: 283-5 (original citation numbering retained)

● リーシュマニア症 スペイン
PRO/AH> Leishmaniasis, human, canine - Spain (02): background
Archive Number: 20120329.1084736
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network) 、2012年3月29日
20120328.1083656 に関し。
Time and place
内臓リーシュマニア症 Visceral leishmaniasis は南部に最も多く、特に Andalusia, Palma de Mallorca, Valencia, and Catalonia で著しい。
 - イヌの陽性率は、4月が最低、10月にピーク
 - the Piorat region of northeastern Spain.に限局
 - Menorca で1例の自所内感染

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (39): Indonesia (NB)
Archive Number: 20120328.1083746
[1] 情報源 The Wall Street Journal Asia, AP report、2012年3月27日
インドネシアの17歳の患者が鳥インフルエンザ Avian influenza で死亡し、2012年の6人目の同ウイルス感染による死亡患者となった。保健省当局者は 27日、ロンボク島 Lombok island 東部の少年が、3月前半に病気のニワトリと曝露した後に発症したと説明した。1週間の入院後、3月9日に死亡した。H5N1 ウイルス感染が検査で確定されたのが数日前だった。2003年に家禽の間で鳥インフルエンザが発生して以来、世界中で352人が死亡している。インドネシアでは死者156人と最も深刻な被害が出ている。
[2] 情報源 World Health Organisation (WHO), CSR, Disease Outbreak News、2012年3月26日 FORTH より
26日に公表されたWHOの情報によると、インドネシアで新たにインフルエンザA(H5N1)症例1例が報告された。患者はヌサトゥンガラバラット州(Nusa Tenggara Barat Province)に住む17歳の男性で、2月28日に発熱があり、3月1日に受診したが、患者の状態は悪化し紹介病院へ入院し、3月9日に死亡した。疫学調査では、患者の近隣で家きんの突然死が相次いでいたことがわかっている。インドネシアでは2005年から現在までに188例の患者が報告され、そのうち156例が死亡した。
[Mod.CP- West Nusa Tenggara (Nusa Tenggara Barat) はインドネシア南中部にあり、バリ Bali を除く the Lesser Sunda Islands の西側部分を構成し、the Lombok Strait に沿って延びる the Wallace line が州の西端になる。最新の患者の居住地である Lombok は、州内に 2つある大きな島のうちの1つで、Lombok は州内最大の都市で州都にもなっている]

● 狂犬病 マケドニア
PRO/AH/EDR> Rabies - Macedonia: feline, human exposure, RFI
Archive Number: 20120329.1084830
 情報源 Epi South Weekly Report eWeb 210、2012年3月29日
26日、旧ユーゴスラビア the Former Yugoslav のマケドニア共和国 Republic of Macedonia's (FYROM) 農業省は Radovis (east of the country, cf. map 3) のペットのネコ 1匹の狂犬病 Rabies について OIE に報告した。国内のネコの狂犬病の報告は初めてである。感染源については報告されていない。ネコはヒトに近く、狂犬病ウイルスが感染循環していることから、ヒトへの感染リスクが高い。マケドニアで最後に狂犬病が報告されたのは、2011年8月のことである 。 (cf. eWEB n176).
The OIE notification of 26 Mar 2012,
[Mod.AS- OIE の報告には、以下の疫学的コメントが付けられている: 
"ネコでは初めての公式報告である。3月2日午後、このネコは飼い主を襲った。陽性の検査結果が得られた。飼い主には Shtip の感染症医療機関で適切な曝露後接種が行われ、同じ庭でこのネコと接触のあったイヌとネコは処分された。"2000年12月以降、マケドニアの飼育動物で狂犬病が報告されたことはなかった; イヌには接種義務があるが、ネコにはない。野生動物の感染も数年間報告されていなかったが、the country's report for the months July-December 2011には、6例が報告されている。 (the Rabies Information System of the WHO Collaboration Centre for Rabies Surveillance and Research による) the web-site "Rabies - Bulletin - Europe " によれば、2009年の欧州(東欧の東部および南部が中心) で記録された家畜動物の内訳 : dog 684, cat 495, cattle 283, sheep & goat 61, equine 28, pig 5.。ネコの狂犬病感染では、大脳辺縁系 the limbic system への感染による the furious form が多く、多動 restlessness、徘徊 wandering、咆哮 howling、多呼吸 polypnea、流涎 drooling、他への攻撃性が認められる]

● 炭疽 アルゼンチン、ベルギー(2件)
PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - Argentina (04): (BA)
Archive Number: 20120329.1084831
 投稿者 亜・Laboratorio Azul Diagnostico S.A.、Ramon Noseda、2012年3月29日
古い牧草地帯で放牧されていた230頭の肉牛の群れで、3頭が出血して突然死した。Maria Ignacia, Vela に近く、以前に炭疽感染が流行した地域である上、ワクチンを接種されていなかった

PRO/AH> Anthrax - Belgium: 2001, wool-processing factory risk, corr 2011
Archive Number: 20120329.1084789
20120329.1084660 に関し:2011年に訂正

● パパイヤの病気、Root rot フィジー
PRO/PL> Root rot, papaya - Fiji: (WE) 20120328.1082666
 情報源 The Fiji Times、2012年3月24日
the Western Division のパパイヤ papaya (pawpaw) crops が phytophthora root rot の被害を受けている