2012年6月25日-26日

インフルエンザ H1N1 パンデミック致死率と抗体陽性率

● インフルエンザ H1N1
PRO/EDR> Influenza (49): H1N1 pandemic mortality estimate 20120626.1181645
 情報源 Reuters、2012年6月25日
Study indicates 2009 swine flu outbreak was 15 times deadlier
2009年のインフルエンザパンデミック The swine flu pandemic of 2009 [A/H1N1 pdm09 virus infection] による死者の数は 28万4500人と見積もられ、期間中、検査で確定された死者の数のおよそ 15倍に上ることが、国際的な (ベトナム、ニュージーランド、ケニア、デンマークほか 5カ国) 科学者らの研究グループによる新たな調査で示された。
科学雑誌 Lancet Infectious Diseases に19日掲載された論文によると、死者数は最大 57万 9千人になる可能性があるとされている。the World Health Organisation (WHO) が示した元の数字では、死者 18 500人だった。これは検査により感染が確定診断された死亡のみであり、WHO 自身も a gross underestimate に言及していた。
この研究では、地域ごとにパンデミックの影響が異なることも指摘されており、世界人口の 38%を占めるアフリカと東南アジアで、インフルエンザによる死亡の 51% が発生していた ... 通常、疫学者らは統計学的モデルを用い、 non-flu periods に発生する肺炎と心血管疾患患者の合併症 -- いずれもインフルエンザによっても発生する -- による死者数と、パンデミック中の死者数をカウントして、この差 (超過) をインフルエンザの結果発生したものと見做す。 残念なことに "many lower-resource countries には人口動態統計 vital statistics data が non-existent or sparse (存在しない、あるいは、しっかりしたものがない) " ため、このアプローチは実行不能であり、別の方法が探索された。まずはじめに、医療従事者が辺境地域を戸別訪問して、インフルエンザ様症状の有無の聞き取りと鼻咽頭スワブ検体の採取を行った。こうして得られた患者数などの hard data を使って2009 H1N1 感染の国全体の人口に占める割合を推計した。 デンマークのような裕福な国や、ベトナムなどの貧しい国など、13カ国でこのようなデータが得られた。
次に各国で死亡した患者の割合を概算した。裕福な 5カ国の呼吸器疾患による致死率については、solid data を使った。たとえば肺炎に罹患した場合、香港でトップの病院と、ベトナムの農村部の診療所では、死亡するリスクに違いがある。このため、研究者らは、貧しい国の生データに "multiplier (乗数)" を適用した。途上国では、先進国に比べよりインフルエンザ肺炎で死亡する可能性が高くなるためである。
このような手法は誤差 errors を生む可能性があると評論家は指摘している。たとえば、メキシコから新たに発表された死亡に関するデータでは、今回の新たな研究結果よりも H1N1 による死者数が多いことが示されているとコメントした論者が述べている。これとは逆に、日本とシンガポールでの死者の概数 Estimates of deaths が多過ぎるとされている。とはいえ、全体で見れば the under- and over-estimates が平均化され、全世界についての概数 the global estimate -- of 15 times more deaths than those confirmed at the time -- はだいたい正しいのではないか、ともコメントされている。アフリカでは、他の地域の 2-3倍、死者が多かった。小児の感染が最も多く (4 percent to 33 percent)、成人 adults は moderately (0 to 22 percent of those 18 to 64) であり、高齢者 the elderly の死亡は少なかった (0 to 4 percent)。
感染した場合には、高齢者は最も死亡する危険性が高かったが、感染者数が少なかったため、死者の 80%が 65歳以下の患者だった。一方、季節性インフルエンザ seasonal influenza outbreaks による死者については、およそ 80-90% を高齢者が占めた。おそらく、1957年以前に感染循環したウイルスに似ていたため、(高齢者が) the worst of 2009 H1N1 を免れたものと見られる。比較的若い年齢層で死者が発生したことは、通常の季節性インフルエンザで奪われる余命の 3倍以上の期間が失われたことを意味する; 高齢者が狙われる季節性インフルエンザで失われる余命が 280万年 years of life であるのに対し、(パンデミックでは) 970万年だった。H1N1 は 2009年 11月ごろまでに沈静化 petering out し始め、 the WHO は翌 2010年 8月に the epidemic at an end を宣言した。
原著 Estimated global mortality associated with the first 12 months of 2009 pandemic influenza A H1N1 virus circulation: a modelling study




● マラリア アラブ首長国連邦、カンボジア(2件)
UAE
PRO/EDR> Malaria - UAE (02): (AZ) imported
Archive Number: 20120626.1181710
 情報源 Khaleej Times、2012年6月26日
Imported cases of malaria on the rise in Abu Dhabi
アブダビ Abu Dh における輸入マラリア Malaria の患者数が、過去 6年間で 2倍以上に増えている。しかし、これは外国人労働者 expatriate workers の流入が増えているためで、国内での感染伝播によるものではない、と保健当局者が述べた。 2005年は約 900例であったマラリア感染者数が、2011年は 2731人に増えた ..... UAE 国内でのマラリア感染伝播は、1997年を最後に発生していない。
[Mod.EP- The United Arab Emirates は、2007年に malaria-free と認められている。2009年に、3108例のマラリア感染が報告された (Ninth intercountry meeting of national malaria programme managers Marrakech, Morocco 22-24 September 2010. WHO-EM/MAL/363/E)]

カンボジア
PRO/EDR> Malaria - Cambodia 20120626.1181301
 情報源 Xinhua News Agency、2012年6月26日
Cambodia 国内でこの 5ヶ月間に、約 2万9510人のマラリア Malaria 患者が報告され、27人が死亡したことが、26日、当局 National Center for Parasitology, Entomology and Malaria Control から発表された。2011年同期と比べ、11%減少したが、死者数は変わらなかった。カンボジアでは、雨期に多く、国境地域や森林・山岳地帯でもっとも多くの患者が発生する。2011年の国内の患者数は 62690人で、98人が死亡した。

● ブタ連鎖球菌 ベトナム、ヒト
PRO/AH/EDR> Streptococcus suis, human - Viet Nam 20120626.1181644
 情報源 thepigsite.com、2012年6月25日
ベトナム北部において、ブタ繁殖呼吸器障害症候群 Porcine Reproductive and Respiratory Syndrome (PRRS), 別名 'blue ear disease,' の [ブタの間での] 感染が拡大している; この影響で、ブタからヒトへのブタ連鎖球菌 _Streptococcus suis_ 感染も増えている。
熱帯病病院 The Central Tropical Disease Hospital には、20人以上の患者が入院しており、髄膜炎や敗血症などの重篤な合併症を併発している。患者の多くが、感染したブタの肉や血液のペーストを十分調理しないまま摂食したり、感染したブタの傷口から滲出液に直接触れたり、空気飛沫を吸い込んだりすることが感染の原因となっている ... 四肢麻痺やけいれん発作を起こした状態で入院する患者が多く、ほとんどが衛生状態の良くない家屋の住人たちである。ブタの感染が確認されているのは、the northern provinces of Lang Son, Dien Bien, Bac Ninh, Quang Ninh, Lai Chau and Hoa Binh の各省である。
[Mod.ML- ヒトでの感染においては、髄膜炎の発生が多いが、トキシックショックの発生の可能性もあり、少ないながら、菌血症、肺炎、敗血症性関節炎および心内膜炎のリスクもある。多くの感染は、感染ブタの処分時に起き、肉などの摂取にほとんどリスクはないが、生肉の摂取にはリスクが伴う可能性がある。ヒトからヒトへの感染は発生しないと考えられる (see)。症状のないブタからも、ブタ連鎖球菌は検出されるが; virulent strains は、主に子ブタ suckling pigs に対して、重篤な疾患 (polyarthritis, meningitis, and septicemia) の原因となる可能性があり、最近では 哺乳中 weaned and 肥育 growing pigs の髄膜炎も報告されている。さらに、親ブタでも、肺炎、心内膜炎、流産などの原因となることがある。ブタのウイルス感染症である porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS) は、免疫を低下させることが知られており、その結果、ブタ連鎖球菌 pigs' susceptibility to infection with _S. suis_ 感染が起こりやすくなると考えられている]

● レプトスピラ症-タイ
PRO/AH/EDR> Leptospirosis - Thailand: (Surin) fatal 20120626.1181182
 情報源 Bangkok Shuho [in Thai]、2012年6月25日。
北東部スリン Surin district [Surin province] でレプトスピラ症 outbreak of leptospirosis が発生した。107人の患者と 7人の死者が確認されており、当局は農作業中にゴム長靴や手袋を着用するよう注意を呼びかけている ...
参考項目 20120425.1113040

● 原因不明の疾患-ベトナム
PRO/EDR> Undiagnosed illness - Viet Nam (07): (QG), herbal medicine susp. 20120626.1180971
[1] ダイオキシン、重金属等 水と土壌から検出されず
 情報源 Thanh Nien News、2012年6月19日。
2011年4月以降 23人が死亡した原因不明の皮膚疾患の原因として、軍事用トキシン the military toxin が疑われていた地域において、ダイオキシン dioxin は確認されなかった。軍関係者 the Military Institute of Chemistry and Environmental Sciences が、239人の患者が発生した Ba To District, Quang Ngai Province の水や土壌のサンプルについて行った結果が判明し、発表された。殺虫剤 pesticides や重金属 heavy metals の残留も認められなかった。水質についても、(汚水等による) 汚染を示す微生物濃度の上昇が認められたのみだった。正式名 "hoi chung viem da day sung ban tay ban chan" (the syndrome of dermatitis and horny layer thickening in feet and hands) と呼ばれている ... 症状と経過の解説。
[2] 流行後、多量の中国製ハーブが使用されている
 情報源 Thanh Nien News、2012年6月24日。
保健当局は、原因不明の皮膚病で 23人が死亡したベトナム中部 Quang Ngai Province の地域 Ba Dien Commune of Ba To District で発見された、大量の詳細不明の薬草を没収し、保健省でサンプルの検査を行う。住民らに対し、同薬剤の使用を中止するよう呼びかけられている。根、枝、乾いた葉などとみられる粉末で、パッケージに中国語で肝臓がん治療薬のラベルが貼られていた。ベトナム保健省が承認した薬品リストにはない。いつごろからこの the commune で使用されていたのかは不明で、感染発生後、多数の人々がこの薬剤を村に持ち込んだ、と 23日に当局者が述べた。皮膚が肥厚し、手足に水疱を生じ、多臓器不全を起こすこの病気によって、2011年 4月以来 23人が死亡している。無料で薬剤を配布する行為自体は意味があるかもしれないが、出所不明の保健省から認可を受けていない薬剤には、危険性が伴うと述べられている。当初から疑われていた軍事用化学物質は、この地域では確認されていない。しかし、5月に死亡した 9歳男児の毛髪から、高濃度のヒ素が検出されている。
[Mod.ML- 慢性ヒ素中毒 Chronic arsenic toxicity およびダイオキシン中毒 dioxin toxicity (Acquired palmoplantar keratoderma. Am J Clin Dermatol. 2007; 8(1): 1-11; abstract) により、ベトナムの患者らに類似する皮膚症状が見られることがある。実際、死亡した9歳男児の毛髪から許容量の100倍のヒ素が確認されている (20120601.1153587)。しかし、今回の記事によると、発生地域内では、ダイオキシンや、恐らくはヒ素も含むと思われる、重金属の残留は認められなかった、とされている。 薬草 an herbal medicine が持ち込まれたのは、the onset of this outbreak の後である]
関連項目 (06): (QG) toxin susp. RFI 20120601.1153587

● サルモネラ感染症-米国 CDC
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Montevideo - USA: live poultry contact 20120626.1180922
 情報源 CDC, _Salmonella_ Homepage、2012年6月25日。
ヒヨコとカモの子ども chicks and ducklings (Estes Hatchery in Springfield, Missouri) と関連する、サルモネラ症 outbreak of human _Salmonella [enterica_ serotype] Montevideo infections が調査されている ...: 20州 Alaska (1), California (2), Colorado (1), Georgia (1), Illinois (1), Indiana (8), Iowa (2), Kansas (10), Kentucky (1), Massachusetts (1), Missouri (22), Nebraska (5), Nevada (1), New York (1), North Carolina (1), Ohio (1), Oklahoma (4), South Dakota (1), Vermont (1), and Wyoming (1) から患者が報告されている

● 病原大腸菌 EHEC-フランス O157
PRO/AH/EDR> E. coli EHEC - France: (southwest), O157, ground beef, recall 20120626.1179769
 情報源 France3 [in French]、2012年6月25日。
先週 [week of 18 Jun 2012]、Bordeaux and Pau の病院に、成人 1名と小児 4名が大腸菌感染 _E. coli_ infection の症状で入院し、検査により 1人の O157 感染が確定診断された。残りの患者の検査結果についても、26日に判明する予定である。3人の小児は 15-20日に入院となり、いずれも ロト=エ=ガロンヌ県 the Lot-et-Garonne の the Societe des Viandes Elaborees d'Estillac が製造したハンバーガーを食べていた。ハンバーガーとの直接的な関連性は確認されていないが、これらを販売する the Intermarche and Netto supermarkets は消費者に対し、健康状態に注意するよう呼びかけている。 16 departments in the Southwest の地域 (including the Gironde, Dordogne, Landes, Lot-et-Garonne, and the Pyrenees-atlantiques) に影響があった。このハンバーガーは、すでに消費期限を経過 (6月15日) している

● デング熱/デング出血熱 (26)
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2012 (26) 20120626.1179416
[1] タイ Thailand
 - (Chiang Mai):National News Bureau of Thailand (NNT) Public Relations Department、2012年6月16日。
2012年、北部のこの地域で流行発生の可能性がある。
チェンマイ Chiang Mai では年初以来100例以上の患者が報告されている。
[Mod.TY-  the Thai Ministry of Public Health, Bureau of Epidemiology's (BOE) report of the situation of dengue infection in Thailand, between 1 Jan 2012 and 18 Jun 2012 [in Thai] ; 全国 Thailand http://healthmap.org/r/2Dxvで合計 15 842 cases and 11 deaths、 Chiang Mai では 158 cases and no deaths となっている]
 - (Trat province). 25 Jun 2012. 146 cases in Trat province, with the toll ranked as 2nd highest in the eastern region and 7th highest in Thailand.
[2] パキスタン Pakistan (Karachi , Sindh province). 20 Jun 2012. 19日、新たに3例。これまでの73例中、71例が検査で確定されている。
[3] インド India
 - (Chennai , Tamil Nadu state). 23 Jun 2012. 市内で 181; Royapuram (30 cases), Teynampet (26), Kodambakkam (40), Adyar (20), and AnnaeceNagar (17).
 - (Thiruvananthapuram , Kerala state). 19 Jun 2012. 14 dengue cases were reported in the district
[4] マレーシア Malaysia (Selangor state). 22 Jun 2012. 4908 dengue cases and 12 deaths; in Klang, with 4 deaths and 1445 cases, followed by 3 deaths each in Petaling district (1364 cases) and Hulu Langat (1092 cases).
[5] フィリピン Philippines (Soccsksargen region, central Mindanao). 22 Jun 2012. in Region 12、1284 例で前年 [2011] より 2%増加。
[6] エクアドル Ecuador (national). 22 Jun 2012. [in Spanish] 11 052 individuals ill with dengue, of whom 165 with serious dengue known previously as DHF.
[7] ブラジル Brazil (Nova Mutum , Mato Grosso state). 22 Jun 2012. [in Portuguese] more than 200 dengue cases have been reported
[8] パラグアイ Paraguay (national). 18 Jun 2012. [in Spanish] 21 560 confirmed cases and 51 dengue deaths, mainly in the metropolitan area.
[9] メキシコ Mexico [in Spanish]
 - (Huasteca, San Luis Potosi state). 22 Jun 2012. 13 dengue cases have been detected, with 8 in Ciudad Valles, one of which is DHF,
 - (Altamira , Tamaulipas state). 21 Jun 2012. In the Altamira, Gonzalez, and Aldama municipalities, to date 29 dengue cases
 - (Tamaulipas state). 19 Jun 2012. Tamaulipas state has registered 79 dengue cases,
[10] ドミニカ共和国 Dominican Republic (Jardines del Norte, Santo Domingo ). 20 Jun 2012. [in Spanish] 12 cases occurring in the past 3 weeks.
[11] オーストラリア Australia (Emerald, Queensland state). 22 Jun 2012. Dengue fever strikes the Highlands but there was only one confirmed case of dengue fever in Emerald.

● 淋菌-スロベニア
PRO> Antibiotic resistance, Neisseria gonorrhoeae - Slovenia: (Ljubljana)  20120626.1175801
Treatment failure of pharyngeal gonorrhoea with internationally recommended first-line ceftriaxone verified in Slovenia, September 2011
 情報源 Eurosurveillance Edition 2012, 17(25)、2012年6月21日。
スロベニア国内で第 1選択として推奨される 1st-line ceftriaxone 250 mg 治療が不成功だった、欧州で 2例目となる、世界各地で発生する多剤耐性淋菌 multidrug-resistant gonococcal clone による咽頭淋菌感染症例について報告する
関連情報
CDC Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR) 8 Jul 2011; 60(26): 873-7

● 仮性結核-キプロス ウサギ
PRO> Yersinia pseudotuberculosis - Cyprus: hare, 1st rep., RFI 20120626.1180973
Hares killed by disease found for 1st time in Cyprus
 情報源 Cyprus Mail 、2012年6月17日。
ハンターらにより、Cyprus 島の至る所でウサギが死亡しているのが発見されており、死亡の原因となっているのは初めて確認された病気である。多数のウサギが死亡したのは、致死性の仮性結核 pseudotuberculosis と呼ばれる病気で、Famagusta を除く全ての地区で最近になって発見された、と the Game Fund が述べた



◎ クリミア・コンゴ出血熱 パキスタン、インド(2件)
パキスタン
PRO/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Pakistan (03): (BA & QA) WHO 20120625.1180202
 情報源 The Express Tribune、2012年6月24日
The World Health Organisation (WHO) は、国内の複数の地域で最近発生した、麻疹とクリミア・コンゴ出血熱 the recent outbreak of measles and Crimean-Congo haemorrhagic fever (CCHF) に対する懸念を表明した。報告 the WHO Weekly Epidemiological Bulletin では、全国で 22 suspected cases of CCHF の報告があり、うち 15 cases の診断が確定し、5例の死者が確認されている [2012] 。 Balochistan の15例中、13 cases が Quetta の患者だった。 WHO のサーベイランス担当者 Disease Early Warning System (DEWS) Senior Surveillance Officer は、 "現時点で警戒レベル alarming にあるわけではないが、心配される事態ではあり、早急な対策が必要で、 患者 Cases of CCHF from Balochistan は、農場や皮革に関係する職業の人々である" と説明している。
関連項目 (02): (BA) 20120616.1170377

インド
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - India (02): (GJ) nosocomial 20120625.1180179
 情報源 Times of India、2012年6月24日
Kochariya village of Bavla taluka [district] 初のクリミア・コンゴ出血熱 Crimean-Congo Haemorrhagic Fever (CCHF) の患者宅を訪れた地域保健当局者は、ダニ_Hyalomma_ ticks の多さに驚いた。この家だけでなく、近所の家々でも夥しい数のダニが確認された。村内の基幹産業が酪農であるため、これほどのダニが確認される状況となっている。 CCHF により、この患者と治療に当たった医師が死亡している。
[Mod.CP- Ahmedabad で死亡した患者が Kochariya village in Bavla taluka [district] の住民であることが判明した。
イボマダニ Ticks of the subgenus _Hyalommina_ はインド亜大陸とソマリアで発生が確認されている。6種類がそれぞれ a 3-host cycle を有している。幼若ダニ Immatures はげっ歯類などの小型哺乳動物に寄生し、成虫 adults になると家畜を好むようになるため、野生のガゼル、ウシ、ヤギ、ヒツジなどに移る。ウシや家畜のバファローに寄生する2種類として : _H. brevipunctata_ (India and Pakistan) and _H. kumari_ (India, Pakistan, Afghanistan, northwestern Iran, and Tadzhikistan) がある。3種類はヒツジやヤギを好む: _H. hussaini_ (India, Pakistan, Burma), _H. rhipicephaloides_ (Dead Sea and Red Sea areas), and _arabica_ (Yemen and Saudi Arabia)。_H. punt_ (Somalia and Ethiopia) はアンテロープ、ラクダ、ウシ、ヒツジ、ヤギから吸血する。
The subgenus _Hyalomma_ の中で獣医学および公衆衛生上重要な the 15 species があり、それぞれ 2, 3, and 4 subspecies に分けられている。このうち主なものとして the 2-host _H. anatolicum anatolicum_ がある。世界で最も大きな被害を発生させているダニ the world's most damaging ticks の1つに挙げられ (中央アジアからバングラデシュ、中近東、アラビア、欧州南東部、赤道以北のアフリカのステップや semidesert に棲息する) ラクダ、ウシ、ウマなどに広く蔓延している。
一般的に、幼虫と成虫は共に同じ種類の保有宿主に寄生する。若いうち Nymphs や吸血しない成虫 unfed adults は、乾燥した冬季を、石壁の隙間、厩舎、雑草や休耕田 fallow fields で過ごす。幼虫期に小型哺乳類、鳥類、爬虫類などに寄生した場合は、the life cycle type が 3-host となる。
_H. anatolicum anatolicum_ はタイレリア _Theileria annulata_, バベシア _Babesia equi_, _B. caballi_, アナプラズマ _Anaplasma marginale_, トリパノソーマ _Trypanosoma theileri_ や 5 種類以上のアルボウイルス arboviruses も伝播する; 
ヒトのクリミアコンゴ出血熱ウイルス感染における a significant vector でもある。 
The _H. marginatum_ complex は 4 subspecies から構成され、必ず invariably 2-host を持っている。成虫は家畜と野生の肉食動物に寄生する。幼虫は基本的に鳥類に寄生する。げっ歯類への寄生は、あってもまれである。ウサギ Hares and ハリネズミ hedgehogs が secondary hosts となる。 
The subspecies として、 _H. marginatum marginatum_ (Caspian area of Iran and former USSR to Portugal and northwestern Africa), _H. marginatum rufipes_ (south of the Sahara to South Africa, also Nile Valley and southern Arabia), _H. marginatum turanicum_ (Pakistan, Iran, southern former USSR, Arabia, parts of northeastern Africa, introduced with sheep from Iran to Karoo), and _H. marginatum isaaci_ (Sri Lanka to southern Nepal, Pakistan, northern Afghanistan) がある。
 _H. marginatum_ subspecies も important vectors of Crimean-Congo haemorrhagic fever virus であり、同時に、野生動物、家畜、ヒトに感染する、家畜の病気やウイルスも伝播する [excerpted from the Merck Veterinary Manual] ]
関連項目 20120623.1178585

● 鳥インフルエンザ、ヒト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (57): seroprevalence debate 20120625.1179950
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News 、2012年6月22日
Debate over H5N1 fatality rate flares again

H5N1インフルエンザ感染のヒトでの致死率に関する議論の中で、気づかれていない多数のH5N1感染が起きているとの考えに、反対の立場の意見が Science に掲載されている。
この議論の発端となったのは、研究室で作成された、空気感染するH5N1ウイルスに関する2件の研究 [全文は 20120622.1177785] 発表にまつわる論争だった。この研究結果を発表することの支持者の一部に、H5N1の真の致死率 H5N1 case-fatality ratio (CFR) は、多数の軽症もしくは無症候性患者がカウントされていない可能性があり、確定診断されている患者での 60%よりずっと低いのではないかとの意見が出されていた。 
2012年2月 Science 誌は Mount Sinai School of Medicine のチームによる血清抗体陽性率調査に基づくメタアナリシスの結果を掲載し、H5N1ウイルスに曝露したヒトでの感染率が 1-2% であり、世界中で数百万人が感染している可能性があるとの結果を発表した。
今回 [22 Jun 2012] の記事では "(前述の論文の著者らが) 抗体陽性率の結果を拡大解釈 overinterpret し潜在的な不確実性 underlying uncertainties を過小評価している。
真の致死率 the true risk of death from H5N1 infection は確定診断されている患者での 60%より低くなると思われるが、発見されていない多数の感染患者 millions of missed infections があったとの証拠は見当たらない" としている。the Mount Sinai group からの反応も同時に掲載されており、H5N1 outbreaks の発生地域の農村部の人口を合計すれば約 10億人と考えられ、 抗体検査による調査 seroprevalence studies では多数の患者がもれてしまうと主張している。 
Imperial College London に所属する [今回の論文の] 著者らは、確定患者との接触者、処分に関わった人々、家きんでの流行発生地域の住民などの、ウイルスに曝露した可能性があるが、発病しなかった人々のH5N1抗体を血清学的調査により調べることで、asymptomatic or subclinical cases を同定する方法を採用した。2003年以降実施されてきた同種の調査のほぼ全てで、抗体検査陽性となった人はほとんどいなかった。致死率の計算を行う際の、分母子どちらにも見逃されている症例があるのは間違いないが、a recent systematic review では、ほとんどの調査で抗体陽性患者は皆無であり、他の研究でも 3% 未満に留まっている、と述べられている。抗体検査の限界も指摘されており、低レベルの陽性率を過大評価することへの警戒も必要とされている。血清学的アッセイが標準化されていないこと、陽性と判断する基準が決まっていないこと、季節性インフルエンザウイルス感染やワクチンとの交差反応性なども、解釈の妨げになっているとされている ....
References
1. Van Kerkhove MD, Riley S, Lipsitch M, et al: Comment on "Seroprevalence for H5N1 influenza virus infections in humans: meta-analysis." Science 2012; 336(6088): 1506
2. Wang TT, Palese P: Response to comment on "Seroprevalence for H5N1 influenza infections in humans: meta-analysis." Science 2012; 336(6088): 1506
3. Wang TT, Parides M, Palese P: Seroevidence for H5N1 influenza infections in humans: meta-analysis. Science 2012; 335(6075): 1463

● サルモネラ感染症 米国 
PRO/AH/EDR> Salmonellosis - USA: (WA) laboratory link 20120625.1178945
 情報源 KOIN 、2012年6月22日
6月にティーンエージャー1名が、Clark College の微生物学実験室に由来するサルモネラ菌に感染した。サルモネラ菌の生菌培養の授業に出席した生徒のルームメイトだった

● ブルセラ菌 オランダ
PRO/AH/EDR> Brucella melitensis - Netherlands: mycobacterial culture contamination 20120625.1180010
 情報源 Omroep Gelderland (Broadcasting Gelderland) [in Dutch]、2012年6月22日
5月21日、ナイメーヘン Nijmegen の検査室から、複数の国内の他施設に送付された結核菌の検体にブルセラ菌 _Brucella melitensis_ が混入していることが判明した。ブルセラ症、別名マルタ熱 Malta fever の原因菌である。The Nijmegen research laboratory は全ての施設に対し、この検体を取り扱った職員のリストの提出と、健康状態の監視を求めている。自覚されないまま慢性感染となる可能性があり、心臓弁膜感染や中枢神経感染症などの重篤な合併症を発症するケースもある。抗微生物薬により治療可能である。
[Mod.LL- おそらく精度管理のために他の研究施設に送付されたものだろう。Concern regarding the spread of brucellae in the clinical laboratory is real]

● シュマーレンベルグウイルス 欧州
PRO/AH/EDR> Schmallenberg virus - Europe (47): epidemiology, impact 20120625.1180263
 情報源 European Food Safety Authority (EFSA), Parma, Italy - Scientific report; EFSA Journal 2012;10(6):2768、2012年6月18日
Schmallenberg" virus: Analysis of the Epidemiological Data and Assessment of Impact
要約
ドイツで初めて確認されたシュマーレンベルグウイルス "Schmallenberg" virus (SBV) は、(EU) 加盟国内全体の農場 3745ヶ所から、検査で確定診断された SBV cases が報告されている。 SBV は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、バイソンでの感染が確認されている。SBV に対する抗体はシカで確認されいるが、これらのほかの種での感染は確認されていない。ヒトへのリスクの可能性は極めて小さい very unlikely とした、先の ECDC the European Center for Disease Control and Prevention の評価は、新たな研究によっても支持されている。感染経路については、捕獲されたヌカカ biting midges of the _Culicoides obsoletus_ group で、SBV が確認されている。経胎盤感染とベクターによる感染以外の感染経路の存在は確認されていない。ヒツジに関しては最大で1カ国当たり 4%、地域別では 7.6%の農場で感染が発生する一方、ウシについては国別・地域別ともに 1.3%未満にとどまっている。 SBV 発生の影響 the impact of SBV (spatial and temporal spread, proportion of affected holding and potential projection of arthrogryposis hydranencephaly syndrome cases) を評価するため、3つのモデルを検討した。SBV の発生が確認された地域において、感染が広く蔓延した後に集団免疫が期待されることから、次期出産シーズン the 2012-2013 calving and lambing season への影響は低いことが予想される。しかし、SBV は the winter of 2011 を越冬したと考えられ、発生がなかった地域のうち、ベクターによる集団内感染伝播に適合する気温と感受性のある種 (ウシとヒツジ) が高密度に存在する地域においては、これらのモデルにより感染が拡大する可能性が高いことが示されている .....
[Mod.AS- The full report (89 pages) より、
The following knowledge gaps should be addressed:
1. SBV vector competency and other vector host transmission parameters (e.g. data on the extrinsic incubation period);
2. Distribution, density and over wintering of Culicoides vectors;
3. SBV host vector transmission parameters;
4. Other routes of transmission;
5. Host susceptibility, species range, virulence and vulnerable period during gestation;
6. Development and duration of post infection immunity;
7. Potential extensions of the geographical spread model]

● 口蹄疫 ルワンダ、ウガンダから
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Rwanda: (ES) ex Uganda, bovine, RFI 20120625.1179577
 情報源 AllAfrica, The New Times report、2012年6月23日
East Africa: outbreak of cattle disease puts Rwanda on alert
Uganda's western districts of Ntungamo and Isingiro での口蹄疫 the outbreak of foot-and-mouth disease [FMD] 発生後、ウガンダからルワンダへのウシの移動は禁止されている ..... 動物検疫担当者 Animal Quarantine in the Eastern Province は隣国ウガンダからの波及を懸念している。ルワンダで最後に [FMD?] 発生したのは2008年で、それ以後国境を越えた隣国からの違法な動物取引に対する厳戒態勢を布いている、という。

● バナナの病気、パナマ病 フィリピン
PRO/PL> Panama disease, banana - Philippines: (Mindanao), update 20120625.1179417
 情報源 Mindanao Times、2012年6月22日
Panama disease continues to hit banana farms in Davao
the Davao Region [Mindanao] のバナナ農園に、パナマ病 The Panama disease の感染が拡がっている ...
[Mod.DHA- Panama disease of banana (PD, also called fungal or fusarium wilt) は、土壌由来の真菌 the soilborne fungus _Fusarium oxysporum_ f.sp. _cubense_ を原因とする]

● リュウガンの病気、Witches' broom ベトナム
PRO/PL> Witches' broom, longan - Viet Nam: (Mekong Delta), update 20120625.1179386
 情報源 Viet Nam News (VNS) 、2012年6月23日
Disease strikes Delta longan crop
the Cuu Long (Mekong) Delta の栽培地域 the longan-growing area の 60%以上で、Witches' broom disease による大きな被害が発生している ....
[Mod.DHA- Longan (_Dimocarpus longan_) は、アジアの一部地域の重要な果実作物で、 Witches' broom (or rosette shoot) はこの作物の最大 50%の損失が報告されている深刻な病気である。 1941年に中国で初めて報告された時は、100%の樹木が感染した。その後、タイや台湾などの国々からも報告されている]