2012年6月27日-30日

インフルエンザ 1918 パンデミックウイルスの遺伝子 Science

● インフルエンザ
PRO/AH/EDR> Influenza (50): 13th gene identified in 1918 pandemic virus 20120630.1185950
[1] Discovery sheds light on flu infections
 情報源 University of Edinburgh Press Release、2012年6月28日
[2] An Overlapping Protein-Coding Region in Influenza A Virus Segment 3 Modulates the Host Response
 情報源 Science DOI: 10.1126/science.1222213 [Science Express online - edited]、2012年6月28日。
要約
Influenza A virus (IAV) infection の病原性は、多様性があり完全には理解されていない。われわれは segment 3 of the virus に 2つめの second open reading frame ("X-ORF") が含まれていることと、ribosomal frame shifting (FS) を用いて行った評価について報告する。PA-X と呼ばれる FS product (産物) は、the X-ORF にエンコードされた C 末端ドメインを有する、ウイルス PA 蛋白のエンドヌクレアーゼドメインを構成し、細胞遺伝子発現を抑制する働きを有していた。 PA-X はまた、マウスの感染モデルにおいて、インフルエンザウイルスの毒性 virulence に変化を与え、病原性 pathogenicity を減弱化させた。PA-X expression が減少すると、宿主応答の動態 the kinetics of the global host response が変化し、炎症、アポトーシス、T リンパ球シグナル経路などに影響する事が知られている。したがって、われわれはこれまで知られていなかった、感染に対する宿主反応を調整するインフルエンザウイルス蛋白を明らかにし、病原性を理解する上で重要な発見であることが示唆された。
[3] Scientists discover influenza A virus's 13th gene
 情報源 CIDRAP News、2012年6月29日

● ノロウイルス 米国
PRO/EDR> Norovirus - USA (03): (IN) sport camp
Archive Number: 20120630.1186001
 情報源 FOX 28 News、2012年6月29日
CDC: Norovirus to blame for sick campers at Notre Dame
今週はじめに the University of Notre Dame のスポーツ合宿に参加した生徒106人が発症した胃腸炎の集団発生の原因が、検査によりノロウイルスであることが確認されたことが、郡保健当局者 St. Joseph County Health Officer により明らかにされた

● 日本脳炎など インド(2件)
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis & other - India (07): (BI) 20120629.1184898
 情報源 Zee News, Indo Asian News Service (IANS) report、2012年6月28日
5月以降ビハール Bihar 州で233人の小児が死亡している、急性脳炎症候群 the acute encephalitis syndrome (AES) は、日本脳炎Japanese encephalitis ではないことが、28日、国立ウイルス学研究所 the Pune-based National Institute of Virology (NIV) から公式に発表された。

PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis & other - India (08) (BI) comment, RFI 20120630.1185855
 投稿者 Dr.Steve Berger、2012年6月30日
20120629.1184898 に関し。
Gideon に以下を入力した:
India, epidemic, fatal infection, encephalitis.
単一の感染病原体と仮定した場合、次のように示唆された
Nipah virus infection
Kyasanur Forest disease
Chandipura
West Nile fever

● 原因不明の死亡 バングラデシュ
PRO> Undiagnosed deaths - Bangladesh: (RP), pesticide susp., RFI 20120629.1184443
 情報源 The Daily Star、2012年6月28日
Dinajpur and Thakurgaon [Rangpur Division] で6月に14人の小児がほぼ同じ症状で死亡した原因について、調査を行っていた専門家らは、ライチ litchis に使用された薬剤が原因と見ている。2歳から16歳までの小児が、6月1日から20日までの間に死亡した。当局 the Institute of Epidemiology, Disease Control and Research (IEDCR) の専門家らは、殺虫剤が付着したライチ litchis を食べて、あるいは触れたことにより死亡したのではないか、と見ている

● 炭疽 ドイツ、ロシア(2件)
PRO/AH/EDR> Anthrax - Germany (04): formal report 20120629.1185257
Fatal anthrax infection in a heroin user from southern Germany
 情報源 Eurosurveillance、2012年6月28日
要約 6月に、急性敗血症で入院後数時間で死亡したヘロイン常習者 heroin user 1名の血液培養の結果、炭疽菌 _Bacillus anthracis_ が検出された

PRO/AH/EDR> Anthrax - Russia: (DA) human, bovine 20120629.1185209
[1] 情報源 RUI Novosti、2012年6月28日
妊娠女性1名を含む合計6人が、皮膚炭疽と見られる症状で、ダゲスタン Dagestan の病院に入院となった
[2] In Dagestan, 6 people were hospitalized with suspected anthrax
 情報源 Caucasian Knot、2012年6月28日
fat Karat Ahvahskogo district で合計6人の患者が、炭疽の症状で医師を受診し、入院となった

● 病原大腸菌 カナダ O157、フィンランド(2件)
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - Canada (03): (NB) lettuce 20120629.1184946
 情報源 CBC (Canadian Broadcasting Corporation) News、2012年6月29日
4月に Miramichi で発生した大腸菌感染流行 _E. coli_ O157 outbreak の原因は、 Romaine lettuce である可能性が高いと判断されている。発病した18人を含む55人の検査の症例対照調査の結果が、当局 The Department of Health から公表された

PRO/AH/EDR> E. coli EHEC - Finland: (southwest), unpasteurized milk 20120627.1182388
 情報源 Finnish Food Safety Authority (Evira) [in Finnish]、2012年6月26日
18日、病院を受診した 4歳の男児 1名が、大腸菌による全身感染症 EHEC (enterohemorrhagic _E. coli_)-induced severe symptomatic infection と診断され、集中治療を必要としたが、現在は回復しつつある。感染源は、フィンランド Finland 南西部の農場の殺菌処理されていないミルクと見られている。25日、1歳の幼児 1名が EHEC 感染と診断されており、同じく未殺菌ミルクを摂取していた。入院の必要はなかった。26日、新たに3人について、未殺菌ミルク摂取後の感染が疑われている。

● アシネトバクター症 チリ
PRO/EDR> Acinetobacter - Chile: (Santiago) burn unit, drug-resistant 20120629.1184441
 情報源 La Nacion (Chile) [in Spanish]、2012年6月27日
病院 the Public Assistance Hospital (former Central Hospital [located in Santiago, Chile]) は27日、アシネトバクター症患者 8 cases of _Acinetobacter baumannii_ が、やけど病棟 the Burn Unit で確認されたことを明らかにした

● アジ化ナトリウム中毒 米国 2010
PRO/EDR> Sodium azide poisoning - USA: (TX) 2010, iced tea 20120629.1184445
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News、2012年6月28日
Chemical source found in foodborne illness outbreak

● コクシジオイデス症 米国
PRO/EDR> Coccidioidomycosis - USA (03): (CA)
Archive Number: 20120628.1184141
 情報源 Bakersfield Now、2012年6月28日
the Central Valley の医師らにより患者数 cases of valley fever の大きな増加が指摘されている。小児病院 Central Valley Children's Hospital in Madera の当局者は2012年に合計 45例の患者が発生していることを明らかにした ... 2011年は約 2700例の患者が確認されたが、これは史上 2番目に多い数字だったと述べられている。大気中にある、土壌中の真菌の芽胞を吸入することで感染し、晩夏から初秋にかけて最も患者数が多くなるが、2012年はすでに深刻な増加が認められている。雨期の後に、非常に乾燥した状況が続いたことが、患者数の増加につながったと見られている。啓蒙と早期発見が重要とされている。Valley fever は 主に the southwestern states で確認されている。
関連項目 (CA), alert : 20120527.1146301

● 狂犬病 南アフリカ
PRO/AH/EDR> Rabies - South Africa (07): (NL) canine, human 20120627.1182991
 情報源 The New Age, Kwazulu-Natal、2012年6月27日
Rabies confirmed in boy
ダーバンの病院 Durban's Prince Mshiyeni Hospital に危険な状態で入院中の 4歳の男児は、狂犬病 Rabies であることが確認されている。Umlazi 在住の男児は、後に死亡したイヌの咬傷を受け、5月はじめから high-care unit に入院となっている。男児には狂犬病の症状が認められていたにもかかわらず、検査では陰性であったことに、医療側は困惑していた。掘り返されたイヌの遺体で、先週狂犬病感染が確定診断されている ... KwaZulu-Natal ではこの 3か月間で少なくとも 3人が狂犬病により死亡している。

● ボリビア出血熱 ボリビア
PRO/AH/EDR> Bolivian hemorrhagic fever - Bolivia (03): (BE) 20120627.1182070
 情報源 Prensa Latina [in Spanish]、2012年6月17日
ボリビア Bolivia 国内で 2012年のこれまでに、出血熱により 5人が死亡していることを、疫学当局者が明らかにした。医師によると、原因となる Machupo virus はマウス the mouse _Calomys callosus_ [large vesper mouse] により伝播され、Mamore and Itenez provinces of the Bolivian department [state equivalent] of Beni に数多く生息している。98人に感染が疑われており、うち 9人の感染が確定診断されている ... 当局は、殺鼠剤、トラップ等、ネズミ駆除に必要な資材購入のための資金を配布することにしている。
参考項目 Symptoms and epidemiology of Bolivian hemorrhagic fever 20000416.0545

● ハンタウイルス パナマ
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2012 - Americas (20): Panama (LS) 20120627.1182066
 情報源 Prensa Latina [in Spanish]、2012年6月24日
ロスサントス Los Santos 保健当局は 24日、新たに the Agua Buena de Canas community, Tonosi district [Los Santos province] の 39歳の女性 1名のハンタウイル Hantavirus ス感染を確認した。現在、入院中 (the Joaquin Pablo Franco Sayas Hospital in Las Tablas city) で状態は安定している、と発表されている。the Los Santos province では 2012年のこれまでに 8例の患者が報告されており、1月に 5例、2月と 3月に 1例が報告された後、6月になって今回の最新の患者が報告された。いずれも Tonosi district であるが、患者らの間に関連性は確認されていない (少なくともその様な発表はない)。
[Mod.TY- 恐らく these cases of hantavirus pulmonary syndrome (HPS) の原因ウイルスは Choclo virus である可能性が高い]
参考項目 hantaviruses (and their rodent hosts) recognized in Panama 20081027.3389

● 鳥インフルエンザ メキシコ H7N3
PRO/AH/EDR> Avian influenza (40): Mexico (JA) high path H7N3, poultry 20120630.1186085
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News 、2012年6月26日
Tests reveal high-path H7N3 in Mexican poultry farm outbreaks
獣医学当局は、検査の結果、 3か所の農場で 20万羽以上のトリが死亡した原因が、高病原性鳥インフルエンザ the highly pathogenic H7N3 subtype によるものであることが突き止められたことを受け、複数の大規模商業飼育施設を有する同地域での鳥インフルエンザ対策を強化している。メキシコで高病原性鳥インフルエンザが発生するのは、1990年代に H5N2 が発生して以来となる ... ハリスコ Jalisco 州の 3か所の大規模商業飼育施設で感染流行が発生し始めたのは、6月13日のことで、the layer flocks にあえぎ、意識低下、発熱、死亡などの症状が認められていた

● 炭疽 米国
PRO/AH/EDR> Anthrax, livestock - USA (02): (ND) alert 20120630.1186029
 情報源 KSJB、2012年6月29日
Hot Weather Prompts Anthrax Warning
家畜での炭疽 Anthrax 発生に注意しなければならない時期となった。州内では主に北東部、南東部、南央部に発生するものの、どの地域でも発生が確認されている

● 慢性消耗性疾患 カナダ
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervid – Canada (02): (AB) 20120630.1185478
 情報源 Calgary Herald、2012年6月29日
サスカチュワン Saskatchewan 州から西に向かって慢性消耗性疾患の発生地域が拡大しており、10年以内に the outskirts of Calgary and Edmonton に達するのではないかとの科学者らの予測が裏付けられつつある

● 伝染性気管支炎、家きん イラク
PRO/AH/EDR> Infectious bronchitis, poultry - Iraq: (Kurdistan), QX strain 20120629.1185236
 情報源 The Poultry Site、2012年6月29日
IBV QX Outbreak in Iraq
伝染性気管支炎 outbreak of infectious bronchitis virus (IBV) QX strain が、Erbil city (the capital of Kurdistan Region) の複数ブロイラー飼育施設で発生した。2月から3月にかけ、OIE-FAO and National Reference laboratory for avian influenza and Newcastle disease in Italy が調査を行った

● 鉛中毒 米国、鳥類
PRO/AH/EDR> Lead poisoning, avian - USA: California condor 20120629.1184945
 情報源 The Australian, Agence France-Presse (AFP) report、2012年6月26日
絶滅危惧種のカリフォルニアコンドル The endangered California condor が、鉛の弾丸に汚染された獲物を啄むことで、鉛中毒 "epidemic" of lead poisoning の集団発生に直面している。1982年にはわずか 22羽まで減少し、その後およそ400羽まで頭数が回復しているが、その半数は飼育下にある

● 原因不明の胴枯れ病、ポピー アフガニスタン
PRO/PL> Undiagnosed blight, poppy - Afghanistan 20120629.1184514
 情報源 Chicago Tribune, Reuters report、2012年6月26日
New poppy blight
Afghanistan's poppy fields で2012年に fresh blight が発生した

● ボリビア出血熱 ボリビア
PRO/AH/EDR> Bolivian hemorrhagic fever - Bolivia (04): (BE) 20120629.1184513
 情報源 FM Bolivia [in Spanish]、2012年6月27日 
疫学当局者 The head of epidemiology of the Beni departmental [state equivalent] Health Services は26日、the [Bolivian] hemorrhagic fever 対策を実施すると発表し、ボリビア出血熱の原因である Machupo virus を伝播する、大型げっ歯類の_Calomys callosus_, the rodent [the large vesper mouse] 198匹を10日間で捕獲した

● 東部ウマ脳炎 米国、ウマ
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis - USA: (SC), equine 20120629.1184447
 情報源 SC Now、2012年6月27日
Clemson University Livestock Poultry Health の責任者でもある、州獣医官は、6月に South Carolina のウマ2頭で、東部ウマ脳炎 eastern equine encephalitis (EEE) が確認された事を明らかにした

● ウシ結核 米国
PRO/AH/EDR> Bovine tuberculosis - USA (02): (MI) bovine 20120629.1184446
 情報源 The Alpena News、2012年6月26日
Alpena County dairy herd のウシ1頭が、結核 bovine tuberculosis 検査で陽性となった 

● ヘンドラウイルス オーストラリア 、ウマ
PRO/AH/EDR> Hendra virus, equine - Australia (07): (QL) 20120629.1184444
 情報源 ABC (Australian Broadcasting Corporation) Radio 、2012年6月28日
クイーンズランド州当局 Biosecurity Queensland は、 Mackay 近郊で新たなヘンドラウイルス Hendra virus の発生を確認した。州北部で、獣医師が重体のウマの治療に当たった

● 石果の病気、Plum pox virus 日本
PRO/PL> Plum pox virus, stone fruit - Japan: spread 20120629.1184442
 情報源 FreshPlaza, The Asahi Shimbun report 、2012年6月25日
Is this the end for Ome plum industry?
2009年、青梅市 Ome で初めて plum pox virus の流行が確認された (20100126.0283)。青梅とは熟す前の梅を意味する語で、産地として有名である。農水省は、この地域全体に感染が拡大し、樹木の処分が必要であると判断した

● 口蹄疫
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Global: FAO/OIE, control 20120628.118429
 情報源 FAO press release、2012年6月27日
FAO and the World Organisation for Animal Health (OIE) は、口蹄疫 foot-and-mouth disease (FMD) との闘いにおいて、世界的規模で協力を続けており、27日、この家畜の疾患を制圧するための詳細な戦略を立案した。しかしながら、タイでの国際会議においてこれら 2つの機関は、世界中のパートナーの確固たる協力なくして成功はあり得ない、と強調した 

● 小反芻獣疫 コンゴ民主共和国 FAO
PRO/AH/EDR> Peste des petits ruminants - Congo DR (03): emergency, FAO 20120627.1183031
 情報源 FAO press release、2012年6月26日
FAO は、コンゴ民主共和国 the Democratic Republic of the Congo (DRC) 内で発生した、家畜のヤギとヒツジの深刻な病気である、小反芻獣疫 peste des petits ruminants [PPR] の急速な感染拡大に対応するための緊急援助を発動している。食の安全への脅威のほか、これまで発生の無かったアフリカ南部への波及の可能性も懸念されている。政府当局 Directorate for Animal Production and Health によると、PPR は数万頭のヤギに感染し、7万 5千頭がすでに死亡しており、国内全体のヤギの 1/4 とヒツジの 2/3 に感染の危険性があると見られている
[Mod.AS- Peste des petits ruminants virus (PPRV) は rinderpest virus に非常に近いウイルスで、同じくthe genus _Morbillivirus_ in the family Paramyxoviridae に分類されている。Four genetic lineages (lineages 1-4) が確認されている。 Antibodies to PPRV and rinderpest are cross-protective]
関連項目 20120605.1157318