2012年7月11日

原因不明の疾患-カンボジア

● 手足口病-ベトナム
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Viet Nam (10): (QN)
Archive Number: 20120711.1198166
 情報源 Viet Nam New、2012年7月11日。
中部 Quang Nam 省において年初以来、780人の手足口病 hand, foot and mouth disease (HFMD) cases が記録されていることを、10日当局 the provincial Preventive Medicine Centre が発表した。わずか 12人であった 2011年同期と比べ、急激な増加となっている。地域住民 10万人あたりおよそ 51人が感染したことになり、多くが 3歳未満の幼児である。310人を超えるムンプス患者も報告されており、2010年同期の 2倍である。

● 原因不明の疾患-カンボジア(2件)
PRO/EDR> Undiagnosed illness, fatal, child - Cambodia (06): pathogen mix 20120711.1198162
 情報源 CNN News、2012年7月11日。
カンボジア保健省に協力する The World Health Organization (WHO) は、カンボジアで 60人以上の小児が死亡した原因不明の病気は、複数の病原体が組み合わさって起きたものとの結論を下す見通しである、と調査内容を知る医師が 11日述べた。病原体として、エンテロウイルス enterovirus 71、ブタ連鎖球菌 _Streptococcus suis_ およびデングウイルスが含まれるとしている。これに加え、免疫機能を低下させる作用を持つステロイドの不適切な使用が、多くの患者で疾患の悪化につながった、とも述べられている。小児病院の院長 Kantha Bopha Children's Hospitals -- 66 patients の治療にあたり、このうち 64 人が死亡している -- は、7月 7日以降新たな患者は確認されていない、と述べた。The WHO も、高熱、脳炎、呼吸困難などの感染徴候 signs and symptoms が認められた患者への、ステロイドの使用を控えるよう、医療従事者らに求めている ... 他の病院からも同様の患者の報告があるが、首都にあり最も人気のある同病院に比べると、極端に少数だった。患者である小児のほとんどが南部の住民であるが、保健省は、特定のある 1か所の地域での集団発生は確認していない ... 先週末を挟んで、検査の結果、一部の症例は手足口病の原因ウイルスである enterovirus 71 (EV71) に関係していたことが明らかになった。しかし全体像の解明は完了しておらず、引き続き調査を行っている保健当局は、豚連鎖球菌とデングウイルスなど、他の病原体が確認されたことを明らかにしている。5月から10月まで続くカンボジアの雨期は、蚊族媒介性のデング熱対策の上で重要な問題である。多くの家庭は自宅内に水道が無く、雨水をおけにためて使用するため、これが [デングウイルスのベクターである] 蚊族発生の場所となる可能性がある。豚連鎖球菌 _Streptococcus suis_ は、ブタや豚肉との濃厚接触があったヒトに、細菌性髄膜炎などの感染症を発生させる可能性がある。近年、報告される患者数が急増しており、特に東南アジアに多いことが、 the Centers for Disease Control and Prevention (CDC) in Atlanta が発行する雑誌 Emerging Infectious Diseases で報告されている。EV71 との関係が解明されても、重症の EV71 infections に対する効果的な抗ウイルス治療やワクチンがないため、治療にむすびつくわけではない。軽症例では風邪様症状、下痢と手足口腔内の炎症 sores を生じるとされている。しかし、重症例では、脳内の液体貯留からポリオ様麻痺や死亡が発生することもある。 CDC によると、アジア太平洋地域では Outbreaks of the enterovirus が周期的に発生しており、2006年のブルネイではじめて大流行し、2008年には中国で発生が確認された。免疫機能が確立された成人はこのウイルスに対する抵抗力を有しているが、小児は感染しやすい、と説明されている。世界中の多くの国々と同じくカンボジアでも、保護者らは当初、子どもを自宅で治療しようとする。良くならないと、付近のクリニックを訪ね、最後の望みとして、しばしば大旅行となる、最も近い病院までの移動を行うことになる。
[Mod.CP- ... As highlighted in the previous posting in this thread, treatment protocols are critical in the absence of specific antivirals or vaccine]

PRO/EDR> Undiagnosed illness, fatal, child - Cambodia (05): EV71 treatment options 20120711.1197882
 投稿者 ベトナム・Oxford University Clinical Research Unit、Rogier van Doorn, MD PhD、2012年7月11日。
感染流行の概況
疫学及び臨床症状
EV71 は 1970年代のハンガリーとブルガリアの乳児の致死性脳炎集団発生と、1998年以降は、東南アジアの手足口病の大規模流行に関係している。これらの流行において一部の少数の患者に、rhombencephalitis (?) や肺水腫につながる自律神経調節障害を生じ、肝臓や腎臓の機能を示す検査学的指標が基準値にとどまったままでの、24時間以内の死亡につながった可能性がある。Kantha Bopha (病院) の小児らの男女比は、以前の、ベトナム・ホーチミン Ho Chi Minh City (HMC) の第 1小児病院に入院した、平均年齢が生後 20か月の 4000人の小児患者らの男女比 1.6対 1に非常に近いものである。また、重症化する場合、平均して入院から 24時間以内に起きていたことも指摘しておかなければならない。全入院患者の致死率は 0.2% で、死亡した患者 19人のうち 6人の患者に肺水腫が認められた。指を中心としたミオクローヌスが、しばしば中枢神経系合併症の初発症状で、重症化する患者の大部分で認められる。自律神経調節障害は増悪の指標であり、解熱できない高熱に加え、高血圧や頻脈として現れ、肺水腫や死亡につながることがある。台湾とマレーシアでは、このような重症型の経過を辿った症例のかなりの割合 (1/3 から 1/2) の患者に、発疹が認められなかった。HMC 熱帯病病院の小児集中治療室でも、非常に重篤な症例 47例のうち、12例に発疹が無く、28例にミオクローヌス発作 myoclonic jerks が認められた。カンボジアの小児らについては、発疹、ミオクローヌス、高血圧に関する記述はないが、非常に関心が持たれる。Institute Pasteur の検査所見と臨床学および疫学的特徴は、EV71 による疾患スペクトラムの最重症型として矛盾しない。致死率の高さに驚かされるが、軽症例は入院しないため報告されず、合計患者数が低く見積もられていることが原因と考えられる。手足口病の典型的な発疹がないからと言って、原因として EV71 を除外することはできない。
治療に関する指摘事項
ベトナム保健省はガイドラインの中で、ミオクローヌスを抑えるために、フェノバルビタール phenobarbital の経口または経静脈投与を行い、抑制できない場合、kg 体重あたり 2g の免疫グロブリン静注 [? IVIg] を 2回行うよう勧めている。自律神経調節障害の、特に高血圧に対しては、milrinone が使用されている。抗エンテロウイルス作用を持つ、Pleconaril は、in vitro では EV71 に対して効果が認められなかった。 IVIg は、新生児と無ガンマグロブリン血症の児の、エンテロウイルス脳炎の治療から取り入れられたものであるが、HFMD における有効性を示す only observational and retrospective case data があるものの、どのような患者に投与すべきかに関するエビデンスはない。 EV71 HFMD についての、大規模研究 Large randomised controlled trials of all treatment options (IVIg, milrinone, magnesium, fluid regimens, etc) が急がれる。
関連項目 (04): EV71, WHO 20120709.1195264

● マラリア-インド 
PRO/EDR> Malaria - India (06): (GA, New Delhi, MH, AP) update 20120711.1198090
[1] 情報源 Times of India、2012年7月11日。
the Candolim primary health centre (PHC) では、この 2週間にマラリア患者の急激な増加が起きている。6月までの6か月間で確認されたマラリア患者は26人だったが、モンスーンが強まったこの 2- 3週間に新たに50人の患者が確認された。多くの移動労働者の流入があった、と説明されている ...
[2] 情報源 Times of India、2012年7月10日。
2012年、5例のデング熱患者と86例のマラリア患者が確認されており、2011年同期の患者のほぼ 2倍の報告になっている ...
[3] 情報源 Times of India、2012年7月8日。
2012年の 6か月間に、郊外の地域はよく健闘したものの NMC limits 圏内ではマラリア患者が増加した。6月までの地域内のマラリア患者数は、2011年が 1437例であったところ、2012年は 901例だった。Nashik city の 2011年の患者数 74例に対し、2012年は 100例となっている ...
[4] 情報源 Times of India、2012年6月30日。
モンスーン開始からわずか 2週間で、ハイデラバード Hyderabad のマラリア患者数はすでに 30人に達している

● 病原大腸菌 EHEC-米国 O157
PRO/AH/EDR> E. coli EHEC - USA (19): (OH) O157, picnic 20120711.1197184
 情報源 Public Health - Dayton & Montgomery County (OH Ohio)、2012年7月10日。
オハイオ Ohio 州の公園 Neff's Lawn Care in Germantown へのピクニックで食べた食事により、36人以上が発病した。このうち 9人が入院となった。当局 Public Health -- Dayton & Montgomery County が感染源の調査を行っている。この公園が毎年行っている、利用者感謝ピクニックには、推計で約 200-300人が参加したものと見られており、患者のうちの 5人で、大腸菌 _E. coli_ O157 感染が確定診断されている

● 炭疽-カナダ
PRO/AH/EDR> Anthrax, bison - Canada (04): (NT) 20120711.1198108
 情報源 CBC News、2012年7月10日。
Fort Providence, N.W.T. 近郊で、23頭のバイソンの死体が発見され、炭疽感染流行 an anthrax outbreak により死亡したと見られるバイソンは、151頭に達した。Five of the 23 は、橋の建設現場 the Deh Cho bridge construction site で発見された

● 鳥インフルエンザ 中国 H5N1
PRO/AH/EDR> Avian influenza (43): China (HK) H5N1, pet birds, surveillance 20120711.1197681
H5N1 virus detected from swab sample in Bird Garden
 情報源 Hong Kong Special Administrative Region (HKSAR) press release、2012年7月5日。
農業当局 the Agriculture, Fisheries and Conservation Department (AFCD) の報道官が 5日、the Yuen Po Street Bird Garden (Bird Garden) in Mong Kok (旺角) の 1か所のペットショップの、鳥かごで飼育されていた 1羽のコマドリ Oriental magpie robin で、 H5N1 ウイルスが確認されたことを明らかにした。当局による鳥インフルエンザサーベイランス the AFCD's routine avian influenza surveillance programme の検査のため、他の検体と共に、6月25日に採取されたスワブ (擦過) 検体だった。同ペットショップは鳥インフルエンザ発生地点に指定され、店は閉鎖され、飼育されていた全ての鳥類が処分される。 the Bird Garden も 21日間閉鎖される
関連項目 (38): China (HK) H5, scaly-breasted munia 20120621.1175680

● 慢性消耗性疾患-米国
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervid - USA (06): (TX) 20120711.1197183
Chronic wasting disease detected in Far West Texas
 情報源 Texas Parks & Wildlife Department (TPWD) press release 、2012年テキサス州西端 far West Texas で最近採取された、2 mule deer ミュールジカの検体で、慢性消耗性疾患 chronic wasting disease (CWD) が確定診断された。Texas deer で確認されたのは初めて the 1st cases of CWD