2012年7月8日-10日

原因不明の疾患 カンボジア EV71 WHO
ポリオ ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタン

● 原因不明の疾患 カンボジア(2件)
PRO/EDR> Undiagnosed illness, fatal, child - Cambodia (04): EV71, WHO 20120709.1195264
 情報源 WHO, CSR, Disease Outbreak News、2012年7月9日
原因不明の疾患の調査を行う中で、カンボジア保健省はすべての入院患者 all suspected hospitalised cases の評価を終了しつつある。4月から7月5日までの間に発生した新たな2例の患者が追加され、罹患した小児は合計 59例となった。このうち52例が死亡している。患児の年齢は生後 3ヶ月から 11歳で、大部分が 3歳未満だった。全体の男女比は 1.3:1 だった。適切な検体が採取される前に死亡したため、症例の多くで検査用の検体が入手できなかった。最新の検査結果によると、かなりの割合の検体で手足口病 hand foot and mouth disease (HFMD) の原因となるエンテロウイルス enterovirus 71 (EV-71) が陽性となった。 The EV-71 virus は、一部の患者で重篤な合併症を起こすことがよく知られている。さらに、検体の一部から、デング熱およびブタ連鎖球菌 _Streptococcus suis_ などの他の病原体も確認されている。 H5N1 and other influenza viruses, SARS and Nipah viruses については陰性だった。臨床症状、検査所見、疫学情報をマッチさせる詳細な調査を継続して行っており、数日以内に結論に至ると思われる。WHO と協力機関であるパスツール研究所 Institut Pasteur 並びに米 ・ CDC the US Centers for Disease Control and Prevention が、保健省のイベントへの対応を支援した。同省は市民に対し、こまめな手洗いなどの衛生遵守を呼びかけている。
[Mod.CP- HFMD は通常では軽症感染症だが、一部のEV 71 感染例の例外がある ... 今回の疾患の特殊性や、環境もしくは他の病原体の関与の可能性について、さらなる解明が望まれる]

PRO/EDR> Undiagnosed illness, fatal, child - Cambodia (03): EV71
Archive Number: 20120708.1193960
[1] Cambodian disease linked to virus
 情報源 rthk.hk News 、2012年7月8日。
カンボジア Cambodia 保健当局及び the World Health Organization によると、カンボジアで原因不明の病気で死亡した小児の多くはエンテロウイルス the EV-71 [human enterovirus 71] infection -- 手足口病 hand, foot and mouth disease [HFMD] に関係するウイルス -- に感染していた。小児らは 3歳未満で、中央部と南部からの患者が主であった。4月以降、56人が死亡している。プノンペンの WHO 広報担当の医師は、パスツール研究所 the Institut Pasteur で多数の検体が検査され、原因が EV-71 と判明したと述べた。しかし、全ての患児から検体が採取されている訳ではなく、同ウイルスの感染だけに限られているかどうかは、依然として不明のままである。
[2] Children's deaths in Cambodia linked to enterovirus
 情報源 Bloomberg News、2012年7月8日。
パスツール研究所 The Institut Pasteur in Cambodia のウイルス部長は、国内で 60人以上の小児が死亡した原因不明の疾患について、検査された患者のおよそ 2/3 でエンテロウイルス Enterovirus Type 71 が確認されたことを明らかにした。Enterovirus Type 71 は、死亡原因の説明として矛盾しない (a "perfect explanation" for the deaths) と述べた。
[Mod.CP- 他のウイルス等の病原体の関与の有無もはっきりさせなければならない。手足口病 Hand, foot and mouth disease (HFMD) は通常、ヒトコクサッキーウイルス human coxsackievirus A, human coxsackievirus B, or human enterovirus 71 などのエンテロウイルスによる軽症の疾患である。human enterovirus 71 の感染ではより重症化する可能性がある ... 
Human enterovirus 71 は、15年ほど前から東南アジアにおけるウイルス脳炎の重要な原因となっている。 流行の拡大 (pattern of increased epidemic activity and endemic circulation of HEV71) が認められるようになったのは 1997 年以降で、新しい遺伝型 new genetic lineages が絶えず発生する (the regular emergence) 事と関係している。このような HEV71 circulation の活動性増強の原因は分かっていないが、遺伝子組み換えが新たな遺伝型 new genetic lineages の新興を推し進めている、との証拠が蓄積されつつある [McMinn PC. Curr Opin Virol. 2012 Apr;2(2):199-205] 。世界中でポリオはほとんど根絶されているが、human enterovirus 71 による大規模感染流行が、過去10年間のアジア太平洋地域の諸国で発生している。主に小児が感染し、手足口病、無菌性髄膜炎、ポリオ様急性弛緩性麻痺、脳幹脳炎や、肺水腫と心肺虚脱を中心とする他の重症全身性障害の原因となっている。重症化の臨床予測指標は、高熱と意識低下 lethargy で、腰椎穿刺で細胞増多 pleocytosis が認められることもある。数々の診断検査があるが、可能であれば、咽頭スワブと水疱内容液の PCR 検査が最も有効である。 MRI 検査で、特に脊髄前角、橋背側、髄質の、はっきりした炎症所見を認めることもある。確立された抗ウイルス治療はない。重症例では、免疫グロブリンの静脈内注射は、おそらく非特異的な抗炎症作用により、有用である可能性もあるが、正式なトライアルが行われたことはない。心不全例では、Milrinone が有効である可能性もある [Lancet Neurol. 2010 Nov; 9(11):1097-1105] ]
関連項目 (02) 20120707.1193413

● ポリオ ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタン
PRO/EDR> Poliomyelitis - Worldwide (05): Nigeria, Pakistan, Afghanistan 20120709.1194958
[1] ナイジェリア Nigeria
 情報源 Leadership、2012年7月9日
2012年初以来、10カ所の州で合計 48 cases of wild polio virus (WPV) が報告されており、発生地域は Kano, Jigawa, Bauchi, Borno, Yobe, Sokoto, Zamfara, Kaduna, Katsina and Niger である ... "48 cases of WPV の発生地域の中に、過去3年間発生がなかったが、隣接する州からの移動する牧民の子ども 1人の感染が確認された Niger が含まれていた ... "
[2] パキスタン Pakistan & アフガニスタン Afghanistan
 情報源 Express Pharma Online、2012年7月9日
世界中で今もポリオが残るたった3カ国のうちの2つ、パキスタンとアフガニスタンからポリオを根絶させるために、十分な接種回数のワクチンを受けられている子どもの数が、あまりにも少なすぎることが、 Online First in The Lancet 掲載の論文 [The effect of mass immunisation campaigns and new oral poliovirus vaccines on the incidence of poliomyelitis in Pakistan and Afghanistan, 2001-11: a retrospective analysis. Lancet2012 Jul 3. [Epub ahead of print] ] で明らかになった。新たに導入された 2価 経口ワクチン the newly introduced bivalent oral poliovirus vaccine (OPV) は、十分な数の子供らに接種できさえすれば、これらの国でポリオを根絶することが可能である。"2011年、 パキスタンとアフガニスタン南部の最も感染が深刻な地域で、3歳未満の小児のおよそ 40% に、最も多い type 1 に対するワクチンが接種されていなかった unprotected " と英国の研究者が説明している。 "接種率が低い原因の1つは、治安が悪い insecurity ためにワクチン接種を受けに来ることができず、some parts of Southern Region in Afghanistan, and Federally Administered Tribal Areas (FATA) in Pakistan で特にその傾向が強く、この地域が、ポリオのない国々 polio-free countries にとっての (ウイルス再導入の) 温床となり、地球上からの根絶 worldwide polio eradication を妨げている" と述べている ...
[3] Polio Eradication Initiative update as of 4 Jul 2012
 情報源 Polio Eradication Initiative、2012年7月4日
Total cases: Year-to-date 2012 / Year-to-date 2011 / Total in 2011*
Globally: 88 / 252 / 650
 - in endemic countries: 84 / 84 / 341
 - in non-endemic countries: 4 / 168 / 309
[Mod. MPP- the Polio Eradication Initiative update statistics にあるとおり、2012年の wild poliovirus (WPV) activity は ナイジェリア、アフガニスタン、パキスタンの the 3 remaining countries endemic for WPV にほぼ限られている。これ以外で唯一の other documented WPV activity が確認されているチャドでは、5月11日を最新の発症日とする 4 WPV type 1 cases が報告されている。2つの記事に掲載された明白な懸念材料として、既知の 3常在国のハイリスク地域で選択的に実施される、経口ポリオワクチン the oral polio vaccine (OPV) の満足なカバー率達成の困難さである。パキスタンおよびナイジェリアでは、西側により意図的にワクチンに異物が混入されている、とのデマにより、住民らからワクチン接種が拒否されていることが報告されている。アフガニスタンとパキスタンでは、特定地域の治安の悪化で、ワクチン接種率が低下している。過去の経験から、常在国で野生株ポリオウイルスの感染循環が継続することで、一旦は感染伝播が断ち切られたものの、その後も定期接種を続けることによる高いカバー率を維持し続けることが困難な国に、WPV が再び導入されてしまう不安が現実のものとなる]

● 百日咳 英国
PRO/EDR> Pertussis - UK (03) 
Archive Number: 20120710.1196457
 情報源 Daily Mail、2012年7月10日
2012年のこの時期までの百日咳 Pertussis の患者数は、2010年同期と比べ10倍多いことが、保健当局 the Health Protection Agency から明らかにされた。これまでに、成人と小児合わせて約 1800人が感染し、最近急激な患者数増加が確認された2008年一年間の2倍近くとなっている
関連項目 UK (02): background 20120608.1161130

● 病原大腸菌 EHEC カナダ O157
PRO/AH/EDR> E. coli EHEC - Canada: (NB), O157, 2nd outbreak 20120710.1196419
 情報源 CBC (Canadian Broadcasting Corporation) News、2012年7月9日
the Fredericton において、 4 例の死亡する可能性もある種類の大腸菌に感染した患者が確認されていることが、保健当局者の話で分かった。この大腸菌 _E. coli_ O157:H7 により、2000年に Walkerton, Ontario で 7人が死亡している。急速に増殖する同菌の感染源については、まだ分かっていない
[Mod.LL- Miramichi での感染流行との関連性については、不明である]
関連項目 Canada (03): (NB) lettuce 20120629.1184946

● 炭疽 ドイツ,タジキスタン,デンマーク(3件)
ドイツ
PRO/AH/EDR> Anthrax - Germany (07): (Berlin) early self treatment 20120710.1196322
 投稿者 独・Bundeswehr Institute of Microbiology、Dr med Dimitrios Frangoulidis, LtCol, MC, MD、2012年7月9日
生存中の3人目の患者 [20120705.1191168] は、ババリア Bavaria の (他の) 2人の患者とは異なっており、敗血症兆候を伴った重篤な組織感染という、新たな臨床分類には該当しない。この 3人目の患者は、広義の症例定義である、ヘロインや薬物の使用者で、痂皮 eschar が認められるもの、が適用された患者で、PCR 法では炭疽菌 _Bacillus anthracis_ が陽性となったが、病院を受診するまでに抗生物質の治療が行われていた --恐らく助かりたいという本能がそうさせたのだろう。

タジキスタン
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - Tajikistan: (KL)
Archive Number: 20120709.1195322
 情報源 Avesta.Tj 、2012年7月5日
タジキスタン Tajikistan 東部で、8人が炭疽 Anthrax 感染の症状で入院となったことが、保健当局者 the Deputy Minister of Health of Tajikistan の話で明らかになった。いずれも Gofilobod village, Kadiob Jamoat of Rogun の住民で、"感染したウシの処分作業による皮膚炭疽" と説明されている。 8 人はそれぞれ Faizabad district と Rogun の病院に入院中だが、いずれも状態は安定している。

デンマーク 
PRO/AH/EDR> Anthrax, human - Denmark (03): fatal conf. heroin case 20120709.1195198
 投稿者 丁 ・ Department of Infectious Diseases、Dr. Soren Thybo, consultant、2012年7月9日
55歳の HCV and HIV positive(C 型肝炎ウイルスおよび HIV 陽性) の薬物注射常用者 IV drug user が 5日、コペンハーゲンCopenhagen の大学病院 the university hospital Rigshospitalet に入院となった。左そけいぶのヘロイン注射部位の、おそらく血管外部分の感染を疑われた。当初、CRP は基準値以下で発熱もなかったが、翌 6日に発熱し敗血症となり、心停止を起こした。直ちに蘇生と気管内挿管を行い、ICU に移動した。左大腿部の腫脹がひどくなり、腹部も著しく膨隆し固くなった。腸蠕動は聴取されなかったが吸引されず (胃内容? no aspirates) 、超音波や CT 検査でも後腹膜腔の高度の浮腫の所見のみで、腹水と思われた部分の穿刺 (排液) を試みたが何も得られなかった (dry)。患者の血圧は低下し、ノルアドレナリンや輸液に十分反応せず、100% の酸素を投与したが血中酸素濃度は上がらなかった。初回に使用された抗生物質は、 meropenem and ciprofloxazine であったが、敗血症の状態は変わらなかった。左下肢の超音波所見では、コンパートメント症候群 compartment syndrome や膿瘍形成は認められなかった。炭疽感染が疑われたため、 clindamycin が追加された。7日の血液培養で、典型的な連鎖状のグラム陽性菌 gram positive bacteria in chains を認め、その後炭疽菌 _Bacillus anthracis_ であることが確かめられた。患者は同日、ショックから回復しないまま死亡した。デンマークで確定診断された case of injection related anthrax の第 1例目となった
関連項目 Denmark (02): NOT 20120624.1179204

● インフルエンザ WHO
PRO/EDR> Influenza (53): WHO update 20120710.1196224
[1] WHO: influenza virus activity in the world
 情報源 WHO, Laboratory confirmed data from the Global Influenza Surveillance and Response System (GISRS)、2012年7月6日
要約
During weeks 24 and 25 in 2012 (10-23 June 2012)、南半球では A(H3N2) viruses を優位とする活動性増加が続いている。北半球では概して低調なままである。南半球の中で、オーストラリアとニュージーランドでは、A(H3N2) が the predominant circulating subtype となっている。アフリカでも着実に活動性が高まっており、ガーナ、南アフリカでは co-circulation of A(H3N2) and influenza B viruses が、マダガスカルでは local outbreaks of A(H3N2) の報告が続いている。 Influenza A(H1N1)pdm09 virus については、ルワンダ Rwanda で低レベルの感染循環が継続している。中南米では A B ウイルスとも感染循環があり、ボリビア (Plurinational State of)、エルサルバドル、パラグアイでは influenza A(H1N1)pdm09 viruses の流行が見られる一方、ブラジルチリでは A(H3N2) が、エクアドルでは influenza B が優位となっている。
[2] WHO: influenza update 63
 情報源 WHO, Surveillance and Monitoring, Influenza updates、2012年7月6日

● 結核 米国
PRO/EDR> Tuberculosis - USA: (FL) fatal, homeless shelter 20120710.1196037
 情報源 The Palm Beach Post、2012年7月8日
CDC 当局からフロリダ州保健当局 Florida health officials に対し、Jacksonville における結核 Tuberculosis の感染流行は、過去20年間で最悪の事例で、13人の死亡99人の発病に関係し、このうち6人が小児であり、何らかの対策が必要であるとして、多大なる注意を促した。4月5日に報告されていたもので、the Department of Health の縮小と 60年以上にわたり困難な結核患者の治療を担ってきた the AG Holley State Hospital in Lantana の閉鎖を決めた法案の署名からちょうど9日後のことだった

● コレラ キューバ(2),アジア・アフリカ(3件)
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2012 (28): Cuba 20120710.1195962
 情報源 Boston Herald, Miami Herald report 、2012年7月10日
キューバ東部で感染が確認されたコレラ患者数は、週末 [7-8 Jul 2012] を挟んで、30人から 85人に急増したが、死者の数は依然として 3人のまま変わっていないことが、保健当局者の話で分かった。しかし、死者の数が 15人に上っているとの情報もある。これとは別に、非公式ながらハバナ Havana で 5人の患者が確認されていると報告されており、東端に近いグアンタナモ Guantanamo の反体制派から、米軍基地の境界にある Caimanera 村でコレラ様患者の発生があったと報告された。最も深刻な被害を受けている Granma province の政府系報道機関は、住民らが地域外への旅行を控えており、トラックの拡声器からくり返し、水の煮沸や手洗いを呼びかけられている様子を伝えている
[Mod.LL- 情報筋により患者数が大きく異なっている。多くのコレラの感染流行において、感染が疑われる患者数に比べて、確定される患者数は比較的少ない。350人の疑い例と"general" diarrhea (普通の下痢) とされる 約 4000人の患者数については、かなりの数の患者がコレラ菌_V. cholerae_感染が原因である可能性がある]

PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2012 (26): Cuba (GR) Havana case 20120709.1194769
 情報源 BBC News, Latin America & Caribbean、2012年7月7日
キューバの首都 ハバナ Havana で 1名のコレラ Cholera 感染が診断されたとの情報を得た。南東部の Manzanillo で珍しい流行が発生し3人が死亡した数日後のことである。 50人以上が感染、約 1000人が医療機関を受診した。
患者の大部分は、ハバナから 750km 以上離れた、南東部 Granma province の患者である。この地域から多数の医療関係者が、2010年の地震の後に数万人のコレラ患者が発生しているハイチで、患者の診療に当たっており,今も続いている ... 
ハバナの医師らは、妊婦や高齢者を中心に、コレラの様な症状がないか注意して診察しており、今回、4日に入院した 60-year-old woman のコレラ感染が確定診断された。最後にコレラ感染流行が報告されたのは、1959年の革命直後のことである。
関連項目 Cuba (GR) possible spread 20120707.1193285

PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2012 (27): Africa, Asia 20120709.1191289
[1] マリ Mali (Gao Region):AllAfrica, International Committee of the Red Cross press release、2012年7月5日
2日以降、 the village of Wabaria(北部 Gao 近郊で the Niger River 川沿い) において、 32 cases of cholera が確認されている ...
[2] ガーナ Ghana (Brong Ahafo):Daily Guide (Ghana) 、2012年7月5日
Atebubu in Brong Ahafo region で少なくとも9人のコレラ感染が確認され、ほか複数の感染があるとみられている。 5月に初めての感染が確認された ...
[3] ウガンダ Uganda
 - (Bududa District):AllAfrica, The New Vision (Uganda) report、2012年7月2日
Bunakasala parish (Bulucheke sub-county in Bududa district) でコレラ感染流行が発生し、6月25日の週に起きた地滑りの上に不幸が重なった形となっている。 3 cholera patients from Bunakasala parish が医療センター Bushika Health Centre を受診した
 - (Kisoro District, Congo DR border):All Africa, The New Vision report、2012年7月2日。
Karambo (near Bunagana border post and Busanza border line at Uganda's border with DR Congo) で、1件のコレラ感染流行が発生した、と当局者 Kisoro District Health Officer が発表した。コンゴ民主共和国からウガンダへの難民流入がピークとなった時期に流行が発生した ... 2月には、(難民) キャンプで赤痢 an outbreak of dysentery が発生している
[4] インド India
 - (Banaskantha district, Gujarat State):Daily News & Analysis (DNA) 、2012年7月5日
Dhanera town of Banaskantha district でこの3-4日間に少なくとも5人がコレラ感染により死亡し、約200人が下痢のような症状を発症した ... 4日当局は、人口約 2万5千人の Dhanera にコレラ感染が発生したと発表した ...
 - (Ahmedabad, Gujarat State):Daily News & Analysis (DNA) 、2012年7月3日。
Ahmedabad 市では、6ヶ月の1ヶ月間に、各病院から 25例のコレラ患者が報告され、1月以来の患者数が45人に達した。 2011年の1年間の総患者数は 57人だった

● 内臓リーシュマニア症 コロンビア
PRO/AH/EDR> Visceral leishmaniasis - Colombia: (HU), alert 20120710.1195692
 情報源 La Nacion [in Spanish]、2012年7月6日
Seven cases of visceral leishmaniasis in Neiva, Colombia
Neiva [Huila Department] で現在発生中のリーシュマニア症 The current outbreak of visceral leishmaniasis は、住民らの環境および社会的条件により変化する、その疾病予防と対策に、世界やラテンアメリカ、政府保健当局の関心が集まっている。districts 8, 9, and 10 でこれまでに小児 7人が感染したが、死者は発生していない。内臓リーシュマニア症は森林で発生する病気であるが、容易に都市の条件に適応する、と WHO のブラジルの専門家が述べた 

● バベシア症、アナプラズマ症 米国
PRO/AH/EDR> Babesiosis, anaplasmosis - USA: (MA) 20120709.1195265
 情報源 Cape Cod Online、2012年7月9日
Cape Codders の住民にとって、ダニからうつる恐ろしい病気は、ライム病だけではない。マサチューセッツ Massachusetts 州内では、2010年から 2011年の間に、バベシア症 Babesiosis やアナプラズマ症 anaplasmosis の患者が 2倍に増え、ライム病のように、the Cape and Islands では (他の) いくつもの病気が発生するホットスポットとなっている。ナンタケット熱 Nantucket fever とも呼ばれる babesiosis は、1970年代までは発生が確認されていなかった。2011年、州公衆衛生当局 the Massachusetts Department of Public Health に確認された患者は 191 cases、このうち 57 in Barnstable County and 46 cases in Dukes and Nantucket counties だった
Confirmed babesiosis cases 2011 .
Total for Massachusetts: 191*
Barnstable County: 57
Dukes and Nantucket counties: 46
.. 過去の発生数など、やや長文です。
[Mod.EP- 指摘されているように Cape Cod and Nantucket Island はバベシア症の高度侵淫 highly endemic 地域である。輸血による感染リスクがよく知られている。アナプラズマ _Anaplasma phagocytophilum_ は、ヒトの顆粒球性アナプラズマ症 granulocytic anaplasmosis (GA) の原因菌で、ダニ _Ixodes_ ticks が媒介する。以前 Anaplasmosis は "human granulocytic ehrlichiosis" と呼ばれていたが、_Ehrlichia_ and _Anaplasma_ は、別の細菌である。免疫状態に問題がないimmunocompetent individuals 場合、 babesia and anaplasma による慢性持続性の感染は考えにくい。慢性感染症を診断するには、感染を示唆する血清検査の結果と、PCR 法による特異的核酸の検出が必要で、バベシア babesia は鏡検陽性の結果も用いられる。鏡検による検査の感度は低い (the least sensitive method) ]

● ラッサ熱 ナイジェリア
PRO/AH/EDR> Lassa fever - Nigeria (07): neglected disease 20120709.1195196
 情報源 The Nigerian Observer、2012年7月9日
全国でこれまでに 855例のラッサ熱患者 Lassa [haemorrhagic] fever の報告があり、このうち 87人が死亡した。恐ろしい病気であるエイズ the dreaded acquired immune deficiency syndrome (AIDS) より致死率が高い、と医療従事者らが注意を呼びかけている ... "もともとは齧歯類が保有するウイルスであったが、1969年に ラッサ Lassa (現在の Borno state 北東部の集落) で初めて確認されてから 2012年 5月までの間に、ナイジェリア国内だけで 86 000 lives が失われている。ナイジェリア、シエラレオネ、ギニア、リベリアの西アフリカ諸国全体で毎年、30万から 50万人がラッサ熱に感染し、5千人以上が死亡している ...
[Mod.CP- Lassa haemorrhagic fever はウイルスによる感染症で、主に多乳房ラット the "multimammate mouse/rat" と呼ばれる齧歯類の_Mastomys natalensis_ により、感染が広がる。ラットの糞や尿に直接触ったり、それらに汚染されたものや食品などからヒトに感染する。 Lassa fever は、ヒトからヒトに感染することもあり、症状として発熱、胸壁下の痛み ? pain behind the chest、咽頭痛、背中の痛み、咳、腹痛、嘔吐、下痢、鼻と口からの出血などがある。 感染患者の中には、聴力障害や振戦、顔面と眼瞼の浮腫、脳浮腫が認められるものもある。妊婦がラッサ熱に感染すると、性器出血や流産を起こすことが多く、死亡する場合もある。西アフリカで発生し、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリアから患者が報告されている。しかし、ラッサ熱を伝播する齧歯類は、他のアフリカ諸国にも生息しており、さらに感染地域が広がる可能性もある。西アフリカの年間の患者数は1 0万から 30万、死者は約 5000人と推定されている。すべての地域で調査が行われているわけではなく、いずれも推計値である。シエラレオネとリベリアの一部の地域では、入院患者の 10から 16% がラッサ熱に感染するとされ、住民に深刻な影響を及ぼしていることがうかがえる。1年を通じて発生が見られるが、1月から 5月までが多い。空気感染する可能性があり、ある条件下で死亡率が高まる可能性もあるため、ラッサウイルスは、category A バイオテロ病原体 (bioterrorism agen) に分類されている。発症時の症状が非特異的でわかりにくいため、早期診断は困難であり、ウイルスの遺伝学的多様性のため RT-PCR assays の信頼性も乏しい。適切な診断ツールがないことが、院内感染を助長するとともに、治療の機会を失わせている (See: Leparc-Goffart I, Emonet SF. Med Trop (Mars). 2011 Dec;71(6):541-5) ]
関連項目 (06) travel alert 20120428.1117076

● 結核 英国
PRO/EDR> Tuberculosis - UK: increasing drug resistance 20120709.1194280
 情報源 Coventry Telegraph、2012年7月7日
the West Midlands において、2011年以来、薬剤耐性結核 tuberculosis (TB) 患者数の増加が続いている。 2011年に診断された結核患者の14人に1人が、少なくとも 1種類の通常使用される薬剤に耐性を示した (菌に感染していた)。複数の薬剤に耐性を示した患者も多数あった。 Coventry は国内でも結核感染率の高い地域の1つである

● 麻疹
PRO/EDR> Measles update 2012 (27) 20120708.1193996
[1] ウクライナ Ukraine:In Ukraine 11 500 people have contracted measles this year
 情報源 UBR [In Russian]、2012年7月7日
保健省 the Ukrainian Ministry of Health, the Sanitary-Epidemiological Service によると、1月1日から7月7日までのウクライナ国内の麻疹感染患者は 11 427 cases of measlesで、5日新たに 37人の感染疑い患者が報告されている。新たな患者の多くは西部 the administrative regions で the Ternopil region の 14人のほか、the Carpathian region 6人と the Ivano-Frankivsk region の 4人だった
[2] パキスタン Pakistan (Mansehra)
 情報源 The International News、2012年7月1日
Torghar district で麻疹感染により 2人が死亡し、ほか多数が治療中である、と 6月30日に保健当局が発表した。麻疹感染が報告されているのは、Daray, Zamlay, Larri and Todum villages で、医療チームが派遣されている
[3] 米国 USA (New Mexico):Health dept investigates measles case
 情報源 ABQ Joutnal、2012年7月3日
ニューメキシコ州保健当局 The New Mexico Department of Health は、1名の麻疹患者と接触のあった、2つの郡 Rio Arriba and Taos counties の接触者の調査を行っている。患者は予防接種を受けていない 9歳の女児で、州内で麻疹感染が確認されたのは、2011年 2月以来だった

● 梅毒 ドイツ
PRO/EDR> Syphilis - Germany: increased incidence, MSM, urban 20120708.1193923
 情報源 The Local、2012年7月1日
ドイツ国内の梅毒患者の数が増加しており、特に都市部の同性愛の男性に多い、と 1日報じられた。この病気は封じ込められものと考えられていたが、新たなデータによると、一昨年に比べ、昨年は 22% 増加したとされている ...
[Mod.ML- 1990年代に一旦低下した梅毒の発生は、2001年にドイツ国内で増加に転じた (ECDC) 。しかし、ドイツ国内での報告義務は、2001年に医師から検査機関 laboratory-based reporting に変更されている]

● デング熱/デング出血熱
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2012 (28) 20120708.1193476
[1] タイ Thailand:National News Bureau of Thailand (NNT) Public Relations Department、2012年 7月3日
公衆衛生省は、17000人を超える患者を報告しており、18人が死亡した。2012年は、小児よりも成人の感染が多い、と当局者 Deputy director-general of the Disease Control Department が説明した。 Amnaj Charoen province では、48歳の女性 1名が、3か所の病院を受診した後に死亡している
[2] プエルトリコ Puero Rico. Jul 2012. 111 cases were reported the 1st week of June and 117 cases the previous week.
[3] メキシコ Mexico (Tuxtepec, Oaxaca state) 4 Jul 2012. [in Spanish] the region has an outbreak of classical dengue fever and DHF outbreak
[4] ホンジュラス Honduras (Choloma, Cortes department) 1 Jun 2012. [in Spanish] From epidemiological weeks 19-24, 9 new cases of DHF have been confirmed in Cortes department [state equivalent], and 7 in Choloma municipality.
[5] ブラジル Brazil in Portuguese
 - (Campinas , Sao Paulo state) 20 Jun 2012. Dengue virus type 4 is circulating in Campinas. 397 cases of the disease this year [2012], or 67 per cent of the total of 694 confirmed cases in the 1st 5 months of this year [2012].
 - (Sao Paulo state interior) 29 Jun 2012. In Aracatuba there are 1136 cases confirmed, in Bauru, 24; Marilia, 36; and in Rio Preto 280 cases and one death.
 - (Santos , Sao Paulo state) 3 Jul 2012. 334 dengue cases
[6] インド India (Thiruvanathapuram , Kerala state) 4 Jul 2012. Nemom block in the district has become the most sensitive region for dengue fever. Out of the 957 cases reported from the district, 300 cases are from the regions coming under this block.
[7] ベトナム Viet Nam (Ho Chi Minh City). 3 Jul 2012. 5月の雨期以降拡大が続く dengue fever in HCM City により、1週間あたり約 250 cases of dengue fever が治療を受けている。6月はじめの数字では、2011年より 9%少ない 6000人に達し、うち 4人が死亡している。

● 大量死、アザラシ オランダ 
PRO/AH/EDR> Die-off, seal - Netherlands: RFI 20120710.1196844
 情報源 The Telegraaf [In Dutch]、2012年7月3 日
Grevelingen では例年に比べて死亡するアザラシの数が多くなっている。通常であれば 5-10頭程度であるところ、すでに 28頭の gray seals の死亡が確認されている。フィンランドでも多数の死亡が確認されている。

● ブルセラ症 ベルギー
PRO/AH/EDR> Brucellosis, porcine - Belgium (02): serovar 2, wild boar, bovine 20120710.1196658
 投稿者 白・Veterinary & Agrochemical Research Center、David Fretin、2012年7月10日
Brucella suis biovar 2 in cattle: Follow up
ベルギーのウシの間で発生した、_Brucella abortus_ によるブルセラ症 Brucellosis 感染流行は、 3月5日に初めて報告され、現在感染拡大を防止するため実施されている、貯蔵ミルク bulk tank milk のスクリーニング検査において、Florennes (Province of Namur) 近郊の 1か所の農場の 1件のサンプルについて、検査陽性 (ELISA positive by the local 1st-line laboratory (ARSIA)) の結果が得られている。続いて、搾乳された全頭 (155) の血清学的検査を行い、(この農場で生まれ育った、妊娠のない) 4歳のウシ 1頭で、ELIZA and sero-agglutination 検査が陽性だった。_Brucella suis biovar 2_ (_B. suis bv2_) が確認された

● 炭疽 カナダ、バイソン(2件)
PRO/AH> Anthrax, bison - Canada (03): (NT) 20120710.1196294
 投稿者 加・Department of Environment & Natural Resources、Terry Armstrong、2012年7月10日
少なくとも 2か所の他の地域 (Caen, 11/28) and the ferry crossing (10 and counting of an estimated 25-30) でも、高い致死率が認められているが、おそらく狭い地域に密集していいる事と関係するのではないか。

PRO/AH/EDR> Anthrax, bison - Canada (02): (NT) 20120709.1194889
[1] 情報源 Edmonton Sun、2012年7月6日
ノーザンテリトリ the Northwest Territories における、20年ぶりの 最悪の炭疽流行 The worst outbreak of killer anthrax spores により、Fort Providence 北西部で 128 wood bison が死亡した ...
[2] 質問事項への回答 7件:加 ・ Government of the NWT、Troy Ellsworth、2012年7月9日
[3] 投稿者 加 ・ Government of the Northwest Territories、Terry Armstrong, PhD、2012年7月8日
関連項目 Canada (NT) 20120706.1192749

● 伝染性サケ貧血 カナダ 
PRO/AH/EDR> Infectious salmon anemia - Canada (04): (NF) 20120709.1194076
 情報源 Metro News, The Canadian Press report、2012年7月7日
Newfoundland and Labrador 当局は、1カ所の養殖場 aquaculture site で発生した、初めての伝染性サケ貧血 1st outbreak of infectious salmon anemia に対応している。これまでにも野生のサケでの発生は確認されていたが、今回の Conne River 付近の養殖場での確認は初めてのことであった

● 犬ジステンパー カナダ、アライグマ
PRO/AH> Canine distemper, wildlife - Canada (03): raccoon 20120708.1193551
 情報源 Winnipeg Free Press、2012年7月6日
Raccoons with canine distemper spotted in city
この 1ヶ月間に、ウィニペグ Winnipeg 全域と郊外 the rural municipality (RM) of Headingley で犬ジステンパー canine distemper の症状のあるアライグマが確認されたとの複数の報告があり、この地域のイヌは、しばらくの間アライグマとの接触を避けることが望ましい

● ポトマック馬熱 米国
PRO/AH> Potomac horse fever, equine - USA (IN) 20120708.1193550
 情報源 Brownfield Ag News、2012年7月6日
Potomac horse fever found in Indiana
細菌性疾患のポトマック馬熱 Potomac horse fever (PHF) が発生するのは、例年なら 7月か 8月になってからであるが、インディアナ Indiana 州で 6月中旬に 1頭のウマの感染が確認され、今夏の感染頭数の増加が懸念されている ...
[Mod.TG- 以前は、equine monocytic ehrlichiosis, or equine ehrlichial colitis と呼ばれており、腸炎や下痢などの消化器症状がよく知られている。原因菌は_Neorickettsia risticii_ で、the Erlichiaea family に属する]