2012年8月2日

原発性アメーバ髄膜脳炎 米国、パキスタン
エボラ出血熱 ウガンダ 、ケニア
狂犬病 ペルー、住民の抗体陽性

● 原発性アメーバ髄膜脳炎 米国、パキスタン
PRO/EDR> Amebic meningoencephalitis, primary - USA (04), Pakistan
Archive Number: 20120802.1226562
米国
[1] 情報源 examiner.com 7月31日
原発性アメーバ髄膜脳炎 Primary Amoebic Meningoencephalitis (PAMA) のため入院中だった小児 Bryan County [Oklahoma] child は、この原虫感染症により死亡したと保健当局が明らかにした。先週 the Red River の水浴中に致死性アメーバに感染したと報じられている。the Sooner State [nickname for the state of Oklahoma]  では過去13年間において6例目の犠牲者となった。
[2] 情報源 newson6.com 7月31日
the Red River で水泳中にかかった病気により小児1名が死亡したと、オクラホマ州保健当局 The Oklahoma State Department of Health が31日に発表した。Bryan County health officials によると、Primary Amoebic Meningoencephalitis (PAM) による最も若い死亡例となった。
パキスタン
[3] 情報源 The Express Tribune 7月31日
The Karachi Water and Sewerage Board (KWSB、上下水道局) は、水道管the board's pipeline system 内の不完全な塩素化がアメーバ _Naegleria fowleri_ による感染症拡大の原因とする、州保健当局 Sindh health department's statements に強く反発している。The Disease Early Warning System により、2023年初からのこの数ヶ月間に5例の死亡が発生し、複数の病院に合計10人が入院したことが確認されている。
[4] 情報源 Dawn.com 7月25日
市内で水系感染するアメーバ髄膜炎 _Naegleria_ meningitis の感染者数が増加し、水道局の業務 the performance of the Karachi Water and Sewerage Board -- the main government agency responsible for the provision of water to the entire population and industries in Karachi -- に注目が集まっている

● エボラ出血熱 ウガンダ 、ケニア(3件)
ウガンダ
PRO/AH/EDR> Ebola hemorrhagic fever - Uganda (07): (KI) 
Archive Number: 20120802.1226036
[1] 情報源 CDC Travel notice、2012年8月1日
ウガンダ保健省 The Ugandan Ministry of Health (MOH) は the Kibaale District of western Uganda において、エボラ出血熱 Ebola hemorrhagic fever 感染流行が発生したことを明らかにしており、7月31日現在の患者数は 38例、死者は16例である。このうち 5例の感染が確定診断されている ... 
[2] 情報源 CNN 、2012年8月2日
Uganda's Ebola outbreak により、新たに 2人の死者が発生したと、1日病院関係者が述べ、合計の死者数が 16人に達した。西部の Kibaale district で発生した感染流行による死者で、このうちの 1人は the district's Nyanswiga village で親族のうちの 9人が死亡した家の 14歳の少年である。2人が死亡したのはコンゴ (民) との国境に近い Kagadi の病院である。約 36人の患者の感染が疑われている ... 今回の感染流行は当初、患者に典型的な症状が認められなかったことから、発生に気づかれないでいた、と 7月29日に保健相が述べた。発熱と嘔吐があったものの、出血などの典型的症状が認められず、感染初期の症状が他の疾患にも見られる眼の充血や皮膚の発疹などであるため、診断は困難であると説明されている。 Ebola hemorrhagic fever, Sudan strain が確認されたことを受け、7月28日に保健省は流行 the outbreak in Kibaale district 発生を宣言した
関連項目 (06): (KI) 20120801.1224404

PRO/AH/EDR> Ebola hemorrhagic fever - Uganda (08): (NT) susp. cases 20120802.1226459
 情報源 The Monitor、2012年8月2日
Strange disease kills 5 people in Ntungamo, 7 hospitalised
Kibutamo Village(in Kitwe Town Council, Ntungamo District)において2週間に合計 5名が原因不明の疾患により死亡し、ほか 7人が入院した。 Kamwenge の 22歳の警備員が 17日に死亡し; 近所に住む 45歳が 3日後に死亡した。この村の住民であった 93歳、42歳、21歳 が相次いで死亡している。村の管理者は、地区保健当局者 Ntungamo district health officials に対し、患者らは嘔吐、頭痛、高熱を訴えていたと話しており、当局者はエボラを否定できないとして、患者からの検体をウイルス研究所 the Virus Research Centre at Entebbe に送付した。"検査結果が出るまで Ebola を否定することはできないが、我々の知るエボラの症状と今回の症状は異なっている," と医師が述べた。同じ症状のあるほか 7人が Kitwe Health Centre に入院となっている。 Kibaale District で発生したエボラ出血熱の死亡者のうち、これまでに 2人が Kanungu District に埋葬されている。女きょうだいを見舞った男性 1名が感染により死亡し、7月28日に Kabimbiri, Kanungu に埋葬されたほか、Kibale で死亡した女性の遺体が Nkunda Village in Nyanga Sub-county に移送され、埋葬されている。先週 Kibaale District で流行が発生して以来、西部地域と Kampala では 30人以上のエボラ患者が確認されている。

ケニア
PRO/AH/EDR> Ebola hemorrhagic fever - Kenya: (SI) susp. 20120802.1226038
 情報源 Capitalfm News、2012年8月1日
27歳の男性がエボラ出血熱ウイルスとみられる症状で入院となったことで Siaya の住民の間に不安が広がっている。歯肉からの大量出血のあったこの男性は1日の入院後直ちに Siaya District Hospital の隔離病棟に収用された。男性には血尿も認められ、出血熱に関係する症状である、と医師は説明した。男性の血液検体は、Siaya にあるケニア医学研究所 the Kenya Medical Research Institute に送付されており、早ければ 3日に結果が判明する予定である。7月30日政府当局は、エボラ感染流行発生中のウガンダとの国境にある、 Western, Nyanza and the Rift valley の当局 Provincial Directors of Health and District Medical Officers に厳戒態勢を指示している

● C 型肝炎 米国
PRO/EDR> Hepatitis C - USA (10): (NH) alert extended to GA Georgia 20120802.1226398
 情報源 GPB News, Associated Press report、2012年8月1日
Med Tech Accused In Hepatitis Outbreak
ジョージア Georgia 州のある病院は、一時期同院で勤務したことがあり、New Hampshire 州の C 型肝炎 Hepatitis C 感染流行の原因とされている、転職を重ねた医療技師 a traveling medical technician に治療を受けた患者との連絡を急いでいる。この 33歳の技師は、 Exeter Hospital [New Hampshire] の心臓カテーテル検査室から麻酔薬を盗み出し、患者に使用する注射器を汚染したとして罪を問われている

● インフルエンザ 米国 A/(H3N2)v 
PRO/AH/EDR> Influenza (61): USA (HI) A/(H3N2)v, pig worker 20120802.1225864
 情報源 Honolulu Star Advertiser、2012年8月1日
ブタとの接触のある仕事に関わるマウイ Maui 島の住民 1名が、この 1年間に米国本土の 6カ所の州だけしか確認されていない珍しい豚インフルエンザに感染した、ハワイ州初の患者 Hawaii's 1st confirmed case と確認されたことが、31日当局 the state Health Department により明らかにされた。農業当局は、島内の複数のブタの群れ? a "couple" of pig herds で、鼻のスワブ検査を行い、the H3N2v virus の確認を行う計画である。 the Centers for Disease Control and Prevention によると、2011年8月以降、本土で確認された the H3N2v virus の患者はわずか 17人である 

● ロッキー山紅斑熱 米国
PRO/AH/EDR> Rocky Mountain spotted fever - USA (05): (TN) increase 20120802.1225293
 情報源 Nashville Public Radio、2012年7月30日
ダニ媒介性 tick-borne のロッキー山紅斑熱 Rocky Mountain spotted fever が、テネシー [Tennessee] 州全域で発生し、2011年の発生を大きく上回っている。州保健当局 The Tennessee Health Department は 7月の時点で 304 cases を報告しており、2011年の 1年間の報告数 255 known cases を超えている。ダニは吸血後自ら離れていくため、小児では、感染があってもダニを発見できないことがある。専門家は、穏やかな冬と早期に春が訪れたことによるダニの生息数の増加と、疾患発生の増加が関係するとみている。
写真 the American dog tick (_Dermacentor variabilis_), Rocky Mountain wood tick (_Dermacentor andersoni_), and brown dog tick (_Rhipicephalus sanguineus_)

● レジオネラ症 英国
PRO/EDR> Legionellosis - UK (12): (England) fatal, hot tub implicated 20120802.1225198
 情報源 Center for Infectious Disease Research & Policy (CIDRAP) 、2012年7月31日
Stoke-on-Trent , England で 19人が感染したレジオネラ肺炎 Legionnaires' disease の原因は wholesale store のホットタブ hot tub であることが明らかになった。調査担当者らにより、JTF Warehouse in the Fenton area of Stoke-on-Trent に置かれた、1台の温水浴槽 hot tub から、まれな型のレジオネラ菌 an "unusual strain" of _Legionella_ bacteria が検出されたと 30日当局 the UK Health Protection Agency (HPA) が発表した。当局の医師 HPA regional director によれば: "the hot tub and the patients の細菌の DNA fingerprinting of samples から、これまでに確認されたことがない、同じレジオネラ菌 the same previously unseen strain of _Legionella_ によるとの証拠を得た" とされている。 30日までに確認されている 18人の患者中 17 人が、同店を訪れていた。18人の中には、30日に確定診断された 2例も含まれており、31日にもさらに 1例が確定診断されている ... 
関連項目 (11): (England) more cases, fatal, RFI 20120728.1218773

● チクングニア熱 ブータン、フランス コンゴ(民)から(2件)
ブータン
PRO/EDR> Chikungunya (10): Bhutan 20120802.1225145
 情報源 Kuensel、2012年8月1日
Phuentsholing and Samtse から 17件の血液検体が、チクングニア熱 chikungunya の検査のため公衆衛生研究所に送付された。30日、初めの 3検体中 1検体が陽性となった。国内で初めての、この蚊族媒介性ウイルス性疾患の確認となった。 9 検体は Phuentsholing から、残りは Samtse の検体である。これらの感染が疑われる患者の居住地は、インド West Bengal, India に隣接する地域である。 "It's the 1st positive case of chikungunya [virus infection] reported in the country," と述べられている

フランス
PRO/EDR> Chikungunya (09): France ex Africa (DRC) 20120802.1225107
 投稿者 Violaine Gauthier、2012年8月1日
2012年初から、コンゴ民主共和国 the Democratic Republic of Congo (DRC) からの 2例のチクングニア熱輸入感染例 chikungunya cases imported が、the French Reference Laboratory, IRBA Marseille で確認されている。1人目はキンシャサ Kinshasa , DRC [Democratic Republic of the Congo] の住民で、6月1日に発症 (発熱、頭痛、関節痛) し、同 3日にフランスに到着し、同 10日に Laveran military teaching hospital in Marseille (South of France) を、関節痛の訴えで受診した。ELISA tests では、both IgM and IgG anti-chikungunya ともに、わずかに陽性 unambiguously positive の結果だった。

● 狂犬病 ペルー

PRO/AH/EDR> Rabies - Peru (03) 20120802.1226037
 情報源 My Healthnews Daily、2012年8月1日
the Amazon jungle の辺境地の住民らが、狂犬病 Rabies ウイルスに対する抗体を保有していることが新たな研究でわかった。これまで、ワクチンの接種以外にこの致死性ウイルスに対する予防法はないと考えられていた。ペルーで 63人から血液検体を採取したところ、このうち 7人から狂犬病感染を防ぐと考えられる抗体が見つかった。7人のうちの 1人は狂犬病のワクチンを接種されたことがあったが、ほかの 6人については医学的に解明できない謎となっている。 the CDC's National Center for Emerging and Zoonotic Infectious Disease の研究者らは、どのようにして抗体が産生されたかについての解明を急いでいる ... 
ペルー国内のこの地域は(狂犬病に感染した) 吸血コウモリの生息地で、その歯があまりに鋭く咬み傷が小さいため、咬傷を受けてもヒトが気づかないこともある。研究者らは、重篤な中枢神経症状を来さない、ごくわずかの量のウイルスが体内に入ったことで免疫が成立したのではないか、との仮説を立てている。ウイルスが体内に侵入したものの、増殖する前に死滅するような "abortive infections 不成立感染" の結果として抗体が産生されたとの見方を示している ... 別の仮説として、抗体を保有する人々は、遺伝学的に特別強力な免疫システムを有していた、または、研究対象以外の異なる狂犬病ウイルスに暴露していたことが考えられている ...
[Mod.TY- 先住民の間で狂犬病ウイルスに対する抗体が確認されたことは驚きである。 The CDC rabies laboratory は非常に優秀であり、今回の報告は信頼してよいと考えられる。このほかにも、米国南東部の無症状のアライグマで、比較的高い抗狂犬病抗体保有率が認められており、中枢神経系には感染が及ばず発症や死亡を伴わないウイルス増殖が起こっていたことが示唆されている。 the Amazon Basin の狂犬病常在地域のヒトの間で抗体が確認されたのは初めてである。この地域の general area では、吸血コウモリ vampire bat (_Desmodus rotundus_) からの狂犬病ウイルス感染により多数の死者が発生している (20120525.1144114)。抗体反応が誘導された狂犬病ウイルスの、生物学的 ・ 遺伝学的特性の比較に関心が持たれるが、このかなりの辺境地でウイルスが分離できたとしても、感染を確認することはきわめて困難であろうと思われる]

● 丹毒、ジャコウウシ カナダ
PRO/AH/EDR> Erysipelas, muskox - Canada: (NWT) 20120802.1226348
 情報源 CBCNews 、2012年7月28日
Disease outbreak in Banks Island muskox
丹毒 outbreak of erysipelas により North Western Territory で100頭を超えるジャコウウシ muskox が死亡した。野生動物当局の初期検査結果から、丹毒の原因菌が死亡原因と見られている。この疾患は、典型的にはブタなどの家畜で認められることが多い。 muskox in the NWT で確認されたのは、今回が初めての事例である

● 流行性出血病,シカ科 米国
PRO/AH/EDR> Epizootic hemorrhagic disease, cervids - USA (03): (MI) 20120802.1225943
[1] 情報源 Michigan Dept. of Natural Resources News Release 、2012年7月31日
伝染性出血性疾患 Epizootic hemorrhagic disease (EHD) が Ionia 東部および Branch 北部 (counties) で確認されている、と 31日当局 the Department of Natural Resources Wildlife Disease Lab and the Michigan State University Diagnostic Center for Population and Animal Health が発表した。野生の反芻動物で発見される、死亡することの多いウイルスによるこの疾患により、シカ科の動物は体内の広い範囲で出血を起こす。biting fly の仲間のヌカカ midge の 1種が感染を伝播する ...
[2] 情報源 MLive, The Kalamazoo Gazette、2012年8月1日
伝染性出血性疾患 EHD, Epizootic hemorrhagic disease によるシカ 1頭の死亡が確認されことを受け、住民 Branch County residents に対し、所有地内でシカの死体を発見した場合は、当局 the Michigan Department of Natural Resources' Crane Pond field office に通報するよう呼びかけられている。31日の当局の発表によると、少なくとも 2頭のシカ -- one in northern Branch County, another in Ionia County -- が、 biting flies により感染が広がるこの病気で死亡したことが確認されている

● ボツリヌス症 米国、鳥類
PRO/AH/EDR> Botulism, avian - USA (04): (CA) waterfowl, susp. 20120802.1225667
 情報源 LagunaNigelPatch、2012年7月26日
Laguna Niguel Regional Lake で、さらに多数の死亡したり弱ったりした鳥類が捕獲され、ボツリヌス症 possible avian botulism の検査が行われることになっている 

● イネの病気、根こぶ病 インド
PRO/PL> Root knot, rice - India: north, emerging disease 20120802.1225341
 情報源 MVO News、2012年7月25日
近年、インド北部でイネの根こぶ病 rice root knot が発生し、水田のイネや陸稲の深刻な問題となっている。特定の症状が現れるのが、土の下の根の部分であるため、農家が (根こぶ病であると) 気づくことは難しく、間違った対応が行われている。Root-knot of rice の原因は、線虫 nematode (_Meloidogyne graminicola_) である