2012年9月20日

マラリア-ギリシャ 温帯気候型 P. vivax 最大8-9か月、ケニア 新たな蚊族
新型コロナウイルス-サウジアラビア ヒトからの分離株

● マラリア-ギリシャ、ケニア
ギリシャ
PRO/EDR> Malaria, P. vivax - Greece (03) 20120920.1302970
[1] Malaria in Greece - Travelers' Health - CDC
 情報源 ProMED-mail HealthMaps、 2012年9月17日。
8月5日現在、ギリシャ ・ the Attica and Laconia regions から 8例のマラリア感染が報告されている。患者が発生したのは、 Marathon, Markopoulo, and Evrotas で、アテネ Athens からの報告はない。保健当局 The Hellenic (Greek) CDC and the European CDC は、改めてマラリア感染例の調査を行っている。感染の発生があった地域では、蚊族駆除対策が強化され、市民への啓蒙活動も行われている。
[2] 情報源 ECDC、2012年9月15日。
6月以降、ギリシャ Greece 国内で 8例の _Plasmodium vivax_ infection による autochthonous cases of malaria が確認されている。 national guidelines に則った対策が実施されている。
[3] 情報源 ECDC、2012年9月7日。
6月22日、ギリシャ保健当局 the Hellenic Centre for Disease Prevention and Control (KEELPNO) が、 the Marathon area in the Attica region, Greece からの、第 1例目のマラリア国内感染例 the 1st locally acquired case of _Plasmodium vivax_ (_P. vivax_) malaria を報告し、2012年9月3日時点で KEELPNO は 50例の感染を報告している。42 例はマラリア常在国からの移民であることが判明し imported cases に分類されたが、8 例国内感染 locally acquired によるもので、4例が the municipality of Evrotas, Laconia 、残る 4 例は the department of East Attica in the Marathon area (2) and in Markopoulo (2) から報告された。いずれの検体も三日熱マラリア原虫 _P. vivax_ であることが確認されている。 
2011年にギリシャ国内において報告された、マラリア常在国への渡航歴のない三日熱マラリア患者は、5つの地域、すなわち Laconia (34), Attica (2), Evvoia (2), Viotia (1) and Larisa (1) からの 40例であった。the area of Evrotas, Laconia において、27人の住民および非常在国からの移民 7人の小集積 A cluster が確認されたことに加え、Lakonia では 23人の常在国からの移民農場労働者での三日熱マラリア感染も報告されている ... ECDC's risk assessment では、この地域は農業地区であり観光地ではないことから、旅行者への感染リスクは低いと見られている。今回のイベントに関係して欧州内にマラリア感染伝播がさらに広がる危険性も、現時点では低いとされている。 ECDC, EuroTravNet, and WHO は、the Laconia region の農業地域への旅行者に対し、マラリアの予防内服 chemoprophylaxis は推奨していない。蚊族刺咬に対する標準的な予防策の勧告は継続されている ...
[Mod.EP- _P. vivax_ は、温帯気候型 a temperate climate variant と熱帯気候型 a tropical climate variant があり、The temperate climate _P. vivax_ variant の潜伏期間は 8-9 ヶ月に及ぶ。ギリシャの現状を理解するためには、 the _P. vivax_ isolates が the temperate variant (long incubation period type) なのか tropical _P. vivax_ variant (short incubation type) を知り、患者らの感染時期が 2011 or 2012 を確かめる必要がある]

ケニア
PRO/EDR> Malaria - Kenya: new Anopheles mosquito 20120920.1302867
 情報源 The Independent、2012年9月16日。
アフリカで、新たな種類と見られる蚊族が研究者らにより発見され、マラリア (を伝播すること) により多数の死者を発生させることが恐れられている。これまで知られていなかったこの種の蚊族が、最も死者が多い (病気である) マラリアに対する全世界での対策に、深刻な負の影響をもたらせるかもしれない、と研究者は述べている。この蚊族は、一般的な蚊族とは異なる行動を取る点が懸念されている。蚊族の刺咬を原因とし、すでに 100万人近い死者が発生しているマラリアは、産卵サイクルの中で吸血行動が行われる夜間に、メスの蚊族の刺咬から身を守るための蚊帳がなければ、さらに多くの死者が発生するものと考えられている。殺虫剤処理が行われた蚊帳の中で寝ることにより、過去 12年間で約 100万人が死を免れたとみられている。
しかしながら、この新たなタイプの蚊族は夜間以外にも吸血し、夕方の早い時間の野外活動中にもヒトを襲う。さらに研究者らを悩ませているのは、これまでに見つかっているどの蚊族とも the DNA of the new species が一致しないことである。 研究に関わった、the London School of Hygiene and Tropical Medicine の研究者は "われわれは、マラリアに感染したものも含めて多数の蚊族を捕獲したが、other known malaria mosquitoes との肉眼的な類似点が見出せなかった did not physically resemble 。これまでに知られている アフリカのマラリアを伝播するどの蚊族とも異なる DNA differed from sequences だった" と説明した。この蚊族は、ケニア西部の高地にある村 a village に設置された屋内外トラップ outdoor and indoor traps の中から発見された。今回の研究で確認された主な相違点は、この種の蚊族の 70%が、通常住民らが家に入る時刻である午後10時半より前に、屋外で捕獲された、という点である、と述べた ...
原著 Novel vectors of malaria parasites in the Western highlands of Kenya. Emerg Infect Dis. 2012;18:1547-9.
[Mod.EP- 英・Centre for Neglected Tropical Diseases Professor of Tropical Health Sciences Liverpool School of Tropical Medicine センター長 Professor Moses Bockarie のコメント; 
"アフリカでは、全てのマラリア蚊 all malaria carrying mosquitoes が、屋内・屋外いずれでもヒトを刺咬し、(吸血する) 対象を探すのはどの種も日没 dusk 前後である。蚊族刺咬の最も重要なリスクファクターは、家屋の性状 housing characteristics とヒトの行動である。the malaria parasite を伝播するのは female mosquitoes だけで、交尾 copulation の後の卵の成長に血液 a blood meal が必要とされる。ヒト以外に代わりとなる供血宿主 alternative non-human hosts がいない場合、吸血のため、屋外・屋内にかかわらず、ヒトを刺咬する。蚊帳や網戸のある家 under bednets and screening houses で寝ることなど、ヒトと蚊族の接点を最小化する行動が、マラリア感染リスクの低減に非常に重要である。われわれが最も注意しなければならない The "new" mosquitoes とは、吸血後に屋外に留まることを好む the species or genetic strains である。 こういった種類の蚊族は、蚊帳や家屋の内壁との接触を必要とする介入策の効果が薄いと考えられるからである。その上、蚊族の個体数が増加するにつれ、蚊帳の処理に使用されている殺虫剤 the insecticides への抵抗性が獲得されつつある" ]

● ポリオ-世界各国 (08) VDPV
PRO/EDR> Poliomyelitis - worldwide (08): VDPV 20120920.1302548
Update on Vaccine-Derived Polioviruses -- Worldwide, April 2011-June 2012
 情報源 Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR); 21 Sep 2012/61(37);741-746、2012年9月20日。
... ワクチン由来のポリオウイルス vaccine-derived polioviruses (VDPVs) により、ワクチン接種率の低い low OPV coverage 地域で流行 polio outbreaks が発生したり、免疫不全患者の体内で数年間ウイルス増殖が続く可能性がある。今回、 previous surveillance summaries (2,3) の情報を更新し、during April 2011-June 2012 の世界の VDPVs 発生状況を報告する。.2011年のイエメンでの a new outbreak of circulating VDPVs (cVDPVs) ; 以前に報告されていた VDPV isolate と関連性のある、a 2nd VDPV isolate によるモザンビークでの感染流行の確認; マダガスカルでの VDPV circulation 再興。 2008年に始まったソマリアでの感染流行は、2011年12月まで続き、ナイジェリア Nigeria とコンゴ (民) the Democratic Republic of the Congo (DRC) では、それぞれ 2005 and 2008年の発生後、2012年まで感染が継続している。 ニジェールでは 2011年、ナイジェリアからの a new cVDPV importation が発生した。 6 middle-income countries で 12人からの免疫不全による immunodeficiency -associated VDPVs (iVDPVs) の排泄が、また、13カ国において健康人および自然環境中からの VDPVs 検出が確認されている。VDPV emergence and spread を防止するためには、 all 3 poliovirus serotypes に対するポリオワクチンの接種率を高く維持すること; all WPV transmission が中断された時点で、世界中の OPV use を中止することである

● 新型コロナウイルス-サウジアラビア ヒトからの分離株
PRO/EDR> Novel coronavirus - Saudi Arabia: human isolate 20120920.1302733
 投稿者 サウジアラビア ・ Dr Fakeeh hospital 、Ali Mohamed Zaki、2012年9月15日。
新型のヒト・コロナウイルス A new human coronavirus が、肺炎患者 1名から分離された。急性腎不全を伴った肺炎の、60歳の男性患者の喀痰から分離されたこのウイルスは、Vero cells and LLC-MK2 cells で速やかに増殖し、CPE in the form of rounding and syncetia formation を産生した。当初行われた influenza virus A, influenza virus B, parainfluenza virus, enterovirus and adenovirus の検査はいずれも陰性で、パンコロナウイルス a pancoronavirus RT-PCR を用いた検査で、コロナウイルスに相当する分子重量 molecular weight appropriate for a coronavirus のバンドが形成された。 The virus RNA については、オランダの Dr. Ron Fouchier's laboratory でも検査が行われ、a new member of the beta group of corononaviruses で、コウモリ ・ コロナウイルス bat coronaviruses に近い関係にあることが確かめられた

● ウエストナイルウイルス-ベルギー ギリシャから
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Eurasia (09): Belgium ex Greece 20120920.1302392
 投稿者 白 ・ Institute of Tropical Medicine、Dr L Cnops、2012年9月20日。
ギリシャから帰国したベルギー人旅行者のウエストナイルウイルス感染例  the 1st laboratory confirmed case of WNV [West Nile virus] encephalitis について報告する。Kavala in Macedonia (Greece) を旅行した、73歳のベルギー人女性で、発熱と神経学的症状を発症した。第 9病日の血清検体の ELISA 検査で、抗 IgM 抗体 (against WNV) が確認され、 IgG 抗体は陰性だった。8月30日、患者はブリュッセル Brussels (Belgium) に移送となった ... 搬送時には昏睡状態であり、現在も改善は見られていない。

● シュマーレンベルグウイルス-スイス
PRO/AH/EDR> Schmallenberg virus - Europe (59): Switzerland, clarification 20120920.1303029
 投稿者 スイス ・ The Federal Veterinary Office、Nathalie Rochat、2012年9月19日。
スイス国内でこれまでにウイルスが確認されているのは、ウシとヤギのみで、蚊族からは確認されていない。
[Mod.AS- 20120914.1294622 に、このような標高の高いところにまで感染が拡大するのは、熱帯の蚊族が (ウイルスを) 伝播することから考えると、きわめて異例、との記載があった。これに対する The ProMED-mail moderator comment として: " "tropical mosquitoes" の表現ははっきりさせなければならない。現在まで SBV の確認はヌカカ midges (_Culicoides_) に限られてきた。しかし、昆虫学的側面からこの疾患を考えるとき、さらに詳しい研究が必要であることは間違いない"]
 
● ランピースキン病-イスラエル OIE
PRO/AH/EDR> Lumpy skin disease, bovine - Israel (07): (GO) update, OIE 20120920.1302969
Lumpy skin disease, Israel、Follow-up report No. 3
 情報源 OIE WAHID Interface Vol. 25 - No. 38,2012年9月20日。
感染開始時期 2012年 7月1日
前回流行時期 2007年11月
原因ウイルス Lumpy skin disease virus
新たな感染流行 2件
発生地 Dalawe [blue circle on the attached map]
および Ghajar [red circle on the attached map], Golan, Hazafon: Village
感染した種/ 頭数 / 症例数 / 死亡 / 廃棄 / 処分
ウシ Cattle / 750 / 28 / 0 / 0 / 0

● 東部ウマ脳炎、ウエストナイルウイルス-米国 ウマ
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis, West Nile virus - USA: equine 20120920.1301319
New equine EEE, WNV cases confirmed across country
 情報源 The Horse、2012年9月18日。
夏の峠を越えつつある Summer might be winding down 地域も一部に見られるものの、eastern equine encephalitis (EEE) or West Nile virus (WNV) と確定診断されるウマの頭数は増加の一途である。 California, Kentucky, and Vermont 各州の動物衛生当局は揃って、先週の発生状況を報告した

● コーヒーの病気、New leaf rust strain-中米
PRO/PL> New leaf rust strain, coffee - Central America: update 20120920.1301244
[1] エルサルバドル El Salvador: Warning of major outbreak of coffee rust in El Salvador
 情報源 Prensa Latina [in Spanish]、2012年9月18日。
農業協会 The Agricultural Suppliers Association (APA) of El Salvador は本日[18日] 、国内のコーヒー栽培地域における、感染流行 a major outbreak of rust への注意を呼びかけた。周辺のグアテマラおよびホンジュラスでも、同じ状況が報告されている。全国の感染率は約 30 percent だが、一部では 60%に及ぶ地域もあり、特に西部および北部地域で最も深刻な影響が報告されている ...
[2] ホンジュラス Honduras coffee fungus outbreak could dent exports
 情報源 Business Recorder, Reuters report、2012年9月15日。
中米最大のコーヒー生産国であるホンジュラスで、 an outbreak of leaf rust が発生し、 the 2012/2013 harvest の減少が懸念されている

● 鳥インフルエンザ-ベトナム H5N1
PRO/AH/EDR> Avian influenza (56): Viet Nam, H5N1, spread 20120920.1300398
 情報源 Viet Nam News (VNS)、2012年9月19日。
高病原性で新たな変異が認められたA highly-virulent, newly-mutated 鳥インフルエンザウイルス bird flu H5N1 strain の感染が、ベトナム国内の北部から南部に恐ろしい勢い at a menacing pace で拡大しつつあるとの懸念が、動物衛生 Animal Health Department 当局から示された。同ウイルスによる感染流行 the outbreak of this strain は 7月に開始し、これまでに北部の 7 northern provinces に加え、中央部の the central province of Quang Ngai に広がっている ... 生きた家禽を北部から南部へ移動しなければならない場合、 the central provinces of Quang Ngai or Kon Tum を経由しない措置が取られることとなった。国境を越えてベトナムに持ち込まれる、違法な商取引 illegal poultry imports への監視も強化される。.さらに、発生地域では vaccination and disinfection activities が強化される。
関連項目 20120909.1287382