2012年12月11日

狂犬病-中国 イヌ(ペット)、ヒト(死亡)
◎ 新種コロナウイルス-中東 レセプターの特徴

● 狂犬病-中国 イヌ、ヒト
PRO/AH/EDR> Rabies - China (04): Beijing, canine, human
Archive Number: 20121211.1446899
 情報源 Global Times、2012年12月10日
Rabies deaths double, lack of effective vaccination to blame

今年 [2012年]、13人の北京 Beijing 市民が狂犬病 Rabies で死亡し、2011年の 2倍を超えた。13人の死者の多くが、野犬ではなくペットのイヌの咬傷によるものだったことが、10日、 the Beijing Centers for Diseases Control and Prevention (CDC) の情報で明らかになった。2011年の狂犬病による死者はわずか 5人であった。13人の患者のうち、12人は咬傷後にワクチンを接種されていなかった。13人目の死者は、ワクチン接種の完了前に死亡した ... 愛犬協会 Beijing Kennel Club のコンサルタントは、たとえワクチンを接種されたイヌであっても、飼い主がかまれた場合は、ワクチンの接種について医療機関に相談した方がよい、と述べた: " 警察 the police station に登録されたイヌであれば無料でワクチン接種を受けられるが、飼い主の一部は費用 [登録のための ?] 1000 yuan (USD 160) がかかるため、これを行わず "、 " 何年も前から住民らに登録を呼びかけているが、成果は上がっていない " と説明した。" 米国内のワクチン接種カバー率はおよそ 80%だが、中国では take-up がわずか 20% しかない " という。中国政府当局 The Chinese government は、狂犬病予防に効果があることが確かめられているワクチンの輸入許可を、認可した病院 [獣医院 ?] だけに制限している。北京市は将来、ペットのイヌに対する、無料のワクチン接種を義務化する計画がある ...
関連項目 20120712.1199452

◎ 新種コロナウイルス-中東 レセプターの特徴
PRO/AH/EDR> Novel coronavirus - Eastern Mediterranean (04): receptor charact. 20121211.1446670
 情報源 Winnipeg Free Press, The Canadian Press report、2012年12月10日。
新たな研究により、中東で感染が発生している SARS に似た新種のコロナウイルス the new SARS-like coronavirus は、検査室での検査で通常と異なる反応を示す behaves unusually in laboratory testing ことが明らかにされた。この予想されていなかったウイルスの反応 The unexpected behaviour of the virus により、これまでの感染拡大パターンが説明できるかもしれない [Reference and Abstract reproduced below.]。
要約すると、この新種のコロナウイルスが、ヒト、ブタ、種々のコウモリなど、様々な動物の細胞で生育 (培養) 可能であることを、著者のウイルス学者は同ウイルスを無差別 promiscuous という用語を用いて表現した。これまでに知られている他のコロナウイルスでは、このような現象は見られず、通常は感染する (動物) 種の細胞だけでしか生育できない、と独 ・ ボン医科大学 the University of Bonn Medical Center ウイルス研究所長が述べた。オランダの virologist Ron Fouchier もこのような所見に驚いている。 "a (corona)virus がこれほど幅広い細胞宿主 such a broad cellular host range を持つのは異例である" と Fouchier, a senior scientist with Erasmus Medical Centre in Rotterdam は述べた。このウイルスは hCoV-EMC, human coronavirus Erasmus Medical Centre [EMC] の略名で呼ばれている。Fouchier's lab が初めて遺伝自然塩基配列の解読 sequence the full genetic code of the new virus に成功した。4月以降これまでに、少なくとも 9 people が感染したとされ、ヨルダン、サウジアラビアおよびカタールから患者が報告されている。感染した患者のうち 5人が死亡している。今回の研究において、この新種のウイルスが、同じコロナウイルスである SARS の原因ウイルスと、同じ細胞レセプター the same cell receptor に接着するかどうかが注目された。新種のウイルスがどの細胞に接着 latches onto するかを知ることにより、ウイルスがもたらせるリスク評価を行うことができる。たとえば the SARS coronavirus はヒトの肺の奥にあるレセプターに接着 attached to receptors することがわかっている。このことは、ヒトは多量のウイルス量 a large dose of the virus に暴露しなければ発病しないことを意味する。なぜ 多くの [the] SARS [coronavirus] の感染患者があれほど重症化したのかの説明にもつながる; SARS はおよそ 11% の感染患者を死亡させた。しかし同時に、(肺の奥に感染しなければならないことにより ) 容易にヒトからヒトに感染することが制限され、 the 2003 outbreak が最終的には終息したことの一助となった。
The EMC coronavirus のレセプターは SARS とは異なっていることが確認された。the journal mBio に掲載された論文の執筆時点では、the EMC virus のレセプターは同定されていなかったが、コウモリ 5 different species of bats、ブタ、ヒト由来の細胞のいずれにおいても生育する可能性 it will grow in cells が示された。これは "コロナウイルスとしてはきわめて珍しい absolutely unique " と記されている。コロナウイルスが(種の壁を越えて) 新たな種に感染した場合、科学がこれを発見するまでに、ウイルスは種に適応してしまっている。SARS がよい例である。the SARS virus は、コウモリに感染するのと同じ種類のコロナウイルス a similar coronavirus 由来と考えられている。しかし、the SARS coronavirus をコウモリの細胞に感染させようとしても、うまくいかない。感染する種が替わることで、ウイルスも変化してしまう the virus moved on と説明されている。 " コロナウイルスに関して常に言えることは、ヒトにおいてウイルス感染が確認されたらすぐに、どこから来たのか (を探し求めること) は実際には無駄である、ということである。問題はそこにあり、ウイルス感染が起きているのはヒトなのである "。(他のコロナウイルスには当てはまる ) この論理 paradigm を前提としたときに、この秋の新たなヒトでの新種ウイルスの感染の発生によって、専門家らは頭を悩ませている。彼らは、(ウイルスが) 動物の保有宿主も保持したまま、ヒトからヒトへの感染伝播が拡大し、(感染した患者のうち) 軽症例は気づかれることなく、重症例だけが発見されている可能性を恐れている。しかし、少なくとも実験室では、ウイルスが、複数の種に感染する能力を保有するとみられることから、地理的 ・ 時間的に乖離した感染パターンの原因は、動物からの感染によるもので、ヒトからヒトへの感染伝播ではないことが示唆される。
いろいろな点で、より安心な考え a more reassuring idea といえるが、一方でそうではない面もある。もしウイルスがいろいろな動物に感染することが可能であった場合、今後も周期的なヒトへの種を超えた感染が続き、封じ込めの努力の障害となる。たとえば中東の家畜に the EMC coronavirus の感染が拡がれば、これからもヒトへの暴露が続くと考えられる。" これらのデータを合わせて考えると、より感染が制限されていた the SARS coronavirus のようなウイルスというよりは、人獣共通感染症の潜在性を秘めたウイルス the zoonotic potential of a virus となる可能性がより高い " と述べた ... 今後も中東において、このウイルスの家畜と野生動物への感染を注視する必要がある。
原著 タイトル Human coronavirus EMC does not require the SARS-coronavirus receptor and maintains broad replicative capability in mammalian cell lines. mBio 3(6): e00515-12. doi:10.1128/mBio.00515-12; 
要約
A new human coronavirus (hCoV-EMC) は、つい最近 very recently 中東で新興した。臨床的感染症状は、2002/2003 の流行時に見られた、重症急性呼吸器症候群 the severe acute respiratory syndrome (SARS) に類似する。いずれでも、ヒトでは急性腎不全が認められた。HCoV-EMC は SARS-CoV と同じ属に入るが、a sister [!] species である。今回我々は、(HCoV-EMC が) the SARS-CoV receptor である、angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2) を利用するかについて調べられた。the receptor を知ることは非常に重要 highly critical となる。なぜなら、the SARS receptor がヒトの気道の奥の部分に限定されていたことが、SARS の感染拡大に制約を与えたからである。ハムスター胎児腎細胞 baby hamster kidney (BHK) cells において、SARS-CoV ではレンチウイルス伝達 lentiviral transduction of human ACE2 (hACE2) による寛容性 permissiveness and とウイルス複製 replication が認められたが、hCoV-EMC では認められなかった。サルとヒト、ブタの細胞 Monkey and human kidney cells (LLC-MK2, Vero, and 769-P) and swine kidney cells は、いずれのウイルスにも寛容性を示した permissive が、anti-hACE2 antibody 抗体によるブロックと、可溶性 ACE2 とウイルスとの前培養 preincubationfor による中和が可能だったのは、SARS-CoV infection だけであった。今回のデータから、ACE2 は hCoV-EMC replicationis (複製) に必須または必要ではない neither necessary nor sufficient ことが示唆された。さらに、hCoV-EMC は、SARS-CoV では認められなかったが、2つの亜目双方の、主な 4種類の翼種科 major chiropteran families を代表的するコウモリ _Rousettus_, _Rhinolophus_, _Pipistrellus_, _Myotis_, and _Carollia_ bats の細胞ラインで複製された。通常、ヒトコロナウイルス human CoV は、他科のコウモリの細胞 bat cells from different families では複製できないため、hCoV-EMC はコウモリ、ブタ、ヒトに温存されるレセプター分子の 1種を利用している可能性があり、このことは、宿主を超えた感染伝播が起こりやすい a low barrier against cross-host transmission ことを示唆している

● 黄熱-スーダン
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (36): Sudan (Darfur) 20121211.1445866
[1] 中国の制限 China restrictions
 情報源 Global Times, Xinhua News Agency report、2012年12月6日。
中国の検疫当局 the General Administration of Quality Supervision, Inspection and Quarantine 責任者が 6日、スーダンからの黄熱感染の進入防止策の強化を指示した。11月11日現在、スーダンでは死者 97人を含む 329 suspected cases が報告されているとの World Health Organization report.からの報告を引用し、ウェブサイトの中で明らかにした。スーダンからの旅行者に対し、各地での体温モニターや医療監視を強化するよう求めている。スーダンからの旅行者は、中国での通関および検疫検査 China's entry-exit inspection and quarantine institutions で申し出なければならない。発熱や黄疸などの、黄熱に関係する症状が認められれば、直ちに隔離される ...
[Mod. TY - 国際間での黄熱感染流行拡大の可能性はあるが、気候が寒くなり蚊族ベクターの活動性がないこの時期に、中国国内で持続的な感染流行が発生する恐れは皆無 nil である; 最も南の熱帯地域をのぞく]
[2] Darfur cards
 情報源 Radio Dabanga、2012年12月6日。
[Mod. TY -以前の報告にはない yellow fever vaccination cards に関係する情報が含まれている]
Zalingei locality in Central Darfur の住民らの間で、security services が、イエローカード a yellow fever vaccination card のない住民らは一切その地域から出ることを許可していないことに対する不満が出ている、と 6日報じられた。治安当局 security forces によると、この措置は 中央政府 the Central Darfur government からの指示に基づいて行われている、と報告されている。商用で Nyala and El-Geneina など地域に出ることができず、大きな損害が生じている。キャンペーン初日からの 2日間に接種された住民にはカードが交付されたが、3日目以降はカードがもらえなくなっている、と住民らは証言している。このことが、 Zalingei residents の商人や治療のために他の地域へ移動する人々の大きな障害になっている。さらに、当局者らがこの状況を悪用し、すべての通過地点に set-up check points を置き、30 Sudanese pounds [USD 6.80] の値段で vaccination cards を売っているとの証言もある。
[Mod. TY-感染拡大防止のため、requiring yellow fever vaccination cards for travel は必要だが、カードの売買が事実であれば、移動制限の意味がなくなる。ワクチン接種者へのカードの交付が行われなかったことも問題である]
[3] Darfur miners
 情報源 Radio Dabanga、2012年12月6日。
North Darfur の政府当局者は、Jebel 'Amer の金採掘者 gold miners に対する、黄熱ワクチン接種を '無理矢理 forcibly' にでも行う用意があることを、6日明らかにした。El-Sref Beni Hussein locality の鉱山で、the 35 000 workers へのワクチン接種は a 'must' であることを強調した。the security services が接種を実施するとした上で、接種を拒否することは自殺行為である、としている。新入者 Jebel 'Amer's newcomers は、the gate で yellow fever vaccination cards を示さなければ、入坑を許可されない。
[4] West Darfur
 情報源 AllAfrica, Radio Dabanga report、2012年12月11日。
The Minister of Health of West Darfur announced the launch of the vaccination campaign against yellow fever in the locality of Foro Baranga, on Sun 9 Dec [2012].
関連項目 (35): Sudan (Darfur) 20121208.1443535

● 原因不明の死亡率上昇、ヒツジ-ナイジェリア
PRO/AH/EDR> Undiagnosed mortality, ovine - Nigeria: (Sokoto) RFI 20121211.1446279
 情報源 AllAfrica, Daily Trust report、2012年12月10日。
Tungan Madugu village (of Gwadabawa local government area of Sokoto State) でおよそ 1600頭のヒツジが、原因不明のまま死亡してから一週間が過ぎた今も、住民らは肉の摂取を控えている ... Fulani nomads from Niger Republic 所有とされるこれらのヒツジは、Kware local government area に隣接する Gidan Jihadi village のふたのない井戸 an open well で飲水後に死亡した、と報告されている

● Perkinsus olseni、ハマグリ-仏領ポリネシア OIE
PRO/AH/EDR> Perkinsus olseni, clam - French Polynesia: OIE 20121211.1446212
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2012; 25(49)、2012年12月5日。
Infection with _Perkinsus olseni_, French Polynesia、immediate notification (1st occurrence of a listed disease、final report)
感染開始時期 2012年9月23日
病原体 _Perkinsus olseni_
新たな感染流行 Total outbreaks: 9
Outbreak 1: タヒチ Tahiti [Windward Islands]: farm、Population type: wild
感染種 small giant clam (_Tridacna maxima_) caught in Tubuai and transferred to Tahiti to be exported to Europe
8 additional outbreaks [details available in the original OIE report at the source URL above] in Mopelia, [Leeward Islands], Hao, Tatakoto, Tubual, Mangareva, Manihi, Takaroa, and Mataiva, [Tuamotu-Gambier Islands]
[Mod.PMB-_Perkinsus_ は、世界中の軟体動物 molluscs に見られる原生動物 protozoans で、_Perkinsus olseni_ は南オーストラリア the South of Australia のアワビ the abalone _Haliotis rubra_ に寄生する a parasite 。 _P. olseni_ は _Haliotis laevigata_ に甚大な被害 (O'Donoghue et al. 1991; Goggin and Lester 1995) をもたらせ、真珠貝 the pearl oyster _Pinctada maxima_ でも確認されている。ハマグリ small giant clams の _P. olseni_ 感染の初めての報告であるが、 _P. andrewsi_ による感染は数件報告されている ]