◎ インフルエンザ A(H3N2)
PRO/AH/EDR> Influenza (113): A(H3N2) receptor affinity change 20121212.1448522
[1] レセプターに対する結合性が低下し、健康影響も著しく減少
情報源 CIDRAP News、2012年12月11日
1968年以降に発生したインフルエンザウイルス A(H3N2) influenza viruses の進化 the evolution に関する研究で、現行のウイルスは、ヒトレセプター類似部位 human receptor analog sites に対する結合性が低く (a low propensity to bind)、このことが、この 10年間の A(H3N2) ウイルス感染の健康影響 disease impact の著しい低下 the marked reduction に関係していることが、10日の the Proceedings of the National Academy of Sciences において英国の研究者らから報告された。この研究チームは、the 1968 H3N2 pandemic 以降に発生したウイルスの、ヒトと鳥類のレセプターアナログ human and avian receptor analogs への結合について、表面生体層インターフェトメトリー surface biolayer interferometry を用いて測定したところ、2001年までに、ヒト H3 亜型ウイルスの、鳥レセプター結合力 the avidity が 1/4 に低下し、ヒトのレセプターへの親和性 the affinity も著しく低下していた。著者らは、この this loss of affinity for human receptors が、過去 10年間の "疾病負荷低下 A(H3N2) virus disease impact" につながった、と結論づけている。
[2] Evolution of the receptor binding properties of the influenza A(H3N2) hemagglutinin.
情報源 Proc Natl Acad Sci., early edition、2012年12月9日
要約
"the 1968 influenza pandemic の原因となったインフルエンザウイルス influenza A(H3N2) virus のヘマグルチニン The hemagglutinin (HA) は、鳥類のウイルス an avian virus に由来する。(種を超えて) ヒトに感染 introduction into humans する際に、優先されるレセプター結合特性が、鳥レセプター avian receptors (a2,3-linked sialic acid) からヒトレセプター human receptors (a2,6-linked sialic acid) へと変化した。2001年までに、ヒト H3 亜型ウイルスの鳥レセプター結合力は低下し、ヒトレセプターへの結合力も著しく低下していた。 レセプターに結合する際のこのような変化は、実験 in vitro や抗原性解析 antigenic analysis において、ウイルス増殖 virus propagation がより困難となる (ことで示される) ほか、様々な種の赤血球細胞の血色素凝集 hemagglutination による評価や、surface biolayer interferometry を用いた receptor analogs へのウイルス結合の測定による定量化も行われている。2004年および 2005年に分離されたウイルスの HAs を用いて作成された HA-receptor analog complexes の結晶構造 Crystal structures は、 the 1968 structure との比較で、the 220-loop of HA1 の立体構造 (高次構造) に大きな違いが認められ、その結果、 the HA and the receptor analog 間の相互作用に変化 altered interactions が生じており、これが receptor affinity に変化が起きたことの説明となった。部位特異的変異誘発 Site-specific mutagenesis の方法により、2005年以降の感染循環ウイルスのレセプター結合が減少したことの重要な決定因子は、ヘマグルチニンのアミノ酸置換 the HA1 Asp-225 --Asn substitution であることが示された。これらの結果より、1968年以降のヒトのインフルエンザウイルス human influenza A(H3N2) viruses の進化 the evolution が、ヒトレセプター human receptor analogs に対する結合力低下傾向の要因となり、過去 10年間の疾病負荷の著しい減少 the marked reduction in A(H3N2) virus disease impact in the last 10 years に関与した、と考えられる"。
議論の中でレセプター結合の変化について著者らはこう述べている:
" ウイルスの分離、抗原性解析 antigenic characterization、ワクチン製造などに、非常に影響力を持つ可能性がある。細胞レセプターへの結合力が低下したウイルスは、組織細胞用細胞培地やワクチン製造のための鶏卵上での増殖時に淘汰される。実際、レセプターに対する HA 結合力が低下することが、ある細胞ラインで増殖するウイルスがレセプターに結合する際の、the HA からノイラミニダーゼ the virus neuraminidase への 置換が促進されるようになる時の、重要な因子である可能性が示されている ... 生物学的には、レセプター結合を低下させるアミノ酸置換の最も重要な結果は、感染効率と感染伝播への影響である。レセプター結合の変化が観察され、H3N2 ウイルスに対する免疫が広まっているにもかかわらず、これらのウイルスの感染循環は続いており、North America in the 2010/2011 influenza season and Europe in the 2011/2012 season の優位ウイルスとなっている。しかし the major epidemics of 1968-1970, 1975-1976, 1989-1990, 1994-1995, and 1999-2000 の後、感染の重症度が低下していることに注目すべきであり、このことは、44年間 this 44-year-long pandemic の中で、ここ数年、the marked reduction in receptor binding が起こっていることに関係している、と考えられる。
議論の中でレセプター結合の変化について著者らはこう述べている:
" ウイルスの分離、抗原性解析 antigenic characterization、ワクチン製造などに、非常に影響力を持つ可能性がある。細胞レセプターへの結合力が低下したウイルスは、組織細胞用細胞培地やワクチン製造のための鶏卵上での増殖時に淘汰される。実際、レセプターに対する HA 結合力が低下することが、ある細胞ラインで増殖するウイルスがレセプターに結合する際の、the HA からノイラミニダーゼ the virus neuraminidase への 置換が促進されるようになる時の、重要な因子である可能性が示されている ... 生物学的には、レセプター結合を低下させるアミノ酸置換の最も重要な結果は、感染効率と感染伝播への影響である。レセプター結合の変化が観察され、H3N2 ウイルスに対する免疫が広まっているにもかかわらず、これらのウイルスの感染循環は続いており、North America in the 2010/2011 influenza season and Europe in the 2011/2012 season の優位ウイルスとなっている。しかし the major epidemics of 1968-1970, 1975-1976, 1989-1990, 1994-1995, and 1999-2000 の後、感染の重症度が低下していることに注目すべきであり、このことは、44年間 this 44-year-long pandemic の中で、ここ数年、the marked reduction in receptor binding が起こっていることに関係している、と考えられる。
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (37): Congo DR (MA)
Archive Number: 20121212.1448680
情報源 WHO Global Alert and Response、2012年12月12日
関連情報 厚生労働省検疫所 FORTH より
12月12日付で世界保健機関(WHO)から公表された情報によると、コンゴ共和国保健省 The Ministry of Health of the Republic of Congo [DRC] は、西キュヴェト地方 Cuvette-Ouest region のエウォ Ewo District で、黄熱に対する緊急集団予防接種キャンペーンを計画しており、来週開始される予定である。緊急予防接種キャンペーンは、エウォのムバマ地区、エウォ地区、オコヨ地区の3地区の約3万5千人を対象としている。この緊急予防接種キャンペーンは、今年10月に黄熱ウイルスに感染した患者が確認されたことにより実施される。政府による黄熱のサーベイランス計画によって確認され、確定診断のための検査は、キンシャサ国立生物医学研究所で実施された。また、WHOの黄熱に関するレファレンス研究施設として指定されている、セネガルのダカールにあるパスツール研究所で再確認された ...
[Mod. TY- the DRC の農村部では黄熱が散発している。今回の YF virus infection はおそらく、森林での感染サイクル the sylvan (jungle) cycle of transmission に由来すると考えられる。この地域では、10月に発端となった患者が報告された後、患者発生が報告されていないことから、引き続いてのヒト-蚊族-ヒト感染が起こっていない弧発例 an isolated case と見てよいだろう。それでも、患者発生地域でワクチン接種を実施することは賢明である]
● デング熱 ポルトガル
PRO/EDR> Dengue - Portugal (06): (MA) 20121212.1447452
情報源 Reuters、2012年12月10日
マデイラ島でのデング熱感染流行 An outbreak of dengue fever on Madeira Island の勢いが衰えつつある waning。1920年代以来の欧州での持続的な感染流行により 2000人が感染した、と 10日保健大臣が述べた。デング熱を保有する蚊族 dengue-carrying mosquitoes は、2012年の早い時期に、熱帯の国から気づかれないまま持ち込まれたものと考えられる、と説明された。"輸入されたネッタイシマカ this imported _Aedes aegypti_ mosquito から、ヒトでの感染が発生したが、減少しつつあり、通常の方法で対処 (治療? being treated in exemplary fashion) されている" としながらも、人気の観光地である同島内からの、同種の蚊族の完全な根絶は、 "すでに定着 a habitat し、非常に困難."とされている ... 5日、保健省による最新の週報によると、感染流行開始からの患者は 1993 cases of dengue で、the week of 26 Nov-2 Dec [2012] の期間中に登録された患者数は、前週比で 54%減少し、感染した患者はすべて回復に向かっている。10月以降マデイラで入院して治療を受けた患者は合計 118人であるが、死者は報告されていない。同省は、英国、ドイツ、スウェーデン、フランスにおいて、マデイラから帰国した旅行者の中から、42例のデング熱患者が確認されていることを明らかにしている。
関連項目 (05): (MA) 20121205.1439368
● 鳥インフルエンザ インドネシア H5N1 2.3.2.1 clade
PRO/AH/EDR> Avian influenza (68): Indonesia (Java) duck, H5N1 2.3.2.1 clade 20121212.1448403
[1] 多数のダックが死亡し、インドネシアで初めてclade 2.3 の発生が確認された
情報源 ChannelNewsAsia, Agence France-Press (AFP) report、2012年12月11日
インドネシア Indonesia では最近、これまで国内に存在しなかったより毒性の強い鳥インフルエンザ the bird flu [avian A/(H5N1)] virus により、多数のダック ducks が死亡していることが、11日明らかにされた。農業省獣医学当局関係者は、"高病原性鳥インフルエンザ highly pathogenic avian influenza sub-type H5N1 (virus) with clade 2.3 ... の発生を確認した" と発言したことがわかった。"インドネシア国内で初めて確認された a new clade であり、これまで確認されていた clade 2.1. とは大きく異なっている" とされている。A clade とは、通常は種などの organisms の中で、共通の祖先を持つグループ group を指す。家禽飼育業界は農業省に対して、11月以降、ジャワ島内 Java Island 各地から 30万羽以上のダックの死亡を報告している。獣医学当局は、異なるクレードの H5N1 ウイルスが確認されたことを、local government offices and the World Health Organisation (WHO) に書面で報告していた ... "ベトナムやタイ Viet Nam or Thailand などの海外からウイルス感染が拡大した可能性が疑われる" としている ...
[2] 情報源 FluTrackers、2012年12月10日
インドネシアの複数の地域で最近、多数のダック Hundreds of thousands of ducks が死亡しているのが確認されている。農業省動物衛生当局者は、9月以降新型の鳥インフルエンザウイルスが確認されている、と述べた。 a newly discovered variant of the H5N1 strain と説明されている。the new clade 2.3.2. は、以前の株から変異した可能性があるとされている。野生のカモ、輸入された家禽など、海外から持ち込まれた可能性もある。感染拡大防止策として、ダックやその他の種の飼育を控えるよう、農家に指示が出されている ... This type of bird flu virus はこれまでにも、インドやベトナム、中国で確認されていた。インドネシア家禽飼育団体 the Indonesian Entrepreneurs Association of Local Poultry は、先週 [week of 3 Dec 2012]、30万羽以上のダックが死亡したと報告している。死亡が確認されたのは 4 provinces of the island of Java, West Java, Central Java, East Java, and Yogyakarta の各地であった。
The original report is from Radio Australia (in Indonesian, machine translated)
For the evolution of the Asian H5 hemagglutinin, see WHO's conceptual diagram of ongoing H5N1 evolution