2013年7月25日

E 型肝炎-南スーダン (04)
◎エールリヒア症-米国 (02)
オウム病-スウェーデン (03) ヒト-ヒト感染
MERS-CoV (48) 保有動物、コウモリ 疑い
髄膜炎菌性髄膜炎-ドイツ MSM

● E 型肝炎-南スーダン (04) UN 難民における流行
Investigation of hepatitis E outbreak among refugees -- Upper Nile, South Sudan, 2012-2013
PRO/EDR> Hepatitis E - South Sudan (04): (UN) refugee outbreak
Archive Number: 20130725.1846069
情報源 CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2013; 62(29): 581-586、2013年7月26日。
背景 2012年7月2日の週に、Jamam refugee camp (Maban County, Upper Nile State, South Sudan) における各戸死亡調査 household mortality surveillance で、2人の妊娠女性と 1人の小児の死亡が報告された。いずれの患者も眼が黄染し死亡したと報告されている、他の地域の患者発生状況 ... 南スーダン保健省と国連、米国CDC が血清学的調査を行い、27 Jan 2013 の時点で、全ての難民キャンプ all 4 Maban County refugee camps (Doro, Gendrassa, Jamam, and Yusuf Batil) から合計 5080 acute jaundice syndrome (AJS、急性黄疸症候群) cases が報告された。E 型肝炎 Hepatitis E virus (HEV) infection が確認されている ... 新たに開発されたワクチン the newly developed HEV vaccine の使用が検討されている、以下、原文 [Google 翻訳] 参照願います。

● アフリカ豚コレラ-ロシア (04) PS 疑い、RFI
PRO/AH> African swine fever - Russia (04): (PS) susp, RFI
Archive Number: 20130725.1845918
情報源 The Voice of Russia、2013年7月21日。
アフリカ豚コレラ African swine fever (ASF) に感染した、Pskov region (the village of Senyukhino, Nevel district) の家畜 1例が、[19 Jul 2013] 報告された 。同地域で報告されたのははじめて ...

● チクングニア熱 (27) -フィリピン
PRO/EDR> Chikungunya (27): Philippines
Archive Number: 20130725.1845826
[1] South Cotabato
情報源 Minda News、2013年7月24日。
近隣の Koronadal City in South Cotabato の保健当局者が、チクングニア熱と見られる患者が増加している地域の 2か所の村、 parts of Barangays San Roque and Saravia を噴霧消毒した ...
[2] Ilocos Norte
情報源 InterAksyon, Philippines News Agency report、2013年7月25日。
4 villages in San Nicolas, Ilocos Norte [province] の少なくとも 179人が、臨床症状からチクングニア熱 chikungunya disease 感染の疑いがあると診断されたことが、[25 Jul 2013] 保健当局者により明らかになった ...
関連項目 (26): Philippines 20130721.1837261

◎ エールリヒア症-米国 (02)

WI ダニの分布拡大
PRO/EDR> Ehrlichiosis - USA (02): (WI) lone star tick spread
Archive Number: 20130725.1844497
情報源 Star Tribune、2013年7月23日。
発熱や疲労の原因となる病気を持ち攻撃性のあるダニが、ウィスコンシン Wisconsin 州のより広い地域に拡がりつつある、と専門家が指摘した。州内では比較的新しい病気であるエールリヒア症 Ehrlichiosis に、州北西部の住民 1名が感染したことを、保健関係者 University of Wisconsin-Madison [UW-Madison] health officials が明らかにした。ダニ lone star ticks から感染する病気で、公式な追跡 (登録) はないが、州内で約 1ダースの患者が報告されている。このダニは、the "Lone Star State" と呼ばれるテキサス Texas 州のほか、南部の州にも多数生息し、メスの背中に白い斑点がある。2013年5月に発病した Barron County に住むこの患者は、州内で確認され確定診断された 3例目のエールリヒア症患者で、ほかには Chippewa County in 2008, and in Eau Claire County in 2011 の報告がある、と Wisconsin State Journal に記載されている ... the Centers for Disease Control and Prevention によると、エールリヒア症では、発熱、疲労、頭痛、筋肉痛、混迷に、発疹などの症状が見られ、抗生物質による治療が可能である。患者の約 2%が死亡する。ダニの刺咬から 1ないし 2週間で発症することが多い。
[Mod.LL- はっきりとした記載はないが、おそらく human monocytic ehrlichiosis の原因となる _Ehrlichia chaffeensis のことだと考えられる。この病原菌の名前は、初めて菌が分離された患者の居住地の Fort Chaffee, Arkansas にちなんで命名された。

Mod.ML (20130405.1624168) の解説から:
"Ehrlichiosis はダニ媒介性の人獣共通感染症 tick-borne zoonotic disease で、リケッチア様偏性細胞内細菌 rickettsia-like obligate intracellular bacteria による疾患である。
"以下は、大部分が CDC publication からの抜粋 ... Human ehrlichiosis は、米国内では少なくとも 3種類のエールリヒア different ehrlichial species: _Ehrlichia chaffeensis_, _Ehrlichia ewingii_, and a 3rd _Ehrlichia_ species provisionally called Ehrlichia muris-like (EML) の感染原因として知られている疾患である。感染したダニの刺咬により、ヒトに感染する。ダニ The lone star tick (_Amblyomma americanum_) が、米国内の _E. chaffeensis_ and _E. ewingii_ 双方の主要ベクターである。
"ほとんどの患者が米国南部および中南部から報告されていて、The lone star tick, _Amblyomma americanum_ ダニの分布地域に呼応している。The lone star tick は米国の東部、南東部、中南部の州全体に存在する。過去 20-30年間にダニの分布域が拡大しており、北はメーン Maine、西はテキサスとオクラホマ central Texas and Oklahoma でも確認されている [CDC]。
"通常ダニの刺咬には痛みを伴わないため、エールリヒア症患者の約半数はダニ刺咬を自覚していない。典型的な症状として: fever, headache, fatigue, and muscle aches があり、発疹は小児では最大 60%に発生するが、成人では 30%未満にとどまる。ダニ刺咬から 1-2週間後に症状が現れることが多い。
"診断は徴候と臨床症状で行い、その後、特異的検査で確認する。病期の第 1週においては、全血の Polymerase chain reaction (PCR) assay の感度が最も高い most sensitive が、適切な抗生物質で治療された後は直ちに感度が低下する。 the 1st week of illness に行われた血液塗沫標本の顕微鏡検査では、最大 20%の患者の白血球細胞質内に桑実胚 morulae (microcolonies of ehrlichiae) が認められる。_Ehrlichia_ の分離培養が行えるのは特殊な検査機関に限られる。
"抗体が検出されるようになるのは通常発症 7-10日後で、エールリヒア症の最も確実な血清学的診断法 The gold standard serologic test はエールリヒア抗原を用いた間接免疫蛍光アッセイ indirect immunofluorescence assay (IFA) である。ペア患者血清で抗体価 antibody titers の有意な (4倍) 上昇を確認する。The 1st sample はなるべく早い時期、できれば病期第 1週に採取することが望ましく、the 2nd sample はその 2から4週間後に採取する。抗 IgM 抗体は抗 IgG 抗体に比べ特異性が低く、偽陽性 false positive となりやすい。
"重症度は患者の免疫状態に左右される ... あらゆる年齢の成人と小児の治療の第 1選択薬はドキシサイクリン doxycycline である。治療が行われない場合は、生来健康なヒトであっても死亡の可能性のある重症疾患で、重い症状として呼吸困難や出血傾向などがある。致死率は 1.8%と推定される。早期に治療すれば外来治療が可能であるが、重症化した場合は、抗生物質の経静脈投与、長期入院、集中治療が必要である。
"E. chaffeensis_ は、冷蔵した血液中で 1週間以上生存することが示されている。固形臓器移植による _E. chaffeensis_ transmission についても研究されていたが、[今回の事例まで] 確認されたことはなかった ... ].
関連項目 USA: (GA) blood transfusion, ex FL 20130405.1624168

● オウム病-スウェーデン (03) KR ヒト-ヒト感染拡大

PRO/AH/EDR> Psittacosis - Sweden (03): (KR) human-to-human spread
Archive Number: 20130725.1844496
情報源 The Local、2013年7月24日。
スウェーデン南部で男性 1名がオウム病 parrot fever [psittacosis] により死亡し、少なくとも 8人をこのまれな疾患に感染させた。専門家によると、ヒトからヒトに感染 human-to-human transmission することは、極めてまれ exceptionally uncommon である。2013年3月に Kronoberg で 75歳の男性 1名がオウム病により死亡し、男性の発病後、周囲にいた介護者を含む人々に感染が拡がった。"この男性は非常に重症であり、まれな症例 an extreme case であった。さらに希有なこととして、二次感染患者から三次感染した患者を経験した" と、the Swedish Institute for Infectious Disease Control (Smittskyddsinstitutet) の当局者が説明した。これまでにヒト-ヒト感染が報告されたのはスコットランドだけである ...
[Mod.LL 注- ... ]
関連項目 20130322.1599238
参考情報 Psittacosis outbreak in Tayside, Scotland, December 2011-February 2012. Eurosurveillance 2012;17(22):pii=20186

● ハンタウイルス-ドイツ 欧州 (02)
PRO/AH/EDR> Hantavirus update - Europe (02): Germany
Archive Number: 20130725.1845825
情報源 News Medical、2013年7月25日。
2012年、ドイツ国内で 2824 new cases of hantavirus disease が報告され、単年度 a single year として最も多かった。Deutsches Aerzteblatt International の最新刊 (Dtsch Arztebl Int 2013; 110[27-28]: 461-7) において、この問題が報告されている。bank voles [_Myodes glareolus_] が感染伝播しドイツ南西部及び西部地域に常在する Puumala virus により、2-3年ごとにハンタウイルス感染流行 large outbreaks of hantavirus disease が発生する。国内北部と東部では、striped field mice [_Apodemus flavicollis_ and A. agrarius_ ] を保有宿主とする、the Dobrava-Belgrad virus によるハンタウイルス感染症が発生する ... 一般的解説。

● 馬インフルエンザウイルス-英国 (02) イングランド ウマ
Equine influenza virus, horses, United Kingdom
PRO/AH> Equine influenza, equine - UK (02): (England)
Archive Number: 20130725.1844940
投稿者 Adam Rash、2013年7月24日。
原文参照願います

● ウエストナイルウイルス-マケドニア 欧州
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Europe: Macedonia
Archive Number: 20130725.1844643
情報源 Macedonia International News Agency、2013年7月23日。
海外渡航歴のない 57歳女性 1名が 2013年のマケドニアで最初のウエストナイルウイルス熱患者 case of West Nile fever となった。安定した状態にあり、適切に治療されていると [23 Jul 2013] 報告されている ...

● MERS-CoV 地中海東岸 (48) 保有動物、コウモリ 疑い

PRO/AH/EDR> MERS-CoV - Eastern Mediterranean (48): animal reservoir, bat susp
Archive Number: 20130725.1844412
[1] コウモリの糞の中から MERS-CoV に遺伝学的に非常に近いウイルス発見、独と南アの研究者
情報源 Medical Daily、2013年7月24日。
原著: Close relative of human Middle East respiratory syndrome coronavirus in bat, South Africa. Emerg Infect Dis. 2013; 19(10): Oct: DOI: 10.3201/eid1910.130946].
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) は英国や北アフリカにまで拡大し死者を出しているが、ほとんどの感染と死亡がサウジアラビアで発生しているため、(サウジアラビアが) この SARS に類似したウイルス the SARS-like virus の起源だと考えるものが多い。数か月後のハッジの巡礼 the annual Hajj pilgrimage による全世界への感染拡大の懸念がある。ドイツと南アフリカの研究者らが、コウモリの糞の中から MERS-CoV に遺伝学的に非常に近いウイルスを発見した。この南アフリカのコウモリは、これまで調べられたどのウイルスよりも the MERS-CoV に遺伝学的に近いウイルスを保有していた。科学雑誌 Emerging Infectious Diseases に掲載されたこの研究結果が、新たに発生した同ウイルスの起源を解明する手がかりとなる可能性がある。研究者らは、13種類のコウモリ 62 South African bats のコロナウイルスについて、糞中に MERS-CoV に近いウイルスが含まれているかどうかを調べた。the MERS-CoV virus は早い段階で、遺伝子塩基配列が解析されていたことが、今回の研究を可能にした。関連性のあるウイルスが確認されたコウモリはわずか 1頭だけであったが、非常に興味深い結果 a compelling one となった。コウモリからヒトに、直接あるいは家畜などを通じて、どのように感染したかについて明らかになっていないが、ヒトとヒトが近接した時に、ヒトから感染する可能性があるとの証拠が示されている。
[2] これまでに発見されたどのウイルスよりも MERS-CoV に近い
情報源 Bloomberg、2013年7月24日。
サウジアラビアを中心に 45人の死者を発生させている新たなウイルスの起源が、南アフリカのコウモリである可能性があることが、the journal Emerging Infectious Diseases で明らかにされた。South Africa's KwaZulu-Natal and Western Cape provinces の 1頭のコウモリの糞から、これまでに発見されたどのウイルスよりも Middle East respiratory syndrome coronavirus, or MERS-CoV に近いウイルスが発見されたことを、本日 [24 Jul 2013]、南アとドイツ the University of Stellenbosch, near Cape Town, and the University of Bonn の研究者が発表した ...
[Mod.AS 注- 編者注 the editor in Emerging Infectious Diseases の結語の部分より
"human CoV-229E and SARS-CoV と同様に、ウイルスの祖先 ancestors of MERS-CoV が、the genera _Neoromicia_ and _Pipistrellus_ belong を含む、the family Vespertilionidae に属する旧世界食虫コウモリ Old World insectivorous bats に存在するという仮説を支持する結果となった。CoVs in bats from the Americas and Asia がより遠い関係にあるの比べ、PML/2011 and MERS-CoV が近い関係にあるとの知見は、MERS-CoV の祖先のコウモリの保有宿主は、アフリカ起源のコウモリと憶測することができる。この仮説は、地球上でのサンプリングバイアス a global sampling bias がある、サンプルサイズが小さい、研究で確認されたのは the single clade 2c betacoronavirus のみであった、という制限を受けるものの、MERS-CoV ancestors がアフリカからアラビア半島への移動 a putative transfer が、他のウイルスの移動と平行して起きたと推定できる (例として Rift Valley fever virus from East Africa, which led to a severe outbreak in Saudi Arabia in 2000: Complete genome analysis of 33 ecologically and biologically diverse Rift Valley fever virus strains reveals widespread virus movement and low genetic diversity due to recent common ancestry. J Virol. 2007;81:2805-16)。
"ヒナコウモリ科 Vespertilionidae bats 及び中間宿主の候補 potential intermediate hosts (例えば、肉食動物やラクダなどの有蹄類 carnivores and ungulates) の間で新たな MERS-CoV 感染の発生がないことを直ちに確認する必要があり、その調査はアラビア半島とアフリカに焦点を絞って実施すべきである"。
アラビア半島のコウモリについて行われた初期調査活動では、以前の投稿で簡潔に触れている; 今回の結果は非常に有用である ... ]
関連項目 MERS-CoV - Eastern Mediterranean (39): animal reservoir, research 20130706.1810714

● 髄膜炎菌性髄膜炎-ドイツ BE 死亡、MSM ワクチン接種

PRO/EDR> Meningitis, meningococcal - Germany: (BE) fatal, MSM, vaccination
Archive Number: 20130725.1844122
[1] ゲイクラブを訪れた男性 2名が 2日後に発病し死亡
情報源 Zeit Online [in German]、2013年7月20日。
5月8日に the 2 young men が Friedrichshain-Kreuzbergin の友人と a gay club を訪れ、2日後に両人とも発病した。1人は嘔気、嘔吐、項部硬直の症状があり、病院に搬送されたが昏睡状態となったままであった。もう1人は出勤したが、夕方に友人に会った際に気分が悪くなり、2日後自宅のアパートで死亡した。両者から、髄膜炎菌 _Neisseria meningitidis_ と呼ばれる細菌が検出された ...長文。
[2] MSM in Berlin における髄膜炎菌性疾患の発生増加
情報源 Berlin.de/The Official Capital City Portal [in German]、2013年7月18日。
17日、当局 The Berlin Impfbeirat は、ベルリン市民に対しワクチン接種を広く勧告した。同局によると men who have sex with men (MSM) は髄膜炎菌性疾患 meningococcal disease ワクチンを接種すべきである。拡大ワクチン接種勧告 the extended vaccination recommendation の背景に、MSM in Berlin における髄膜炎菌性疾患 incidence of meningococcal disease の発生増加がある。2013年にベルリンで発生した 18例の同疾患感染例のうち、7 例は group C _Neisseria meningitidis_ によるものであり、3例が死亡、4例目の患者は現在も回復していない。これら 4例は MSM であり、ニューヨークやパリでも recent disease outbreaks among MSM が起きている ...