2015年5月21日

ブルセラ症 英国 タイから
鳥インフルエンザ、ヒト WHO アセスメント

● ブルセラ症 英国 タイから
PRO/AH/EDR> Brucellosis, human, melitensis - UK ex Thailand: (NP)
Archive Number: 20150521.3377052
 投稿者 英・Liverpool School of Tropical Medicine、Dr Nicholas Beeching、2015年5月21日
英国在住の 51歳の患者が 5日、21日間続く悪寒 daily rigors、 3月中旬に始まった著しい発汗 profuse sweating attacks および高熱のため、クリニックを受診した。高熱に続く 4週間に、全身倦怠、13kgの体重減少、間欠的な発汗と発熱を経験した。バイク事故後に発生した骨関節炎のため 5年前に関節全置換術を受けたが問題のなかった左膝に痛みと腫れがあった。発熱以外の全身性の症状は認めなかったが、症状のあった膝には滲出性変化 an effusion が認められた。3日間の血液培養検査で、グラム陰性球菌が認められていたが、ブルセラ菌_Brucella melitensis_ by MALDI-TOF (Bruker microflex LT) と確認されるまでに 2人の検査技師が蓋の開いた培養皿 open culture plates に曝露してしまった。膝関節から吸引された混濁した検体には、6000を超えるリンパ球が含まれ、7日間の培養でブルセラ菌 brucella organisms が得られた。
3ヵ月間のドキシサイクリン+リファンピシン doxycycline and rifampin 治療が開始された。初期の 14日間は、ゲンタマイシンの非経口投与 parenteral gentamic が同時に行われた。
曝露のあった検査技師らには、英国のガイドラインに従い、ドキシサイクリン200mg 1日 2回、21日間の曝露後予防投薬が行われている。
この患者はしばしばタイを訪れており、2014年12月11日から 2015年1月8日まで、Nakom Pathom province にある友人の農場に滞在していた。滞在中、素手で数頭のヤギの出産や、生まれたヤギの世話などを手伝っていた。生の乳製品は摂取しておらず、ウシやバッファローには接触していない。診断が告げられるとこの患者は、農場の労働者 1名が原因不明の発熱のため、タイの病院を受診していたことを明かした。英国での診断をタイの医師に連絡したところ、(タイの農場の患者も) ブルセラ症 Brucellosis の可能性があり、検査結果を待たずに治療が開始され軽快しつつあるとのことである。友人も同じ症状で入院中であり、ブルセラ症の疑いで検査中だという。
国内ではブルセラ症に注意が向けられているものの Despite our local interest in brucellosis (1,2)、タイから帰国した旅行者については通常想起されない診断名であり、the GeoSentinel network and interrogated the GeoSentinel database に報告した。
データベース中のブルセラ症は82例で、アジアでは22例のみ: 2 cases from タイ, 16 from South Central Asia (インド 11, イラン 2, ネパール 2, アフガニスタン 1) and 4 from North East Asia (中国 2, 台湾 1, 1 not specified) だった。中国、モンゴル、ユーラシア中央部が発生集中地域であることはよく知られているが、他の地域(国)にも新たにブルセラ症が拡大し続けている。断片知識としての南アジアの家畜における発生増加はあるものの、ヒトでの感染についての報告は多くない。
タイ Ratchaburi Province のヤギとそれに関連するヒトのブルセラ症感染の報告は、2003年の ProMED で報告されている。ProMED においては、2010年のマレーシア ・ ペナン Penang で生のヤギのミルクを飲んで感染した少年と、ミャンマーで恐らくはラッシの飲用で感染したと見られるドイツ人旅行者ぐらいである。症例報告が散見されるほか、2編のより詳細なタイの地方感染に関するレビューがある (8,9)。今回の患者で示されたとおり、妊娠ヤギへの曝露が (_B. melitensis_ の) ハイリスクであるが、これ以外にもバッフォローからの a separate risk of _B. abortus_ transmission もある。
最も感染リスクが高い地域は Nakhon Si Thammarat Province and Kanchanaburi Province (8), which borders Nakom Pathom Province である。タイおよび周辺諸国から帰国した旅行者について、治療に当たる医師は、デング熱、ツツガムシ病、発疹熱 murine typhus、レプトスピラ症、マラリア等のよく遭遇する疾患やまれな細菌感染症である類鼻疽 melioidosis 同様、ブルセラ症についても検討すべきである..
参考文献 (著者名省略、原文参照願います)
1. Manson's tropical diseases 23rd edition, Elsevier, London, 2013; 371-378.
2. Harrison's principles of internal medicine, 19th edition, McGraw-Hill, 2015; 194e1-5.
3. GeoSentinel Surveillance Network. GeoSentinel surveillance of illness in returned travellers, 2007-2011. Ann Intern Med. 2013; 19:158: 456-68.
4. The new global map of human brucellosis. Lancet Infect Dis. 2006; 6: 91-99.
5. The changing Brucella ecology: novel reservoirs, new threats. Int J Antimicrob Agents. 2010; 36 Suppl 1:S8-11.
6. Global burden of human brucellosis: a systematic review of disease frequency. PLoS Negl Trop Dis. 2012; 6(10): e1865. doi:10.1371/journal.pntd.0001865
7. Review and update on brucellosis in Asia and Pacific Region. Presentation at the 4th FAO‐APHCA/OIE/DLD Regional Workshop on Brucellosis Diagnosis and Control in Asia and Pacific Region ‐ Proficiency Test and Ways Forward for the Region. Chiang Mai, Thailand, 19‐21 March, 2014.
8. An outbreak of Brucella melitensis among goat farmers in Thailand, December 2009. OSIR. 2012 Jun; 5:14-21. Available at: http://www.osirjournal.net/issue.php?id=30.
9. Factors associated with seropositive antibodies to Brucella melitensis in the Nakhon Nayok, Thailand. J Med Assoc Thai. 2012; 95 Suppl 12: S40-6.

● サルモネラ感染症 米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis - USA (03): (WI) grocery store, pre-cooked food
Archive Number: 20150521.3377024
 情報源 Kenosha (WI) News、2015年5月20日
Supermercado Los Corrales grocery store が関係する、サルモネラ感染症 salmonella infections と見られる患者数が 3倍に増え、60人を超えたことが保健当局 the Kenosha County Division of Health により明らかになった。遺伝子検査で同一と見られる with a matching DNA fingerprint 、2例の患者のサルモネラ菌の検査が続けられている。感染源については現在も調査が続いているが、この食料品店が原因と見られている the focus of the probe ある住民は、娘婿と 3歳の孫が pre-cooked carnitas and rice を購入したところ、5月11日から胃腸の症状を発症したと証言している。他の家族は、このポークを食べていないという

● 鳥インフルエンザ、ヒト アセスメント

PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (107): WHO assessment
Archive Number: 20150521.3376485
 情報源 WHO、2015年5月20日
Influenza at the human-animal interface: summary and assessment as of 1 May 2015
(抜粋)
 - 鳥インフルエンザA(H5)ウイルスのヒトへの感染
2003年から2015年5月1日までに、16か国から公式に鳥インフルエンザA(H5N1)感染者840人が検査にて確定診断されたことが公表されており、このうち、447人が死亡している。
2015年3月31日の更新以降に、エジプト(13人)と中国(1人)から死亡者1人を含む14人の鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染症患者が新たに検査で確認されたとWHOに報告されている。
エジプトから報告された鳥インフルエンザA(H5N1)患者13人のうち、9人は3月に、残る患者は4月に発生した ... 患者は全員が家禽との接点があり、全ての患者が入院し、抗ウイルス薬による治療を受けた ... エジプトにおける死亡患者の割合は、他の国での割合よりも、特に小児において一貫してより低くなってきている。
中国では、雲南省から鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染者1人が報告され、同じく先月 2人の患者が発見されている。家禽との接触について報告されていない。
OIE報告によれば、インフルエンザA(H5N1)、A(H5N2)、A(H5N3)、A(H5N6)、A(H5N8)といったさまざまなサブタイプのインフルエンザA(H5)が、最近、西アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米の鳥から検出されている...
Figure 1: Epidemiological curve of avian influenza A(H5N1) cases in humans by reporting country and month of onset [see at source URL].
 - 非季節性のインフルエンザウイルスによるヒトへの感染
 中国での鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染
WHOへの報告によれば、死亡者261人を含む鳥インフルエンザA(H7N9)感染者657人が検査で確認されている。最近報告されている患者の大半は、生きた家禽が売られている市場を含む、感染した生きた家禽やウイルスに汚染された環境との接触機会と関係している。インフルエンザA型(H7N9)ウイルスは、患者の発生地域の家禽とその飼育環境から検出され続けている...
Figure 2: Epidemiological curve of avian influenza A(H7N9) cases in humans by week of onset [see at source URL].
関連項目 Avian influenza, human (106): novel viruses, virulence unknown 20150520.3375592

● White nose syndrome 米国
PRO/AH> White nose syndrome, bats - North America (08): (OK) 1st rep of fungus
Archive Number: 20150521.3377575
 情報源 KSL.com、2015年5月19日
米国内において多数のコウモリの死亡原因となっている真菌が、オクラホマ州東部 eastern Oklahoma で確認された。野生動物当局 The Oklahoma Department of Wildlife Conservation が 19日、発病 white-nose syndrome は確認されていないものの、Delaware County の私有地である洞窟内のコウモリ 3 tri-colored bats から真菌が検出されたことを明らかにした

● 狂犬病 米国、イスラエル(2件)
PRO/AH/EDR> Rabies - USA (12): (NM) fox, human exp, new bat strain virus
Archive Number: 20150521.3376189
 情報源 KRQE News 13, Associated Press report、2015年5月19日
Health Department: Fox that bit woman had new rabies strain
保健当局 The state Department of Health によると、ニューメキシコ New Mexico 州南部で女性を襲ったキツネ 1頭において、新種の狂犬病ウイルス a new strain of rabies が確認された。この 78歳女性は 20日、Lincoln County で襲われ、狂犬病の発症予防のためのワクチンを受けている。CDC the federal Centers for Disease Control and Prevention in Atlanta [Georgia] において、ウイルスの遺伝学的検査が行われたと説明した。
この新種のウイルス the new strain は、コウモリで確認されている別の狂犬病ウイルスと関連のある株で、今後郡内で発見されたキツネおよびコウモリの死体についても狂犬病検査を行う、としている。
[Mod.MHJ-このキツネは、弱って死にかけているコウモリを見つけ食べたに違いない。全米南部一帯 all these southern US states において、地面に落ちているコウモリには触ってはいけないことは、子供達の頭にたたき込まれている。決して触ってはいけない!!このキツネは母親から教わったことを忘れて、ネコのような真似をしてしまった。狂犬病ウイルスの遺伝学的鑑別を行うほど、新たな株のウイルスがもっと見つかるだろう。現在テキサス州中部では、アライグマ狂犬病 'raccoon' rabies が猛威を奮っており、アライグマ、イヌ、キツネの感染が起きている。アライグマに有効な経口ワクチンの開発は困難を極めている is proving difficult]

PRO/AH/EDR> Rabies - Israel (04): (HZ,HA,HM) canine, human exposure
Archive Number: 20150521.3374571
[1] 情報源 WALLA News [Hebrew]、2015年5月20日
保健省が、Tel Aviv と Herzliyya の 2ヶ所の獣医院で治療を受けた 1頭のイヌの狂犬病検査が陽性をなったことを明らかにした。2週間前に the upper Galilee, near Meron で拾われたイヌで、15日に Holon で女性 1名を襲っていた ...
[2] 情報源 The Jerusalem Post 、2015年5月20日
Mount Meron から Holon を徘徊していたメス犬 1頭が、女性 1名を襲った後に狂犬病で死亡した。The mixed-breed dog は、3日から 7日までの間に 1000人以上と接触のあった可能性があると、20日保健省 the Health Ministry が発表した...
[3] 公式の獣医学的回章 Official veterinary communication
 情報源 Circular, Field Veterinary Services - Israel [in Hebrew、URL 情報なし]、2015年5月20日
この数年間報告のなかった人口密集地である central urban areas of Haifa and Tel-Aviv において、最近 2例の野良犬の狂犬病感染例が確認されている。いずれの狂犬病感染動物も、イスラエル北部の狂犬病発生地域で旅行者に拾われていた。
1. [Event No. 7 of 2015]: a 3 month old puppy collected in the Adamit Park, near Kibbutz Ayalon in the Western Galilee by travelers ...
2. [Event No. 8 of 2015]: a mixed-breed bitch aged about 1.5 years was collected by a group of people from central Israel near the Idra cave on mount Meron, Upper Galilee ...

● 炭疽 インド、否定
PRO/AH/EDR> Anthrax - India (06): (JH) human, bovine, NOT
Archive Number: 20150521.3376188
 情報源 Times of India (TOI)、2015年5月20日
Health experts don't rule out anthrax outbreak in state

保健当局 Health officials of the [Jharkhand] state chapter of Integrated Disease Surveillance Programme (IDSP) は州内での炭疽 an outbreak of anthrax 発生を否定し、8日に Simdega で死亡した 2人の医療記録に反し、検査では陰性であったと述べた

● サトウキビの病気、Yellow canopy syndrome オーストラリア
PRO/PL> Yellow canopy syndrome, sugarcane - Australia: (QL)
Archive Number: 20150521.3376091
 情報源 Daily Mercury、2015年5月8日
サトウキビ農家 cane growers にとって最も怖ろしいものの 1つである Yellow canopy syndrome が、2012年にケアンズ Cairns 南部で発生し、その後 Mackay を含むクイーンズランド Queensland 州北部一帯に拡がった..

● 伝染性サケ貧血 ノルウェー
PRO/AH> Infectious salmon anemia - Norway: (HO) st HPR-deleted, OIE
Archive Number: 20150521.3376016
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2015; 28(21)、2015年5月20日
1st occurrence of a listed disease
感染開始時期 2015年4月29日
原因ウイルス infectious salmon anemia virus、Serotype: HPR-deleted
新たな感染流行 (1)
発生地 Nystolvagen 24495, Fusa, Hordaland: farm
感染した種/個体数/感染数/死亡/廃棄/処分
アトランティックサーモン Atlantic salmon (_Salmo salar_) / 2 (scale 0 to 5) / 2 (scale 0 to 5) / 23 000 / 1100 / 1060 / 40 / 0
疫学上のコメント: 同ウイルス The infectious salmon anaemia (ISA) virus at Nystolvagen - 24495 は遺伝子解析 sequence analysis of ISA virus HPR (segment 6) により、a deleted, virulent variant に分類された。養魚場 The farm Nystolvagen は、清浄区域 an ISA free compartment 内に位置していた...