2015年7月3日

ハンタウイルス パナマ  英国、パナマから Clinical Virology
コレラ PAHO、英国 キューバから、メキシコ
日本脳炎 香港

● ハンタウイルス パナマ  英国、パナマから
PRO/AH/EDR> Hantavirus update - Americas (29): Panama (LS) UK ex Panama
Archive Number: 20150703.3483819
[1] Los Santos province パナマ
 情報源 Critica [in Spanish]、2015年7月2日
Los Santos Province で新たに 1人のハンタウイルス感染例 case of [a] hantavirus [infection] が報告された。保健当局が、Tonosi の患者が入院し治療中であることを確認した。転院の必要性はない。保健省 The Ministry of Health の報告によると、2015年の今日までに Los Santos province で 15例の感染が確認されている。[* 記事中、原因ウイルスはアジアでしか確認されていない Hantaan virus となっているが、正しくは Choclo virus occurs in Panama. - Mod.TY] ...
[Mod.TY-今回もしくは以前の症例の感染の原因となったハンタウイルスについての記載がなく、また記事中には Hantaan virus との誤った記載もみられる。感染に至る経緯も述べられていない。Los Santos province には Choclo hantavirus が地方感染している。(20150204.3140834 にあるように), Choclo virus は、パナマ国内で確認されている 3種類のハンタウイルスの中で唯一、 ハンタウイルス肺症候群hantavirus pulmonary syndrome の原因となる可能性のあるウイルスである。2014年には Choclo virus infection によると見られる患者 75 cases が発生しており、今年も増加し始めているようである。ウイルスを保有する齧歯類を誘引・定着させないようゴミ箱やエサとなるような食物をきれいにし、糞などに混じったウイルスを空中に散布させないよう気をつけて清掃作業を行うことが、ウイルスへの曝露および感染を防止することにつながる。Choclo virus の宿主となる齧歯類 the pygmy rice rat (_Oligoryzomys fulvescens_) の写真 。農地や家屋、建物の周囲で発見される]
[2] 英国 ex Panama
 情報源 Clinical Virology 67: 52-55、2015年6月0日。
原著タイトル A non-fatal case of hantavirus cardiopulmonary syndrome imported into the UK (ex Panama), July 2014.
2014年7月にパナマから帰国した英国在住者で診断された、ハンタウイルス心肺症候群 a rare case of hantavirus cardiopulmonary syndrome (HCPS) について報告する; 欧州への輸入感染としては、3例目の患者 the 3rd published case of HCPS imported in Europe となった。経過中に、血清学的検査でハンタウイルスに対する抗 IgG 抗体価の上昇が認められ、発症7日目に採取された血清中で hantavirus RNA が検出された。
汎ハンタウイルス診断アッセイ a pan-hantavirus diagnostic assay に続いて行われた遺伝子解析 Sequence analysis の結果、パナマ国内での感染循環が知られ、2014年7月に同国 the Los Santos region における複数の重症感染例の原因ウイルスとして疑われている、Choclo hantavirus であることが確認された。将来の患者発生時の分子学的迅速検査に資する目的で、the S segment of the genome の特徴を明らかにするための、分子解析 A set of molecular assays を行った。
討論
今回の症例の確定診断に用いた診断法 diagnostics は、まれなタイプのハンタウイルスの検出において、初期段階で分子および血清学的アッセイを用いることの頑強性 the robustness を示す結果となった。加えて、本症例を報告するにあたり、原因ウイルスの決定のために開発した、特異的分子アッセイによって、患者血清中の CHOV RNA の存在が確認できた。これらの診断法は、ヒトに重症疾患をもたらす同病原体の診断に real-time RT-PCR and sequencing strategies を取り入れた最初の報告であり、風土病地域での迅速特異的診断や、世界中の帰国患者(の診断)に有用である可能性がある。
関連項目 Americas (24): Panama (LS) 20150613.3434094

● コレラ PAHO、英国 キューバから、メキシコ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update (24): Americas
Archive Number: 20150703.3480336
[1] コレラ Cholera in the Americas - situation summary
 情報源 Pan American Health Organization (PAHO)、2015年6月24日。
 厚労省検疫所 FORTH より。
アメリカ大陸でのコレラ発生状況
2015年の初めから第22週までに、アメリカ大陸 3か国から 16,961人の患者が報告;ハイチで16,687人、ドミニカ共和国で273人、キューバで1人。
2015年1月にキューバでの最新コレラ患者がカナダの国際保健規約(IHR)担当者から報告された。この患者にはキューバへの渡航歴があった。
ドミニカ共和国では、2014年に死者 10人を含む 597人のコレラ疑似患者が登録され、2013年と比べ、患者数で70%、死亡者数で76%の減少となっている ...
ハイチでは、コレラ流行の始まり(2010年10月)から2015年3月31日までに、コレラの患者が合計738,528人に達し、そのうち421,013人(累積の入院率57%)が入院し、8,925人が死亡した。累積の患者死亡率は1.2%となっている。2015年の疫学第1週から第22週までに、16,696人のコレラ患者が発生し、80%にあたる 13,304人が入院、140人が死亡(致死率0.8%)した。2015年に報告された患者数と死亡者数は、2014年の同じ時期と比べて多くなっている ...
[2] コレラ - 英国 UK ex Cuba
 投稿者 英・University of Liverpool、Dr Nicholas Beeching、2015年7月1日
キューバには依然としてコレラが存在し、同国への旅行者の鑑別診断として考慮すべきことへの注意を促す目的に投稿する。 我々は現在、Varadero , Cuba の旅行者用高級ホテルの 1つに14日間滞在し帰国した 60歳の英国在住の旅行者を治療中である。2015年6月初旬にキューバに到着し、6日後に短期の下痢 short lived [?] diarrhea を経験したが、すぐに消失。英国に帰国する出発日から何となく体調がすぐれず、大量の下痢が始まったが、何とか空路で自宅へ戻った。24時間で 50回もの下痢が続き、5日目には起立性のめまいを経験した。血圧が 77/54 まで下降し、尿量も大幅に減少していた。低血圧と急性腎障害で当院に入院となったが、経静脈輸液と経口補水によく反応した。便培養検査で、アエロモナス _Aeromonas veronii_, コレラ _Vibrio cholerae_ (シプロキサシンとドキシサイクリンに感受性), および他のビブリオ菌類 _Vibrio_ sp が分離されており、全てが確定されるまで引き続き確認検査が続いている。検出された病原体全てをカバーする、経口シプロフロキサシンで治療を行い、満足すべき結果を得ている with excellent response。この男性は発症の 2日前に日帰りでハバナ Havana に出かけている。全行程に同行していた男性の妻は健康であるが、(同じツアーグループ以外も含め) 滞在したホテルの他の宿泊客数名も、同時期に重症の胃腸炎を訴えていた。われわれは the GeoSentinel network と Public Health England に対しこの症例についての報告を行っており、キューバ政府当局にも詳細が伝えられたと思われる。予断なく関係当局の調査が行われるよう、男性の詳細な旅程と当該リゾートホテル(の名前)は省いている。同じツアーグループの中で、2人目の旅行者が、長期にわたる下痢のため、当院 our unit に入院したところで、病因の検索中である。数十年間、1人の患者も確認されていなかったキューバに、2012年コレラが再興 [20120702.1187070] し、2014年中頃までに 700人以上の患者報告され、この中には北米や欧州に帰国後の旅行者も含まれている。ただし、2013年以降、国内の患者は減少した [20130911.1936068]。われわれはこれまで、キューバ由来のコレラ(患者)を経験していなかったが、最近のカナダに帰国しコレラを発症した旅行者の報告に続く症例 [3] となった。キューバでは今もコレラの持続感染があることが示唆され、メキシコ [4] を含むカリブ海の周辺諸国同様、キューバから帰国した旅行者についてもコレラを念頭におく必要があると考える。
参考資料
1. Cholera with severe renal failure in an Italian tourist returning from Cuba, July 2013. Euro Surveill. 29 Aug 2013; 18(35):pii=20572 
2. CDC: Cholera in Cuba. Reviewed 26 May 2015 [This notice has been removed from the CDC Travel Notices page (29 Jun 2015)].
3. Public Health Agency of Canada: Travel Health Notice: Cholera in Cuba, Dominican Republic, Haiti and Mexico. Updated 20 March 2015 
4. Cholera in travelers: shifting tides in epidemiology, management, and prevention. Curr Infect Dis Rep. 2015;17(1):455. doi: 10.1007/s11908-014-0455-4.
[3] コレラ - メキシコ (Sonora State)
 情報源 UNO TV [in Spanish]、2015年6月18日。
Sanitary District number 5 [in the municipality of Navojoa] から、[州内 in Sonora state では] 2015年初のコレラ患者 the 1st case of cholera が報告された。地域衛生当局責任者 The head of the Sanitary District によると、患者は、州南部 Huatabampo 市 the community of Pozo Dulcea の46歳男性で、6月2日に採取した検体が、検査の結果陽性となった。
[Mod.LL- 分離された菌は、a O1 (or O139) だったのだろうか。Non-O1, non-O139 _V. cholerae_ が、米およびメキシコの沿岸部一帯では発生しておらず、(必ずしもそうではないが)一般にはより軽症となり、流行することはない milder illness without the epidemic potential]

● 日本脳炎 香港

PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis - China: (HK Hong Kong) susp
Archive Number: 20150703.3481685
 情報源 7th Space, HKSAR Government report、2015年6月30日
衛生当局管理者 The Controller of the Centre for Health Protection (CHP) of the Department of Health (DH) が [30 Jun 2015]、2015年初めての日本脳炎疑い患者 the 1st suspected local case of Japanese encephalitis (JE) について発表し、あらためて市民に対し、環境衛生整備、蚊族対策、国内外での個人感染防護をよびかけている。"潜伏期間内の渡航歴があるが、滞在は短期間で、現時点では自所内感染の可能性もある。予防的に、環境衛生当局 the Food and Environmental Hygiene Department (FEHD) とともに調査を開始しており、いかなる感染拡大も起こさない" と述べている。患者の家族によると、この 68歳の男性患者には持病があり、6月23日に発熱と食欲低下が見られ、24日になり急に意識が混濁 acute confusion した。病院の外来 Ha Kwai Chung General Out-patient Clinic 受診後、精査のため、Princess Margaret Hospital に搬送され入院した。現在集中治療室 the Intensive Care Unit に入院し、危険な状態である。the CHP's Public Health Laboratory Services Branch で行った、脳脊髄液および血液の検査はいずれも、日本脳炎に対する抗体が陽性だった。家族への聞き取り調査によると、男性は 6月11日に広東省 Kaiping and Xinhui, Guangdong を旅行し、同12日に香港に戻っていた。患者の居住地は、Wah Yuen Chuen, 12 Wah King Hill Road, Kwai Chung で、近くに川や池 water streams and water bodies がある。農業当局 Agriculture, Fisheries and Conservation Department (AFCD) は、野鳥はいるが、野生ブタや養豚場はないという ... 2014年、合計 5例(自所内感染 3例、輸入感染 2例) が報告され、2013年も 6例(自所 2例、輸入 3例、不明 1例)だった。以下、原文参照願います。
[Mod.TY- Hong Kong では時々、日本脳炎患者が報告されている sporadic cases of Japanese encephalitis virus (JEV) infection。2014年、香港では、3例の自所内感染が報告されている。アジアでは、日本や中国を含む広い地域に、ウイルスが地方感染する。香港は、日本脳炎ウイルスの分布域にすっぽりと入っており、今後、患者発生が続いてもおかしくない。香港に在住または旅行で訪れる場合は、蚊族の刺咬を避けることに十分留意すべきである。中国でもワクチンの接種は可能であるものの、患者が極めて少ない香港での一斉接種キャンペーンが正当化されるかは疑問である]
参考項目 (2014年) China (04): (HK) comment 20140819.2703390

● インフルエンザ  WHO
PRO/EDR> Influenza (36): WHO global update 2015, seasonal
Archive Number: 20150703.3482942
 情報源 World Health Organisation, Influenza Update No. 240 [29 Jun 2015, based on data up to 14 Jun 2015、2015年6月29日
要約
世界的に見て、インフルエンザの活動性は、北半球では2015年初のピークから低レベルに減少し、南半球では増加が見られる。
- 北米では低調で、依然 B 型優位。
- 欧州も北米と同傾向。
- 北アフリカでは低調のままで、シーズンを通して A 型優位。
- 西アジアのほとんどの国々が低レベルと報告。
- アジアの温帯地域も低レベル。
- 南北アメリカ熱帯地方は、低レベルの A 型感染が確認されたペルーを除き、low inter-seasonal levels
- アジアの熱帯地方では、香港、シンガポール、中国南部、ベトナム、スリランカから、A 型優位の活動性上昇が報告。
- 南半球では活動性の増加が見られるが、ほとんどの地域で低レベルに留まる。ただし南アフリカでは influenza A(H1N1)pdm09 and A(H3N2) co-circulation の高レベルの活動性が報告されている。

● MERS-CoV 韓国、サウジアラビア RFI
PRO/AH/EDR> MERS-CoV (85): South Korea, Saudi Arabia, RFI
Archive Number: 20150703.3480481
[1] 韓国 1 new case, 0 new deaths - MOH 3 Jul 2015, RFI
 情報源 South Korea MOH [in Korean]、2015年7月3日
As of 3 Jul 2015 there have been a total of:
184 laboratory confirmed cases of MERS-CoV infection, including 33 deaths, 109 recoveries, and 42 currently under treatment.
過去24時間に発生した患者:
1 newly confirmed case (a 24-year-old female nurse, currently under investigation),
0 newly reported deaths, and
7 newly reported recoveries.
現在治療中の患者, 12 are in critical condition.
致死率 18.0 percent.
報告された患者の内訳
入院中の患者 82 (44.6 percent)
家族、友人 64 (34.8 percent)
医療従事者 38 (20.7 percent)
[Mod.MPP- 昨日に続いて本日も (2 and 3 Jul 2015) 、新たに報告された患者は、Samsung Hospital の 24歳の女性看護師だった。これらの看護師らがどのうような職域 what capacity で勤務し、ウイルスに曝露したのかが分かれば興味深い]
[2] サウジアラビア, 2 new cases, 0 new deaths - MOH 2 Jul 2015
 情報源 Saudi Arabia MOH、2015年7月2日
As of 2 Jul 2015, there have been a total of:
1044 laboratory confirmed cases of MERS-CoV including 460 deaths, 578 recoveries, and 6 currently active cases.
過去24時間に発生した患者:
2 newly confirmed cases
0 newly reported fatalities and
0 newly reported recoveries
[致死率 44.1 percent]
新たな患者の詳細情報:
1. A 60 year old Saudi male from Dammam , in stable condition. Denies history of contact with other cases in the 14 days preceding onset of illness.
2. A 76 year old Saudi male from Riyadh, in critical condition. Denies history of contact with other cases in the 14 days preceding onset of illness.
[Mod.MPP- both the Eastern Province and Riyadh いずれも患者の確認が続いており、今回の症例はいずれも sporadic cases と見られている。Riyadh では、この 5日間で 4人目の the "sporadic" case が報告された。5月11日以降では、the 11th case である (11人中 9人が "sporadic" cases)。これらの "sporadic" cases の感染につながる、(これまで知られている以外の) 他のハイリスク曝露を決定するための、患者対照調査を行うのに理想的な設定ではないだろうか。Dammam は、the Northeast of Hufoof in the Eastern Province から約 145 km に位置し、バーレーンにつながる道路上 roadway (?causeway vs. bridge) である。サウジアラビア渡航歴のある、韓国の発端となった患者は、the Eastern Province near Damman に滞在していた ... 考慮すべき問題 food for thought かも知れない]
関連項目 (84): South Korea, Saudi Arabia, RFI 20150701.3477232

● 狂犬病 米国
PRO/AH/EDR> Rabies - USA (21): (KS) fox, human exposure
Archive Number: 20150703.3482990
 情報源 KWCH12 Eyewitness News、2015年6月30日
動物管理当局者は、Sumner County で傷ついたキツネを助けようとして、男性 1名が狂犬病に曝露する結果となった事を受け、野生動物に近寄らないよう注意を呼びかけている ...

● アフリカ豚熱(豚コレラ)ウクライナ
PRO/AH/EDR> African swine fever - Ukraine (03): (Rovno) wild boar, OIE
Archive Number: 20150703.3482869
 情報源 OIE, WAHID, weekly disease information 2015; 28(28)、2015年7月3日
African swine fever, Ukraine、1st occurrence of a listed disease
感染開始時期 2015年7月2日
原因ウイルス African swine fever virus
新たな感染流行 (1)
発生地 Zhydenske forest, Dubrovytskyi, Rovno: forest
感染した種/個体数/感染数/死亡/廃棄/処分
イノシシ Wild boar; _Sus scrofa_ (Suidae) / - / 2 / 2 / 0 / 0
Affected population: On 2 July, on the Zhydenske forest, two carcasses of wild boars were found by a gamekeeper. The carcasses were located 4 kilometers from the national boundary of Ukraine with Belarus and 5 kilometers from the nearest village, Zhaden.

● 野兎病 米国
PRO/AH/EDR> Tularemia - USA (06): (CO) rabbit, alert
Archive Number: 20150703.3482641
 情報源 WesternSlopeNow、2015年7月1日
郡保健当局 The Mesa County Health Department は、ウサギ 1羽が野兎病 tularemia 検査で陽性になったとして、市民に注意を呼びかけている。'rabbit fever' とも呼ばれるこの細菌感染症は、the Colorado National Monument 東側で発見されたウサギで確認された。当局には、この地域から複数のウサギの死亡が通報されている。アウトドア愛好家、ガーデニング愛好者、ペットの飼い主などに対し、野生動物との接触を避けるよう呼びかけている。