2017年1月15日

エボラ 胎内感染 CIDRAP, 長期的予後 Lancet
E型肝炎 フランス 血小板輸血関連 Emerg Infect Dis

● エボラ
PRO/AH/EDR> Ebola update (03): news, research
Archive Number: 20170115.4767977
15 Jan 2017 シエラレオネ: Health and Agriculture collaborate
Research
11 Jan 2017. 1st baby born with congenital Ebola survives infection
[11 Jan 2017] 発行の The Journal of Infectious Diseases 掲載の新たな研究には,国境なき医師団の医師らが,エボラウイルスに感染した胎児 a baby born with congenital Ebola virus をいかに救命したかについて書かれている。ギニアで出産されたこの児は,出産から 20日後にエボラウイルス感染の所見が認められない状態 no symptoms of Ebola virus となった。出産後ただちに診察が行われ,医師らは新たな 3種類の治療法を組み合わせてこの女児を治療した: モノクローナル抗体 monoclonal antibodies (ZMapp), エボラ生存者からのバフィーコート(血液の遠心分離で得られる軽い層の成分)輸血? a buffy coat transfusion from an Ebola survivor, and 広域スペクトラム抗ウイルス薬 a broad-spectrum antiviral 。出産の 5日前に母親がエボラウイルス感染と診断され,抗ウイルス薬の favipiravir による治療が開始された。妊娠 35-36週に出産となったこの女児は,見た目では問題ないように見えた appeared healthy が,10日目まで間欠性の発熱 intermittent fevers が認められた。on days 2, 5, and 8 に ZMapp が投与され,viral loads が減少した。On day 11 に,a buffy coat transfusion を行って ZMapp に対する免疫反応を増強し,On Day 19 に,the broad-spectrum antiviral GS-5734 を投与した (小児患者に投与されるのは初めて)。 day 20 までに,エボラウイルス検査は陰性化し,day 33 に退院した。during the 2013-2016 Ebola outbreak in West Africa において,妊娠女性と新生児は高い致死率に苦しめられ,妊娠女性の 70 % が死亡し,妊娠中のエボラ感染は,ほぼ 100 % が流産または死産に終わっている。著者は,「ウイルス感染伝播が起きたのが,妊娠後期だったと考えられ,また陣痛発来から分娩までが短時間だったことで制限されたことで,出産時の新生児のウイルス負荷量が低レベルとなった。母体に投与された favipiravir の,胎児におけるウイルス増幅に対する(抑制)効果があったことも否定できない」としている]
Jan 11 J Infect Dis commentary "1st baby born with congenital Ebola survives infection"
原著タイトル Experimental Therapies for Ebola Virus Disease: What Have We Learned? The Journal of Infectious Diseases
... 著者らは,生存しただけでなく生後 8ヶ月の時点で明らかな後遺症を残していない an EBOV-infected neonate について初の報告を行っている。ギニアのアウトブレイク後期の患者 the last cases of EVD の 1人である,この生存児は,同疾患の有効な治療法を模索する中で,ついに危機を脱しつつあるのではないか,との期待を抱かせる。1例のみで有効性の証拠とならず,例外的に幸運なベビーなのかもしれない,のは言うまでも無い。本報告は教唆に富んでいるだけでなく,臨床的マネジメントや治療的介入 investigational EVD therapeutics の評価に関しても,多くのポイントを提起している。aggressive supportive care に加えて,3種類の実験的治療法 experimental therapies for EVD--ZMapp (a cocktail of 3 human-mouse chimeric anti-EBOV monoclonal antibodies), a buffy coat infusion, and GS-5734, the prodrug of a nucleoside viral RNA polymerase inhibitor が使用され,さらに,患児は子宮内においても,(出産後死亡した)母親に対して出産の 3日前から投与されていた the RNA polymerase inhibitor favipiravir の作用を受けていた exposed 可能性がある。欧米の病院で治療を受けた EVD 患者と同じように,この新生児には数々の治療薬が試用 received several investigational therapeutic agents されているため,どれが効いたのかよく分からない (making it very difficult to determine the impact of any particular one)。EVD の死亡は,血中のウイルス量 blood viral load と直接的に相関する - more
14 Jan 2017: Ebola's long-term effects revealed
[Lancet Infectious Diseases 掲載のこの研究は, [EVD] survivors を評価したものとして,これまでで最も規模が大きく,期間も長い]
原著タイトル Multidisciplinary assessment of post-Ebola sequelae in Guinea (Postebogui): an observational cohort study. The Lancet Infectious Diseases. DOI:
研究グループは,この研究に退院から平均 1年後に参加したギニアの生存患者の 75 % に,後遺症 post-Ebola [Ebola virus disease (EVD)] symptoms が認められたと [14 Jan 2017] 報告した。18 % が眼に問題があり,うち 8人は失明した。2 % (19人) は聴力を失い,およそ 25 % が関節と筋肉の痛み,35 % が頭痛,22 % が腹痛 stomach pain を訴えている。17 % にうつの症状があった。また今回の研究でも,以前から指摘されているように,18ヶ月を超えて生存男性の精液中にウイルスが確認され,性感染の可能性があることが示されている。今回の研究で明らかにされたこととしてほかには,母乳や腟内容検体からエボラウイルスは確認されず,2例の尿検体と唯一 1例の唾液では,ウイルスが陽性となった。研究チームによれば,退院時よりも,研究に参加した時点の方が,眼の問題が増えていた,と述べられている。眼科スクリーニングは,退院後も長期間継続すべきである,としている。また,成人に比べ,小児では深刻な健康問題は少なかった ... "Our results indicate that a close follow-up of convalescent patients might be warranted for at least 18 months after discharge... and perhaps even longer."]
関連項目 (02): news, research, vaccine, comment 20170108.4750411

● E型肝炎 フランス
PRO/AH/EDR> Hepatitis E - France: platelet transfusion-related
Archive Number: 20170115.4763642
 情報源 Emerg Infect Dis 2017;23: 146-147 2017年1月13日
Hepatitis E Virus Infection after Platelet Transfusion in an Immunocompetent Trauma Patient
フランスで生来健康であった男性が,スキーの大事故により,血液,血漿,血小板の大量輸血を受けた後,E 型肝炎ウイルスに感染した症例 hepatitis E virus (HEV) infection について報告する。入院時,この患者は重症の脾臓の鈍的損傷による出血性ショックの状態で,緊急脾摘手術の際に,9 packed red blood cells units, 7 fresh frozen plasma units, and 1 whole blood platelet pool の大量輸血が行われた ... 受傷から 15日後,黄疸を発症し,肝臓血液検査で胆汁うっ滞の所見があり,超音波検査所見は無石胆嚢炎 acalculous cholecystitis だった。経皮胆嚢摘出(切開?)による胆汁ドレナージの効果が不十分で敗血症性ショックとなったため,開腹胆嚢摘出術が行われた。病理組織診断で,潰瘍性胆嚢炎 ulcerated cholecystitis と確認された; 血液と胆汁から腸球菌 _Enterococcus faecium_ が分離された。手術から 1週間で,胆汁うっ滞,黄疸,細胞崩壊 cytolysis の所見は徐々に改善されつつあったが,肝機能検査の値は基準値とならず,胆嚢摘出術時の肝組織生検の組織診断にも異常は無く,薬剤性障害の所見もなかった。40病日目に肝機能検査値が再び胆汁うっ滞と細胞崩壊の悪化を示す,一方,全身状態,腎機能は改善し,気管チューブは抜管された。しかし,reverse transcription PCR testing revealed HEV positivity, with HEV viremia reaching 180 000 copies/mL. Serologic tests for HEV IgM (ASSURE HEV IgM Rapid Test; MP Biomedicals, Singapore) and IgG (HEV IgG ELISA; Wantai, Coutaboeuf, France) were negative at that time, but a blood sample taken on day 75 posttrauma showed HEV IgM ... (使用された)すべての血液製剤が調べられ,血小板製剤が 290 copy/ml の HEV 感染ドナー由来であることが判明 ... リバビリン治療が行われた 

● 大腸菌 米国 レストラン
PRO/EDR> E. coli gastroenteritis - USA: (MS) restaurant, EPEC, EAEC
Archive Number: 20170115.4763624
[1] 情報源 Food Safety News 2017年1月13日
A Gulfport, MS (ミシシッピ Mississippi) のレストラン Captain Al's Steak and Seafood Restaurant は,during the last 2 weeks of 2016 に食事をした 50人以上の客らの間の大腸菌感染のアウトブレイク an outbreak of _E. coli_ infections について調査中であるため,閉鎖されている。州保健当局 the Mississippi State Department of Health (MSDH) によると ... 下痢,腹痛,悪寒,頭痛などの症状を訴えている ...
[2] 情報源 Mississippi State Department of Health 2017年1月11日

● セレウス菌食中毒 台湾
PRO> Bacillus cereus foodborne illness - Taiwan: (TP)
Archive Number: 20170115.4767696
 情報源 Taipei Times 2017年1月15日
先週,台北の学校および大学で大規模な食中毒が発生し,the Centers for Disease Control (CDC) はセレウス菌 _Bacillus cereus_ contamination が原因とみている。Affiliated Experimental Elementary School of National Chengchi University, Taipei Municipal Minghu Junior High School, Tianmu Elementary School, and Long Men Junior High School の各校で 500人近くの students が 13日下痢の症状を訴えた。これら 4校には,同じ業者がランチを提供していた。保健当局は,最近報告される下痢患者の 97 % はノロウイルスによるものだが,11 chefs and 7 teachers and students の検便ではノロウイルスやロタウイルスの感染は認められず,the stool samples of 3 chefs でセレウス菌 _Bacillus cereus_ が検出された,と報告している

● ハンタウイルス チリ
PRO/AH/EDR> Hantavirus update - Americas (03): Chile (LG) susp
Archive Number: 20170115.4766680
 情報源 El Repuertero [in Spanish] 2017年1月12日
The Los Lagos region で最近 2 possible cases of hantavirus [infections] ハンタウイルス感染例が確認され,1 in Muermos and the other in Futaleufú の患者であった。The 1st [case] は a 34-year-old の農業従事者の女性で,the Puerto Montt hospital の集中治療室で人工呼吸器を装着されている。Wed 11 Jan 2017 ヘリコプターで Concepción に移送された。The 2nd suspected case は Futaleufú の救急室に搬送された a 3-year-old boy で,虫垂炎と診断されアルゼンチン Esquel (Argentina) に運ばれたが,そこで髄膜炎と診断された後に状態が悪化し,ヘリコプターで the Puerto Montt hospital に移送された。ハンタウイルス迅速検査が行われ,急性肺炎の症状が現れている。the Roberto del Río Children's Hospital in Santiago に再移送された。いずれの患者も the hantavirus rapid test が陽性となり,現在確定診断の結果を待っているところである。


● 菜種の病気、根こぶ病 カナダ
PRO/PL> Clubroot, oilseed rape - Canada: (ON)
Archive Number: 20170115.4767978
 情報源 Manitoba Co-operator 2017年1月12日
オンタリオ Ontario 州初となる,キャノーラ canola の根こぶ病 its 1st case of clubroot disease が確認された。さらに詳しい調査で,州全体のキャノーラに拡がっていることが,州農業当局 Ontario Ministry of Agriculture, Food and Rural Affairs (OMAFRA) 関係者が明らかにした ...

● ウマ伝染性貧血 米国
PRO/AH/EDR> Equine infectious anemia - USA: (IL)
Archive Number: 20170115.4767896
 情報源 The Horse 2017年1月13日
ウマ伝染病センター The Equine Disease Communication Center (EDCC) は 13 Jan 2017,イリノイ Illinois 州で late 2016 にウマ伝染性貧血 equine infectious anemia (EIA) が確認された事を明らかにした ...

● ポテトの病気、葉枯れ病 バングラデシュ
PRO/PL> Late blight, potato - Bangladesh: (RS)
Archive Number: 20170115.4767829
 情報源 The Financial Express 2017年1月12日
[Bogra] district [Rajshahi division] のポテト栽培農家は,葉枯れ病アウトブレイク massive late blight disease に不安を抱いている。当局 the Department of Agriculture Extension (DAE) によると,この地域の今シーズン this [2016/17] season の耕作面積は over 67 115 hectares で農薬の使用を勧めているとしている。