2017年2月1日

麻疹 (06)-米国,パキスタン,ルーマニア
原因不明の病気-ベニン 死亡 小児, 髄膜炎否定
マラリア,アルテミシニン配合薬-アフリカ,治療不成功
黄熱-ブラジル (12)
鳥インフルエンザ,ヒト (16)-中国 H7N9 コメント など

ウシ流行熱
PRO/AH/EDR> Bovine ephemeral fever - Australia: (NS NEW SOUTH WALES)
Archive Number: 20170201.4809357
情報源 Wingham Chronicle 2017年1月31日
Hunter では,12月に Wingham 近郊で今シーズン初のウシ流行熱 bovine ephemeral fever, commonly known as three day sickness 感染が確認され,牧場主らに注意が呼びかけられている。獣医師ら Hunter Local Land Services (HLLS) district veterinarians は農家に対し,ウシに症状が認められれば直ちに連絡するよう求めている ...

オーストラリア ブドウ黄葉病-豪
PRO/PL> Australian grapevine yellows - Australia: (SA)
Archive Number: 20170201.4809355
投稿者 豪・The University of Adelaide,Dr Nuredin Habili 2017年1月31日
2017年1月,the Clare Valley, South Australia において,The 1st outbreak of Australian Grapevine Yellows (AGY) の発生が確認された。1カ所のヴィンヤード an 18 year old vineyard のカベルネソービニヨン _Vitis vinifera_ cv. Cabernet Sauvignon の 2検体が検査で陽性となった。約 20 % のブドウの木で,yellowing symptoms with stunted growth(成長停止) and shrivelled bunches(房の萎縮)の症状が認められた。数年前からブドウの木の減少が showing decline が確認されていたが,この地域でフィトプラズマ the phytoplasma pathogen が確認 detected by PCR されたのは初めて。このワイナリーは,閉鎖 destroy the vineyard を決めた。South Australia で最後に AGY outbreak が記録されたのは 2014年で,226 km 東の the Riverland で発生した。other Australian states では発生が続いており,たとえば a previous outbreak in NSW in 2004 では,症状および分子学的解析で発生が確かめられている。最近われわれは,非常に近い関係にあるストロベリーの病気 the closely related disease strawberry lethal yellows (SLY) in South Australia も報告している [20161006.4542180]。
[Symptoms of AGY and SLY in South Australia ]

麻疹 (06)-米国,パキスタン,ルーマニア
PRO/EDR> Measles update (06)
Archive Number: 20170201.4808554
[1] 米国
(ニューヨーク New York)
情報源 Patch 2017年1月28日
サフォーク郡保健当局 The Suffolk County Department of Health Services (SCDHS) が,最近海外から入国した乳児の麻疹感染患者 a laboratory confirmed case of measles を確認した。19日に病院の救急外来 Good Samaritan Hospital Medical Center emergency room in West Islip で診察を受け帰宅したが,25日に家庭医療センター HRHCare Martin Luther King Jr. Family Health Center in Wyandanch を再受診した。
[See full article at URL above for exposure sites, dates, times.] ...
麻疹に関する詳しい情報 1 or
(ロサンゼルス Los Angeles)
情報源 Contagion Live 2017年1月31日
2ダース近い麻疹患者の調査後,ロサンゼルス郡保健当局 Los Angeles County Department of Public Health (LACDPH) の広報担当者は,アウトブレイクでの感染患者のほとんどが,単一のグループ a single social group 内の,ワクチンを接種されていない人々であると,31日説明した。一般社会 the general community への感染波及はない ...
原文 [Google翻訳] 参照願います。
[2] パキスタン
(バロチスタン Balochistan)
情報源 Express tribune 2017年1月29日
Chaman の麻疹アウトブレイクにより,27日,小児 2人が死亡した。ほか数百人の感染が発生している。Mehmoodabad settlement of the Chaman Tehsil において 2人が死亡した ...
(シンド Sindh)
情報源 The Express Tribune 2017年1月31日
Jhando Sanghar village から 4歳児 1名の死亡が報告された ...
[3] ルーマニア
情報源 Outbreak News Today 2017年1月29日
2015年,ルーマニアでは 15 measles cases が確認されただけだったが,2016年2165例, including 13 fatalities に跳ね上がった。国内の反ワクチンキャンペーンの間違った主張 bogus claims from anti-vaccination campaigns が原因と報じられている。コレラの運動では,ワクチンに水銀が含まれている,ワクチンにより異質の成分が体内に入る,ワクチンで喘息になる,などと主張された。この間違った情報により,the measles-mumps-rubella (MMR) vaccine の接種率が,2013年の 95 %から,2016年には 80 %に下降し,今も減少が続いている。キャンペーンを主導しているのは,the Christian Orthodox Pro Vita Federation の the 2012 book "Vaccines: Prevention or Illnes" の著者と the Coalition for the Family 様々な手段を用いて反ワクチンのメッセージを流布している。保健省は無責任なキャンペーンを非難しているが,当局に不信感を抱き,ワクチンを受けさせない保護者が多く存在する。WHO 情報 ]

原因不明の病気-ベニン 死亡 小児, 髄膜炎否定
PRO/EDR> Undiagnosed illness - Benin: (AL) fatal, children, meningitis excl, RFI
Archive Number: 20170201.4808261
情報源 Benin WEB TV [in French] 2017年1月14日
12月から1月にかけて,the commune of Malanville [Alibori department ] の医療施設 Madecali Center において,発熱を伴わない激しい頭痛がありその日のうちに死亡した 4名の学齢期の小児について,様々な解釈がなされている。髄膜炎が思い浮かべられるが,保健相は 12日,髄膜炎菌性髄膜炎流行は発生しておらず,ベニンは常在地域ではないと説明した。同省の現地調査により,これまでに小児 22 children に,同様の頭痛,発熱の症状があり,the Malanville area hospital で治療と経過観察が行われている。採取された検体で,1名のみグラム陽性双球菌 Gram-positive diplococcus の存在が確認されたが,他の症例では陰性で, "an epidemic of meningococcal meningitis" の可能性は否定されていると説明された。
[ Mod.LK 注- ... Malanville in the Alibori Department of northeastern Benin, a city, arrondissement(フランスの郡または区), and commune の,人口は 16万8千人。22人の小児に対して行われた a "systematic investigation"には髄液検査も含まれると考えられ,"Gram-positive diplococci", おそらく髄膜炎菌 _Streptococcus pneumoniae_ を指す,が認められた 1人以外は,陰性だった。よくわからないのは,死亡した 4人は発熱を伴わない頭痛があったとされているにもかかわらず,他は,同様の頭痛と発熱の症状がある 22人と記述されている。投稿者から,2月の the Lancet  掲載の記事も投稿されており,2014年12月にコンゴ民主共和国で発生した髄膜炎が疑われたアウトブレイクも,医療関係者は当初,頸部の筋れん縮 neck muscle spasm の症状があるため髄膜炎を疑ったが,腰椎穿刺を受けた患者 83人のうち,髄膜炎菌性髄膜炎を示す髄液所見が認められたのは,わずか 4人だった。ジアゼパムと記された偽のラベルがついた,実際はハロペリドールを含む錠剤を服用した患者らの,ハロペリドール haloperidol 投与後のジストニア a dystonic reaction による症状とされた。Dystonic reactions は,顔面,頸部,体幹,骨盤,四肢の,間欠的けいれん性または持続性の不随意の筋収縮 intermittent spasmodic or sustained involuntary contractions of muscles を特徴とし,結果として,項部硬直,舌突出,開口障害,渋面 facial grimacing,眼球偏位などが見られる。多くの場合,制吐薬,抗うつ薬,ハロペリドールなどの向精神薬の服用が関係する(1 )。小児や若年者で起こりやすい。治療には,benztropine (Cogentin) かジフェンヒドラミン diphenhydramine (Benadryl) が用いられる。ジアゼパム Diazepam も useful かもしれないが,まれに diazepam による an acute dystonic reaction が起こることが知られている(2 )。
今回のベニンのアウトブレイクが,薬剤によるジストニア反応 A drug-related dystonic reaction が原因であるかもしれない maybe; 診断には,薬剤の服用歴の確認が必要となるだろう。低品質の薬品や偽薬は,世界中の公衆衛生上の深刻な脅威であるが,特に途上国で問題となっている(3 , 4 , and 5 )]

マラリア,アルテミシニン配合薬-アフリカ,治療不成功
PRO/EDR> Malaria, artemisinin combination drugs - Africa: treatment failure
Archive Number: 20170201.4808262
情報源  Thomson Reuters Foundation News 2017年1月31日
世界中で使用されているマラリア malaria 治療薬による,英国での患者治療が,初めて不成功に終わり,この薬剤に対するマラリア原虫の耐性が獲得されたのではないかとの疑念が生じていると,31日に研究者らが述べた。The London School of Hygiene and Tropical Medicine (LSHTM) ロンドン大学衛生熱帯医学部 の報告によると,アンゴラ,リベリア,ウガンダでマラリアに罹患した 4人の患者は,この薬による治療が失敗し,代替医療による治療を探さざるを得なかった。憂慮すべき事で,アフリカで大きな問題となりつつあると述べている ... 何らかの変更が必要との警鐘かもしれない,と述べ,the artemether/lumefantrine drug の効果についての研究を呼びかけている。以前から,アフリカの同僚から薬剤耐性例についての情報を得ており,同大陸の各地で徐々に症例が増えている可能性があると述べている。サブサハラ地域は,飛び抜けてマラリアの患者数が多く,2015年の世界全体のマラリア患者の 90 %,マラリアによる死者の 92 %が発生している。2000年以降,アフリカの死者数が 62 %減少するなど,この 15年間にマラリアによる死亡は激減し,2015年には約 43万人となったが,その進歩には大きなギャップがあり,最貧国が最悪である。
原著 Pfk13-independent treatment failure in four imported cases of _Plasmodium falciparum_ malaria given artemether-lumefantrine in the UK. Antimicrob Agents Chemother. 2017. pii: AAC.02382-16. doi: 10.1128/AAC.02382-16. [Epub ahead of print];
[ Mod.EP 注- アンゴラ,ウガンダ(2人),リベリアにおいて熱帯熱マラリア _P. falciparum_ に感染し,英国に帰国後 artemether-lumefantrine による治療を受けた 4人の患者についての報告。いずれの患者も,初期に原虫血症 parasitemia は消失したが,最長 1ヶ月後まで再燃 recrudescence が見られた。どの患者も(治療開始後)malaria endemic areas を訪れていないことから,再感染は除外された。原虫の遺伝子解析が行われ,それぞれに,治療不成功の原因につながる,異なる変異が確認された。著者らは,the artemether-lumefantrine の吸収不足による可能性についても検討し,薬剤レベルが計測されていないため研究結果に制約があることを認めている。2012年にも,東アフリカから熱帯熱マラリアのアルテミシニン耐性が報告されている (Artemether resistance in vitro is linked to mutations in PfATP6 that also interact with mutations in PfMDR1 in travellers returning with _Plasmodium falciparum_ infections. Malaria J 2012; 11(1): 131 doi:10.1186/1475-2875-11-131)。今回報告されたのは,the WHO (WHO Technical Report Series No. 529, Geneva 1973) が R1 resistance with delayed recrudescence と命名した,治療開始から 7日以内に患者血中から原虫が消失する満足すべき初期治療反応が認められたにもかかわらず,2週間以上経過後に原虫血症が再燃する状態についてである。(感染地域として)報告されたのは,アンゴラ,ウガンダ,リベリアと地理的に広大な地域であることから,R1 resistance to artemether-lumefantrine がアフリカに広く拡散していることが示唆される。特に高浸淫地域 high endemic areas においては,genotyping を行わない限り,新たな感染との区別がつかないことから,遅れて再燃した症例が見逃されやすい。R1 resistance は耐性の増加を示唆し,今回の結果は,the artemisinins は単剤で使用せず,他の薬剤との併用でのみ使用すべきであることを改めて示した]
参考項目 2012 Malaria, artemisinin resistance - East Africa: 20120514.1132936

ヒツジ痘,ヤギ痘-ギリシャ (02)ヒツジ,ヤギ
PRO/AH/EDR> Sheep pox & goat pox - Greece (02): (AI) ovine, caprine, comment
Archive Number: 20170201.4806608
情報源 EpiCore Global Surveillance Project 2017年1月31日
From December 2016 to date (31 Jan 2017), 4 outbreaks of sheep pox and goat pox have been confirmed in the island of Lesvos. ...
原文参照願います。

黄熱-ブラジル 南北アメリカ(12)
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Americas (12): Brazil, human, monkey
Archive Number: 20170201.4806487
[1] ミナスジェライス,サンパウロ Minas Gerais, São Paulo: new human cases
情報源 Fox News, Associated Press (AP) report 2017年1月30日
患者のほとんどが,南東部ミナスジェライス州the southeastern state of Minas Gerais で発生し,27日現在 97 cases が確認されており,うち 40人が死亡している。サンパウロ州保健当局 The Health Department of São Paulo は [Mon 30 Jan 2017],現在 6例を確認しており,うち 4例がミナスジェライス州で感染した症例であった。患者はすべて死亡している。ブラジルの多くの地域に黄熱感染リスクがあると考えられてきたが,今回のような大流行は 2000年以来である。
[2] エスピリトサント Espírito Santo: monkey fatalities
情報源 Yahoo News, Reuters report 2017年1月31日
数十年ぶりの最悪の事態となっている黄熱アウトブレイクは,ヒトを死亡させているだけではなく,危機に瀕していた大西洋雨林 the Atlantic rainforest に生息するサルも絶滅させる危険性があると,31日専門家が警告した。隣接するミナスジェライス州から感染が拡大した,エスピリトサントthe state of Espirito Santo 州では,これまでに 400頭のサルが死亡して発見されている。最もリスクが大きいのはブラジル最大の霊長類である the muriqui monkey で,the planet's 25 most-endangered species of primates のうちの 1つである ...
[ Mod.TY 注- ブラジルには,2 species of muriqui monkey が生息する -- the northern muriqui (_Brachyteles hypoxanthus_) that has been on the IUCN's (International Union for Conservation of Nature) Critically Endangered list for more than 25 years and the southern muriqui (_Brachyteles arachnoides_) that has been placed on that list more recently 。残念だが,森の中でのサルの黄熱ウイルス感染を防ぐ手立てはない]
関連項目 (11): Brazil (MG) link to deforestation susp. 20170131.4805198

鳥インフルエンザ (38)-イスラエル HPAI H5N5 否定
20170131.4806235に関し。
PRO/AH/EDR> Avian influenza (38): Israel, HPAI H5N5, NOT
Archive Number: 20170201.4808044
投稿者 Arnon Shimshony 2017年2月1日
1日現在,イスラエル国内の家きんおよび野鳥で H5N5 の感染は確認されておらず,報告はすべて H5N8 による,との信頼できる筋から情報提供があった

鳥インフルエンザ,ヒト (16)-中国 H7N9 コメント
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (16): China (LN) H7N9, comment
Archive Number: 20170201.4807146
情報源 EpiCore Global Surveillance Project 2017年1月31日
20170131.4804367に関し。
[1]
この男性患者らはいずれも同じ病院で [28 Jan 2017] に診断され,1人は a 67-year-old from Kangping, Shenyang, Liaoning 遼寧省で,21日の発症。もう 1人は a 32-year-old from Beipiao, Chaoyang, Liaoning で,発症日は 16日であり,いずれも生存しており,現在入院中である。
[2]
[At least 9 people have died from H7N9 avian influenza virus infection since the start of this year 2016, according to disease control centers in Henan, Guangdong, and Hunan provinces.]
中国浙江省の疾病管理当局 Zhejiang provincial disease control and prevention center の専門家は,2017年すでに 9人の死者が発生している H7N9 鳥インフルエンザへの注意を怠るべきではないとしている。現在,感染のピークに入っており,依然として,生きた家きんとの接触が主な感染経路である。遺伝学的解析によると,ウイルスの変異は確認されていないが,昨秋終わりごろから流行地域が広がっており,2016年はその前年よりウイルスの活動性がより高まった。浙江省では合計 44例の患者が報告され,2人が死亡した ...
関連項目 human (15): China (LN) H7N9, RFI 20170131.4804367