2017年2月2日

そけいリンパ肉芽腫 ハンガリー ECDC
黄熱 ブラジル(2件、米国 CDC)
急性毒性脳症 インド、ライチ 2014 Lancet

● そけいリンパ肉芽腫 ハンガリー
PRO/EDR> Lymphogranuloma venereum - Hungary: increased, MSM, new genovariant, 2012-2016
Archive Number: 20170202.4811960
 情報源 Eurosurveillance, Volume 22, Issue 5 2017年2月2日
原著タイトル Emergence of the lymphogranuloma venereum L2c genovariant, Hungary, 2012 to 2016. Eurosurveillance, 22,(5), 2 February 2017
東欧において,検査で確定診断されたリンパそけい肉芽腫 laboratory-confirmed cases of lymphogranuloma venereum (LGV) の報告はほとんどない。今回,from November 2012 to July 2016 にハンガリーにおいて確認された,男性同性愛者の患者 22例 LGV cases in men who have sex with men (MSM) について報告する。遺伝子塩基配列の解析により,22例中 16例が the L2c genovariant による感染で,2012年から2014年までは各年 1例ずつ,その後 7 cases in 2015 and 6 up to July 2016 が発生したことが明らかになった。the 16 total L2c LGV cases のうち,10人が重症出血性直腸炎を発症した。MSM の間で,欧州ではあまり報告されていない,この新たな遺伝子型の菌 this new genovariant による患者が広がっていることが懸念される。the L2c genovariant の拡大およびその病原性や臨床症状について,さらなる調査が望まれる。MSM の男性の間で,そけいリンパ肉芽腫 lymphogranuloma venereum (LGV) による直腸炎や肛門直腸潰瘍が発生し,2003年以降の欧州で再興・性感染症となっており,西欧および北欧の多数の国々では常に患者の報告が続いている。しかし,南欧および東欧ではこれまで少数例が報告されているのみで,2010年に初めてチェコが,続いて2012年にハンガリー,2015年にスロベニアが報告した。初報告の後のチェコでは着実に患者数が増え続けている。現在の西欧での流行の原因となっているクラミジア菌は the L2 biovar of _Chlamydia trachomatis_ で,the predominance of the L2b genovariant が優位となっている。最も感染が多く認められているのは,危険な性行為を行う,HIV 陽性 MSM 男性の,経肛門直腸感染であるが,わずかながら経尿道感染例も報告されている。リコンビナント a recombinant of L2 and D strains である,L2c と呼ばれる新たな型の菌 a new LGV genovariant も報告されているが,これまでのところ感染は少数にとどまっていた。The L2c genovariant は,病型としてめずらしい重症出血性直腸炎の患者で初めて分離され,培養で細胞毒性を示す強毒性株 a hypervirulent LGV strain developing cytotoxic phenotype in culture と報告されていた。しかし,遺伝型と臨床症状の重症化との関連性は示されていない。これまでのところ the L2c genovariant の報告は比較的まれで,最新の欧州マネジメントガイドラインではその発生が報告されるにとどまっている。欧州内での発生頻度についての疫学データもない。東欧では,最近になってやっと LGV の検査が可能となり,患者の検出は始まったばかりである。チェコ共和国内で the LGV genotypes が検出されたとの公表されたデータはなく,スロベニアでは 2015年に only one confirmed L2c genotype がある。近隣国では,オーストリアで 2008年に a high rate of non L2b variants among reported LGV cases (7/15) が確認されたが,(詳しい)遺伝子の解析は行われていない。本報告では,2012年11月から 2016年6月までにハンガリーで検査で確定診断された感染例 LGV cases と分離された菌の塩基配列の解析結果を明らかにする。
between 2012 and 2016 に全部で 22例の感染が確認された; the 1st identified case in 2012, 2 LGV in 2013, 3 in 2014, 8 in 2015 and 8 until July 2016 respectively。年齢層は the 25-34 years age group が最も多く most cases (10/22),次いで the 35-44 years age group with 7 cases だった。13 from ブダペスト Budapest or from the neighbouring cities of Pest county だった。9例が one or more foreign partners との無防備な性行為および/または海外渡航を報告している。接触者追跡調査で確認できた症例は 2例のみで,1例は重症直腸炎があり,もう 1例は無症候性の尿道保菌例だった。陽性検体の採取部位は,肛門スワブ 14件,尿道スワブ 3件,陰茎潰瘍部のスワブ 4件,そけい吸引検体 1件。直腸炎は,最も多く(14件)みられた臨床症状で,ほか,そけいリンパ節腫脹,陰茎びらん,肛門周囲潰瘍,尿道分泌物などの症状が見られた。直腸の症状に対し,過敏性腸疾患 irritable bowel disease (IBD) の治療が行われていた例が 2例あった。遺伝学的解析 Sequence analysis of the LGV isolates により,16例 of the sequenced samples (n=21) が L2c,3 例が L2b と同定され,2例については従来の方法で診断できず,designated L2bV1 とした ... 7例で淋菌との重複感染。1例で梅毒トレポネーマ DNA が検出され,血清学的検査で 6例が最近の梅毒感染,同じく 9例が過去の感染。17例が HIV 陽性 ... the L2b genovariant が優位の西欧からの報告と対照的に,今回のハンガリーでの研究では L2c genovariant が多数(16)を占め,知りうる限り,欧州でこのように the L2c genovariant が高率であったとの報告はない。HIV 陰性だった 4例はすべて the L2c genovariant に感染しており,肛門外病変を認めた 8例中 6例でこの型が確認されていることは興味深い ... 重症直腸炎 severe L2c proctitis があった患者の半数が最近,梅毒と淋菌のいずれかまたは両方に感染していた。これらの性感染症病原体が出血症状に関与し,直腸粘膜に重度の炎症を引き起こしていた可能性も考えられる。2例について,a formerly known L2 genovariant では検出できず,an LGV variant sequence described in a Spanish study (GenBank accession number JX971936.1) との結果が得られた。南米-スペイン経路を介して持ち込まれた variant と考えられ,スペイン以外ではフランスから designated L2bV1 として報告されている ... 本研究の結果解釈上の制限事項

● 黄熱 ブラジル(2件、米国 CDC)

PRO/AH/EDR> Yellow fever - Americas (14): Brazil, CDC Advisory
Archive Number: 20170202.4811829
 情報源 CDC Yellow Fever in Brazil 2017年2月1日
現状について
ブラジル保健省は,2016年12月の開始以来,現在も継続する黄熱アウトブレイク an ongoing outbreak of yellow fever を報告している。最初の患者が報告されたのはミナスジェライス州 the state of Minas Gerais だが,隣のエスピリトサントとサンパウロ the neighboring states of Espirito Santo and Sao Paulo からも報告されている。主に農村部からの報告で,ミナスジェライスが最も多く患者を報告している。一部の患者は死亡した。発生地域の保健当局が,地域内でワクチンを受けていない人に対するワクチンの一斉接種を行っている。アウトブレイクの発生を受け,旅行者に対して黄熱ワクチン接種を勧告するリストの対象地域が拡げられた
ブラジル保健省は,黄熱ワクチン接種を勧奨する国内の他のすべて都市のリストを変更していない maintains (最近新たに加った都市が含まれていない)。生後 9か月以上のすべてのこの地域への旅行者は,黄熱ワクチンを接種すべきである。接種したことがない場合は,アウトブレイクのある地域を旅行すべきではない。CDC はほとんどの旅行者について,黄熱ワクチンの追加接種をもはや推奨していないが,最終の接種から 10年以降経過していて,アウトブレイクの発生地域などのハイリスクの環境が予想される場合は,追加接種も可能である。アウトブレイクが続いていることから,travelers to the Brazilian states of Minas Gerais, Espirito Santo, and parts of Bahia, Sao Paulo, and Rio de Janeiro states は追加接種を考慮してもよく,接種提供者と相談すること。黄熱ワクチンが不足しているため,渡航前に余裕をもって相談することを薦める

PRO/AH/EDR> Yellow fever - Americas (13): Brazil (MG)  
Archive Number: 20170202.4809356
 情報源 The Rio Times 2017年2月1日
ミナスジェライス Minas Gerais 州の黄熱患者 confirmed cases of yellow fever が 109人に達したことが,州保健当局 the State Health Department の疫学報告で明らかにされた。州内で合計 40人が死亡した。the northern municipality of Januária で感染したとみられる 1人は,the Federal District で診断され,死亡した。51郡から 712例の疑い例の報告がある。the 109 confirmed cases が確認されている ...
関連項目 (12): Brazil, human, monkey 20170201.4806487

● カーフェンタニル過量摂取 カナダ 死亡
PRO/AH/EDR> Carfentanil overdose - Canada: fatality, alert
Archive Number: 20170202.4811717
 情報源 The Canadian Press and CTV news 2017年2月1日
死亡する可能性のあるオピオイド薬 the deadly opioid carfentanil の登場により,ブリティッシュコロンビア British Columbia 州で薬物の過剰摂取が急増した可能性がある,と保健当局者が述べた。2016年の 11月および 12月に薬物濫用による死亡 [drug] overdose deaths が記録的な数を示した。通常,ゾウなどの大型動物の鎮静薬として使用されるこの合成薬が原因とされる。州保健当局は 1日,バンクーバー Metro Vancouver 全域の薬物依存患者の治療施設で実施した,2週間の調査で,少数の患者の尿からカーフェンタニル carfentanil が検出された ...

● MERS-CoV サウジアラビア
PRO/AH/EDR> MERS-CoV (10): Saudi Arabia (SH, MK)
Archive Number: 20170202.4811346
 情報源 Saudi MoH 28 Jan 2017 - 2 Feb 2017 2017年2月2日
As of [Thu 2 Feb 2017], there have been a total of:
1547 laboratory-confirmed cases of MERS-CoV infection, including 643 deaths [reported case fatality rate 41.6 percent], 895 recoveries, and 9 currently active cases.
Since the last ProMED-mail update [Fri 27 Jan 2017], there have been a total of:
3 newly confirmed cases,
2 newly reported fatalities, and
1 newly reported recovery.
Information on newly reported cases (3 cases)
Date: 2 Feb 2017 (1 case)
1- A 57-year-old Saudi male, from Hafr Albatin [Ash Sharqiyah region], currently in critical condition. Classified as a primary case.
Date: 28 Jan 2017 (2 cases)
2- A 75-year-old Saudi male, from Taif [Makkah region], currently in critical condition. Classified as a primary case with a history of direct contact with camels.
3- A 74-year-old Saudi female, from Alkhorma (Al Khurma) [Makkah region], currently in critical condition. Classified as a primary case with a history of indirect contact with camels.
関連項目 (09): Saudi Arabia (MK) WHO 20170127.4797694

● 急性毒性脳症 インド、ライチ

PRO/AH/EDR> Acute toxic encephalopathy - India: (BR) lychee fruit, 2014
Archive Number: 20170202.4809638
 情報源 The Lancet Global Health 2017年1月30日
要約
国内最大のライチの産地であるビハール州 Muzaffarpur [Bihar] で,毎年,高い致死率の小児の急性神経疾患のアウトブレイクが発生している。2014年,この疾患のリスクファクタ―を調査した ...
方法 
Muzaffarpur の 2か所の病院に,新たに発生したけいれんまたは感覚異常 altered sensorium で入院した 15歳以下の小児患者と,コントロールとして,これらの患者の入院の前後 7日間に入院した非神経疾患の小児患者とを比較した。採取された血液,髄液等の種々の検体の病原体や,ライチの殺虫剤や金属濃度,フルーツ内に生成され低血糖の原因となる天然のトキシン hypoglycin A or methylenecyclopropylglycine (MCPG)が調べられた 
結果 
Between 26 May and 17 Jul 2014 に Muzaffarpur の 2病院に,診断基準を満たす 390 patients の入院があり,122 (31 percent) 人が死亡した。入院時,204 (62 percent) of 327 の血糖値が 70mg/dl 以下だった。104 cases と 104 age-matched hospital controls の間で比較が行われた。ライチの摂取 Litchi consumption (matched odds ratio [mOR] 9.6 [95 percent CI 3.6-24]) と発症前 24時間の夕食を摂取しなかったこと (2.2 [1.2-4.3]) が疾患と関連していた。夕食の摂取の有無が,ライチによる疾患への影響に大きく影響していた (odds ratio [OR] 7.8 [95 percent CI 3.3-18.8], without evening meal; OR 3.6 [1.1-11.1] with an evening meal)。病原体および殺虫剤の検査は陰性。48 [66 percent] of 73 urine specimens from case-patients 患者の尿検体で,hypoglycin A, MCPG, or both の代謝物が検出されたが,コントロールの 15例では確認されなかった; 72 (90 percent) of 80 case-patient specimens で,脂肪酸代謝の深刻な崩壊を示す血漿 acylcarnitine の異常値が認められた。36 litchi arils from Muzaffarpur の検査で,hypoglycin A concentrations ranged from 12.4 microg/g to 152.0 microg/g and MCPG ranged from 44.9 microg/g to 220.0 microg/g だった。
解釈
an outbreak of acute encephalopathy in Muzaffarpur に,both hypoglycin A and MCPG toxicity が関連していることが疑われた。この地域での死亡を減少させるため,ライチの摂取を最低限にとどめ,必ず夕食を摂り,疾患が疑われた場合は血糖の迅速検査を行うことを推奨する

● ベラドンナ中毒 米国
PRO/EDR> Poisoning, belladonna - USA (02): homeopathic teething product recall, comment
Archive Number: 20170202.4809358
 投稿者 James Dickinson 2017年2月1日
homeopathic teething products に,中毒量域のベラドンナが含有されていた可能性があるというのは不思議だ It seems strange: homeopathic products では最終的に,アボガドロ数を超えた希釈が起こるはずで,the original substance はほとんどは残留しない。劣悪な製造過程が原因に違いない。

● 鳥インフルエンザ ポルトガル、ウガンダ HPAI H5N8
Highly pathogenic influenza A viruses (infection with) (non-poultry including wild birds), Portugal,new strain of a listed disease
PRO/AH/EDR> Avian influenza (40): Portugal (Algarve) wildfowl, HPAI H5N8, OIE
Archive Number: 20170202.4811961
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2017; 30(05) 2017年2月1日
感染開始時期 2017年1月27日
原因ウイルス highly pathogenic influenza A virus
Serotype: H5N8
新たな感染流行 (1)
Outbreak 1 (1/HPAIWB/ 2017): Ludo, Almancil, Algarce, DSVR Do Algarve: natural park
Total animals affected
感染した種/個体数/感染数/死亡/廃棄/処分
アオサギ Grey Heron:_Ardea cinerea_(Ardeidae) / - / 1 / 1 / 0 / 0
Affected population: On January 27th, one grey heron (_Ardea cinerea_) was found dead in Ludo, Loule council in the region of Algarve は鳥インフルエンザのハイリスクエリアとされていた。

PRO/AH/EDR> Avian influenza (39): Uganda, HPAI H5N8, wildfowl, poultry, FAO, migration concern
Archive Number: 20170202.4810412
[1] FAO/EMPRES-AH report
 情報源 FAO/EMPRES-AH (Emergency Prevention System for Animal Health) News 2017年2月1日
ウガンダウイルス研究所 The Uganda Virus Research Institute (UVRI) で,the H5N8 subtypeに属する高病原性鳥インフルエンザウイルス the highly pathogenic avian influenza (HPAI) virus を確認し,ウガンダでは初めての確認となった ... 1月初旬,ウガンダの漁民からビクトリア湖岸 the shores of Lake Victoria in Wakiso District における野鳥の大量死の報告があった。7 dead and 2 live birds の検体で,H5 亜型 HPAI と確認された。13日,ビクトリア湖西岸の Wakiso の南西約 150 km にある Masaka District で,新たに家きん 5 domestic ducks and a hen の検査が陽性となった ...
[2] Concern over bird migration
 情報源 Bloomberg 2017年2月1日
アフリカ最大の湖の岸で渡り鳥を死滅させている鳥インフルエンザアウトブレイクは,地域内の他の郡に拡大する可能性がある。the shores of Lake Victoria で少なくとも 1200羽の野鳥が死亡したウイルスは H5N8 型と確認されたと,the World Organization for Animal Health の当局者が [Wed 1 Feb 2017] で明らかにした。渡り鳥は湖岸一帯を占める傾向にあり,湖全体に広がる恐れがあると説明されている

● レプトスピラ症 イスラエル ウシ
PRO/AH/EDR> Leptospirosis - Israel: Bovine, Leptospira serovar Pomona, RFI
Archive Number: 20170202.4811833
 情報源 Hachaklait Clinical Veterinary Services, head veterinarian's weekly report No 4/2017 [in Hebrew] 2017年1月27日
a Moshav [semi-collective village] farm in the Jezreel Valley [south of the Lower Galilee region] の乳牛の血清学的検査で _Leptospira pomona_ が確認された。この農場は,乳牛とともに肉牛 a cattle fattening unit (about 600 fattening bull-calves) 飼育もおこなっている。約 3か月前,8頭の the fattening calves が死亡し,黄疸の症状が認められた。血液検査で,suspected titers of _L. pomona_ が疑われた。これらの仔牛は,他の飼育部門で _S. pomona_ への暴露が確認されていた。乳牛は感染すると泌乳量が急激に減少し,ミルク中の 'Somatic Cell Count' が上昇し,黄疸や血尿の症状が出る。_L. pomona_ infection in the fattening calves が確認されたため,他の 11か所の乳牛の血液検査が行われ,陰性との結果が得られていた.

● マメの病気,レンズ豆 ドイツ,オーストリア
PRO/PL> Pea necrotic yellow dwarf virus, legumes - Germany, Austria: new hosts
Archive Number: 20170202.4811831
 情報源 New Disease Reports 2016年12月12日
_Pea necrotic yellow dwarf virus_ (PNYDV) のグリーンピー green peas (_Pisum sativum_) での感染は,2009年にドイツで,2010年にオーストリアで確認されている。2016年ドイツ国内で,faba beans (_Vicia faba_) の A countrywide outbreak of virus-like disease symptoms が報告され ... PNYDV infection was confirmed for a subset of 18 samples ... オーストリアでは,初めに _P. sativum_,その後まもなく faba bean で異常が確認され,in mid-late June [2016] にほぼすべての農場 nearly every _V. faba_ crop で典型的な症状が認められ ... 32 samples of _L. culinaris_, _P. sativum_, _V. faba_ and _V. sativa_ from Burgenland, Styria, Upper and Lower Austria の検査で,27 samples が陽性となった ...