2017年2月26日

エボラ 手洗いの効果 PlosOne、小児の症例定義の改訂、核タンパク質 
◎ 髄膜炎菌性髄膜炎 マルタ ,B群

● E型肝炎 チャド
PRO/EDR> Hepatitis E - Chad (03): (SA)
Archive Number: 20170226.4866244
 情報源 Relief Web 2017年2月25日
南東部 the region of Salamat で E型肝炎 Hepatitis E 流行が発生したと,公衆衛生省 The Ministry of Public Health of Chad が公式に発表した。これまでに,妊婦 4人を含む 12人死亡しており,合計 956人の感染が確認されている ...
[Mod.LL- 世界中に拡がる E型肝炎ウイルスには,different genotypes of the hepatitis E virus determine differences in epidemiology があり,たとえば,genotype 1 は主に途上国で community-level outbreaks に関係するのに対し,genotype 3 先進国に見られ outbreaks は起こさない。
hepatitis E virus genotypes 1 and 2 の感染は,世界中で 57 000 deaths and 3.4 million cases of acute hepatitis E の原因となっている。最も抗体保有率が高いのは,衛生環境の悪いウイルス感染伝播リスクの高い地域である。60 % 以上の感染と 65 % の死亡が東アジアと南アジアで発生し,一部の年齢層では抗体保有率が 25 % となるほどである。エジプトでは,5歳以上の人口の半数で血清抗体が陽性である (WHO)]

● エボラ 手洗いの効果、小児の症例定義の改訂、核タンパク質
PRO/AH/EDR> Ebola update (09): news, research, funding
Archive Number: 20170226.4866142
カメルーン: Bushmeat trade tests Cameroon's Ebola prevention 21 Feb 2017 
[食料のために野生動物の狩猟を行う国々では,エボラとの関連性が問題となる。野生動物の肉の取引や消費 bushmeat trade and consumption がエボラアウトブレイクのリスクを高めるとして,保健当局者が 2年前から警告を行っているにもかかわらず,カメルーンやその南部一帯には,常に bushmeat の需給がある ... カメルーンでは患者は報告されなかったが,オオコウモリや野生動物があふれる forest towns では,ブッシュミートへの大いなる欲求 a huge appetite for bushmeat と,エボラの温床とされる地域によこたわる,往来が自由な国境 porous borders が存在する。エボラウイルスの自然界の宿主と考えられているオオコウモリ fruit bats から他の野生動物が感染すると,その感染動物の分泌物,血液,体液から,ヒトはウイルスに暴露する ... ]
シエラレオネ: Rebuilding health care in the shadow of Ebola 20 Feb 2017 
[2014年,内戦から立ち直ろうとしていたシエラレオネでエボラ Ebola virus [Ebola virus disease] が発生し,社会のインフラが破壊された。ナイジェリアやセネガルのように,しっかりとした社会の仕組みがある国々では,エボラはすぐに終息したが,ギニア,リベリア,シエラレオネなどの,医療サービスが貧弱で,医療従事者が不足し,道路が未整備で,識字率が低い国では,適切な危機対応が阻まれ,11300人もの命が奪われる事につながった。HIV,結核,マラリアの治療や予防などの基礎的医療サービスが頓挫した ... ]
手洗いとエボラアウトブレイク 23 Feb 2017 
[出典 (23 Feb 2017). Hand washing and Ebola virus disease outbreaks: A randomized comparison of soap, hand sanitizer, and 0.05percent chlorine solutions on the inactivation and removal of model organisms Phi6 and E. coli from hands and persistence in rinse water. PlosOne. http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0172734
要約 
Ebola transmission 防止策として,治療施設 Ebola Treatment Units や社会での,こまめな手洗い frequent hand washing が推奨されている。しかし,どの手洗い方法が最も効果的であるかについては,あまり知られていない。
今回,6種類の hand washing protocols (石けんと水, アルコール基剤の手指消毒薬 alcohol-based hand sanitizer (ABHS), 0.05percent sodium dichloroisocyanurate, high-test hypochlorite, and stabilized and non-stabilized sodium hypochlorite solutions) について,1) 非病原性モデル微生物の除去と不活化に対する手洗いの効果,2) すすぎ液中の微生物の残存率について検討した。Model organisms _E. coli_ and bacteriophage Phi6 を用いて,疑似体液に添加した有機負荷 organic load がある場合とない場合で,手洗いの効果を評価した ... 
Chlorine-based methods は rinse water 内の残存微生物の減少に寄与する可能性があった。the potential benefit of chlorine-based methods in rinse water persistence を,the most practical hand-washing method to ensure hand hygiene in Ebola contexts として推奨する]
小児の症例定義の改訂 Refining the paediatric Ebola case definition: a study of children in Sierra Leone with suspected Ebola virus disease The Lancet 24 Feb 2017: 
[出典. (23 February 2017.) Refining the paediatric Ebola case definition: a study of children in Sierra Leone with suspected Ebola virus disease. The Lancet, DOI:
要約
背景 suspected Ebola virus disease の症例定義には幅があり,多数の感染のない小児が検査のため隔離され,院内感染のリスクを高めた。Ebola holding units in Sierra Leone に入院となった 13歳未満の小児のデータから,小児入院患者の症例定義を改めた結果を報告する。
解釈 接触歴,発熱,結膜炎,腹痛,下痢が,エボラと診断する重要なサイン key characteristics for diagnosis of paediatric Ebola virus disease だった。この症例定義は,たとえばリスクカテゴリーのトリアージに用いて院内感染リスクを軽減するなどの柔軟な適用が可能である]
核タンパク質 Nucleoprotein C-terminal domain from the Ebola and Marburg viruses
[出典 (2016). Acta Cryst (2016). D72, 49-58 26 Feb 2017
Ebolavirus and Marburgvirus はフィロウイルス科 Filoviridae に属し,ヒトの重症ウイルス性出血熱の原因となる ... 
核タンパク質 the nucleoprotein (NP) は、the Ebolavirus genome 遺伝子に情報が書かれているが,近年までその構造が明らかになっていない 2種類のタンパクのうちの 1つであった。このタンパクは,ウイルスの構築と複製 the assembly and replication of the virus に重要な役割を果たすことから,創薬の適切なターゲットとされている。
最近,研究者グループ [Baker et al. (2016). Acta Cryst. D72, 49-58; doi: 10.1107/S2059798315021439] が,Taï Forest and Bundibugyo の 2種類のエボラウイルス related pathogenic species of Ebolavirus の NP の the homologous C-terminal domains が,アミノ酸配列が異なるにもかかわらず、a Zaire variant 変異株と非常に類似する highly similar 構造を有することを発見した。
興味深いことに,マールブルグウイルスの C 末端ドメイン the related NPCt domain from MARV は,the Ebolavirus consensus structure 共通構造とは,著しく異なる構造を持っている。
要約
マイナス1本鎖 RNA ウイルスであるフィロウイルス科 The Filoviridae family of negative-sense, single-stranded RNA (ssRNA) viruses は、マールブルグウイルス 2 species of Marburgvirus (MARV and RAVV) とエボラウイルス five species of Ebolavirus, i.e. Zaire (EBOV), Reston (RESTV), Sudan (SUDV), Taï Forest (TAFV) and Bundibugyo (BDBV) からなる。
各ウイルスは,7 distinct proteins タンパク質をコードする遺伝子 the ssRNA を有する。このうち核タンパク質 the nucleoprotein (NP) は,感染細胞およびウイルス・ヌクレオカプシド内で最も豊富なウイルスタンパクである。ヌクレオカプシド内のウイルス RNA と密接に関連し,ウイルスの生活サイクルにおいて,転写,RNA 複製,ゲノムパッケージ,膜被包化に先立つヌクレオカプシド生成に不可欠となる。この独自の C 末端ドメイン the unique C-terminal globular domain of the NP from EBOV の構造が最近決定され,知られている他のいかなるタンパクとも構造上の関連性がないことが示されている [Dziubanska et al. (2014), Acta Cryst. D70, 2420-2429]。
この論文の中で,4種類のエボラウイルス,およびマールブルグウイルスの NP C 末端の研究結果が報告されており、予想されたとおり,the BDBV and TAFV proteins の結晶構造は EBOV のそれと高い構造上の相同性を示す一方,the MARV protein は,中心残基構造を有する a molten globule のように振る舞い[?],the EBOV protein とは著しく異なっていた]
Funding
22 Feb 2017: Mark Zuckerberg gives USD 50 million to battle Zika, Ebola, other diseases
関連項目 (08): news, research, vaccine 20170219.485052

◎ 髄膜炎菌性髄膜炎 マルタ
PRO/EDR> Meningitis, meningococcal - Malta: fatal, serogroup B, vaccine shortage
Archive Number: 20170226.4865078
 情報源 Times of Malta 2017年2月24日
B群髄膜炎菌ワクチン The meningitis B vaccine の不足が続いているようである。マルタ(へのワクチン供給)は順番待ちの状態であると,メーカーが述べた。世界的な需要が,供給を上回っていると述べた。
現在対応するワクチンが入手できない B群髄膜炎菌性髄膜炎により,1歳児が死亡した。児が死亡したのは 2017年1月である。当局 The Central Procurement and Supplies Unit (CPSU) の the meningitis B vaccine の地方エージェントの多数の地域薬局に保管があるとの情報が寄せられていると,保健省広報担当者が説明した。GlaxoSmithKline (GSK) マルタの代表が速やかな供給に協力する旨の発言を行っている。政府当局は,この特殊なウイルス株に対するワクチンを提供していないが,私立病院や薬局では購入が可能である。私立病院は,海外の薬局から購入しているが,そのワクチンも枯渇してしまったと,小児科医らは述べている。the local representative of GSK は,同ワクチンが入手できないことを認めた上で,そう長くは続かないだろうと述べた。再入荷のはっきりとした期日は明らかにできないと述べている。広報担当者は,世界的に高い需要があり,GSK [GlaxoSmithKline] は合意があった各国政府当局に優先的に出荷しており,現在は需要が製造量を凌駕していると説明した ... マルタ小児学会 Maltese Paediatric Association によると,小児の間で約 10例の髄膜炎患者が報告されている ...
[Mod.LL- 莢膜多糖体の抗原特異性に基づき分類された,少なくとも 13 _ Neisseria meningitidis_ serogroups(血清型)が存在するが,serogroups A, B, C, Y, and W による疾患が最も多い。
髄膜炎菌ワクチン Meningococcal vaccines には,capsular polysaccharide for _Neisseria meningitidis_ serogroups A, C, Y, and W が,単体またはタンパク結合の形で含まれている。
夾膜多糖体結合ワクチン The conjugate capsular polysaccharide vaccines は,多糖体ワクチンと違い,乳児に対しても免疫を付与し,咽頭での髄膜炎菌の移動を減少させることで感染伝播を少なくし,さらには持続性の免疫反応を生じることでより長期間の感染防御が与えられるという点で,多糖体ワクチンより好ましい
B群髄膜炎菌ワクチン Serogroup B vaccines は,同菌の多糖体の,人体内での免疫原性が弱く,自己抗原化する可能性 a potential auto-antigen があるため,外膜小胞タンパク抗原 meningococcal B outer membrane vesicle protein antigens に対して製造された。少なくとも 2種類のワクチン serogroup B meningococcal vaccines -- Bexsero (GlaxoSmithKline, GSK) and Trumenba (Pfizer) -- が入手可能である。
髄膜炎菌性疾患はしばしば前兆なく発症し,適切な治療が行われた場合でさえ,急死することが多い。加えて,回復した患者のおよそ 10-20 % が,聴力損失,脳障害,四肢切断などの後遺症に苦しむことになる ... 
接種されたワクチン the A, C, Y, and W polysaccharide or conjugate vaccines or the surface proteins regarding serogroup B vaccines によって,他の血清型の菌に対する交差防御効果 cross-protection が付与されることはない ... 
施設内やコミュニティ内,家庭内の濃厚接触者の感染拡大防止策として,ワクチン(CDC) や抗生物質が使用されることがある ... 
マルタの乳幼児の定期ワクチン接種 the 2017 Malta National Immunization Schedule には,髄膜炎菌ワクチン meningococcal vaccines は入っていない (保健省)。
米国では serogroups A, C, Y, and W は,children aged 2 months through 10 years の中で,補体欠損,無脾症などの感染リスクの高いグループ,アウトブレイクでのリスクグループに対する推奨ワクチン,感染リスクの高い地域 (詳細)への渡航や長期滞在者についてのみ,接種が勧められている。
The serogroup B vaccines Bexsero and Trumenba は,10歳から25歳までに対してのみ the U.S. Food and Drug Administration (FDA) の認可を得ているが,the European Medicines Agency は生後 2ヶ月以上に対する Bexsero の使用を認めており,英国とアイルランドの小児定期接種に Bexsero が加えられている。
EU 加盟国であるマルタ Malta は,イタリアの南 80 km にある地中海の島嶼国で,わずか 45万人の人口しかない]