2017年2月27日

クリミアコンゴ出血熱-ナミビア 死亡
ムンプス-米国 (06)
鳥インフルエンザ,ヒト (26)-中国 H7N9
コレラ (07)-南北アメリカ PAHO F など

クリミアコンゴ出血熱-ナミビア 死亡
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Namibia: (OH) fatal, quarantine
Archive Number: 20170227.4866654
[1] 死亡例
情報源 The Namibian 2017年2月24日
Gobabis [Omaheke region] の 26歳の農業労働者 1名が 22日,the Gobabis District Hospital において [クリミアコンゴ出血熱 Crimean-Congo hemorrhagic fever により] 死亡したと,保健省が明らかにした。発熱,下痢,咳嗽の治療を受けていたが,吐血があり入院した 2日後に死亡した。家族が,患者がダニの刺咬を受けていたことを認めた。保健当局者  health permanent secretary {PS] は, "Crimean-Congo hemorrhagic fever の患者と報告を受けている"と述べた。治療に当たった看護師 4人と医師 1人は,Gobabis において隔離の上,健康監視を受けている ... 過去に 3例の患者が報告され,うち 2人は生存している。1例は 2002年に the Windhoek Central Hospital で,もう 1例は 2010年に a southern farmer from the Aroab [Karas Region] に発生し,この患者は Bloemfontein の病院で死亡している。看護師として,実際に看護に当たった PS は,この 10歳男児は現在も生存していると述べた ...
[ Mod.UBA 注- ナミビア Namibia は南西アフリカに位置し,ナミブ砂漠 the Namib Desert に囲まれた大西洋沿岸にある。保健省のウェブサイトによると,Omaheke region で死亡例が 1例確認されたとある]
[2] 検疫措置 Quarantine measures
情報源 New Era 2017年2月27日
クリミアコンゴ出血熱 Crimean-Congo haemorrhagic fever (CCHF) の発生を受け,the Windhoek Central Hospital では合計 4人が隔離された一方,先週 [week of 20 Feb 2017] このダニ媒介性ウイルスにより死亡した患者と接触があった,看護師 4人と医師 1人は,Gobabis State Hospital で隔離されている。保健当局者 Permanent Secretary in the Ministry of Health and Social Services が [26 Feb 2017] 明らかにした。Windhoek hospital で検疫下にある人々の状態は安定しており,検査値も基準値にあると述べた。看護師と医師は,3日間の喀血,発熱,下痢を訴え受診し,ウイルス感染により 20日に死亡した患者と接触があった。Windhoek で隔離されている人々の検査の結果が今週中に判明し,最終的な確定診断 (感染の有無)となると説明されている。Gobabis hospital で隔離されている病院スタッフも異常はない doing fine とされている。ウイルス感染の原因となった農場の調査が行われているが,今週末 [25-26 Feb 2017] の時点で新たな疑い例は確認されていない ... この 26歳男性患者は,マラリアの治療が行われていたが,検査は陰性だった。検査結果判明後,一旦退院したが,症状が続くため翌日再受診していたと述べられている ...
[ Mod.UBA 注-1981年に初めてアフリカ南部に CCHF が存在することが確認されてから 2000年までの間に,合計 158 cases of CCHF in southern Africa の診断例がある; one infection having occurred in the Democratic Republic of Congo (the former Zaire), one in Tanzania, 10 in Namibia, and the remainder in South Africa。ほとんどの患者が家畜に関係する職業 the livestock industry に就いており,大部分が男性である(1)。家畜関係者のほか,農村部の住民,仕事やレジャーで農村部を訪れる町の住民なども,ダニに暴露するリスクが高い。ダニの刺咬を受けても気づかれないこともあり,コンゴ熱を媒介するダニは,患者の頭髪内や足の指の間のような見つけにくい場所に付着している。ダニからの感染を防ぐ手立てとして,忌避剤 repellants (DEET, permethrin など)伸使用があげられる。医療従事者には,標準感染予防に従った個人感染防護が求められる。通常,臨床症状が消失(無熱,出血なし,正常血小板数と凝固時間)した時点の患者は,感染力を持たない。医療従事者と家族は,暴露後最大 14日間,1日2回の検温と症状の確認を行う(2)]
[ Mod.ML 注-(1番目と2番目のニュースで,死亡した日にちが異なるが)the Ministry of Health confirms that this patient died on 22 Feb 2017 ]
参考項目 2014 South Africa ex Namibia 20140919.2788764

ムンプス-米国 (06)
PRO/EDR> Mumps - USA(06)
Archive Number: 20170227.4864176
[1] USA (Alabama)
Alabama Department of Public Health Investigates Mumps at the University of Alabama - 2017
情報源 Epi-X (Epidemic Information Exchange)2017年2月24日
アラバマ州公衆衛生当局 The Alabama Department of Public Health (ADPH) に最近,大学保健担当者 the University of Alabama (UA) Student Health Center から,複数の大学生のムンプス mumps 感染が報告された ... UA の大学生のワクチン接種率は高いものの,学校のような濃厚接触の状況においては,ワクチン接種が行われている集団においてもムンプス感染が発生する可能性がある。しかしながら,(たとえ発生したとしても) high vaccination coverage によってアウトブレイクのサイズは縮小される ...  2016年に州内で報告されたムンプス感染は only one case of mumps だった
[2] California (Orange County)
Four Chapman law students sickened in mumps outbreak
情報源 Orange County Register 2017年2月25日
1月27日の Chapman Law School's back-to-school event に参加した学生 4人がムンプスと診断され,多数がウイルスに暴露した可能性があると,24日,郡保健当局者が述べた。検査により 1例の感染が確定診断され,ほか 3例はprobable cases であると the Orange County Health Care Agency の関係者が述べた ...
[3] Pennsylvania
Health department working with PSU [Penn State University] on mumps cases
情報源 Altoona Mirror 2017年2月25日
ペンシルベニア州立大学 Penn State University's main campus で発生したムンプス感染について,州保健当局 The Pennsylvania Department of Health が調査を行っている。1月29日に 1例目の感染が確認され,その後,検査で確定診断された 4例を含む 19例が報告されている ...
[4] Responses to RFI in Mumps update (05): USA (PA, MO - RFI), Canada (ON, AB) 20170223.4860461
2016年の感謝祭 Thanksgiving [11月] 以降,複数の感染が確認されている。休暇 Thanksgiving vacation 期間中に,カンザス州立大学 The University of Kansas, Lawrence では,ミズーリ州立大学からの生徒 University of Missouri students を招いてのパーティーが開かれていた。この生徒らは(カンザス州で)ムンプスを発症した。また,州全体の高校生レスラーの間でも患者が報告されており,Johnson County, KS に住む,ミズーリ州立大学生の母親 1名の感染も確認されている。

[Dirk Haselow, MD, PhD Arkansas Department fo Health] submitted a response to the RFI:
 ... 2 doses of MMR vaccine ワクチンを完了した人々の間で,予想を超える多数の唾液腺炎 parotitis が観察されてはいるが,われわれが診た our 2820 cases において,重篤な症状の割合はかなり低率 exceptionally low rates of severe manifestations (0 meningitis 髄膜炎, 0 encephalitis 脳炎, 1 pancreatitis 膵炎, 5 hospitalizations 入院例, and 17 orchitis 精巣炎) だった。これらの重い症状全体でみると,ワクチンを接種されていない集団と比べた発生率はおよそ 1/100 となる ... 現在 CDC とともに,今回のアウトブレイクにおける,a 2nd dose and (in some cases a 3rd dose booster) の有効性の評価を行っている。

[ Mod.LK 注- ... ムンプスウイルスの遺伝子 the SH gene of mumps virus の遺伝学的多様性の問題に関する論文の 1つに,Mumps Virus Genotyping: Basis and Known Circulating Genotypes. The Open Vaccine Journal, 2010, 3, 37-41がある。the WHO により現在確認されている the 12 genotypes of mumps virus は,the same serotype と考えられているが,between different genotypes の間での,完全な交差性感染防御効果はなく,このことがワクチン無効 vaccine failure の原因と疑われている。しかし,他の論文で,this lack of cross reaction among different genotypes の報告は見当たらない。Jerryl-Lynn and Rubini vaccine strains ワクチン株は,the other genotypes と遺伝学的に遠い関係にある,genotype A に属する。かつては,the A genotype が野生株において優位であったが,現在は,most MV wild strains は other genotypes に属している。genotype A vaccine strains ワクチン株と non-A wild strains 野生株との間の遺伝学上の相違 The genetic distance が,vaccine failure の決定要因と示唆されている。一方,non-A vaccines では,ワクチン接種後髄膜炎の発生率が高く,安全性が低いと考えられてきた。有効性と安全性のバランスについてさらなる研究が行われ,将来の optimal vaccine efficacy につなげる必要がある。neutralization experiments のデータは未だ明確ではない。
もう 1つの論文,Mumps-specific cross-neutralization by MMR vaccine-induced antibodies predicts protection against mumps virus infection. Vaccine 34(35):4166.2016 では,近年のムンプスアウトブレイクでは,mumps genotype G virus strains が優位となっているが,ワクチン株 the Jeryl Lynn mumps strain of the MMR vaccine は genotype A に属する。以前より,ワクチン株ウイルスに比べ,野生株ウイルスに対する中和能は低いものの,ワクチンを接種された人々では,野生株ウイルス wild type mumps genotype G virus に対する中和抗体が十分に産生される,とされてきた。しかし,十分な免疫学的防御のある MMR ワクチン被接種者と,ムンプスウイルス感染に対する防御を持たない者とを分ける,感染防御の相関 correlate of protection は未だ定義されていない]

鳥インフルエンザ,ヒト (26)-中国 H7N9
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (26): China (HE) H7N9
Archive Number: 20170227.4866739
[1] 河南省 Henan cases
情報源 FIC (Flu Information Centre/Flu in China) 2017年2月27日
河南省保健当局 The HFPC of Henan province は,[16 to 24 Feb 2017] の間の 3 new human H7N9 AIV cases 鳥インフルエンザ患者を報告した。Shangqiu city の 2例と Nanyang city 南昌市の 1例で,このうち 1人は重体である。
[2] Case count in the last 10 days
情報源 Outbreak News Today 2017年2月25日
中国政府保健当局 The China National Health and Family Planning Commission は,the period of [13 to 23 Feb 2017] の期間内に発生した,新たな鳥インフルエンザ感染例 an additional 28 human cases of avian influenza A (H7N9), including 4 deaths について報告を行った。4歳から 81歳までの,男性 22人と女性 6人で,[from 27 Jan 27 to 17 Feb 2017 に] 発病した。安徽省  Anhui (5 cases), 広東省 Guangdong (5 cases), 江蘇省 Jiangsu (4 cases), 浙江省 Zhejiang (4 cases), 河南省 Henan (3 cases), 湖南省 Hunan (2 cases), 江西省 Jiangxi (2 cases), and 福建省 Fujian, 湖北省 Hubei and 山東省 Shandong の各 1名である。このうち 17人については家きんまたはその市場との接触を報告している。これに加えて,広西壮族自治区 Guangxi Zhuang Autonomous Region も an additional fatal human H7N9 case in a patient in Pingle County を報告した。
関連項目 human (25): China (SD, GX), H7N9 20170225.4863940

鳥インフルエンザ (60)-リトアニア,ロシア 野鳥 HPAI H5N8 OIE
PRO/AH/EDR> Avian influenza (60): Europe (Lithuania, Russia) wild birds, HPAI H5N8, H5, OIE, RFI
Archive Number: 20170227.4868106
[1] リトアニア (Kaunas), HPAI H5N8, 1st report
Highly pathogenic influenza A viruses (infection with) (non-poultry and wild birds), Lithuania,first occurrence of a listed disease in the country
情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2017; 30(09) 2017年2月27日
感染開始時期 2017年2月27日
原因ウイルス  highly pathogenic influenza A virus
Serotype: H5N8
新たな感染流行  (1)
Outbreak 1: Kaunas city, Kaunas: other
種/頭数/感染数/死亡/廃棄/処分
コブハクチョウ Mute Swan: _Cygnus olor_ (Anatidae) / - / 6 / 6 / 0 / 0
Affected population: 6 mute swans found dead in Kaunas city, near the river Nemunas.
[2] ロシア (Kaliningrad), HPAI H5
Highly pathogenic influenza A viruses (infection with) (non-poultry and wild birds), Russia
情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2017; 30(09)2017年2月27日
感染開始時期 2017年2月20日
前回流行時期 2017年
原因ウイルス highly pathogenic influenza A virus
Serotype: H5
新たな感染流行  (1)
Outbreak 1: Kaliningrad, Kaliningradskaya Oblast [Kaliningrad]: not applicable
種/頭数/感染数/死亡/廃棄/処分
コブハクチョウ Mute Swan: _Cygnus olor_ (Anatidae) / - / 3 / 3 / 0 / 0
H5N8 HPAI outbreaks officially reported in Asia, Europe and Africa by onset date, since [1 Jan 2017], can be seen at (last update [15 Feb 2017]
Note: In addition to the countries shown on the map, the following were affected between [1 Jun and 31 Dec 2016]: Austria, Bulgaria, Croatia, Denmark, Egypt, Finland, France, Germany, Greece, Hungary, India, Iran (Islamic Republic of), Ireland, Israel, Italy, Kuwait, Netherlands, Nigeria, People's Republic of China, Poland, Russian Federation, Serbia, Slovakia, Sweden, Switzerland, Tunisia, U.K. of Great Britain and Northern Ireland, Ukraine.

食中毒-カナダ 医療教育講演のケータリング
PRO/EDR> Foodborne illness - Canada: (MB) healthcare lecture catering
Archive Number: 20170227.4868222
情報源 CBC News 2017年2月26日
[Tue 21 Feb 2017] St. Boniface Hospital 病院で今週開かれたイベントで提供された食事により,the Winnipeg Regional Health Authority の職員ら 19人が,食中毒を起こした ... うち 1人は脱水症状のため点滴を受けた。唯一提供された食事のサンドイッチが原因とみられている。

コレラ (07)-南北アメリカ
Cholera in the Americas -- situation summary
情報源 Pan American Health Organization (PAHO) 2017年2月24日
厚生労働省検疫所 FORTH より。
2月24日付で、汎米保健機構(PAHO)より、アメリカ大陸でのコレラの発生状況に関する情報が発表された。

アメリカ大陸でのコレラの発生状況
2017年第1週から第5週までに、ハイチでは1,897人のコレラ患者が報告された。このうち、28人が死亡した。ドミニカ共和国では、2017年初めから第2週までに、コレラ疑い患者7人と確定患者2人が報告された。
2016年には、アメリカ大陸の4か国、ドミニカ共和国(1,159人)、エクアドル(1人)、ハイチ(41,421人)、メキシコ(1人)で、疑い患者と確定患者が報告された。

ハイチでは、2017年第1週から第5週までに、死亡者28人(致死率1.5%)を含めてコレラ疑い患者と確定患者1,897人が報告された。この期間に報告された患者数は、2015年および 2016年よりも少なく,病院での死亡率については、2011年以降1%前後に留まっている。第5週に最も多く報告された県は、多い順に、Artibonite (アルティボニット県)、Centre(中央県)、Nord(北県)、Nord-Ouest (北西県)、ポルトープランスを含むOuest (西県)だった。2016年10月4日にハリケーン・マシューの通過によって深刻な被害の出た Grand'Anse(グランダンス県)と Sud(南県)では、それぞれ第43週と第42週にピークを迎えた後、疑い患者の数は減少傾向を示し、低いレベルとなっている。

ドミニカ共和国では、2017年第2週までに、コレラ患者 9人が報告された。2016年の同じ時期には、この 2.3倍の数だった。また、2016年第1週から第52週までに、死亡者 27人を含むコレラ疑い患者 1,159人が報告された(致死率2.3 %)。2016年に報告された合計の患者数は、2014年、2015年と比べて多くなっている。