2017年5月27日

抗生物質耐性(05)-中国 コリスチン
MERS-CoV(29)-カタール,動物,ラクダ
麻疹(29)-ソマリア,英国,欧州,ニュージーランド,米国

抗生物質耐性(05)-中国 コリスチン 院内感染流行
PRO/AH/EDR> Antibiotic resistance (05): China, colistin, mcr-1, hospital outbreak
Archive Number: 20170527.5066686
情報源 Center for Infectious Disease Research and Policy (CIDRAP) 2017年5月25日
中国の小児白血病患者らに,耐性肺炎桿菌のアウトブレイク a deadly outbreak of MCR-1-producing _Klebsiella pneumoniae_ が発生したと報告された。初めての,コリスチン耐性遺伝子 the colistin-resistance gene(を有する菌)による院内感染と考えられる。The Lancet Infectious Diseases のレターの中で著者らは,広州市 Guangzhou の小児白血病病棟に肺炎で入院した患者 6人から分離された菌 clinical isolates--including 1 _Escherichia coli_(大腸菌) and 5 _K. pneumoniae_(肺炎桿菌)--が,コリスチン耐性遺伝子を有していたと報告した。これらの菌が分離されたのは,from January 2015 through January 2016 だった。最後の切り札の抗生物質と考えられているコリスチンに加え,分離された菌は,ポリミキシンB,セフォタキシム,ゲンタマイシン(polymixin B, cefotaxime, and gentamicin)などの抗生物質にも耐性を示した。The 5 _K. pneumoniae_ isolates はさらに,ceftazidime, cefepime, amikacin, fosfomycin, and ciprofloxacin にも耐性だった。患者らの治療は,バンコマイシン,リンコマイシン,イミペネム,セフォタキシム(vancomycin, lincomycin, imipenem, and cefotaxime)など複数の抗生物質を組み合わせて行われ,2~6歳の患者のうち 2人が,感染により死亡した。他の患者は回復した。遺伝学的解析により,肺炎桿菌 all 5 of the _K pneumoniae_ isolates は遺伝学的関連性を有し,the sequence type ST11に属していた,一方,大腸菌は ST156 に属していた。すべての分離菌のプラスミド transferable plasmids 上に MCR-1 が確認された。この小型で移動性のある DNA 遺伝子のかけら(small, floating pieces; プラスミドのこと)は,異なる種類の細菌に薬剤耐性遺伝子を伝えることが可能である。分離菌には,様々な薬剤耐性遺伝子が含まれていた。"小児急性白血病患者でのアウトブレイク a hospital outbreak of an MCR-1-producing _K. pneumoniae_ ST11 strain が確認され,コリスチンの使用なしに,病院内で MCR-1 が伝播されうることが示唆された"と述べた。今回のレターは,2015年に中国のブタ,豚肉とヒトの大腸菌の the MCR-1 gene を確認 [see ] した研究チームから出された。プラスミドが運ぶ遺伝子は,中国の農業で広くコリスチンが使用されていることによる結果と考えられ,多剤耐性菌 multidrug-resistant "superbugs"が出現し,現在ある抗生物質による治療が不可能となることが懸念されていた。この報告を受け,2016年に中国は動物にコリスチンを使用することを禁止した。2017年1月この研究チームは,China's Zhejiang and Guangdong provinces from 2007 through 2015 の 2カ所の病院で分離された大腸菌と肺炎桿菌で,MCR-1 を確認したと報告[Prevalence, risk factors, outcomes, and molecular epidemiology of mcr-1-positive Enterobacteriaceae in patients and healthy adults from China: an epidemiological and clinical study. Lancet Infect Dis. 2017; 17: 390-399]している。蔓延の程度は低いものの,MCR-1 遺伝子の医療環境中での拡大が起きていると報告された。2017年まで,中国国内の病院で患者に対しコリスチンが使用されたことはない。筆頭著者である Cardiff University in Wales の教授は,中国の臨床現場でコリスチンが使用されれば,より多くのヒトのコリスチン耐性感染症が発生すると危惧している ...  MCR-1 は初めての確認以降,世界 30カ国の動物,食品およびヒトからの分離菌で確認されている。the US Centers for Disease Control and Prevention は,これが初めての MCR-1 院内感染アウトブレイクであったか否かについてコメントしていないが,"The mcr-1 gene vividly illustrates the many domestic and global challenges facing us as we work to contain the spread of antibiotic resistance and improve antibiotic use"との電子メールを寄せている。
原著タイトル Correspondence: MCR-1-producing _Klebsiella pneumoniae_ outbreak in China. The Lancet Infectious Diseases 17(6):577. Published: June 2017. DOI: .Full text
[ Mod.ML 注- 原文参照願います。]

ブルータング-フランス 欧州(02) ウシ
PRO/AH/EDR> Bluetongue - Europe (02): (France) bovine, st 8, spread susp, assessment
Archive Number: 20170527.5066624
情報源 Farmers Guardian Insight 2017年5月26日
英国政府当局は,英国の南海岸からわずか 150km のフランス北部で発生した病気に対し,南東部の農業従事者らへの影響を懸念している。獣医学当局者は,ワクチン接種の検討と,各症状: mouth ulcers; drooling; swelling of the mouth; head and neck; fever; lameness and breathing problems への注意を呼びかけている ... ブルータングのリスク Risk of bluetongue recirculating in the UK は低いものの,感染地域からウシを購入する際に十分留意するよう呼びかけた ...

ハンタウイルス(33)-アルゼンチン
PRO/AH/EDR> Hantavirus - Americas (33): Argentina (BA Buenos Aires  )
Archive Number: 20170527.5066558
情報源 Bragado Informa (in Spanish) 2017年5月26日
公衆衛生当局 The Secretary of Public Health Policy から,ハンタウイルス感染症患者 case of [a] hantavirus [infection]が報告された。14日前に肺炎で入院となった 14歳の患者の,the Pergamino hospital に送られた血液検査の結果報告を受けて明らかにされた ... この 30年間で,市内で発生したのは 3例であると説明されている ...
[ Mod.TY 注- ... おそらく Buenos Aires hantavirus による。記事中 the long-tailed mouse が保有宿主齧歯類との記述があるが,同ウイルスの宿主は同定されていない。The long-tailed mouse (pygmy rice rat _Oligoryzomys longicaudatus_)は,Buenos Aires province から遥か西方の,アルゼンチンの the Andean region とチリで確認される Andes hantavirus の the sigmodontine rodent host である]

MERS-CoV(29)-カタール,動物,ラクダ
PRO/AH/EDR> MERS-CoV (29): Qatar, animal reservoir, camels
Archive Number: 20170527.5066519
情報源 State of Qatar, Ministry of Public Health - News 2017年5月24日
公衆保健省 Ministry of Public Health (MOPH) は,カタール在住の 29歳の患者 a new Middle East Respiratory Syndrome Corona Virus (MERS-CoV) case が新たに確認され,2017年の the 3rd MERS-CoV case であり,2012年以降,死者 7人を含む 21例目の患者 confirmed MERS-CoV cases となったと発表した。ラクダに関係する労働者で,数日間の発熱と乾性咳嗽の症状を訴えた。Hamad General Hospital で X線検査を受け,重症肺炎が疑われた。職業上,ラクダと頻繁に接触があると申告し,Hamad Medical Corporation laboratoriesでの詳しい検査の結果,MERS-CoV 検査で陽性が確認された。状態は安定しているものの,MERS-CoV cases 取り扱い規約 the national infection prevention and control protocol に則り,入院となった。持病,同様の症状のある患者との接触および最近の海外渡航歴はない ...
[20170524.5059234とほぼ同内容]
[ Mod.AS 注-今回のプレスリリースでは,動物衛生の専門家が患者の調査に加わっているとされている ... カタールから OIE に国内初のラクダの感染例の確認 its 1st event of MERS-CoV in camels が報告されたのは,2013年11月28日だった。同年10月14日にイベントの開始していた。関係した動物たちは,Al-Shahanya, Ar Rayyan district の小規模農場で 14頭のラクダとともに飼育されていた,ヒツジ,ハト,ニワトリだった。診断行ったのは,"the Erasmus Medical Center (Rotterdam) and National Institute for Public Health and the Environment (Bilthoven), the Netherlands (OIE Reference Laboratory)"であり,11月26日にラクダについての PCR 検査で the diagnosis of MERS-CoV の確定診断がついた。疫学的コメントが付されている: "カタール保健当局は,1名のヒトの患者 a confirmed human MERS-CoV case について報告している。医療および獣医学当局による農場の動物と接触者の調査が行われている。1名の農夫が検査陽性となり,飼育されていた 14頭のラクダと,ヒツジ,ハト,ニワトリ,および環境からの検体もオランダに提出された。観察された動物はすべて apparently healthy と(2014年6月までのフォローアップ報告で)報告されている ... 以下,各報告のポイント紹介,原文参照願います ...
the summary of the event since its start , as of June 2014, was:
Total outbreaks = 3 (Submitted)
種/頭数/感染数/死亡/廃棄/処分
ラクダ Camelidae/ 52/ 9/ 0/ 0/ 0 ... ]
関連項目 (28): Qatar, Saudi Arabia (HA) 20170524.5059234

麻疹(29)-ソマリア,英国,欧州,ニュージーランド,米国
PRO/EDR> Measles update (29)
Archive Number: 20170527.5065373
[1] ソマリア Somalia
情報源 Garowe Online 2017年5月23日
ソマリア南部 Middle Shabelle region で,麻疹 measles outbreak により複数の小児の死亡が発生したと,当局者が述べた。Mandheere district においても麻疹の感染が拡大していると,地区当局者が述べた ... 降雨により道路が通行できず,Jowhar town の病院への搬送が行えない状態となっている
[2] 英国(England)
情報源 Gloucestershire Live 2017年5月25日
the South West [of England]では昨年[2016年],およそ 100人の麻疹感染が確認され,2013年以来の高い数字となった。2015年に確認されたのはわずか 15例だったが,2016年には一気に 96例に増加し,ロンドンをのぞき,2番目に多い地域だった。1996年に次いで史上 2番目に多かった,2013年の 163例には及ばなかった ... 7 of the 96 measles cases last year [2016] は,Gloucestershire の患者だった ...  Across the South West, 92.9 percent of children in 2015/16 were given their 1st dose of the vaccine against measles by their 2nd birthday.
[3] 欧州
情報源 BBC 2017年5月26日
麻疹の流行を受け,保健相は法整備の必要性を訴えている。今週[week of Sun 21 May 2017],ドイツ国内 the city of Essen で 3児の母親が麻疹感染により死亡した。ドイツ政府当局は,医学的相談の実施が確認できない保護者らを報告するよう,各幼稚園に通達した。しかしドイツでは,イタリアの様に,ワクチン接種拒否が法律違反にはなっていない。ワクチン接種に関する相談を行わない保護者ら(の子ども)は,保育施設 their daycare center への通園を許可しない expelled 法案が来月採択される予定である ... イタリアでは今年[2017年],2016年の 3倍近くの麻疹感染が確認されている。先週[week of Sun 14 May 2017],イタリア政府は入学予定児の保護者らに対し,公立学校への入学までに,麻疹,ポリオ,百日咳,B 型肝炎など,12種類のワクチンの(児への)接種を義務づけた。the Robert Koch Institute の報告によると,2017年4月中旬までのドイツ国内の麻疹感染は 410例で,2016年は 1年間で 325例だった。同研究所は,小児に加え,1970年以降に生まれたすべての成人についても,これまでの接種が 1回以下の場合,麻疹ワクチンの接種が必要としている。先週,ドイツの裁判所は,母親が拒否した場合でも,父親が児にワクチンを受けさせることができるとの判断を示した。これは,離婚して母親と子どもが暮らしている場合に適応される。イタリアの当局者らは,ワクチンの接種率を,アウトブレイクから守られるために必要なレベルを大きく下回らせている,非科学的な理論への反論を続けている。この中には,ずっと以前に疑問符がついた,自閉症と MMR ワクチンとの関連性も含まれている。2010年の,EU 圏内とアイスランドとノルウェーのワクチン接種に関する調査 The Venice project survey では,政府方針にかなりのばらつきがあることが示されている。15カ国にはワクチンの接種義務がなく had no mandatory vaccinations,残りの国には,1種類以上の接種義務のあるワクチンがあった。接種義務はないが,接種の勧奨を行っている国も含め,遵守率は高かった。報告では,"a high vaccination coverage 達成のための手段は,義務化 the label 'mandatory' だけに限られているわけではなく,たとえば混合ワクチン combined vaccines の使用,価格,提供(案内,情報,キャンペーン)の方法,など様々な他の要因も寄与する"と結論づけている。The World Health Organization (WHO)によると,欧州全域で麻疹ワクチンの 2回接種が導入された後,麻疹の感染は急激に減り,2016年の合計患者数は約 5000例と,過去最低だった。しかしながら,欧州の 14カ国で麻疹の流行が確認され,2017年はそのほとんどの患者が,7カ国: France, Germany, Italy, Poland, Romania, Switzerland and Ukraine で報告されている。WHO は,最も大きなアウトブレイクがイタリアとルーマニアで発生していると発表した。人口の少なくとも 95 % が 2回の麻疹ワクチンを受けておく必要があるとされているが,常在国ではこのレベルに達していない ...
[4] ニュージーランド New Zealand (North Island)
情報源 1 News Now 2017年5月25日
ウェリントン Wellington で麻疹感染が確認された ... 保健当局 Regional Public Health in Wellington は[listed in the URL にある]場所に立ち寄った,ワクチン接種をして場合は,医師に相談するよう呼びかけている ...
[5] 米国 USA Minnesota
情報源 Winona Daily News 2017年5月24日
ミネソタ州ではワクチン接種から外れることは容易である(easy to opt out of vaccination)。自分の子どもにワクチンを接種したくない,旨の書類に署名するだけで済む。2017年の麻疹ワクチンを受けなかった大半の幼稚園児の理由の説明となる。ミネソタ州で,アレルギーその他の医学的理由でワクチンを受けなかった幼稚園児はわずか 95人にすぎない。一方,単に親が受けさせたくないとの理由で麻疹ワクチンを接種していない幼稚園児は,1968人だった ... .
[ Mod.LK 注-ミネソタ州では現在 68 cases of measles が報告され,ほぼ Hennepin County の U.S.-born children of Somali descent ソマリア系米国人に限られている ... Washington Post は,接種率が 92 percent in 2004 から 42 percent in 2014 に低下したと伝えている ... テキサス州在住の(ワクチン接種反対の)英国人活動家 Wakefield が,Minneapolis の自閉症児のいるソマリア人の両親を訪ねている ... ]