2017年6月21日

ポリオ シリア 疑い
日本脳炎 オーストラリア・タイから、台湾
髄膜炎 ルーマニア、細菌性

● ポリオ シリア 疑い
PRO/EDR> Poliomyelitis update (12): Syria (DY, RA), susp. cases
Archive Number: 20170621.5122019
[1] 少なくとも 17人の小児が麻痺を発症
 情報源 NY Times 2017年6月20日
ポリオのアウトブレイク a recently confirmed outbreak of polio が確認されているシリア東部 eastern Syria で少なくとも 17人の小児が麻痺を発症したと,the World Health Organization が 20日明らかにし,6年以上に及ぶ戦闘下の住民に対する健康上のリスクが懸念されている。シリアでこの麻痺性疾患のアウトブレイクが発生するのは,戦闘開始以来 2度目で,医療機関へのアクセスが困難な上,衛生状況が悪化した戦闘地域での,すべての小児へのワクチン接種が行えない状況を反映している。一時根絶の一歩手前と考えられていたポリオは,予防対策が不十分な地域においては非常に感染力の強い疾患で,感染例が 1例でも確認されれば,最大 200人がウイルスに暴露したと考えなければならないため,アウトブレイクととらえられている。8日にはじめて感染例が確認された the Deir al-Zour area では,5歳以下の小児 40万人以上に直ちにワクチンを接種する必要があるとされている。Mayadin, south of Deir al-Zour で 16人の小児麻痺患者が確認され,1人が北に遠く離れたRaqqa で確認されている。これらの患児の麻痺の発症時期はすべて,between [3 Mar 2017 and 23 May 2017]であった。2013年にシリアで(戦闘開始後)初めて確認され,野生株ポリオウイルスにより 36人の小児が麻痺を発症したアウトブレイクとは異なり,今回の新たなアウトブレイクは,ワクチンそのもの(のウイルス)から発生している ... 3月および 4月に,parts of the Deir al-Zour area でワクチン接種が実施されたが,治安の問題で多くの小児がワクチンを接種されないままとなっている。Raqqa の症例は,同地 there でウイルス感染循環があるのか,あるいは Raqqa [ママ,Mayadin の間違いか?]への渡航後に発症したのかは分からないとされている。
[2] 情報源 Reuters 2017年6月20日
シリアで新たに 15例のポリオ患者が確認され,この中に Raqqa の小児 1名が含まれていた,と 20日 the World Health Organization が明らかにした。6月,シリア国内の IS 支配地域で 2例のポリオ患者が WHO から報告されていた。シリアで 2014年以来の再興だった。20日,同じ地域 the Mayadin district of Deir al-Zour province でさらに 14例が確認されたほか,Raqqa でも 1例が確認されたと報告された ...
[Mod.MPP- early May 2017,Deir al Zour, Syria の suspected cases of polio についての投稿があった (20170506.5015784)。その時点で,15 suspected cases が報告されていた。その後まもなく信頼できる情報筋から,同地域における 23例の identified AFP (acute flaccid paralysis cases, the syndrome that is used to identify suspected cases of polio) cases が確認されたとの情報 (20170512.5032401) があり,ポリオ麻痺症例の原因として,循環するワクチン由来株ウイルス cVDPV (circulating vaccine derived poliovirus)が疑われていた。6月には,2 cases plus a 3rd asymptomatic contact of these cases で cVDPV が確認(検出)されている (20170608.5093275)。その時点で,58例の AFP cases(急性弛緩性麻痺症例)が確認された中で,11例では麻痺の原因としてポリオは除外されたが,残る 44例の AFP cases については,検査結果が出ていなかった。21日の the NY Times article では,先の 6月の 2例を含むと思われる 17例に更新されている。先週の時点で 44例 AFP cases の検査結果が判明していなかったことを考慮すれば,さらに症例が確認されることも覚悟しなければならない。もう 1点,a case in Raqqa の確認がある。感染が起きた場所が Raqqa なのか Deir al Zour で感染した輸入感染例なのか不明であるが,Deir al Zour province の隣にあり,トルコとも国境で接する,シリア国内で 2カ所目の地域 - Raqqa - にウイルスが持ち込まれたこととなった ... (治安が不安定なシリアと同じ状況が)ナイジェリア Borno state でも起き,また今も続いている。2016年,2年ぶりとなる野生株ウイルス感染例 4 WPV1 associated polio cases が確認され,2011年に同州で確認されたものと関連するウイルス株が分離された ... ]
関連項目 (11): Afghanistan, WPV, global update 20170615.5108445

● 日本脳炎 オーストラリア、台湾
オーストラリア、タイから
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis - Australia ex Thailand (02): fatal
Archive Number: 20170621.5122453
 情報源 ABC News 2017年6月21日
タイから帰国したオーストラリア人男性が,日本脳炎 Japanese encephalitis により死亡した。このビクトリア州の 60歳代の男性 The Victorian man は,5月初旬に 10日間プーケット Phuket を旅行し,8日目に発病 lethargic(傾眠状態) した。帰国後,何とか覚醒状態を保とうとしていたが,数日後に意識不明の状態 in a confused state で病院に搬送された。意識がはっきりしない diminish状態が続き,集中治療室に移されたが死亡した。日本脳炎は脳の感染症で,致死率は 20-30 % に及ぶが,すべての蚊がウイルスを保有するわけではなく,感染リスクは "vanishingly rare"と  Royal Melbourne Hospital で治療に当たった医師は述べている。
[Mod.TY- Visitors to rural areas in Thailand are well advised to take the precautions recommended by the US CDC  ... ]

台湾
PRO/AH> Japanese encephalitis - Taiwan (02): (PT)
Archive Number: 20170621.5120084
 情報源 Focus Taiwan New Chanel, Central News Agency (CNA) report 2017年6月19日
南部 屏東県 the southern Taiwan county of Pingtung の女性 1名が,日本脳炎 Japanese encephalitis に感染し,2017年の台湾で 4例目の感染となったと,19日 the Centers for Disease Control (CDC) が明らかにした。この 53歳の女性患者は,発熱,意識消失 fainting,意識障害 symptoms of consciousness disturbance の症状があり,5月26日に現地病院を受診し,別の病院に移送され日本脳炎が疑われ,検体が提出され,18日に診断が確定した。海外渡航歴はないが,ワクチンも接種していなかった。患者の自宅から約 2kmの場所に,ハト 1羽と養鶏場があった。同居者の中に同じ症状の患者はいない。2017年のこれまでに,2 in Kaohsiung(高雄) and 1 in Tainan(台南)を合わせ 4例の患者が確認されている。2016年は,23例が確定診断されており,2015年の 30例から減少したが,2014年の 18例,2013年の 16例より多かった。台湾での日本脳炎は,主に 5月から 10月に発生し,例年 6月と 7月にピークがある。

● 腸管出血性大腸菌 EHEC 米国
PRO/AH/EDR> E. coli EHEC - USA (12): (TX)
Archive Number: 20170621.5121066
 情報源 WFAA 2017年6月19日
テキサス州の小児病院 Children's Medical Center of Dallas [Texas]で,2歳男児に生命維持装置が装着 on life support されている。当局は,男児に傷害を与えた大腸菌の感染源を調査している。この男児と家族が,オクラホマ Oklahoma 州への旅行から Ennis [TX]の自宅に戻った数日後,幼児にウイルス性胃腸炎のような症状が現れた。便検査で大腸菌が確認され,直ちに Children's Medical Center Dallas に搬送された ...

● コレラ ソマリア,ケニア,フィリピン,ジャマイカ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update (57): Africa, Asia, Americas
Archive Number: 20170621.5118234
[1] コレラ- Horn of Africa
Horn of Africa: humanitarian impacts of drought
 情報源 UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA), ReliefWeb 2017年6月16日
降水量 6月第 1週にソマリア全土の降水量が大きく減少し,雨期 the Gu rainy season が終了したと考えられる。地域内 the Juba and Shabelle River basins in Ethiopia and Somalia の降水量が減少すると,河川の水域レベルの低下し,この状態は数週間続くと予想される。エチオピア,ケニアの状況について ...
(干ばつによる)住民の移動 ...
疾患 ソマリアでは,5年間にわたって最悪のコレラアウトブレイクが続いており,2017年1月以降,48 607 cases and 763 deaths reported in 48 districts が報告されている。エチオピアでも,1月以降,35 665 acute watery diarrhoea [AWD] cases and 780 deaths (CFR [case fatality rate] 2.2 percent) in 6 regions の報告がある。91 % 以上の患者と,96 % の死者を The Somali region が占めているが,4月初旬から 5月末にかけて患者数が 88 % 減少し,the AWD situation は改善傾向にある。ケニアでは 1月以降,303 suspected cases of cholera and 3 deaths が報告された。
[2] コレラ- ソマリア
Situation report for acute watery diarrhoea/cholera epidemiological week 23 (5-11 Jun 2017)
 情報源 UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA), ReliefWeb, WHO, Somali Federal Republic Ministry of Health report 2017年6月17日
全体的に見て,コレラ発生状況 the AWD/cholera outbreak に衰えは見られず,新たな地域に感染が拡大している。Galgadud, Gedo, Togdheer, Bakol, Middle Juba regions, and other inaccessible areas から,コレラに関する注意喚起が発出されたが,治安状況が悪く確認は困難である ... More AWD/cholera cases が記録されているのは,Baidoa, Banadir, and other districts における干ばつの悪化による難民のキャンプ IDP [internally displaced persons]の住民らである ... 2429 AWD/cholera cases and 19 deaths (CFR 0.8 percent) during week 23 from 48 districts in 16 regions が報告され,このうち 460 が Wadajir district in Banadir からの報告だった。2017年初以来,A cumulative 51 036 suspected AWD/cholera cases and 782 deaths (CFR-1.5 percent) from 48 districts across 16 regions が報告されている。2016年同期と比べ,the past 23 weeks の患者数は大きく増加している。The current AWD/cholera cases は,15 619 cases and 548 deaths が記録された 2016's major outbreak から継続する発生 a spill-over である ... 各地域ごとの発生すうなど,原文参照願います。
関連項目 EMRO/WHO. Surveillance, forecasting and response. 15 June 2017
Weekly update: cholera in Somalia
厚生労働省検疫所 FORTH 
[3] コレラ- ケニア(Nakuru County)
 情報源 Mediamax Network 2017年6月16日
the Naivasha sub-county [Nakuru County] hospital に,2例目のコレラに感染し重体となった中年男性 1名が入院している。1例目の男性患者が確認されたのは 2週間前である ... 病院関係者によると,Kabati estate のこの患者は治療によく反応している。患者は 1人暮らしで,1例目の患者が報告された地域 county council estate でコレラ菌に感染したと説明されている ...
[4] 下痢症,, 死亡- フィリピン(Lanao del Sur Province)
 情報源 Davao Today 2017年6月20日
Lanao del Sur province の保健当局者が 19日,下痢症による死者 2名について明らかにした。マラウイ Marawi からの難民家族が同地域の一時施設 evacuation centers に入所後,300例以上の下痢症患者が発生していると,当局者 the provincial health officer of Lanao del Sur が述べた。the evacuation site in the town of Malabang で 1名,Saguiran municipality [Lanao del Sur]でもう1名が,高度脱水症により死亡したと説明されている。このほか,難民以外の 2名の下痢症による死者が記録されている。(ミンダナオ Mindanao 島各地に滞在する)20万人以上のマラウイからの難民の 20 % が何らかの健康の問題を訴えている ...
[5] コレラ菌血症_V. cholerae_ bacteremia - ジャマイカ
 情報源 Jamaica Information Service, Ministry of Health report 2017年6月20日
現在,ジャマイカ Jamaica 国内でコレラ感染は確認されていないと,保健省 The Ministry of Health が市民に伝えた。ジャマイカで最後にコレラ感染が発生したのは 150年前のことである。さらに,胃腸炎の患者数も 2016年同期より 30 % 減少している。9日,保健省に腹痛と発熱のある患者の報告があった。通常検査で,患者の血液中に細菌が確認された。患者の状態から,重症の下痢疾患の原因となるコレラ菌 the _Vibrio cholerae_ species と考えにくく not consistent with ,患者の接触者もコレラを示唆する症状を訴えていなかった。CARPHA [Caribbean Public Health Agency] in Trinidad での確定検査が行われている。
[Mod.LL-a Vibrio-related bacteremia であり, a non-O1, non-O139 _V. cholerae_などによるものと推測される。uncommonly ではあるが,確かに Non-toxigenic _V. cholerae_ bacteremia が起こることはある ... ]
関連項目 (53): Africa 20170615.5107453

● 髄膜炎 ルーマニア、細菌性

PRO/EDR> Meningitis - Romania: (BV) bacterial, RFI
Archive Number: 20170621.5120576
 情報源 Romania Insider 2017年6月19日
15日,国内中部の小児病院 the Pediatric Hospital in Brasov で,the Tarlungeni, commune (人口7820人 WIKI), in Brasov county の 17歳の学生が細菌性髄膜炎により死亡し,the Purcareni village [Brasov county]でのパーティーで患者と接触があった 18人が同じ症状で入院となった。(患者と接触があった)受診者は,18日現在 200人に達している。髄膜炎が疑われ the Hospital for Infectious Diseases in Brasov に入院となった 18人のうち,1人で診断が確定されている。パーティーに参加後,学生らが体調を崩した。
[Mod.ML- 細菌の種類が特定されていない。急性細菌性髄膜炎は急速な経過をたどり,疑いのある患者では髄液の細菌培養が菌株の同定と抗生物質の感受性を知る手がかりとなる。できるだけ早期に,想定される菌をカバーする広域スペクトラム抗生物質の empiric な静脈内投与を行い,初回投与前または投与時に,Adjunctive dexamethasone を併用する。主な起因菌は年齢により異なる。コミュニティ内で起こる髄膜炎アウトブレイクはしばしば髄膜炎菌 _Neisseria meningitidis_ が起因菌となる]

● 外来種蚊族 米国

PRO/AH/EDR> Invasive mosquito - USA (03): (CA)
Archive Number: 20170621.5122163
 情報源 City of Long Beach Public Information Office 2017年6月19日
Health Department Detects Mosquitoes with Potential to Transmit Zika in Long Beach 

● ヘビ真菌性疾患 英国,チェコ共和国 欧州 初報告
PRO/AH/EDR> Snake fungal disease - Europe: (UK, Czech Republic) 1st report
Archive Number: 20170621.5121903
 情報源 Express 2017年6月19日
National Geographic では先週[12 - 18 Jun 2017],ガラガラヘビ America's iconic rattlesnakes など数種類のヘビの間で病気 SFD [Snake fungal disease] が蔓延し,ネズミ rats and mice の繁殖を食い止める役割を果たしていることから,その影響が危惧されている potentially disastrous。英国内の 10万匹のヘビの保存に取り組む番組 BBC's Countryfile 放映の翌日の 19日に英国内の新たな感染例が公表された ...