2022年6月3日

     (133)COVID-19の終わり 妊娠中ワクチン接種による新生児保護

● COVID-19(133)COVID-19の終わり 妊娠中ワクチン接種による新生児保護
PRO/AH/EDR> COVID-19 update (133): end of COVID, Portugal, India, Pfizer, S Asia, WHO, global
Archive Number: 20220603.8703661
[1] 薄れる関心 Loss of interest in COVID
 情報源 The Guardian 2022年6月2日
 ...  現在われわれが経験しているのはパンデミックの社会的死亡 the pandemic's social death であり, ... ワクチン接種により重症化やロックダウンの必要性が緩和され; the COVID-zero policy の放棄で,政府がこれ以上感染拡大を防止するための措置を講じる必要がなくなり; 自宅学習やステイホームによる社会全体の倦怠感で,通常勤務に戻すことにほとんど反対はない。
An era has ended, and maybe one day we'll wonder if it even happened.
[2] CIDRAP update
 [A] COVID-19 rises in Portugal, India ポルトガルとインドで患者数増加。
 情報源 Center for Infection Disease Research and Policy (CIDRAP) 2022年6月2日
ポルトガルは,7日間平均の患者数が 2447例と新たな感染増 a fresh spike in COVID-19 activity を報告している。1月のオミクロン変異株によるピークの 1/3 のレベルをわずかに超えたと,Reuters は伝えている ... 
ムンバイ Mumbai を中心に,インドでも患者数が増加と,Reuters は報じた。全国の患者数は,1か月間で最も多いレベルとなっている ... ムンバイにおいて,入院患者数は増加していない
そのほかに患者数の増加が見られているのは主に南北アメリカである
 [B] Pandemic impact, hybrid immunity
 情報源 CIDRAP 2022年6月2日
In other global COVID developments:
- 経済的影響
- A recent WHO analysis in Lancet Global Health で,2022年アフリカにおける死者数 COVID-19 deaths in Africa は,2021年と比較で 94% 減少する見込みであることが示された。これは,ワクチン接種,改善された対応,これまでの感染による免疫による。
- The WHO Strategic Advisory Group of Experts (SAGE) on Immunization yesterday [1 Jun 2022] posted an interim assessment of hybrid SARS-CoV-2 immunity and population seroprevalence
 [C] Pfizer: FDA consideration
 情報源 CIDRAP 2022年6月2日
Pfizer and BioNTech は1日,生後 6か月から4歳までの乳幼児に対するワクチン緊急使用に関する申請を the US Food and Drug Administration (FDA) に提出したと,the Washington Post が報じている ... 
[3] 妊娠中のワクチン接種 Vaccination during pregnancy
 情報源 CIDRAP 2022年6月2日
妊娠中にワクチンを接種 COVID-19 vaccination すると,新生児は生後 4か月まで SARS-CoV-2 infection ウイルス感染から守られることが,JAMA Internal Medicine で報告された。2021年後半から2022年はじめまでにノルウェー Norway で生まれたすべての新生児についての研究 the cohort study において,妊娠の第2または第3四半期に either the Moderna or Pfizer-BioNTech vaccine いずれかのワクチンを接種した妊婦から生まれた新生児は,COVID-19 incidence 感染が少なかった。しかし,この防御効果は,オミクロンの時期 during the omicron period より,デルタ the delta variant が優位な時期の方が 2倍以上高かった。the Norwegian Institute of Public Health を中心とするこの研究チームは,百日咳 pertussis (whooping cough) とインフルエンザ flu などでは,母親が妊娠中にワクチンを接種することで生まれた新生児は感染から守られることが示されており,COVID vaccines にも当てはまるかを調査したと述べている。from September 2021 through February 2022 に生まれた 2万1643 Norwegian babies のうち,9739 of them (45.0%) は,妊娠中に a 2nd or 3rd dose of an mRNA COVID-19 vaccine ワクチンを接種した母親から生まれた新生児だった。母親および生まれた児の polymerase chain reaction (PCR,無料で提供されている) test 検査結果はすべて the Norwegian Surveillance System for Communicable Diseases に登録されており,これらのデータの解析が行われた ... 出生後 4か月間の The incidence rate of a positive COVID-19 test は,5.8 per 10 000 follow-up days だった。the delta period ワクチンを接種した母親から生まれた児は,1.2 per 10 000 follow-up days であったのに対し,3.0 for babies born to unvaccinated mothers であり,ワクチンの有効性は a vaccine effectiveness 71% だった。しかしながら the omicron period では,the incidence rate は 7.0 per 10 000 follow-up days in the mother-vaccinated group, compared with 10.9 per 10 000 follow-up days in the unvaccinated group で,a vaccine effectiveness in the newborns of 33% であった。ワクチンを接種した妊婦に比べると,ワクチンを接種していない母親は,年齢が若く,子どもの数が多く,教育レベルが低く,スカンジナビアの出身者の割合が低かった ... 
[4] Regional update: South Asia
 [A] バングラデシュ Bangladesh
 情報源 The Daily Star 2022年6月2日
No COVID-19 deaths were reported in 24 hours until 8:00 am today [2 Jun 2022], ... At least 22 new infections from COVID-19 were recorded in the 24 hours until 8:00 am today [2 Jun 2022]. 
[The temporal distribution of cases and deaths attributed to COVID-19 in the country, from 3 Apr to 2 Jun 2022]
 [B] インド India 
 情報源 The Times of India (TOI), Times News Network (TNN) 2022年6月2日
With 739 fresh coronavirus cases in Mumbai itself, India reported a total of 3712 COVID-19 cases in the last 24 hours ... 
 [C] ネパール Nepal
 情報源 The Himalayan Times 2022年6月1日
[5] WHO: daily new cases reported (as of 2 Jun 2022)
 情報源 WHO 2022年6月2日
Data by country, area, or territory for 2 Jun 2022 
[6] Global update: Worldometer accessed 2 Jun 2022 21:37 EST (GMT-5)
 情報源 Worldometer 2022年6月2日
A 7-day series of cumulative data reported by countries, territories, and reporting entities 
Total number of reported cases: 534 143 001
Total number of reported deaths: 6 317 470
Number of newly confirmed cases in the past 24 hours: 564 412

● ポリオ(23)パキスタン コンゴ(民)
PRO/EDR> Poliomyelitis update (23): WPV1 AFP (Pakistan), cVDPV2 AFP (Congo DR)
Archive Number: 20220603.8703660
[1] パキスタン Pakistan (North Waziristan): WPV1 AFP, 7th case
 情報源 Daily Pakistan 2022年6月1日
1日,新たな野生株ポリオの感染例 another wild polio case from the country's North Waziristan tribal area が保健当局から発表された。合計の感染例は 7例となり,すべて North Waziristan's Mir Ali tehsil から報告されている。The Emergency Operations Centre (EOC) for Polio Eradication in erstwhile FATA が,生後 7か月の女児がポリオウイルス検査で陽性となったと明らかにした。 
[2] Global WPV1 AFP, 4th-6th cases, cVDPV2 AFP Congo DR
Poliovirus weekly update as of 1 Jun 2022, World Health Organization
 情報源 Global Polio Eradication Initiative/World Health Organization (WHO) 2022年6月2日
New wild poliovirus isolates reported this week:
AFP cases: 3
Environment: 1
Others: 1
New cVDPV isolates reported this week:
AFP cases: 1
Environment: 0
Others: 0
Summary of new polioviruses this week:
- パキスタン Pakistan: 3 WPV1 cases and 1 positive environmental sample
- コンゴ(民)Democratic Republic of Congo (DRC): 1 cVDPV2 case
関連項目 
Poliomyelitis update (22): WPV1 AFP Pakistan (KP) 20220529.8703535

● バナナの病気 オーストラリア
PRO/PL> Freckle disease, banana - Australia: (NT)
Archive Number: 20220603.8703654
 情報源 ABC News (Australian Broadcasting Corporation) 2022年6月1日
根絶が宣言されてから 3年後,the Northern Territory [NT] でふたたび Banana freckle が確認された。south of Darwin で確認されたが,感染源や感染拡大のおそれについては,まだ判断できる時期ではない ... 
参考項目 2014
Freckle disease, banana - Australia: (NT) spread 20140515.2473549

● ロッキー山紅斑熱 メキシコ
PRO/AH/EDR> Rocky Mountain spotted fever - Mexico: (CA) fatal, children
Archive Number: 20220603.8703648
 情報源 Vanguardia [In Spanish] 2022年6月1日
2022年のこれまでに 5人の子どもが,ダニ刺咬によるリケッチア菌が原因となるリケッチア感染症 rickettsiosis により死亡している。4人が Saltillo, 1人が San Pedro から報告された... 
参考項目 2021
Rocky Mountain spotted fever - Mexico (03): (BN) 20211230.8700570

● 大麦の病気 アイルランド
PRO/PL> Barley yellow dwarf - Ireland
Archive Number: 20220603.8703653
 情報源 Agriland 2022年5月27日
Teagasc (Irish Agriculture and Food Development Authority) 農業当局により, 全国の春大麦の収穫 many spring barley crops に,barley yellow dwarf (BYD) による影響が発生していることが確認された。

● レプトスピラ症 フィリピン
PRO/AH/EDR> Leptospirosis - Philippines (03): (Eastern Visayas) flooding, fatal
Archive Number: 20220603.8703645
 情報源 Inquirer Visayas 2022年6月1日
Eastern Visayas 保健当局 The Department of Health (DOH) はこれまでに 53例のレプトスピラ症 cases of leptospirosis from 1 Jan to 29 May 2022 を報告しており,このうち 8人が死亡したと,1日発表された ... the 53 cases [in Eastern Visayas Region] のうち,22例が Leyte から; 10 from Samar; 7 each from Southern Leyte and Eastern Samar; 5 from Northern Samar; and 2 from Biliran からの報告だった ... 
関連項目 
Leptospirosis - Philippines (02): (Davao) flooding 20220419.8702705

● 鳥インフルエンザ イスラエル 野鳥
PRO/AH/EDR> Avian influenza (132): Israel (HM, HD) wild bird, HPAI H5N8
Archive Number: 20220603.8703641
 情報源 Jerusalem Post 2022年5月29日
5月,イスラエル国内で 2羽の野鳥の鳥インフルエンザウイルス the H5N8 strain of avian influenza 感染が確認されたと,an Agriculture Ministry report to the World Organization for Animal Health (OIE) が報告している。4月中旬に near Petah Tikva で発見された a Eurasian Sparrowhawk ハイタカが検査で陽性と判明し,5月上旬には南部の near Ruhama で発見された a White Stork コウノトリでも鳥インフルエンザ検査が陽性となった ... 

● COVID-19(132)パンデミック終息 マスク着用の効果

PRO/AH/EDR> COVID-19 update (132): pandemic end, Shanghai, masks, WHO, global
Archive Number: 20220603.8703642
[1] どのように終息するのか  How will the pandemic end
Is the COVID pandemic finally nearing its end ?
 情報源 The Guardian 2022年6月1日
パンデミックの開始から 2年以上が経過し ... 英国では感染率も死者数も 2021年夏以降の最低レベルまで抑えられているようだが,新たな変異株が出現する可能性がのこっていることも知っている。パンデミックの終わりはいつ来て,またどのような終わり方となるのか?パンデミックが終わったことを知るのは,しばらく経ってからとなる。予想されているのは,免疫とウイルス感染とのバランスがとれた endemic レベルとなり,毎年一定レベルの感染が生じるようになる。たとえば季節性に一時的な増加が定期的に繰り返される状態も含まれるが,同じパターンが複数年観察されるまで,安定状態となったことを知ることはできない。いつになったらパンデミックが終わり,どのような終わり方となるのかを知る試みの上で,現在解明されていない大きな問題が 2つある。1つめは,われわれの免疫がどの程度持続する how durable のか: 特に重症化に対してではあるが,感染に対しても。そして 2つめは,the SARS-CoV-2 virus ウイルスどれほど早く進化するのか,特に免疫による防御を打ち負かす点で。これらの疑問に答えるため,これまでのパンデミックからの教訓を見ておく必要がある。
2020年 ... 他の RNA ウイルスと比較して,SARS-CoV-2 の進化の速度が比較的遅かったため,the alpha, beta and gamma variants が新興する 2020年末のぎりぎりまで,公衆衛生への即時のインパクトを超えるような変化は見られなかった。
2021年は変異の年で,より感染力が強く重症化や死亡の原因となりやすい The alpha variant に急速に置き換わり,より強力な公衆衛生対応が必要となった。驚異的な(ヒトへの)適応はかつて見たことがないほど飛躍的に増加し,従来株より 50% 感染力が強まった。The beta and gamma variants では免疫回避も見られ ... これらに続く the delta variant は,the alpha variant より about 50% more transmissible でかつ重症化しやすく,新たな感染の波を生んだ。2021年末にかけて新たな変異株オミクロン omicron が登場し,ウイルス進化の問題と教訓を呈示した。ワクチンや既感染による抗体を回避し,免疫による防御が白紙状態となった。幸いなことに入院や死亡に対する防御はそれほど冒されなかったが,重症化に対する防御は減弱し,再感染も見られる。ウイルス感染の a "one and done risk (2度罹りなし) の考えは,オミクロンにより吹き飛ばされた。2021年が変異株とワクチンの年だとすれば,2022年は再感染の年のようである ... 初感染に比べ,再感染は平均的には重症度が減少しているように見えるが,免疫が減弱しウイルスが進化し変化し続ける中,重症度の差はなくなり,死亡が増えるのではないだろうか。secondary infections [再感染のこと?] で,long COVID などの罹患リスクが減るかについても判っていない。リスクグループにとっての,再感染の重要性(危険性)も判っていない。ほぼ間違いなく,ウイルスが進化を続ける中で免疫による防御がさらに冒されるだろうし,再度のワクチン接種や研究,開発はこれまで同様喫緊の課題である -- これまでどおりワクチン接種の成功が保証されているわけではないが ... 
将来 COVID-19 がパンデミックレベルではなくなったとき,SARS-CoV-2 ウイルスが存在する世界はどのようなものになるのか。今は毎年,相当数の感染者や死亡を伴う,いくつもの感染の波を経験している。endemicity に,重症化する可能性を伴い with potentially high severity,何度も感染の波が発生する multiple waves of infection 状態も含まれるのだろうか?オミクロンのように,免疫を白紙化し,ワクチンによる入院や死亡に対する防御を一部でも回避するような変異株は,どれくらい頻繁に発生するのだろうか。
2022年末になってもパンデミックは終わってないだろうが,世界の中でワクチン接種率が高い国々におけるこのウイルスの振る舞いで,エンドポイントがどのようなものかを垣間見ることができるかもしれない: low risk of severe disease from any given infection, a better understanding of the cumulative disease toll of reinfections, an idea of the likelihood of further omicron-like immune escape events and whether disease severity is further restored, and data available to guide further vaccination strategies.
[2] 上海 Shanghai
 [A] 再開
 情報源 New York Times 2022年6月1日
上海は 1日,パンデミック開始以来世界で最も長く厳しいロックダウンを緩和する。2500万人の住民が自由な行動を取り戻す ... 
A mental shift
The road ahead ... 原文参照願います。
 [B] 感染者数
 情報源 Bloomberg 2022年6月1日
3月2日以来,3か月ぶりに最少の報告数 fewest COVID-19 cases の15例となったが,一部企業は念のため,制約 factory restrictions を継続する。約 10%については未だ移動を許されていない ... 
[3] マスク
 情報源 PNAS 2022年5月31日
原著タイトル Mask wearing in community settings reduces SARS-CoV-2 transmission. PNAS 31 May 2022.
意義
 ... 市民のマスク着用は感染伝播を大きく減少させた notably reduced SARS-CoV-2 transmission (mean mask-wearing levels corresponding to a 19% decrease in R) ... 
要約
マスク着用による医療現場での感染伝播リスク減少については知られているが,community settings での研究結果は一定していない [medRxiv (2020), Eurosurveillance 25, 2000725 (2020); Cochrane Database Syst. Rev. 11, CD006207 (2020)]。これらの研究は主に,政府によるマスク着用義務の,感染伝播に対する影響を解析するものである。しかし,自主的なマスク着用の拡がりや他のデータ上の制約により,着用義務の有効性(の評価)は,マスク着用の有効性の指標になりにくいと考えられた。われわれは,着用行動の大規模調査(n=2000万)を含む,6大陸の 92か国をカバーする複数のデータ several datasets を引用し,マスク着用による感染伝播への直接効果を解析したa Bayesian hierarchical model を用いて,we estimate the effect of mask wearing on transmission, by linking reported wearing levels to reported cases in each region ... 
結論
マスク着用が,感染伝播を大きく減少させることにつながることを確認した。着用義務以外の因子が,世界中の 2020年のマスク着用率向上に寄与したことが示された。すでに自主的なマスク着用率が高い場合など,着用義務による着用率の大幅な向上への効果が期待できない状況においても,政策決定者は量的・質的な向上をもたらせる他の方策を使うこともできる。たとえば,多くの人がマスクを着用しているが,低品質のマスク,正しくない着用法,重要な場面で使用されない,などの問題がある場合,正しいフィッティングや品質について教育を行うとともに,感染リスクが高い場面に絞った着用義務を求める対応が可能である。
[4] WHO: daily new cases reported (as of 1 Jun 2022)
 情報源 WHO 2022年6月1日
[Data by country, area, or territory for 1 Jun 2022]
[5] Global update: Worldometer accessed 1 Jun 2022 23:14 EST (GMT-5)
 情報源 Worldometer 2022年6月1日
Total number of reported cases: 533 578 589
Total number of reported deaths: 6 315 786
Number of newly confirmed cases in the past 24 hours: 888 712
関連項目 
COVID-19 update (131): long COVID, cardiac care, comment, WHO, global 20220601.8703623