ProMED-mail 情報: 2023年11月20日

原因不明の肺炎　中国、小児

デング熱　免疫、バングラデシュ、ブルキナファソ

ジカウイルスデングに対する免疫

●　原因不明の肺炎　中国、小児

PRO/EDR> Undiagnosed pneumonia - China: (BJ, LN) children, reported epidemic, RFI

Archive Number: 20231121.8713261

　情報源 FTV News [in Chinese] 2023年11月21日

中国国内の肺炎アウトブレイク the outbreak of pneumonia in China により、北京など Beijing, Liaoning and other places の小児病院は患児で溢れかえっており、学級および学校閉鎖の瀬戸際にある。保護者らは、当局が事態を把握できているか疑問を感じている。

早朝から北京小児病院 Beijing Children's Hospital に大勢の肺炎のこどもとその親が受診を求め来院している。ある市民は、多くのこどもが入院しているが、咳や他の症状は見られず、症状は高熱と肺結節 pulmonary nodules のみであると述べた。同じく遼寧省 Liaoning Province の状況も深刻で、大連小児病院 Dalian Children's Hospital も点滴を受ける小児でいっぱいだった。伝統中医学病院や中央病院 the traditional Chinese medicine hospitals and the central hospitals にも受診者の列ができている。

一部の学校が休校となっており、生徒のほか、教師らも肺炎に罹患している。

... Since China stopped adhering to the "zero" policy at the beginning of the year [2023], epidemics such as influenza, mycoplasma, and bronchopneumonia have broken out from time to time. ...

[Mod.LL－今回の報告により、北京と約800km離れた遼寧省など複数の場所で、原因不明の呼吸器疾患アウトブレイク a widespread outbreak of an undiagnosed respiratory illness の発生が示唆された。これほど多くの小児が短期間に発病することは通常ならあり得ないこと unusual であり、いつごろからアウトブレイクが始まったのかは全く示されていない。（教師以外の？）成人の発病は示されていないことから、学校内での暴露が示唆される。

新たなパンデミックかどうかを判断するのは時期尚早であるが、以前のインフルエンザの専門家 a wise influenza virologist からの言葉に、"The pandemic clock is ticking （常に動いている）, we just do not know what time it is." がある]

●　デング熱・デング出血熱　免疫、バングラデシュ、ブルキナファソ

PRO/AH/EDR> Dengue/DHF update (28): immunity

Archive Number: 20231121.8713253

　情報源 AAAS 2023年11月17日

Nicaragua Study Contradicts Long-Held Belief about Dengue Immunity

ニカラグアにおけるデング流行 dengue epidemics in Nicaragua において、研究者らにより、ウイルス免疫の理解を深める可能性のある新たな発見があった。

反復感染によりデングに対する終生免疫が得られるとするかつての理解に反する結果が得られた。そうではなく、特に成人の免疫はより短期的 more temporary であり、将来のアウトブレイクが発生するまでに集団免疫が減弱することがモデルで示された。

ニカラグアにおける the 2015-2016 Zika virus epidemic ジカウイルス感染流行により、次に発生したデング流行の時期 the next wave of dengue が遅れたとの驚くべき結果がわかった。これは、近縁関係にあるジカウイルスに対する免疫により、デング熱アウトブレイクに大きな影響と遅延がもたらされる可能性があることを示している。

ニカラグアの4400人あまりのデータから得られたこの研究結果は、the 15 Nov 2023 issue of Science Translational Medicine に掲載されている。

"Our study... , suggesting that immunity isn't lifelong after 2 infections（2度の感染後も終生免疫は得られない）-- immunity is likely maintained because people continue to get re-exposed to dengue viruses, which helps keep their antibodies high and helps protect them from disease（ウイルスに暴露し続けて高い抗体価が維持されることにより免疫が維持され、感染から防御される）," said a researcher at the United States' National Institute of Allergy and Infectious Diseases and senior author of the new study.

麻疹のように終生免疫は誘導されず、（デングウイルスは）この点でインフルエンザ、COVID-19、マラリアなどにより近いと述べ、デングワクチン接種に関する考えを改めなければならないかもしれないとしている。

Mismatch Between Models And Real-World Epidemics

デングは、熱帯の新興国に不釣り合いな影響を与えており、南北アメリカ、アフリカ、東南アジア、中東全域の100カ国以上に常在する。70%の患者がアジアで発生しているが、中米のニカラグアなどの国々でも地域内感染伝播が起きている。

タイなど一部のデング発生国では、報告数に著しいピークのある、周期的なアウトブレイク発生の傾向が報告されていることから、デング熱アウトブレイクの発生予測のための様々な感染伝播モデルが考えられてきた。

これらのモデルは、蚊族の生態、地理、のほか、過去のデング感染による集団免疫などの生物学的変数などの環境因子と、デング熱アウトブレイクのサイクルとを関連付けている。後者には、ある（デング）ウイルスに対する抗体により、その後のデング感染が重症化する、抗体依存性増強 antibody-dependent enhancement とよばれるまれな現象も含まれている。

しかしながら、抗体依存性増強だけに基づくモデルは、リアルワールドのデング熱アウトブレイクデータに適合する予測はできていない。また多くのモデルでは、異なるタイプのウイルスに2回以上感染することにより、デングに対する終生免疫が得られると仮定されているが、これによる仮説もリアルワールドの状況に必ずしも一致していない...

Waning Immunity In Adults May Drive Outbreak Patterns

以下、原文参照願います。

[Reference: Aogo RA, Zambrana JV, Sanchez N, Ojeda S, Kuan G, Balmaseda A, Gordon A, Harris E, Katzelnick LC. Effects of boosting and waning in highly exposed populations on dengue epidemic dynamics. Sci Transl Med. 15 Nov 2023;15(722):eadi1734. doi: 10.1126/scitranslmed.adi1734. Epub 2023 Nov 15. PMID: 37967199.]

バングラデシュ

PRO/AH/EDR> Dengue/DHF update (27): Asia (Bangladesh) update

Archive Number: 20231121.8713249

[1] 　情報源 New Age 2023年11月19日

2023年の国内のデング熱感染による入院患者数が30万人を超え、19日までの24時間に新たに6人が死亡し1549人となったと、保健当局者 the Directorate General of Health Services が明らかにした。入院患者のうち10万5535人が、死者のうち901人が首都で発生している。

...

At least 6 people died of dengue in January, 3 in February, 2 in April, 2 in May, 34 in June, 204 in July, 342 in August, 396 in September, and 359 in October [2023]. No deaths were recorded in March [2023].

[2]　情報源 The Daily Star 11月19日

11月の10日残った時点でデング患者数が30万人を超えた。冬の開始時期に減少する例年の傾向とは違い、新たな1291例の発生により30万1255例となった。

関連項目

Dengue/DHF update (22): Asia (Bangladesh) update 20231108.8713037

ブルキナファソ

PRO/AH/EDR> Dengue/DHF update (26): Africa (Burkina Faso) epidemic update

Archive Number: 20231120.8713239

　情報源 Le Faso [in French] 2023年11月16日

ブルキナファソは、previous outbreaks in 2014, 2016, and 2017 を上回る、かつてないデング熱感染 an unprecedented surge in dengue fever に見舞われている。保健専門家 a health engineering expert によれば、全国 across the entire Burkinabe territory のデングによる死者数は511 people as of 12 Nov 2023, 感染者数は 4万9 808 probable cases で、week 45, covering the period from 1 Jan to 12 Nov 2023 までに the Central region alone だけで220人が死亡し、3万2 999 probable cases が報告された。全国的に発生があるものの、the Central and Hauts-Bassins regions が最も多い。

●　リステリア症　米国、モモ

PRO/EDR> Listeriosis - Americas (08): (USA) peaches, alert, recall

Archive Number: 20231121.8713247

　情報源 Food Poisoning Bulletin 2023年11月18日

ピーチによるリステリア症アウトブレイク An HMC Farms peaches _Listeria monocytogenes_ outbreak により、11人が発症したと the FDA が明らかにした。The peaches, along with the company's plums and nectarines が、The recalling firm、HMC Group Marketing Inc. doing business as HMC Farms により自主回収されている。between 1 May 2022 and 15 Nov 2022, and between 1 May 2023 and 15 Nov 2023 に小売店で販売された。

●　ジカウイルス　デングに対する免疫

PRO/AH/EDR> Zika virus (10): pathology and dengue immunity

Archive Number: 20231120.8713231

　情報源 Science Translational Medicine 2023年10月25日

原著タイトル Exacerbated Zika virus-induced neuropathology and microcephaly in fetuses of dengue-immune nonhuman primates. Sci. Transl. Med. 15, eadd2420 (2023)

Editor's summary

ジカウイルス Zika virus (ZIKV) の感染により、妊娠女性から胎児への垂直感染のおそれがあり、先天性ジカウイルス症候群 congenital ZIKV syndrome と関連付けられている。各論文の著者らは cynomolgus and rhesus macaque models, respectively を用いて、母胎の感染 maternal ZIKV infection が胎児発達にどのような影響を与えるかについて検討を行った。

すでに存在するデングウイルスに対する免疫 preexisting immunity to dengue virus, a related flavivirus は、先天性ジカウイルス症候群の重症度 severity of CZS を高めた。

また、maternal ZIKV infection alone 単独でも胎児のサイズ infant size を減少させ、社会的行動に影響を与えていた affect social behaviors。

Together, these papers shed light on the impacts of ZIKV infection on fetal and early life development.

Abstract

... ジカウイルスとデングウイルスの抗原性が類似し、デング特異抗体によるマウスのジカウイルス感染重症化の可能性があることから、母胎のデングウイルスに対する免疫が、霊長類の垂直感染モデルにおいて胎児のアウトカムに影響する可能性について検討した。

妊娠初期にジカウイルスに感染させた、デング熱抗体を有するサル DENV-immune cynomolgus macaques の実験モデルの胎児と、naïve controls と比較した。（デング既往感染は）母胎のジカウイルス感染および抗体反応には影響しなかった。

妊娠全期間を通じて、頭囲及び大横径の超音波計測を行い、CZS in fetuses of DENV-immune pregnant macaques（妊娠したデング抗体保有個体の胎児の先天性ジカウイルス症候群）が確認された。

さらに severe CZS enhanced by DENV immunity は、胎児脳の変化 reduced cortical thickness and increased frequency of neuronal death, hemorrhaging, cellular infiltrations, calcifications, and lissencephaly in fetal brains に類型化された。

今回の研究により、デングに対する母胎免疫 maternal immunity to DENV により、霊長類の胎児のジカウイルスによる神経学的アウトカム ZIKV neurological outcomes in fetal primates が増悪する可能性が示された ...

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2023年11月20日－21日

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